東急田園都市線「時差Bizライナー」は開発優先の終焉

東急田園都市線「時差Bizライナー」は開発優先という東急の企業姿勢が曲がり角に来たことを印象付ける。「時差Bizライナー」は東急田園都市線の中央林間発東京メトロ半蔵門線直通押上行き臨時特急列車である。

停車駅は中央林間、長津田、あざみ野、溝の口、渋谷、半蔵門線内の各駅である。たまプラーザ駅も二子玉川駅も三軒茶屋駅も通過する。「たまプラーザ」は五島昇が命名した多摩田園都市計画の中心地であり、二子玉川は東急の再開発「二子玉川ライズ」のある場所であるが、どちらも通過する。自社の開発利益よりも定時性や速達性を優先することは公共交通機関として結構なことである。

実際、乗客のブログには二子玉川駅や三軒茶屋駅の通過を快適とする感想が寄せられた。「溝の口から先は渋谷までノンストップ。二子玉川も三軒茶屋も止まらない。快適すぎる……」(『あっきぃ日誌』「時差Bizライナーに乗って通勤してみた」2017年7月11日)

「時差Bizライナー」の停車駅については、Twitterでは主要駅を飛ばしていると皮肉られている。「停車駅がマニアックすぎて主要駅を飛ばしている件とか あれは仙台を発車してなぜか白石停まって福島、郡山通過して新白河停まって宇都宮通過するようなものだぞ」。しかし、「時差Bizライナー」の停車駅は他線との乗換駅であり、これも沿線開発利益よりも公共交通機関の本来任務を優先していると評価できる。

肝心の時差Bizライナーの効果であるが、Twitterには賛否両論ある。

「時差Bizライナーが話題ですが、私が乗っている時間帯の混雑具合は、昨日と変わりなかったことをご報告します」

「時差bizライナーって今日走ってたのか。チラチラ見ると、臨時便扱いみたい。それの影響で、少し混み方が軽かったのかしら?」

停車駅の少なさを評価する声がある。「車内の会話を聴いていると停車駅が少ないのは相当アピールが強いなと感じました。時差通勤で人の行動を変えるには空いているだけではダメで、速達化が必須だと思います。停車駅が少ないのは分かりやすいかなと」

一方で特急としての面白みがないとの声もある。「ほとんどの駅をスキップしてくれるのは、早くてありがたいけど、至って普通の電車。田園都市線にもロマンスカーがあれば楽しいのに」。

ホスピタリティの欠如は東急電鉄の体質である。東急電鉄は車両保存に熱心ではない鉄道会社として取り上げられている。東急電鉄は「スペースがない」(広報)との理由で、車両を車庫に保存しない(「ロマンスカーが危ない? 小田急で保存車両を一部廃棄」AERA 2017年7月17日増大号)。

もっとも今回の時差Bizライナーで全ての課題解決を期待することは過大である。もともと時差Bizライナーは2017年7月11日から21日までの平日の朝6時台に1本だけ運行する臨時列車である。渋谷6時43分着であり、渋谷が目的地であるとすると時差があり過ぎる。Twitterでは以下の皮肉もある。

「田園都市線の沿線は、わざわざ臨時特急・時差Bizライナーを運転して、早朝出勤を強要していることからも、お分かりの通り、極めて劣悪な環境で、不毛の地です。クオリティ・オブ・ライフが、著しく低いです。健康で文化的な最低限度の生活ができません」

一方で新たに特急を導入する場合は、先ず影響の少ない時間帯で試行するものである。そのように考えれば、「時差Bizライナー」は通常の通勤時間帯に特急が導入される第一歩になる。これは開発利益優先の東急のあり方の見直しにもなるものである。

東急田園都市線「時差Bizライナー」は都民ファーストか

東急田園都市線「時差Bizライナー」は都民ファーストか。東京都の施策「時差Biz」の一環である。ところが、「時差Bizライナー」は渋谷以外の都内の駅には停車しないため、世田谷区民はスルーされる。都民が乗らない「時差Bizライナー」は本末転倒の感がある。

