東京をプロデュース都知事選総括評

林田力

市民団体「東京をプロデュース」(東プロ)が2014年3月25日付で東京都知事選挙の総括文「2012年都知事選〜2014年都知事選の結果を受けての東プロ総括」を発表した。私は2014年東京都知事選挙に際して東プロに情報公開を注文した立場である。東プロが詳細な事実説明を含む総括文を公表したことを歓迎する。

2014年東京都知事選挙は宇都宮健児(宇都宮けんじ)候補と細川護煕(細川もりひろ)候補の一本化問題に揺れた。この問題は理性よりも感情に流れがちである。「何故俺に従わない」や「お前の言うことなど聞けるか」などの感情に翻弄される。東プロ総括は生産的な議論の一助になる。

東プロはメンバーが途中まで選対に参加するなど宇都宮健児(宇都宮けんじ)陣営に近い立場である。東プロ総括では希望のまち東京をつくる会の総括でも記載していない個々の会議の内容を記述している。それにもかかわらず、東プロ総括は宇都宮陣営に辛辣である。他方で細川陣営については「原発という命に関わる重大な問題において、かつては推進してきた側の細川氏と小泉氏が、注目の集まる都知事選という舞台で原発ゼロを発信した功績は大きい」と評価している(10頁)。

東プロ総括が宇都宮陣営に辛辣になった理由として所謂フライング論がある。東プロ総括では事実経過を詳細に記述している。ここでいう事実とは東プロが事実として書いているという意味である。それが事実であるかは別問題である。

たとえば東プロ総括には「対象者3名が推薦され、スケジュールの許す範囲で宇都宮氏とともに順次当たっていく」と宇都宮氏が候補者擁立活動に参加するように書かれている(5頁)。しかし、1.13東京連絡会世話人会が2014年1月2日に宇都宮氏に確認したところ、そのような認識はないとのことであった(東プロ総括6頁に記載している)。

また、2013年12月25日の出馬要請について手応えがあったように書かれている(5頁)。しかし、要請された当人は記者会見で出馬意思がなかったと否定している。

より重要な点はフライング論自体が無意味であることである。人にやさしい東京をつくる会も希望のまち東京をつくる会も宇都宮氏を後援する団体であり、他の人を擁立する動きをすること自体が組織目的に反する。これは私が聞き手として海賊党の番組で宇都宮氏本人から聞いている。もし他に候補者擁立を考えているグループがあるならば、そこに宇都宮氏を売り込みに行くならば別として、他の候補者のために宇都宮氏が出馬表明を遅らせることは成り立たない。

そもそもフライング論は筋違いであるが、それが生まれる齟齬も東プロ総括から理解できる。東プロのメンバーは宇都宮選対に参加したが、それについて「宇都宮選対に他から候補者調整の申し入れがあった場合、調整の議論に参加するために告示日前までは可能な限り選対会議に東プロメンバーとして参加した」と説明する(8頁)。これは宇都宮氏を当選させようと奮闘している人々からすると失礼な話になる。候補者調整を推進するために選対に参加したならば獅子身中の虫と見ることもできる。

また、東プロは内部の会議で宇都宮選対からの撤退を決め、メンバーが選対から抜けている(8頁)。これは個人としての参加を強調した希望のまち東京をつくる会の方針と反する。

このように東プロのスタンスには疑問があるが、辛辣な指摘には学ぶ意義がある。たとえば集会「民主主義社会に秘密保護法はいらない!」について、「会場を予約してしまった関係で12月1日に何か集会をしなくてはならなくなった。当時は喫緊の課題が特定秘密保護法案であったので「民主主義社会に秘密保護法はいらない!」というタイトルの集会を企画する」と説明する(4頁)。非常に辛辣である。

運動を続けることは正しいとしても、運動のための運動や集会開催が目的化した運動では自己満足に過ぎない。ここでは宇都宮氏が言及する韓国の市民運動・参与連帯に見習うべきである。参与連帯は地域に密着した課題、生活に密着した課題を継続的に取り組む。そのようなバックボーンがあることで、タイムリーなテーマに便乗する一過性の運動から脱皮できる。

特に今後において重要な点はシングルイシューとマルチイシューの議論である。東京都知事選挙での細川陣営と宇都宮陣営の対立はシングルイシューかマルチイシューかと整理されることが多い。東プロ総括も、この枠組みで論じている。

東プロ総括は「宇都宮選対の政策は、多岐にわたる問題に配慮した素晴らしいものであった」と評価する。一方で「作った政策のうち、限られた予算、限られた任期の中でどれだけ実現していくのか」「それ相応の年月をかけて議会で機関決定して進んできているものが、知事が変わったからといって一気に変わるものではない」と述べる。その上で「一番大切な政策の実現に絞って力を合わせ、確実に一つひとつ変革していくのか」と問題提起する(10頁)。

管見は東プロ総括の問題意識を共有する。東プロ総括は宇都宮氏の希望の政策を批判する文脈で書かれている。希望の政策に時間・予算・権限が有限であることを度外視しているものがあることは事実である。たとえば被災地がれき焼却の凍結を掲げるが、これは2014年度中に処理が完了する。2月に当選した知事が3月に完了する事業を凍結することが現実的であるか疑問がある。

希望の政策は素晴らしい政策をまとめており、各々の根拠も述べている。しかし、企業の事業計画のような具体性はない。それは弱いところであり、それが「革新都政が成立すれば経済がメチャクチャになる」という類の神話を増幅させてしまう。

一方で「一番大切な政策の実現に絞って力を合わせ、確実に一つひとつ変革していく」立場は細川流の脱原発至上主義を正当化しない。この立場に立つならば、脱原発は政策実現順位の最後尾になっても不思議ではない。原発こそ、それ相応の年月をかけて進んできているものである。都知事の限られた権限や任期の中で実現できるものではない。脱原発至上主義は「確実に一つひとつ変革していく」ことから最も遠ざかってしまう。

市民派統一候補と脱原発候補は別次元の問題である。それを一緒にするから混乱する。細川候補の敗北は異なるものを一緒にしたためである。これは細川氏本人にとっても不幸なことであった。細川陣営は脱原発至上主義を唱えていたが、市民派統一候補を名乗るつもりはなかった。小泉劇場が巻き起こす上昇気流による無党派層の支持獲得が戦略であった。

宇都宮陣営と一本化をしてしまったならば、党派色が付いてしまい、逆効果である。脱原発運動家が細川勝手連を名乗り、宇都宮陣営との一本化に躍起になればなるほど、細川陣営本体の戦略に逆行する。脱原発の細川勝手連が贔屓の引き倒しになった所以である。

今後の選挙でも市民派統一候補は重要な課題になるが、脱原発至上主義が入ると混乱を招く。脱原発で市民派統一候補という発想が躓きの石になる。



     
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