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ブランズタワー文京小日向は過去に高さ違反で建築確認取り下げ

東急不動産(販売代理:東急リバブル)の新築分譲マンション「ブランズタワー文京小日向」(東京都文京区小日向4丁目)は、基礎工事中に高さ違反が発覚し、2010年5月23日付で建築確認を取り下げていた。東京都から北側斜線・第3種高度の制限区域において建築確認の不備を指摘され、建設工事も中断していた。

ブランズタワー文京小日向は東急不動産による複合開発の一環で、建設地は春日通りに面する。同じ開発街区では新築分譲マンション「ブランズ文京小日向 レジデンス」がある。ブランズタワー文京小日向の計画名は「(仮称)小日向プロジェクトII」で、地上22階建て、戸数約100戸の計画であった。施工は鹿島建設東京建築支店、設計は野生司環境設計、アークロード一級建築士事務所である。民間の指定確認検査機関「日本建築センター」が2008年12月に建築確認を下ろした。竣工予定は2012年であった。

ブランズタワー文京小日向の問題は隣接するレクサス小石川販売から空中権を購入して高層マンション(100m規模)を建設する点にある。このために近隣住民からは「レクサス・マンション」とも呼ばれている。高層マンション建設に対しては、住民団体「春日通りの街並みと生活環境を考える会」をはじめとして、近隣住民らによる反対運動が広がった。

反対運動では空中権や連坦制を名目に本来ならば建設できない高さのマンションが建設され、周辺から突出してしまうことを問題視する。同じ敷地で同じ所有者ならば兎も角、売却した敷地に別の所有者が建設する建物に容積率を譲ることは不可解である。袋小路の奥の空地利用などを念頭とする連坦制を利用して、大通りである春日通り沿いに高層ビルを建設することは制度の濫用であると主張する。

文京区には教育機関や寺社、墓地など容積率の余った土地が多い。そのため、連坦制の悪用が許されるならば高層ビルが乱立する危険もある。その点で反対運動は建設地周辺だけの問題ではない。また、高層建築による風害も指摘する。

ブランズタワー文京小日向の敷地西側は第二種住居地域になっている。建物北側の日当たりを考慮して都が定めた高さ制限「第三種高度地区」を適用すると、最高9階までしか建てられない。この違反は近隣住民の指摘によって明らかになった。その中での建築確認申請取り下げである。「春日通りの街並みと生活環境を考える会」では会報で「彼ら(注:東急不動産ら)は違反建築物を建てようとしていたことを認めたことになります」と評する(林田力「東急不動産の小日向マンションで建築確認に不備=東京・文京」PJニュース2010年6月2日)。

東急不動産側は2010年5月29日付で、近隣住民向け文書「「(仮称)小日向プロジェクトII」新築工事 工事中断について」を配布した。また、2010年6月12日19時から文京区立アカデミー茗台にて説明会を開催した。東急不動産側は「建築確認が下りた物件を再チェックすることはない」と説明したという。耐震強度偽装事件で嫌というほど見せられたデベロッパーの無責任体質が、ここにも表れている(林田力「東急不動産の文京区小日向マンションが高さ違反」JanJanBlog 2010年6月29日)。

小日向プロジェクト
東急不動産らの近隣住民向け文書 (撮影:林田力、2010年6月1日)

林田力のコラム レクサスで東急トヨタが結び付き

トヨタ自動車は2010年7月1日、高級車「レクサス」などにエンジン部品の欠陥があると発表した。走行中にエンジンが停止する恐れがあるとする。このため、国内で9万台、海外で18万台、合計27万台を対象にリコール(回収・無償修理)を実施する。日本では7月5日にレクサスの「LS460」など8車種のリコールを国土交通省に届け出た。

トヨタは今回問題となった欠陥を約2年前に認識していた。しかし、「不具合の発生は稀」として、部品を切り替えるだけでリコールは実施しなかった。これは強い批判を浴びたプリウスのブレーキ欠陥と同じ展開である。このために企業体質に問題があると批判された。

トヨタの大量リコール問題は日米だけでなく、世界各国で関心を集めた。林田力「【オムニバス】トヨタ自動車の大量リコールとコスト削減」は韓国語に翻訳され、韓国の雑誌に掲載された(林田力「韓国誌がトヨタ自動車大規模リコール問題を紹介」PJニュース2010年4月21日)。

林田力が社会性を深めた契機は東急不動産だまし売り裁判であった。新築マンションだまし売りという不正を許さないという思いが出発点となった(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。林田力の記事の中で東急リバブルや東急不動産の問題を追及する記事が多くを占めていることは当然である。

これに対して、大量リコール問題には強い問題意識がある訳ではなかった。インターネット上で流布する無責任なトヨタ擁護コメントへの対抗という程度の問題意識であった。それでも追及していくうちに東急不動産だまし売り裁判との共通点を見出した。大量リコール問題は些末な技術論や感情的な日本叩きの被害妄想によって歪曲されがちであるが、本質的には消費者問題である。

東急不動産だまし売り裁判は東急不動産(販売代理:東急リバブル)が不利益事実(隣地建て替えなど)を隠して新築マンションをだまし売りしたことが問題であった。大量リコール問題はトヨタが欠陥を認識していながら、すぐにリコールすることなく、販売を続けたことが批判されている(林田力「【オムニバス】トヨタ自動車のリコール問題は、だまし売りが争点に」JANJAN 2010年3月19日)。

http://www.janjannews.jp/archives/2909239.html

このように両社の企業体質には「だまし売り」の点で共通性が存在する。しかも具体的な接点もある。東急不動産の文京区小日向の新築分譲マンション「ブランズタワー文京小日向」(計画名:小日向プロジェクトII)は近隣住民から反対運動を起こされていた。

