東京都知事選挙出馬フライング論再批判

2014年東京都知事選挙の出馬フライング論について改めて論じる。「希望のまち東京をつくる会」内部で出馬表明をしないと決めたことを理由とするフライング論が成り立たないことは既に述べた。新たな論点として、2013年12月28日の出馬表明が反安倍政権・反自民・反ファシズムで結束しようとしている人々の闘いを分裂させたとの主張がある。

この主張も以下の三つの理由から成り立たない。第一に反安倍政権を掲げた候補者は宇都宮健児氏しかいなかった。希望のまち東京をつくる会の都知事選ふりかえり集会において中山武敏・選対本部長は挨拶で「宇都宮候補だけが安倍政権の暴走ストップを掲げた」と述べた。この認識は私も同じである。

私も参加した1.13東京連絡会総括でも「宇都宮候補は安倍政権と石原・猪瀬都政の転換を図る位置にあった。細川候補は反原発で宇都宮候補と政策を一致させられる可能性があったかもしれないが、安倍政権と対峙し石原・猪瀬都政を転換する政策を示し得たかは、不確かである。」と述べた(7頁)。「不確かである」は控えめな表現である。私個人は細川護煕候補の福祉政策は舛添要一候補以下と主張したこともある。

それ故に宇都宮氏の出馬は反安倍政権で結束しようとしている人々を分裂させることにはならない。脱原発の細川支持者は主観的には反安倍政権の思いが強い人々が多かったことは否定しない。私よりも遥かに「このまま安倍政権が続けば真っ暗になる」という危機意識が強かった。その種のカルト的な終末論自体が忌避の対象になる。

より重要な点は実際の政策を見る限り、反安倍政権を根拠に細川氏を支持することは誤りということである。それで分裂するならば望むところとなる。

第二に反安倍政権・反自民・反ファシズムの結束自体が究極目標ではない。安倍政権・自民党の政策でも良いものは評価し、時には協力して多数派を形成する。これは特に地方自治に求められる。人民戦線や統一戦線という言葉に魅力を感じる人々もいるが、その表現自体がイデオロギー色濃厚かつ前時代的で、既得権にしがみつく古い時代の政治運動とのイメージを与える。

第三に分裂自体が悪いことかという問題がある。運動は拡大しなければならない。現在の支持層を基礎にして一回り二回りと拡大していくことが理想である。しかし、往々にして、そのようにはなりにくい。発展している運動もプラス・マイナスがあり、差し引きすればプラスが多いという形になりやすい。これは正に2014年宇都宮票の伸びの説明になる。2014年宇都宮支持者の伸びから説明するならば、意味ある分裂であったと総括することもできる。

今回の分裂を深刻に受け止める向きがある要因は、日本の市民派の伝統的主流派とも言うべき旧社会党・民主党系の流れが宇都宮支持と細川支持で分裂したことにある。この点で過去の浅野・吉田選挙とは似て非なるものである。これは旧社会党・民主党の流れと、共産党系という異なる層が別々の候補者に分かれただけである。それ故に分裂の痛みはなかった。今回は苦しんだものと想像できるが、それは内部の問題である。その結束を優先して明確な政策を持つ候補者を辞退させることは市民にとって損失である。そのようなものに振り回されるよりは、分裂の方が歓迎できる。


東京都知事選挙出馬不意打ち論

林田力

2014年東京都知事選挙では出馬表明フライング論が出たが、論者の主張を吟味すると、むしろ「不意打ち論」と称した方が相応しいように考える。フライングという命名によって損している。フライング批判に対しては「フライングは存在しない」と応答することになる。出馬希望者が候補者調整という役回りを負わなければならない筋合いはない。

もし問題の本質がフライングであるとしたら、出馬表明を後にすれば問題ないことになる。現実に年明けに出馬表明すれば団結できたとの見解もある。しかし、それは根底にある、より幅広い支持が得られる候補者という問題意識を隠してしまう。こちらの方が今後の候補者擁立で検討されるべき重たい問題である。

