東急不動産だまし売り裁判と登記トラブル

林田力

東急不動産消費者契約法違反訴訟(平成17年(ワ)3018号)は訴訟上の和解成立後も和解条項の履行で紛争が再燃した(林田力『東急不動産だまし売り裁判22東急不動産の遅過ぎたお詫び』「和解調書履行でトラブル再燃」)。訴訟上の和解の和解調書は以下のように定められている。

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1 控訴人(東急不動産)は、被控訴人(原告)に対し、本件に関し和解金3000万円の支払い義務のあることを認め、以下のとおり支払う。

平成19年3月末日限り、別紙物件目録の建物(以下「本件建物」という。)につき平成18年12月21日付「訴訟上の和解」を原因とする被控訴人から控訴人に対する所有権移転登記手続き及び東京法務局墨田出張所平成15年10月23日受付、受付番号50222番の抵当権設定登記の抹消登記手続きと引き換えに。

2 被控訴人は、平成19年3月末日限り、前項記載の金3000万円の支払いを受けるのと引き換えに、控訴人に対し、本件建物につき平成18年12月21日付「訴訟上の和解」を原因とする被控訴人から控訴人に対する所有権移転登記手続き及び東京法務局墨田出張所平成15年10月23日受付、受付番号50222番の抵当権設定登記の抹消登記手続きをする。

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登記には単独申請と共同申請がある。法律的な意味での和解には、普通の和解と訴訟上の和解があある。双方が協力して必要な手続きをする共同申請ならば、和解条項は登記に必要なく、登記原因は「和解」と書く。和解条項を根拠として登記ができる場合は、訴訟上の和解となったときの債務名義の場合で、単独申請ができる。登記原因は「訴訟上の和解」と書かれる。単独申請で登記できる以上、原告は代金を返して貰い、引き替えに受領書を渡す。引き替え給付になっている。司法書士には受領書を渡すだけでいい。これで登記手続きをしたと擬制される。

ところが、東急不動産は原告をだまして、共同申請をさせようとした。原告に東急不動産が用意した司法書士に対する委任状を提出させ、共同申請にして登記原因を「和解」にしようとした。委任状提出要求に対し、原告は「持ってきていない」と答えた。以前より怪しいと思っていたため、用心のために受領書以外は何も持ってきていなかった。

この回答に対して司法書士は「何しにきたのだ!」と怒って原告を恫喝した。全て原告に見透かされていたが、東急不動産代理人の井口寛二弁護士は原告に罵声を浴びせて脅して押し通そうとしたため、会談場所の銀行の応接室は怒鳴り合いの大騒ぎとなり、罵倒の声が銀行中に響き渡った。

結局、この企みは原告に見破られて失敗に終わった。大勢を巻き込んだ東急不動産の企みは未遂に終ったが、最初に原告を怒鳴った者は東急不動産が用意した司法書士であったため、法務局に司法書士の懲戒請求を申し立てた。実は前日、司法書士に電話を入れて「明日は和解調書にあるように単独申請でして下さい」と念を入れていた。司法書士はかなりうろたえていたようであった。

和解条項で原告に「登記手続きをせよ」とある場合には、司法書士に提出する委任状などはいらない。実際に登記申請をするのは、司法書士である。司法書士は、原告から受け取った売買代金の受領書を持って裁判所に行き執行文の付与を受ける。司法書士は和解調書と付与された執行文で登記ができる。相手から判を貰わなくても登記ができる。つまり単独申請である。これが共同申請の場合は、司法書士に委任状と登記原因証明情報なる物に印鑑証明つきの実印を押して渡す。つまり双方の協力で登記が成り立つ。

事前に東急不動産側は登記上必要だと原告をだまして、井口寛二弁護士が作成した「委任状」と「登記原因証明情報」に判を押させた。登記原因は「和解」と書かれていたため不審に思ったが、「登記原因に訴訟上の和解というのはない。和解になる」と嘘を述べた。これらの書面の写しはFAXで東急不動産側に送付された。

この手続きに納得できなかった原告は登記先である東京法務局墨田出張所に電話を入れて尋ねた。担当官は、登記原因に「訴訟上の和解はある。和解調書が債務名義であれば登記原因は、訴訟上の和解となる」と答えた。そして単独申請と共同申請を説明してくれた。

当日、原告は井口寛二弁護士に「先日FAXで送った委任状と登記原因証明情報を返して下さい」と返却を求めた。しかし、井口寛二弁護士は「あれはFAXだから効力はない」と言い、「権利書を出せば金を渡す」と体の横にある金の入ったケースに手を置いてすごんだ。

井口寛二弁護士が持ってきた金は、原告が支払った代金の返却金であるが、まるで自分の金であるかのような態度であった。和解調書によれば原告は代金と引き替えに受領書を渡すだけである。受領書は、持ってきている旨を話すと井口寛二弁護士は、「私文書ではだめだ。公文書でなければだめだ」と訳の分からないことを喚いた。原告が「変な事を言うと裁判所に行ってこのことを言いますよ」と言うと、井口寛二弁護士は「行けばいいだろ」と怒鳴りあいになり、「供託する」と言って決裂した。

原告は東京高等裁判所に寄り、書記官に今日のことを話した。「『受領書は、私文書ではだめだ、公文書でなければだめだ』とい言われた。『代金は供託する』と言っていた」。書記官は「受領書は、何でもいいのです。文房具屋に売っているのでいいのです」と説明した。供託については「受領書と引き替え給付ですから、給付が違えば手続きはできません」とも説明した。

金と言えば、東急リバブル提携銀行の銀行員も原告だましのシナリオに一役かっている。原告は代金返却方法について振り込みを要求したが、不動産屋は現金授受を求めた。そこで住宅ローン口座のある東急リバブル提携銀行の深川支店を場所として指定した。

前日原告宅に銀行員より電話がかかってきた。銀行員は、無礼にも命令口調で、書面を出すように催促した。原告が「義務がない」と拒否すると銀行員は「そんなこと言ったって東急不動産が出せと言ったらどうするんですか」と言い、原告は「私は知らない」と押し問答になった。銀行員は必死になっていたが、ラチがあかないため話を打ち切った。


林田力

【既刊】『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』『東急不動産だまし売り裁判購入編』『東急不動産だまし売り裁判2リバブル編』『東急不動産だまし売り裁判3』『東急不動産だまし売り裁判4渋谷東急プラザの協議』『東急不動産だまし売り裁判5東京都政』『東急不動産だまし売り裁判6東急百貨店だまし売り』『東急不動産だまし売り裁判7』『東急不動産だまし売り裁判8』『東急不動産だまし売り裁判9』『東急不動産だまし売り裁判10証人尋問』
『東急不動産だまし売り裁判11勝訴判決』『東急不動産だまし売り裁判12東急リバブル広告』『東急不動産だまし売り裁判13選挙』『東急不動産だまし売り裁判14控訴審』『東急不動産だまし売り裁判15堺市長選挙』『東急不動産だまし売り裁判16脱法ハーブ宣伝屋』『東急不動産だまし売り裁判17』『東急不動産だまし売り裁判18住まいの貧困』『東急不動産だまし売り裁判19ダンダリン』『東急不動産だまし売り裁判20東急ハンズ過労死』『東急不動産だまし売り裁判21東京都知事選挙』『東急不動産だまし売り裁判22東急不動産の遅過ぎたお詫び』『東急不動産だまし売り裁判23江東区』
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