積水ハウス地面師被害と東急不動産だまし売り裁判

積水ハウスが東京都内の土地取引を巡り、購入代金70 億円のうち、63億円を支払ったにもかかわらず、所有権移転登記を受けられず、土地を取得できない事態になっている。地面師の被害に遭った可能性が高い。

問題の物件は東京都品川区西五反田の元旅館「海喜館」である。五反田駅徒歩3分の約600坪である。所有者は70代の女性で、抵当権などはない。

この所有者になりすました女性が偽造印鑑登録証明書や偽造パスポートなどを用いて売買契約を進めた。取引はIKUTA HOLDINGS株式会社(近藤久美代表)が、なりすまし女性から購入し、積水ハウスに転売する形式でなされた。

ブローカーが介在するところが不動産業界の不透明なところである。東急不動産だまし売り裁判の舞台となった江東区東陽のマンションも康和地所(倒産)が地上げして、東急不動産に転売した。

2017年4月24 日に売買契約が締結される。登記簿上は4月29日にIKUTA HOLDINGSに売買予約がなされた。さらに同日、積水ハウスに売買予約が移っている。

6月1日に決済がなされた。同日、所有権移転登記が申請される。報道では中間省略登記とするものがある(「積水ハウスが63億円被害 不動産業者明かす“地面師”の手口」日刊ゲンダイ2017年8月5日)。これに対して積水ハウスは「所有者から契約相手先を経て当社へ所有権を移転する一連の登記申請を行った」と説明する(積水ハウス株式会社「分譲マンション用地の購入に関する取引事故につきまして」2017年8月2日)。

6月9日に所有者側の提出書類に真正でないものが含まれていたとして、登記申請が却下される。

IKUTA HOLDINGSは旧社名を「エスラインJAPAN株式会社」(東京都世田谷区大原)と称していた。2015年12月1日にIKUTA HOLDINGSに社名を変更し、東京都千代田区永田町2-9-6 十全ビル406に移転した。ここは小林興起元代議士の事務所である。6月29日に東京都渋谷区恵比寿4丁目20番2号1001号室に移転した。

IKUTA HOLDINGSの実質的なオーナーは生田剛氏と指摘される(「【ピリ辛ニュース】東京・西五反田「海喜館」で被害63億円の積水ハウス、契約相手先「IKUTA HOLDINGS」のオーナーは生田剛という人物」東京アウトローズWEB速報版2017年8月7日)。

積水ハウスが地面師にだまされた背景として、チェックの甘さを指摘する声がある。「現在、不動産会社や住宅メーカーは2020年の東京五輪を見越して、都内一等地を買いあさっている。我先にというノリなので、チェックが甘くなっていたのかもしれない」(「土地取引で63億円損失・積水ハウス「地面師」にハメられた背景」東スポWeb 2017年8月4日)

地面師だけが犯人かは問題になる。「この種の犯罪の難しさは、なにがしかの報酬を受け取った成りすまし犯以外は、すべて「善意の第三者」を装うことができること。話を持ってきたブローカー、仲介業者、不動産業者、購入者(社)、間に入る司法書士や弁護士などが、「私も騙された」という」(伊藤博敏「積水ハウスから63億円をだまし取った「地面師」の恐るべき手口」現代ビジネス2017年8月2日)

「積水ハウスの事件でも新司法試験世代の弁護士の関与も噂されている」(鎌倉九郎「止まない地面師犯罪 犯罪的弁護士・司法書士を即時に業務停止にできるシステムが必要」2017年8月3日)。

地面師に欺かれた司法書士の不法行為責任が認められた事例がある(東京地裁平成20年11月27日判決・判例時報2057号107頁)。土地売買の所有権移転手続において、司法書士が運転免許証により本人確認を行ったが、その免許証の外観、形状の確認が不十分なものであり、偽造運転免許証であることを発見できなかった過失を認めた。代金2億円を支払ったケースで、原告自身も本人確認をしていない過失割合を2割程度とし、司法書士に約1億7000万円の損害賠償を命じた。

林田力

東急不動産だまし売り裁判の登記トラブル

東急不動産だまし売り裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟)でも所有権移転登記のトラブルが起きた。東急リバブル東急不動産は不利益事実を隠して江東区東陽の新築分譲マンション(アルス東陽町301号室事件)をだまし売りした。不利益事実はアルス竣工後に隣地が建替えられて日照・眺望・通風が妨げられる、作業所のため騒音になることである。引渡し後に真相を知った購入者は消費者契約法第4条第2項違反(不利益事実不告知)で売買契約を取り消し、東急不動産を被告として、売買代金の返還を求めて東京地裁に提訴した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。

東京地裁判決は、東急不動産の消費者契約法違反を認め、東急不動産に売買代金2870万円の返還を命じた(平成17年(ワ)3018号)。東京高裁で一審判決に沿う内容の訴訟上の和解が成立した。訴訟上の和解はアルスを返品して(所有権移転登記を東急不動産に移す)、東急不動産が3000万円を原告に支払うことを骨子とする。ところが、訴訟上の和解の履行に際して東急不動産が連れていた司法書士は登記原因、登記原因の日付、登記原因証明情報について実態と異なる内容で所有権移転登記をさせようとした。