他候補擁立で動いていた人々にとって、出馬表明しないと思っていた人が出馬表明したために、出馬表明を不意打ちと受け止め、わだかまりを抱いたということは理解できる。

宇都宮健児氏の出馬表明は他候補の出馬を妨げるものではない。それにもかかわらず、出馬表明を裏切りのように受け止める声が出る理由は、他候補擁立グループが「あなたが出馬表明すれば、宇都宮氏も支持する」という形で説得していたためである。それが騙りではなく、根拠のあるものならば出馬表明が不意打ちになったと言うことはできる。

管見は出馬表明を支持する立場である。批判者が自覚的にフライングという表現を使用するならば、それを尊重すべきであり、「フライングではなく、不意打ちではないか」と言ったところで仕方がないが、不意打ちの方が理解しやすい。

フライングは絶対的客観的なルールである。もしフライングがあったならば、万人にとってフライングになる。実際は早くから出馬を期待していた人々、出馬表明を歓迎した人々、出馬表明が遅すぎたと主張する人々がいる。故にフライングであることを納得させることは無理である。不意打ちならば、ある人々にとっては不意打ちであったと認めることは可能である。

私は候補者擁立で動いていた人から2013年12月25日が他候補擁立の締め切りと聞いていたために、28日の出馬表明は予定調和であった。東部勝手連有志は26日に宇都宮健児氏出馬を期待する表明をしている。速やかに出馬表明することが選挙戦を進める上で必要との問題意識があった。

一方で事後的に情報を整理すると、他候補擁立のグループは25日に説得相手に初めて会っている。事前に十分に根回しした上での儀礼的会見でもない。最短で25日に決まるという楽観論から、とりあえずの締め切りという感覚であったように感じる。そこは25日を言葉通りのデッドラインと受け止め、それを過ぎたら、青い鳥探しから選挙戦に切り替える立場とはギャップがあった。

そのギャップは結局のところ、何が何でも幅広い支持を得られる別の候補者を擁立したいという思いの強弱に帰着する。候補者に知名度を求める有名人主義は宇都宮氏が当初から反論している。政策勝負で幅広い支持を得ることも細川護煕候補を上回ることで結果を出した。

東京都知事選挙と幅広い支持

2014年東京都知事選挙は幅広い支持を得るという課題を改めて突きつけた。一般に宇都宮健児支持層は「孤立を怖れず前進を」のゴーイングマイウェイ路線で、細川護煕支持層は妥協を恐れず、広汎な連携を志向したと整理される傾向にある。確かに宇都宮支持層の中に孤立路線がないとは言わない。その限りでは宇都宮支持層も幅広い支持を得るという問題意識を受け止めるべきである。

幅広い支持を得るための左派のオーソドックスな戦略は、自分達よりも少し右寄りの人々と連携することであった。これを右隣への支持拡大戦略と名付ける。これは細川支持の論理にもなった。この戦略は一見すると合理的に見えるが、経験的に見て成功確率は低い。この戦略の問題点は、政策の重心もシフトしてしまう反作用があることである。細川陣営の脱原発至上主義は、その最も悪い形である。

右隣への支持拡大戦略を採る人々からすると、宇都宮支持層は独善的な孤立主義に映り、批判したくなる。しかし、宇都宮選挙では右隣への支持拡大戦略では考えられないような支持を得ることができた。宇都宮氏か田母神俊雄氏かで迷ったという人々である。右隣ではなく、何段も飛び越えた人々に訴求した。これは画期的なことである。この成果が今回限りでは勿体ない。

これは2012年宇都宮選挙の革新共闘や細川支持者が求めた人民戦線路線では支持を得にくい。たとえば市民派の結集軸として護憲の声が強いが、戦後日本社会で割を食っている人々にとっては護憲運動も既得権益擁護の運動との見方が成り立つ。そのような人々には護憲ではなく、「働きやすく、くらしやすい希望のまち」を前面に出したから訴求した。

公約の第一番に「働きやすく、くらしやすい希望のまち東京をつくります」を掲げ、ブラック企業規制や反貧困など本気の取り組みを示したから支持された。その人々の生活を守るという断固とした姿勢が、日本を守ると主張する田母神候補に魅力を感じた人々にも支持された。

幅広い支持という問題意識に立つならば、このような人々の支持を継続的に得ていくことが最重要の課題になる。


     
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