細川護熙の都知事選出馬でブラック企業を争点に

細川護熙元首相の出馬表明で東京都知事選挙(1月23日告示、2月9日投開票)はブラック企業問題を争点とする意義が一層高まった。細川護熙氏は佐川急便から1億円を借り入れていた問題を追求され、首相を退陣した過去がある。猪瀬直樹都知事が5000万円の借り入れで辞任を余儀なくされた後の都知事として相応しいか議論がある。実際、みんなの党の渡辺喜美代表は「もらったのか、借りたのかはっきりしないまま(首相を)辞めた」と批判した(「みんな・渡辺氏「細川元首相に佐川資金問題ただす」」産経新聞2014年1月12日)。

佐川急便事件は政治と金だけの問題ではない。佐川急便は古くからブラック企業として知られている。ブラック企業という言葉が生まれる前から悪名高い企業であった。ブラック企業の代表格であるワタミの渡辺美樹氏は佐川急便のセールスドライバーであった。佐川急便のブラック企業体質が後のブラック企業経営者の人格形成に影響を及ぼしたという分析もある。その佐川急便が存続・成長した背景には巨額の政治献金があったと指摘される。

「佐川急便が労働法違反を繰り返しても罪にとわれず、配送区域も次々に認可を受けてスピーディに全国展開していた裏には、このような形で自民党議員へ多額の資金提供をおこなっていたから」(新田龍「佐川急便はブラックor優良?手厚い福利厚生&待遇、体育会系ハードワーク…」ビジネスジャーナル2013年4月28日)。

東京都知事選挙は、ブラック企業から献金を受けてブラック企業が活動しやすい都政にするか、ブラック企業と闘う都政にするかの問題である。細川護熙氏が市民派にとって次善の候補者になるかも疑問である。貧困と格差の拡大した20年の間に政治の現場から離れていた人物が貧困問題に取り組めるか。果たして貧困ビジネス(ゼロゼロ物件、脱法ハウスなど)やブラック企業について認識があるか。次善を選択しなければならないならば、まだ舛添要一氏の方が庶民感覚に近いという考えも成り立つ。

細川護煕支持と反共意識

2014年東京都知事選挙では格差社会やTPPに批判的な人々が細川護煕氏を支持するという奇妙な現象が見られた。細川氏に流れた人々からも細川氏を支持する積極的な理由は見出しにくい。「勝てる候補」という以上のものはない。「候補者の適格性では宇都宮けんじ氏が勝る」と語る細川支持者さえ存在する。脱原発で細川氏に流れた人々の多くは、TPPにも反対し、秘密保護法にも反対する。細川支持者の主義主張と、細川氏の政治スタンスのギャップは大きい。

細川氏に流れる深層心理を説明するならば日本共産党嫌いという側面がある。もともと共産党は嫌いで、可能ならば共産党と一緒に活動したくないと思っている。共産党と一緒にやらずに済む可能性があれば飛びつくというものである。

細川に流れた層は一本化による勝利戦略を語るが、共産票が細川氏に乗らないことは目に見えている。結局のところ、その一本化とは共産党を外した一本化である。本当に細川氏で勝てるのか、細川氏が勝ったとして脱原発が実現できるのか、他の政治課題はどうするのか等々、細川支持への疑問は尽きない。そこに共産党嫌いという説明を付すならば腑に落ちる。流れる先が非自民非共産で連立政権を樹立した細川氏という点は因縁である。

どうしても安倍晋三首相をギャフンと言わせたいし、共産党もギャフンと言わせたい。2013年の東京都議会議員選挙や参議院議員選挙では市民派の中で共産党が一人勝ちした。しかもブラック企業批判によって従来型の左翼では手が届かない層の支持も得た。そのために非共産市民派の共産党への感情にも複雑なものがある。

私も日本共産党嫌いの心情は理解できる。私の原点は東急不動産消費者契約法違反訴訟(東急不動産だまし売り裁判)というニッチな闘いである。そのような闘いに共産党は助けにならず、むしろ冷たかった。このような個人的経験は市民運動界隈では決して珍しくない。

共産党の限界を語ることは可能である。「労働者や中小企業経営者を支持基盤とするために生産者対消費者では最後には生産者寄りになる」「組織化された集団が被る問題には敏感でも、個人の個別的な問題には関心が及ばない」などと考えている。

それでも「東急不動産だまし売り裁判のような問題に寄り添える可能性のある政治勢力はどこか」との問いに共産党以外に挙げられるところが少ないことも事実である。ブラック企業批判など未組織の市民の声に応える共産党の可能性は大きい。共産党嫌いから細川氏に流れることは、世代間不公平を認識しないシニア世代の左翼への反発からネット右翼になる若年層と類似する。

細川護煕流脱原発至上主義の危険

2014年東京都知事選挙で細川護煕氏を支持することは、様々な生活課題・都政課題に取り組んできた市民派にとって論外である。細川護煕氏への一本化(宇都宮氏への出馬辞退)は論外である。細川護熙氏や支持者の論調は原発以外の政治課題を否定している。

細川氏は「原発は都民の生命と財産に関わる。大きな事故が起きれば、憲法やTPP(環太平洋経済連携協定)などもみんな吹き飛ぶ。最優先にならざるを得ない」と発言する。細川氏支持者が宇都宮氏を否定する理由は「宇都宮氏は、脱原発を政策としているが、他の政策と並列させており、優先度が低いと考えます」である。しかし、脱原発だけが東京都知事選挙の争点ではない。争点を脱原発に限定することは様々な市民運動や住民運動の否定である。

