「オール沖縄」の内実、沖縄の運動の現在

林田力

「アベ政治に代わる政治の模索:行動しつつ考える市民の連続講座」が第4回連続講座「「オール沖縄」の内実、沖縄の運動の現在」を2016年2月21日(日)午後4時30分から東京都江東区東陽の希望のまち東京in東部事務所で開催する。

連続講座は「くらしにデモクラシーを!板橋ネットワーク」と「希望のまち東京in東部」が主催する。今回の話題提供者は大野光明さんである。大野さんは1979年生まれの沖縄研究者である。沖縄問題を取り上げる勉強会は各地で開催されているが、新鮮な視点が期待できそうである。

大野さんは新聞の寄稿記事で「冷戦の崩壊とともに「戦後レジーム」の矛盾や問題が顕在化した」と述べている(「「国家とは」根源的な問い」琉球新報2015年10月21日)。その上で「「戦後レジーム」の揺らぎの過程は、変革に向けた始まりでもありえた」と戦後レジームの動揺が良い方向への変革の第一歩と期待する。さらに「その予感のなかで、「戦後レジーム」の根幹たる日米安保と沖縄への基地・軍隊の集中を批判する声は広がっていった」と反基地運動を戦後レジーム打破の声として位置付けている。

これはステレオタイプな右翼・左翼の論点からすると新鮮である。ステレオタイプな論点からすると、安倍首相が「戦後レジームの打破」を掲げ、従前の平和国家体制を変革しようとし、それに反対する左翼側が戦後レジームの擁護者のようになっている。戦後レジームを壊すことが良い方向に変革につながり、戦後レジームの根幹だから日米安保や米軍基地を批判するという見方とは逆である。

大野さんの見方は私の発想に近い。突飛な考えではなく、人格形成期にソ連崩壊という世界史上の大事件を経験した世代には自然な感覚である。経済至上主義や特殊日本的集団主義などの戦後レジームには問題があり、その打破に価値を見出す。だから「戦後レジームの打破」を掲げる安倍首相が一定の支持を得るし、安倍政権に問題を感じたとしても戦後レジームへの固執しか感じられない左翼は選択肢になりにくい。

戦後レジーム打破と反基地運動を重ねる視点は連続講座の以下の問題意識にマッチする。「アベ政治」を容認している層がまだまだ分厚く存在し、市民の側が政策的視点を持ったより説得力のある現状批判の運動を展開させなければ、それを乗り越えることができないのではないか」



戦後レジームの一つの問題は経済成長優先、開発優先の土建国家である。大野さんは寄稿記事で以下の知人の言葉を引用している。「経済成長はたくさんのコンクリートのごみをつくった。別の経済をつくらなければいけない」。端的な土建国家批判である。それならば聞いてみたいことがある。

オール沖縄が保守・県内財界も含めて団結した背景には、米軍基地とするよりも民間で開発した方が経済成長するという動機がある。たとえば島洋子・琉球新報東京支社報道部長は、希望のまち東京をつくる会「「闘う民意に学ぶ」辺野古・東京 平和と地方自治」(2016年2月6日)において、高層ビルが林立する米軍基地返還跡地の写真を提示して力説していた。

「米軍基地がなければ沖縄は経済的に成り立たない」という神話が流布されている限り、このような主張は必要なものである。しかし、高層ビルが林立する開発優先の街並みが良いものなのかという点は問われる。確かに戦後の本土は軍事を意識せず経済成長に注力したために経済発展した。その間、沖縄は米軍基地に苦しめられてきたが、戦後日本の経済成長優先を真似したいだけなのか。

それは「ジュゴンを守れ」という立場とは大きく異なる。既に那覇新都心(おもろまち)の高層マンションやホテルの建設計画に対しては住民反対運動が起きた(林田力「オリックス沖縄利権記事に見る市民メディア的側面」PJニュース 2010年7月1日)。矛盾は米軍基地だけでなく、開発優先の土建国家にもある。



戦後レジームを守るだけという既存の左翼的な発想と異なる点は、連続講座第2回「戦争と女性―描かれる/描いた女性たち」の話題提供者の吉良智子さんも同じである。吉良さんは大野さんと同世代の研究者である。既存の左翼的な発想では戦時中を暗黒時代とし、戦争協力を否定する。これに対して吉良さんは戦時中の女性画家の戦争画が彼女達の自己実現になっていたという側面を明らかにした。

人格形成期にソ連崩壊という大事件を経験した世代が五五年体制の問題意識を単純に継承することはあり得ない。五五年体制の革新側に対しても批判精神や問題意識を有している。だから五五年体制の問題意識のまま、ソ連崩壊後の変化を直視せず、「失われた云十年」と否定的評価しかしない左翼教条主義は選択肢にならない。

大野さんや吉良さんは自分の言葉、自分の問題意識で論じている。だから新鮮であるし、面白い。彼らのような存在が話し手に登場することが「行動しつつ考える市民の連続講座」の大きな特徴になるのではないか。市民運動の勉強会では、まだまだ彼らのような存在が話し手になることは少ない。それが同世代にとって市民運動を縁遠いものにしている一因である。

どこでも運動を広げること、関心を広げることが課題として認識されている。連続講座は課題解決の一つの試みになるのではないか。



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