和解調書に「平成18年12月21日付「訴訟上の和解」を原因とする被控訴人(注:原告)から控訴人(注:東急不動産)に対する所有権移転登記手続き」と明記されているため、登記原因「訴訟上の和解」、原因の日付「平成18年12月21日」で、和解調書を登記原因証明情報として所有権移転登記手続きすべきであることは明白である。ところが、東急不動産の司法書士は登記原因「和解」、原因の日付「平成19年3月28日」(金銭授受の日)とし、上記内容を意味する登記原因証明情報を新たに作成して、申立人と東急不動産の共同申請で所有権移転登記させようとした。

原告が異を唱えると「東京法務局に確認したところ、訴訟上の和解を登記原因にしては登記できないと言われた」と虚偽の説明を行い、一旦は原告を信じ込ませ、原告は2007年3月17日頃に登記原因を和解とする東急不動産の司法書士への所有権移転登記委任状と登記原因証明情報に記名捺印し、写しを司法書士事務所に送付してしまった。原告側が直接、東京法務局墨田出張所に確認し、東急不動産の司法書士の虚偽が判明した。

東京司法書士会則第96条には「詐欺的行為、暴力その他これに類する違法又は不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない」とある。虚偽の説明まで弄して実態とは異なる登記原因で所有権移転登記させようとした司法書士は、マンションだまし売りの東急不動産とお似合いの存在である。

林田力
アルス東陽町301号室の登記簿。原告の主張通り、「訴訟上の和解」で登記された。
林田力

東急不動産登記トラブル表

東急不動産だまし売り裁判の後始末として、東急不動産だまし売り物件の所有権登記を東急不動産にする必要があった。さもなければ原告が問題物件を抱え続けてしまう。しかし、その所有権移転登記の進め方をめぐってトラブルが再燃した。東急不動産は「自分の主張する方法でなければできない」と説明したが、虚偽であった。実際は原告の主張の通りに可能であり、そのように登記された。

論点原告の主張東急不動産の主張
登記原因 和解調書には「平成18年12月21日付『訴訟上の和解』を原因とする」とある通り、「訴訟上の和解」とする。 「和解」とする。「訴訟上の和解」では登記できない。
登記原因の日付 和解調書記載の通り、平成18年12月21日 東急不動産が3000万円を支払った日
登記申請 東急不動産単独申請。和解調書によって登記する旨の意思表示が擬制されるため(民法第414条2項但し書き、民事執行法第174条)、原告の申請は不要。 東急不動産と原告の共同申請
司法書士への委任状 東急不動産が単独申請できるため、提出は不要である。 原告に提出を要求。原告が「印鑑証明」を用意して、実印を押すことを要求。
登記原因証明情報 和解調書を登記原因証明情報とできるため、作成不要。 原告に登記原因証明情報という文書への捺印を要求。

東急不動産だまし売り裁判と登記トラブル

林田力

東急不動産消費者契約法違反訴訟(平成17年(ワ)3018号)は訴訟上の和解成立後も和解条項の履行で紛争が再燃した(林田力『東急不動産だまし売り裁判22東急不動産の遅過ぎたお詫び』「和解調書履行でトラブル再燃」)。訴訟上の和解の和解調書は以下のように定められている。

*****

1 控訴人(東急不動産)は、被控訴人(原告)に対し、本件に関し和解金3000万円の支払い義務のあることを認め、以下のとおり支払う。

平成19年3月末日限り、別紙物件目録の建物(以下「本件建物」という。)につき平成18年12月21日付「訴訟上の和解」を原因とする被控訴人から控訴人に対する所有権移転登記手続き及び東京法務局墨田出張所平成15年10月23日受付、受付番号50222番の抵当権設定登記の抹消登記手続きと引き換えに。

2 被控訴人は、平成19年3月末日限り、前項記載の金3000万円の支払いを受けるのと引き換えに、控訴人に対し、本件建物につき平成18年12月21日付「訴訟上の和解」を原因とする被控訴人から控訴人に対する所有権移転登記手続き及び東京法務局墨田出張所平成15年10月23日受付、受付番号50222番の抵当権設定登記の抹消登記手続きをする。

*****

登記には単独申請と共同申請がある。法律的な意味での和解には、普通の和解と訴訟上の和解がある。双方が協力して必要な手続きをする共同申請ならば、和解条項は登記に必要なく、登記原因は「和解」と書く。和解条項を根拠として登記ができる場合は、訴訟上の和解となったときの債務名義の場合で、単独申請ができる。登記原因は「訴訟上の和解」と書かれる。単独申請で登記できる以上、原告は代金を返して貰い、引き替えに受領書を渡す。引き替え給付になっている。司法書士には受領書を渡すだけでいい。これで登記手続きをしたと擬制される。