また、細川氏や細川氏を支持する小泉純一郎氏は「原発以外は、どなたが知事になっても変わらない」と主張する。これは様々政治課題における対立を無視した暴論である。

脱原発のみを争点とすることは都民感覚にも反する。「東京都は東京電力の大株主であり、またエネルギーの消費地でもある。原発政策それだけで新しい知事を選ぶのには抵抗はあるが、争点の1つとするのであれば一定の理解はできる。ただ、他の政策も含めて投票先を選びたい、という解釈が最も近そうだ」(張勇祥「都知事選の争点、原発より防災・五輪」日経ビジネスオンライン2014年1月27日)

細川支持者には東京都知事選挙を保坂展人氏が当選した世田谷区区長選挙に重ね合わせる声もある。しかし、保坂氏は脱原発だけを語っていた訳ではない。「大型開発優先区政からの転換」など区民生活に即した公約にも力を入れていた。争点を脱原発に限定する細川氏とは異なる。

この脱原発至上主義も一つの偏狭なイデオロギーであり、ファシズムである。これが通るならば反貧困運動も開発反対の住民運動も脱原発運動の下請けにさせられてしまう。この脱原発至上主義は、偏狭なイデオロギーの押し付けという点で澤藤統一郎流の革新共闘への結集と同じである。澤藤流の革新共闘論にとって細川氏は候補者として論外の筈であるが、澤藤批判は細川支持者に援用されている。偏狭なイデオロギーの押し付けという点で相通じるものがある。

そして放射脳と通じるような脱原発至上主義者が細川陣営に流れたことで、宇都宮氏の信頼感・安心感が高まったという側面もある。「脱原発だけが都知事選の争点ではない」という点では保守陣営ともエールを交換することができた。これは前回の都知事選挙で猪瀬氏に投票した人へのアプローチとしても有益であった。

脱原発至上主義を否定する立場から細川氏は論外になる。細川氏が次善の候補者になるかも疑わしい。舛添要一氏の問題が想定の範囲内であるとすれば、細川氏の脱原発至上主義には想像できない危険性がある。

本来ならば細川氏の出馬は市民派にとって意味のあるものになり得た。宇都宮氏は左翼臭が強過ぎて、乗れない市民派も依然として多いためである。今の政治に対して「もう少し福祉を充実してほしい」「もう少し公共事業偏重・箱物行政をなくしてほしい」「もう少し自然を大切にしてほしい」と思っている人は多い。しかし、左翼・革新のイデオロギーには拒絶反応を起こす人も少なくない。

これは私が東急不動産だまし売り裁判原告として接点を持つ開発反対・街づくりの分野で顕著である。2012年選挙のように宇都宮氏が唯一の市民派候補であったとしても動かない市民派は存在する。そのために宇都宮氏よりもマイルドな候補者への欲求は潜在的に存在するが、細川氏は解決策にはならない。

もともと市民派の一部が宇都宮氏に乗れない理由は、宇都宮氏が君が代・日の丸強制反対やオスプレイ配備反対、秘密保護法反対など国と対決するイデオロギー色の強いことばかりに注力して生活に密着した都政課題に取り組む意思も能力も欠けるのではないかという懸念があるためである。しかし、これは脱原発至上主義の細川氏の方が問題である。むしろ宇都宮氏は住まいの貧困対策で健全なシェアハウス育成なども掲げ、都営住宅新設一辺倒という従来型の左翼・革新の政策から踏み出している。

国共合作批判

東京都知事選挙(2014年2月9日)で市民派にしこりが残ったとすれば、細川護煕氏への一本化要求(宇都宮けんじ降ろし)である。自分が望まない道を強いられるならば反発が生じる。

一本化要求には国共合作の歴史が援用された。これは歴史に依拠しているようで、歴史を軽視した論法である。国共合作は国民党の蒋介石にとって嫌々ながら行ったものに過ぎない。蒋介石は日本の侵略を皮膚病に、中国共産党を内臓疾患にたとえた。命の危険がある病気は後者であるとした。蒋介石の主張の正しさは、その後の歴史が示している。この歴史を踏まえれば国民党的な存在に国共合作を持ちかけても歓迎されない。

それでは共産党は喜ぶか。当時の中国共産党の側にも国共合作はソビエト連邦の意向という外在的要因があった。ソ連が国共合作を求めた理由は日本軍を中国が引き受け、ソ連の安全を図るという一国社会主義であった。この歴史は日本共産党に一本化を求める際に致命的なほど逆効果になる。

日本共産党はソ連共産党にしても中国共産党にしても外部からの支配を嫌う。日本共産党に国共合作を援用して一本化を求めることは、東急不動産だまし売り被害者に東急不動産のマンションを勧めるようなものである。このようなところにも一本化失敗の理由を見出だせる。というよりも真面目に日本共産党を説得できると考えていたかも疑わしい。国共合作という言葉が出るところには日本共産党への無理解か軽視がある。

さらにコスモポリタンな視点からすれば、国共合作も所詮はナショナリズムである。国共合作は日本という非道な侵略者に対抗したから歴史的意義があった。現代日本で安易な国共合作の称揚はナショナリズムに取り込まれかねない。


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