「時差Biz」は小池百合子都知事の知事選の公約「満員電車ゼロ」を具体化する東京都の施策である。通勤ラッシュ回避のために、通勤時間をずらす働き方改革の一つである。東急電鉄もわざわざ東京都議会議員選挙期間中の2017年6月27日に発表した(東京急行電鉄株式会社「朝6時台の田園都市線臨時特急列車「時差Bizライナー」を運転し、複数企業と連携したクーポン配信で朝活を推進」2017年6月27日)。

それが都民を対象としていないならば、都民ファースト人気に便乗しただけの偽都民ファーストと酷評することもできる。都民ファーストではなく、神奈川県民ファーストと皮肉りたくなる。Twitterでも以下のように皮肉の呟きがなされた。

「小池都知事肝入りの政策「時差Biz」なのに,「時差Bizライナー」は渋谷まで都内全通過」

「田都の時差Bizライナー、都民ファーストの会だかどっかの施策の1つっぽいのに、都内の途中停車駅0なのじわる」

これに対して「時差Bizライナー」が都民ファーストになるとの見方もある。神奈川県民が特急に乗ることで、世田谷区民の乗車の混雑が緩和されるとの視点である。

ブログでは以下の指摘がある。「遠距離と近距離利用客の分離には効果があるように思えます」(『Chokopy's Train-Page』「田園都市線臨時特急 時差Bizライナー運転」2017年07月11日)

乗客を十把一絡げではなく、カテゴライズするようになったことは、砂利を詰め込むように乗客を詰め込んでいた東急電鉄の姿勢と比べれば評価できる。

東急田園都市線「時差Bizライナー」の不誠実

東急田園都市線「時差Bizライナー」は評価できる点もあるが、不誠実な点もある。東急電鉄のニュースリリースで「短い所要時間」と表現することは不誠実と指摘される。時差Bizライナーは急行よりも遅いためである。「時差Bizライナー」の中央林間から渋谷までの所要時間は39分。これに対して急行の標準所要時間は35分程度である。

「東急のニュースリリースには、「渋谷到着8時台の準急電車と比べて、長津田間〜渋谷駅間で約13分通勤時間を短縮し、オフピーク時間帯に短い所要時間で都心に向かうことができます」とあります。この表現は間違いではないものの、早朝時間帯とピーク時間帯の所要時間を比較して表示するのは、誠実とはいえません。なによりも、速さを求めるなら、後続の急行のほうが速いのです」(「東急田園都市線に「特急」が登場。途中停車駅は3駅のみ。期間限定「時差Bizライナー」は定着するか。」タビリス2017年6月28日)

このような不誠実さは、不利益事実を隠して新築分譲マンションをだまし売りした東急不動産消費者契約法違反訴訟と共通する(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。

東急の杜撰さは他にもある。時差Bizライナーを紹介する東急のウェブサイトの路線図では東にある渋谷を左、西にある中央林間を右に書く(「混雑緩和策「グッチョイモーニング」〜朝6時台の田園都市線臨時列車「時差Bizライナー」を運転します〜」2017年6月30日)。読み手には分かりにくい図である。

また、時差Bizライナーのシステム上の扱いも酷い。駅の案内表示では「回送」になっている。車両の行先表示は「ライナー」である。手抜き感が極まりない。

このような点から東急電鉄は本気で時差Bizに協力するつもりがないとの指摘がある。「東急電鉄としては今回急行より遅い特急を敢えて運行することにより、利用者が振るわなく効果がなかったとして潰したいのであろう」(「恐れていた!田園都市線の特急運行宣言! 東急田園都市線・東京メトロ東西線・東京メトロ半蔵門線臨時列車運転(2017年7月11日〜21日)」『ダイヤ改正情報サイト 鉄道ダイヤ研究会』2017年7月3日)

開発利益優先の立場からすると、たまプラーザ駅や二子玉川駅を通過する特急は面白くないだろう。潰したいと考えるかもしれない。その意味でも田園都市線の特急の議論が深まることは興味深い。

林田力

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