ところが、東急不動産は原告をだまして、共同申請をさせようとした。原告に東急不動産が用意した司法書士に対する委任状を提出させ、共同申請にして登記原因を「和解」にしようとした。委任状提出要求に対し、原告は「持ってきていない」と答えた。以前より怪しいと思っていたため、用心のために受領書以外は何も持ってきていなかった。

この回答に対して司法書士は「何しにきたのだ!」と怒って原告を恫喝した。全て原告に見透かされていたが、東急不動産代理人の井口寛二弁護士は原告に罵声を浴びせて脅して押し通そうとしたため、会談場所の銀行の応接室は怒鳴り合いの大騒ぎとなり、罵倒の声が銀行中に響き渡った。

結局、この企みは原告に見破られて失敗に終わった。大勢を巻き込んだ東急不動産の企みは未遂に終ったが、最初に原告を怒鳴った者は東急不動産が用意した司法書士であったため、法務局に司法書士の懲戒請求を申し立てた。実は前日、司法書士に電話を入れて「明日は和解調書にあるように単独申請でして下さい」と念を入れていた。司法書士はかなりうろたえていたようであった。

和解条項で原告に「登記手続きをせよ」とある場合には、司法書士に提出する委任状などはいらない。実際に登記申請をするのは、司法書士である。司法書士は、原告から受け取った売買代金の受領書を持って裁判所に行き執行文の付与を受ける。司法書士は和解調書と付与された執行文で登記ができる。相手から判を貰わなくても登記ができる。つまり単独申請である。これが共同申請の場合は、司法書士に委任状と登記原因証明情報なる物に印鑑証明つきの実印を押して渡す。つまり双方の協力で登記が成り立つ。

事前に東急不動産側は登記上必要だと原告をだまして、井口寛二弁護士が作成した「委任状」と「登記原因証明情報」に判を押させた。登記原因は「和解」と書かれていたため不審に思ったが、「登記原因に訴訟上の和解というのはない。和解になる」と嘘を述べた。これらの書面の写しはFAXで東急不動産側に送付された。

この手続きに納得できなかった原告は登記先である東京法務局墨田出張所に電話を入れて尋ねた。担当官は、登記原因に「訴訟上の和解はある。和解調書が債務名義であれば登記原因は、訴訟上の和解となる」と答えた。そして単独申請と共同申請を説明してくれた。

当日、原告は井口寛二弁護士に「先日FAXで送った委任状と登記原因証明情報を返して下さい」と返却を求めた。しかし、井口寛二弁護士は「あれはFAXだから効力はない」と言い、「権利書を出せば金を渡す」と体の横にある金の入ったケースに手を置いてすごんだ。

井口寛二弁護士が持ってきた金は、原告が支払った代金の返却金であるが、まるで自分の金であるかのような態度であった。和解調書によれば原告は代金と引き替えに受領書を渡すだけである。受領書は、持ってきている旨を話すと井口寛二弁護士は、「私文書ではだめだ。公文書でなければだめだ」と訳の分からないことを喚いた。原告が「変な事を言うと裁判所に行ってこのことを言いますよ」と言うと、井口寛二弁護士は「行けばいいだろ」と怒鳴りあいになり、「供託する」と言って決裂した。

原告は東京高等裁判所に寄り、書記官に今日のことを話した。「『受領書は、私文書ではだめだ、公文書でなければだめだ』とい言われた。『代金は供託する』と言っていた」。書記官は「受領書は、何でもいいのです。文房具屋に売っているのでいいのです」と説明した。供託については「受領書と引き替え給付ですから、給付が違えば手続きはできません」とも説明した。

金と言えば、東急リバブル提携銀行の銀行員も原告だましのシナリオに一役かっている。原告は代金返却方法について振り込みを要求したが、不動産屋は現金授受を求めた。そこで住宅ローン口座のある東急リバブル提携銀行の深川支店を場所として指定した。

前日原告宅に銀行員より電話がかかってきた。銀行員は、無礼にも命令口調で、書面を出すように催促した。原告が「義務がない」と拒否すると銀行員は「そんなこと言ったって東急不動産が出せと言ったらどうするんですか」と言い、原告は「私は知らない」と押し問答になった。銀行員は必死になっていたが、ラチがあかないため話を打ち切った。


林田力

【既刊】『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』『東急不動産だまし売り裁判購入編』『東急不動産だまし売り裁判2リバブル編』『東急不動産だまし売り裁判3』『東急不動産だまし売り裁判4渋谷東急プラザの協議』『東急不動産だまし売り裁判5東京都政』『東急不動産だまし売り裁判6東急百貨店だまし売り』『東急不動産だまし売り裁判7』『東急不動産だまし売り裁判8』『東急不動産だまし売り裁判9』『東急不動産だまし売り裁判10証人尋問』
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『東急不動産だまし売り裁判訴状』『東急不動産だまし売り裁判陳述書』『東急不動産だまし売り裁判陳述書2』『東急不動産だまし売り裁判陳述書3』
『東急大井町線高架下立ち退き』『東急不動産係長脅迫電話逮捕事件』『東急コミュニティー解約記』『東急ストアTwitter炎上』『東急ホテルズ食材偽装』
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