新自由主義思想の評価

林田力

市民派の統一を考えた場合に新自由主義思想をどのように位置づけるかは検討すべき課題である。既存の左翼は新自由主義を敵視する傾向にある。反新自由主義を結集軸にしようという考え方さえ存在する。しかし、それは幅広い結集の障害になる。管見は思想としての新自由主義に価値を見出す。

最初に新自由主義思想について明確にする。古典的な自由主義は市場に委ねれば「神の見えざる手」によって最適化するとの楽観論に基いていた。しかし、実際は市場に放任するだけでは貧困と格差が深刻化し、悲惨な状況に陥る。そこでマルクスやケインズが登場する。ところが、政府の役割を大きくすると、今度は政府の腐敗や硬直性が問題になる。具体的には天下りや公共事業による税金の無駄遣いなどである。そのために新自由主義が脚光を浴びる。

古典的な自由主義と新自由主義は市場重視という結論は重なるが、問題意識は正反対である。古典的な自由主義が市場に任せれば好ましい結果になるという楽観論に立つ。これに対して新自由主義は政府に委ねれば悪い結果になるという悲観論に立つ。その悲観論は公務員が民間の市場参加者よりも優秀で最適な経済政策を執行できるというエリート論の否定である。さらには人間理性の限界への自覚である。

この新自由主義思想の立場では、一般に新自由主義と位置づけられているものが、新自由主義の立場から批判できる。「構造改革なくして景気回復なし」やトリクルダウンセオリー(富裕層を富ませれば貧困層にもおこぼれが回ってくるという理論)は、楽観論の点で新自由主義よりも古典的な自由主義的である。特にトリクルダウンセオリーは意図的に富裕層を富ませようとする点で、バラマキと変わらない。

また、現実の新自由主義者とされる政治家の大半は軍事力重視の国権主義者である。これは新自由主義思想の権力を動かす人間理性に対する悲観論からは違和感がある。さらに新自由主義を進める側が発展途上国などでは権力・暴力を背景にした剥き出しの搾取を進めることも、都合のよい局面だけ市場を持ち出す御都合主義批判を免れない。

現実に郵政民営化そのものは新自由主義思想と合致するが、民営化の過程で一時的に官僚の指導力が強まり、そこで「かんぽの宿」問題のような利権バラマキが起きた。たとえば東急リバブルが郵政関連施設を評価額1000円で取得し、4900万円で転売した。新自由主義を隠れ蓑にした国家利権資本主義である。

このようなものを純粋な新自由主義思想と区別するために、市場原理主義という表現を用いることは一つの考えである。但し、この市場原理主義勢力は詐欺的商法を被害者の自己責任論で正当化し、ブラック企業や貧困ビジネスなど剥き出しの搾取を進めるなど市場原理にさえ基づいていない。実態は金儲け優先主義に過ぎない。

この市場原理主義への批判は妥当なものが多いが、それらを新自由主義思想に向けると議論がかみ合わなくなる。新自由主義思想そのものは強力な反権力の論理を持っている。人間理性の限界を説く新自由主義は、巨大科学技術の限界を説く脱原発の思想とも親和性を持つことができる。

民主党の政権獲得と失墜も新自由主義思想から説明できる。民主党は「官僚主導から政治主導へ」「コンクリートから人へ」で圧倒的な支持を得た。この点において民主党は少なくともスローガンの上では革新政党よりも鋭かった。革新政党は官僚政治や公共事業偏重の枠内で庶民寄り政治を求める傾向があった。それ故に革新政党を埋没させる形で民主党に支持が集まった。そして政権獲得後に「官僚主導から政治主導へ」「コンクリートから人へ」を進めているように見えなかったために民主党は失墜した。

マルクス主義を学び、実務はケインズ主義と折り合いをつけてきた人々にとって新自由主義は異質であり、拒否反応が強いであろうことは想像できる。一方で、そのマルクス主義・ケインズ主義が戦後日本の官僚主導や公共事業偏重を支えてきた面もあり、その脱却を求める人々からすれば革新も既得権益擁護者に映ることになる。

言うまでもなく、新自由主義思想も万能ではない。人間理性の限界から政府の失敗を必然視する思想は冷徹な現実認識に裏打ちされたものである。しかし、それだけでは社会問題は解決しない。貧困などに何もしないという結論になってしまう。火事が怖いという理由で火を使わない訳にはいかない。政府の積極的な役割が求められる局面もある。

一方で「火事が怖いという理由で火を使わない訳にはいかない」との論理で正当化するならば、秘密保護法や集団的自衛権も弊害があるということでは反論にならなくなる。「火事が怖いという理由で火を使わない訳にはいかない」との理由から秘密保護法や集団的自衛権を正当化できないならば、同じ理由で政府の市場への介入も無制限に正当化できない。

要はバランスである。貧困問題などの解決に政府の積極的な役割が求められることは確かである。それでも無制限に政府の役割を求めるのではなく、新自由主義思想の立場からも合意できるものか検討することが大切である。それが幅広い支持を集めることになる。



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