東急不動産は「ブランズタワー文京小日向」建設地をトヨタ系列の販売会社レクサス小石川販売から隣接地の空中権付きで譲渡された購入したことを盾に、近隣よりもずば抜けて高い建物を建設しようとしているためである。反対住民は地元企業でありながら、東急不動産の景観破壊に手を貸す形となったレクサス小石川販売の企業姿勢も批判する。ここでは東急不動産とトヨタの問題が結びついている(林田力「林田力のコラム レクサスで東急トヨタが結び付き」JanJanBlog 2010年7月15日)。

迷惑隣人説明義務違反事件での東急リバブルの言い訳

東急リバブルは迷惑隣人を説明せずに一戸建てを仲介し、説明義務違反で敗訴した。記者は東急リバブル・東急不動産との新築マンション購入トラブルに際して、上記迷惑隣人説明義務違反事件に対する東急リバブル側の言い訳を聞くことができた。

迷惑隣人説明義務違反事件は東急リバブル逆瀬川営業所が仲介した兵庫県宝塚市内の2階建て住宅が舞台である。この住宅には大の子ども嫌いの隣人がいて、「子供の声がうるさい」と何回も怒鳴り、洗濯物に水を掛け、泥を投げるなどの迷惑行為を繰り返していた。

東急リバブル逆瀬川営業所は2002年に幼い子ども3人を含む5人家族の男性に上記住宅を仲介した。販売時には、東急リバブルも売主も隣人の迷惑行為(洗濯物に水やかけ、泥を投げたこと)や売り主が警察や自治会に相談していた事実を何ら知らせなかった。報告書には「隣人から騒音などによる苦情あり」とあったが、売主は「子供がうるさいと言われたことがあるが、今は特に問題ない」と説明した。同社担当者も訂正や追加説明をしなかった。

男性は東急リバブル担当者及び売主に対し、「同じ子供を持つ親として聞いておきたいのですが、近隣の環境に問題ありませんか」と質問した。売主は「全く問題ありません」と答え、東急リバブル担当者も同旨の回答をした。

男性が問題に気付いたのは契約後である。同年6月に家族らと引っ越しの下見に行った際、隣人が「あんたのガキ、うるさいんじゃ」「追い出したるからな。前の住人も追い出したったんや」などと大声を出された。加えて、ホースで水をかけられ、上半身や新居内を水浸しにするなどの嫌がらせを受けた。警察官を呼ぶ騒ぎとなり、男性は入居を断念した。

その後の男性側の調査により、歴代の売主は隣人とのトラブルが原因で家を売りに出していることが判明した。隣人の存在は居住者にとっては、それ程大きな不利益であった。また、東急リバブル担当者は2002年3月3日に購入希望者に内覧させたが、その際、隣人は「うるさい」と苦情を言い、購入の話が流れた。つまり、東急リバブルも迷惑隣人の存在を認識していた。

男性は2002年9月3日に売り主の前住人と東急リバブルに購入費と慰謝料など計約2800万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。原告は「売り主や仲介会社に近隣の環境や隣人について尋ねた際『全く問題ない』などと言われ、だまされた。こんな隣人がいる建物では平穏に生活できない」「宅地建物取引業法にある重要事項の告知義務違反に当たり、売買契約は無効」と主張する。

一審判決は「隣人のことは重要事項説明書に一部記載があり、説明を怠ったとまではいえない」と認定し、請求を棄却した(大阪地判平成15年10月15日金融・商事判例1223号24号)。これに対し、控訴審ではでは一審判決を破棄し、東急リバブル側に456万円の支払いを命じた(大阪高判平成16年12月2日判例時報1898号64頁)。

高裁判決は「重大な不利益をもたらすおそれがある事項を十分に説明しなかった」「東急リバブルの担当者は契約の際、隣人の苦情のせいで別の購入希望者との売買が流れたことを説明しなかった」「子供に対して苦情を言ったり洗濯物に水を掛けたりするなどの隣人の特異な行動を説明せず、男性に隣人との問題はないと誤信させた」と認定した。その上で東急リバブルが「重要な事項について、故意に事実を告げ」なかったとして、買い手に対する説明義務違反にあたると結論づけた(宅建業法47条)。

この高裁判決の言い渡された当時は、記者が東急不動産(販売代理:東急リバブル)から購入した新築マンションでも不利益事実不告知が発覚し、売買代金返還を要求していた(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。その交渉の中で記者は東急リバブルが企業体質として不利益事実を隠した問題物件のだまし売りをしている一例として、迷惑隣人説明義務違反事件を提示した。

これに対し、東急リバブルの住宅営業本部事業推進部契約管理課課長は2004年12月12日に東急リバブル渋谷センターで「買主は隣人をビデオカメラで撮影するようなことをしていた」と説明する。ここには東急リバブルの不誠実さが現れている。論点は東急リバブルが仲介時に説明義務を果たしたか、である。

買主が購入後に何をしようと、その前の仲介時に東急リバブルが果たす説明義務には影響がない。事実かどうかも分からない顧客である筈の買主の行動を非難するのは筋違いである。この言い訳によって記者は東急リバブル・東急不動産との契約関係解消の意思を強固にした。