鳥越俊太郎の消費税島嶼部5%の面白さ

林田力

東京都知事選挙の鳥越俊太郎候補は2016年7月25日に伊豆大島などの島嶼部について輸送費などで物価が高いとし、「消費税を島嶼部は5%にするように国に働きかける」と主張した。この公約は実現性の面で批判されている。たとえば橋下徹氏はTwitterで「こんな演説を許していたらもう選挙は成り立たない。言った者勝ちになる。民進党は鳥越さんの公約を実現する覚悟があるのか」と批判する。

しかし、消費税の島嶼部5%案は考え方としては面白い。このような発想は、日本国の主権の及ぶところは全て統一的な法制度に属すべきという近代国民国家というフィクションを否定する力があるためである。過去に日本が「八紘一宇」のスローガンで侵略戦争を行ったように統一的集権的な発想は市民にとって危険である。ところが、戦後日本の左派左翼には意外と集権的統一的な近代国民国家というフィクションを信奉する傾向が強い。

例えば国家戦略特区への批判がある。解雇特区をブラック企業特区と批判する。ギャンブルを批判する立場からカジノ特区に反対する。これらは普遍性のある批判である。特区であろうとなかろうとブラック企業やカジノに反対する立場からの批判であり、そこにおいて一貫している。

ところが、特区批判の中には、通常とは別個の法体系が適用される場所を作ることへの嫌悪を背景にしていると感じられるものもある。このような発想は、近代国民国家が作られたフィクションであるということを理解していない。これが「八紘一宇」と言ってしまうような国家主義者の発想ならば理解できるが、左派左翼にあることは深刻である。特区批判が保守革新問わず、守旧派の反対論に見えてしまう要因である。

戦後の左派左翼に集権的統一的な近代国民国家ドグマに無批判な傾向がある背景として、通俗的な唯物史観の悪影響があると考える。近代国民国家を前近代と比べて進歩と見る進歩史観、発展史観の問題である。戦後日本のアカデミズムは長らくマルクス主義にどっぷり浸かる傾向があったが、歴史学の世界で唯物史観を克服するものとして注目されたものがアナール学派である。「アジール」という概念にロマンを感じた向きには、特区を作ること自体には拒否感はない。むしろ、ワクワクする気持ちさえある。逆にユニバーサルサービスなどの大義名分が制約となって、その地域でできることができなくなることに不合理さを感じている。

このように考えるならば、鳥越候補の消費税の島嶼部5%案には全国一律という古い国家主義を打破する新しさがある。鳥越候補は「介護離職」の正しい意味を知らなかったり、サイゼリヤを貶める発言をしたりと現役世代が離反する発言を繰り返している。世論調査では三位に後退したとされるが、逆に60代以上では首位という方に驚きを覚える。その中で消費税の島嶼部5%案には左翼教条主義にはない面白さがあると評価できる。

林田力

鳥越俊太郎さんを応援する市民センター発足集会

鳥越俊太郎さんを応援する市民センター発足集会が2016年7月18日、東京都千代田区の日本教育会館で開催された。この集会は鳥越俊太郎個人演説会も兼ねている。

鳥越俊太郎・東京都知事候補は「国政の話ばかりしていると言われるが、国政も都政もつながっている」と主張した。人の声に耳を傾けることが染み付いている。舛添要一問題は納税者意識が欠けていたから起きた。道路や橋よりも大事なものがある。命である。原発は徐々に減らしてゼロにしていきたい。非核都市宣言をしたい。生まれたことを誇りに思える東京にしたい。新しい東京を作ろうと訴えた。

舛添問題を枕にすることは定番である。何しろ都民の9割が辞職を妥当とした問題である。「舛添が問題という当たり前のことをわざわざ話すな」という意見もあるだろうが、左翼インテリは世の中を構造的に捉えようとして難しく考えるあまり、目の前の社会悪に怒る市民感覚と乖離することが少なくない。当たり前の悪いことを批判することが大事である。舛添問題と構造的に似ている「せこい」問題にはコーヒー豆やガソリン車の問題がある。襟を正す意味でも舛添問題の批判から入る点は妥当である。

「道路や橋よりも命が大事」との主張は、旧民主党の「コンクリートから人へ」を連想させる。旧民主党の「コンクリートから人へ」は中途半端に終わって国民を失望させたが、失望させたということは理念への期待があったためである。決して主張が間違っていた訳ではない。鳥越候補には理念の貫徹を期待したい。

四野党から挨拶があったが、美濃部都政と重ね合わせた期待が目立った。正直なところ、2014年の宇都宮選挙では革新共闘から一歩進んだところを志向していたため、先祖帰りした感がある。私は美濃部都政を知らない世代であるが、財政破綻という話を聞かされて育ったために否定的な印象が強い。

但し、美濃部都政を語る登壇者は希望を持って熱く語っており、彼らが評価する美濃部都政というものを勉強してみようと少しは思わせるものであった。また、美濃部都政の破綻期に生まれた私の世代よりも、もっと後の世代は美濃部都政の否定的評価も馴染みが薄く、逆に美濃部都政と重ね合わせた期待が新鮮なものに聞こえるかもしれない。

勿論、集会には単なる冷戦時代の左翼の懐古趣味ではない要素もあった。香山リカさんは東京が他の地域に比べて単身世帯が多くと指摘した上で、それは悪いことではないと述べた。それは個人が大切にされ、多様な生き方が尊重されていることの現れである。これに対して自民党憲法草案は家族を重視している。個人の生き方に口を出すようになるかもしれない。家族と同様に個人も大切にされる東京にしたいと述べた。

鎌田慧さんは「もっとも虐げられているものは女性と若者。その女性と若者の票をかっさらおうとしているのが小池候補。これは許しがたい」と述べた。私の肌感覚でも小池候補に勢いがあると感じている。どのように女性や若者に訴求させるかが課題であるが、問題意識を持っていることは期待できる。

片山かおる小金井市議は「具体的な活動提起」として「選挙が終わった後も都政に責任を持ち、関わるために地元の「鳥越俊太郎を応援する自治体議員の会」所属議員と繋がってください」と述べた。今回の候補一本化には野党共闘という大義名分を優先させ、都政の政策論が二の次になっていると批判される。その批判に対する一つの回答になるだろう。

林田力

林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』PV
林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』Facebook
林田力Twitter






林田力 東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った 東急不動産係長脅迫電話逮捕事件 二子玉川ライズ反対運動 東急リバブル広告 東急ストアTwitter炎上 東急ホテルズ食材偽装 東急ハンズ過労死 ブラック企業・ブラック士業 脱法ハーブにNO 東京都のゼロゼロ物件 住まいの貧困 東急不買運動 東急リバブル東急不動産不買運動 アマゾン ブログ ツカサネット新聞 リアルライブ 本が好き v林田力 家計簿 ワンピース 韓国 江東区 東陽町 世田谷区 写真 スレイマン 1ch 2ch 3ch Hayashida Riki hayariki tokyufubai amazon wiki wikipedia facebook