地域から民主主義をつくる

林田力

都民参加への模索連絡会(とも連)「シンポジウム 地域から民主主義をつくる − 市民派首長による市民自治の試み −保坂展人世田谷区長・阿部裕行多摩市長を囲んで」が2014年5月24日、東京都渋谷区の千駄ヶ谷区民会館で開催された。シンポジウムは太田光征・とも連世話人の以下の内容の開会挨拶で始まった。

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主催の都民参加への模索連絡会から、私、太田光征が会の紹介を兼ねて、ご挨拶を申し上げます。頭に都民、と付いていますが、都民を市民に変えては、という意見が内部であります。実際、私は千葉県松戸市在住ですが、都知事選にちょっかいを出させていただいた関係で、この会とご縁ができました。それから模索という表現にあるように、がっちりとした方針が具体的に既に決まっているわけでもありません。

この会自体は、12年の宇都宮選挙勝手連の連絡組織、1.13連絡会が母体となっています。ですけれども、特定の候補者を応援することが会の目的ではありません。特定の団体で構成されているわけでもありません。3.11以降、福島原発事故を契機に高まった市民運動の潮流をさらに発展させるために、あくまでも実践をベースにした交流会にしたいと思っています。

確かに、この会は選挙を意識していますが、何でもかでも選挙、権力ポストに還元しようというわけでもありません。選んで終わりでは、お任せ民主主義になってしまいます。この集会の準備の過程で、あまりに優秀なできた首長さんですと、市民自身の自治力が育たないのではないか、という問題意識も示されたところです。

思えば日本の民主主義の発展状況は異様です。最近でも、国が進めてきる動きですが、教育行政における首長権限の強化、道州制による中央集権化、特定秘密保護法、NSCや国家戦略特区における意思決定の独占、秘密協定のTPPにしても国民主権の上に企業主権を置くものですし、内閣人事局もお友達政治を進めるものだと思います。このように情報と権力の独占が一層進んで、民主主義は一向に発展しません。

それから1925年に男子普通選挙と抱き合わせで導入された高額選挙供託金制度もいまだに主権者ははねのけることができていません。普通選挙さえ勝ち取っていないわけです。福島原発事故を契機に市民運動の機運が高まったといっても、まだまだなわけです。確かに日本というのは物理的暴力で民主主義が殺されている状況ではありませんが、幾重もの真綿で民主主義の息の根が止められています。しかし、いつでもこれらを払いのける権利が認められているのに、それを行使しない。ここが非常に深刻です。

この点で日本と比べて鮮やかなのが、お隣、台湾の若者が国会の占拠で示した気迫です。同じ秘密貿易協定を抱えていながら、この違いです。日本の民主主義に足りないのは、この気迫ではないでしょうか。今回は首長お二人にご活躍を語っていただきますが、市民派首長が誕生しても、対議会などが問題になってきます。

結局のところ、民主主義をつかみ取るには市民個人の力量をいま以上に高める、というか発動させるしかない、と思います。台湾の若者のように。私も政治運動と民主主義のうねりをつくりだすために、なるべく日曜などは街頭で訴えるようにしています。明日もアルタ前で3時から仲間とやる予定です。

そういうわけで、以上、私の個人見解も交じっていますが、今日の集会はお任せ民主主義を推進するのではなくて、市民と市民の双方向、市民と首長の双方向の民主主義運動を進めるために、市民派首長のお話を聞いて、今後の実践につなげていきたい、そういう趣旨です。それから都民参加への模索連絡会、略称「ともれん」のお披露目も兼ねています。どうぞよろしくお願いします。

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次は保坂世田谷区長の講演である。自治体の現場からエネルギーシフトをしていきたい。省エネ発電所という発想で区役所の電気使用を3割カットした。クールシェアも推進した。各家庭のエアコンを消して公共施設や地域の店舗など涼しい場所を皆でシェアする。

神奈川県三浦市の区有地に太陽光発電所を設置した。民間企業にリースして建設した。売電によって年間400万円の利益を見込む。世田谷区は23区で初めて入札で電力を購入した。経済産業省から激励の電話を受けた。経済産業省は新電力の宣伝を望んでいたとのことである。今年度は約1億円の経費を削減できる見込みである。自分達も電力会社を選びたいという区民の声が出ている。小口の小売自由化の制度設計など国と話し合っている。

歩いていける場所に福祉の相談場所を展開する。地域の福祉のネットワークを作っていく。梅ヶ丘病院跡地に保健医療福祉サービス拠点を整備する。

空き家活用にも取り組む。もともと世田谷区には地域共生の家とふれあいの家という制度が前から存在するが、都市整備系と福祉系で担当が縦割りになっている。マッチングを進めている。若者支援にも取り組む。三軒茶屋にハローワークの端末を入れた。役所っぽくない内装にした。渋谷のハローワークが空いてきたと言われる。

質問「まだできていないことはあるか」

保坂区長「保育はまだまだ問題を抱えている。場所が足りない。総力をあげてやっている。福祉の窓口を作ることも『言うは易し』である」

質問「区長として、どこまでできるものか」

保坂区長「制度的な限界はあるが、できることを本当にやっているのかと言われればまだまだやっていない。横並び意識が役所にはある。特別区は歴史的使命を果たした。そこに取り組みたい」

質問「外環道について意見を聞きたい」

保坂区長「工事着工に際して国に7項目の条件を付して区の土地を貸した。今は住民の意見を聞いて要望を国に伝えている」

続いて阿部多摩市長の講演である。久しぶりに原宿を歩いた。若者が多い。これが自治体の課題である。どこも若者が減少して困っている。多摩市は人口約15万人である。多摩ニュータウンはベッドタウンで産業の拠点ではない。団地の建て替えは難しい。市民の力で法制度を変えていった。建て替えに10年以上かかった。

日本社会は右肩上がりを前提にしてきた。住宅ローンは刷り込まれている。サラリーマンは住宅ローンを払わされるために働いているわけではない。住宅問題だけでも1時間は話すことができる。多摩ニュータウンは道路が広く、公園も広い。住民にサラリーマンが多い。一人当たりの緑地は広いが、その分、維持コストもかかる。

公共施設で太陽光発電の屋根貸しをしている。マンションでは管理組合の合意がハードルになる。多摩市が事例を示すことで合意を得やすくする。

私は呼ばれれば挨拶する。それが選挙では大事である。脱原発や非核平和、公契約条例を進めた。それでも自由民主党からも支持されている。

田中一郎・とも連世話人「オンブズマン制度の苦労について」

阿部市長「総合オンブズマン制度を誇りに思っている。たとえば自治体施設を特定の団体が常に借りており、個人が利用できないという既得権益などが持ち込まれる。市民が主権在民を意識できる制度になっている」

田中「私の住む北区では街路樹が過剰剪定によって電信柱のようになっている。緑のルネッサンスについて聞きたい」

阿部市長「地域のことは地域で決める。特定の市会議員だけにお任せしない。愛でる緑から関わる緑へ。時間がかかって大変であるが、市民自治を強めることになる」

質問「スピードと対話の兼ね合いをどう考えるか」

阿部市長「徹底的に対話する。人口減少で公共施設の維持管理が問題になる。公共施設の見直しに職員団体は反対である。丁寧に議論する必要がある。反対署名運動をしていた人々が応援してくれた。国に対して物を言う必要もある。その際は与党代議士と対話する。全方位でやっている。スピードと対話は両方とも大切である」

質問「議会と首長の関係について」

阿部市長「自治基本条例を自治体で作っていくべきである。市民の自治意識が問われる。市職員や市議や市民がきちんと自治基本条例を理解しているかは残念ながらできていない。制度としてパブコメを行うが、市職員にはお墨付きをもらうだけというような感覚がある」

質問「都営住宅の期限つき入居について。保坂区長が議員時代に批判したことには感謝している。東京都は都営住宅を増やしていない。都営住宅の入居条件が厳しく、貧困者ばかりになっている。そこにヤクザみたいな居住者がいると、都営住宅の住民が貧困ビジネスのカモになっている。地域の貧困家庭の住宅に目配りをしていただけないか」

保坂区長「東京都の住宅局がしていることに『ああしろ、こうしろ』とは言いにくい。区は空き家の活用を進めている」

阿部市長「多摩市にも古い都営住宅があり、おっしゃるようなことが起きている。今のままで多摩市にできることはほとんどない。都営住宅は東京都の問題である。ソフトの面だけ問題を見ることはできない」

保坂区長「福祉の原点は住宅制度である。福祉の観点で住宅制度を考えていきたい」

質問「日の丸について。配布資料の保坂区長の区長室に日の丸が掲げられている。見解を聞きたい」

保坂区長「前区長のスタイルが続いている。多様性や人権を重視してまちづくりを進める。全体の中の部分を変えていく」

阿部市長「議論することもしていない。声高に言っていない。日の丸のある場所では敬意を評する。学校現場の問題は懸念している」

質問「憲法擁護尊重義務の誓約書を公務員が書くことはあるか」

保坂区長「選挙で選ばれた議員や区長にはないが、職員はある」

質問「道路建設計画について」

保坂区長「下北沢で問題があるが、利害の交錯しない部分から検討した。道路整備は全体としては必要であるが、住民個々には個別具体的な問題があり、丁寧な手法が求められる」

多摩市長「どうしていくか。渋滞が起きているという問題がある。住民が反対することは当然と考える。人口減少社会を真摯に受け止めた上で街づくりする。道路建設にどれくらいかかるかを明らかにして市民が判断しなければならない」

最後に和田悠・とも連世話人から「地域で対話を深めていきたい」とまとめた。また、7月12日13日に湯河原温泉で夏季討論合宿を開催するとアナウンスした。テーマは「統一候補を見据えた市民派選挙の模索」である。


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