デモクラシーを取り戻せ!

希望のまち東京をつくる会が「想田和弘×宇都宮けんじ トークライブ デモクラシーを取り戻せ!」を2014年5月7日に東京都文京区の文京シビックセンター・スカイホールで開催した。西東京市でもサテライト会場を設けてパブリックビューイングを実施した。

最初に熊谷伸一郎氏のプレゼンテーション「ここがおかしいニッポンの選挙」である。二度の東京都知事選挙での宇都宮けんじ選対の経験を踏まえ、日本の選挙制度の問題点を指摘した。日本は高額の供託金がなければ立候補できない。国際的に稀な制度である。売名行為防止を目的とするが、現実には抑制になっていない。財産で差別することになり、日本国憲法の平等原則に反しているのではないか。

小選挙区は死票が多い。選挙運動は規制だらけである。但し、ネット選挙はできることが多い。公職選挙法の条文は分かりにくい。分からないから、やらないということになる。難解な条文が市民を遠ざける。言いがかりをつけようと思えば、いくらでも可能である。東京都知事選挙では一回目と二回目で同じことをしているにも関わらず、二回目は沢山の警告を受けた。選挙が市民のものになっていない。民主主義を取り戻すためには選挙を取り戻さなければならない。

続いて想田和弘氏と宇都宮けんじ氏の対談である。海老原由佳氏が司会した。

海老原「日常で政治を考えることは少なかった。二度目の都知事選挙で宇都宮陣営の電話かけを手伝った。公職選挙法は良いのか」

宇都宮「全然良くない。有権者を愚弄する選挙制度である。有権者が一千万人いるが、候補者名の入った証紙ビラは30万枚しか作成できない。ポスティングで逮捕された人がいた。ピザなどの商業ビラで逮捕された例は聞かない。選挙で逮捕されることはバランスを失している。大雪で投票所にいけない人がいた。主権の行使を保障できていない。日本の供託金は群を抜いて高い。テレビ討論会が某候補の都合で流れた。日弁連会長選挙では選挙管理委員会が候補者の討論会を運営する。

海老原「選挙規制はどう考えても、おかしい」

宇都宮「現在の公職選挙法のベースは戦前の普通選挙に遡る。個別訪問禁止や高額な供託金などが定められた。無産政党の進出を防ぐという狙いがあった」

海老原「アメリカから見ると不思議な制度である」

想田「日本よりはましだが、同じような問題がある。シュワルツェネッガーが当選している。選挙に関心を持ったきっかけはゴア対ブッシュの大統領選挙である。実はゴアの方が多く得票していた。選挙は算術ではなく、ポリティクスであると実感した。

自民党は常勝集団である。勝利の方程式を見たいと思った。それが映画『選挙』の動機である。選挙制度は選挙で当選した人々が作るので改革は難しい」

宇都宮「選挙制度を変えようという市民運動がなかった。供託金は立候補を制限する参入障壁になっている」

海老原「そこを規制緩和してほしい」

宇都宮「市民が立候補することは、お任せ民主主義の対極である」

想田「政治評論家もゲームのルールへの関心がない」

宇都宮「低投票率も知名度勝負や連呼ばかりの選挙運動が原因ではないか」

想田「選挙運動は羞恥プレイとの指摘がある。興味を持ってもらえないようにするためにやっているのではないか。わざとカッコ悪くしている。あのスタイルに拒否反応がある」

海老原「政治家は子どもが憧れる職業になっていない。市民運動にも政治を避けるような傾向がある」

海老原「国会議員ではなく、なぜ都知事を目指したのか」

宇都宮「会派で影響力を持つ立場でもない限り、一国会議員でやれることは限界がある。都知事は大統領に近い。運動的に考えて選択した」

想田「国政を変えることは大変である。近いところから変えていく。保坂展人氏が世田谷区長になった。電力を東京電力以外から購入し、コストを削減した。それを他の自治体も真似した。間接的に日本を変えたことになる。

地方選挙は極めて重要である。市議や区議は国政選挙でも票を持っている。市民派の地方議員を増やすことが国政にもつながる。

山さん(山内和彦氏)は自民党とそりが合わない。自民党から干された。東日本大震災の後に川崎市議会議員選挙に出た。山さんは落選したが、この選挙でトップ当選した、みんなの党の候補は選挙資金をかけなかった。半年前から地道に辻立ちしていた。その候補は映画『選挙』を見て、ああいう選挙をしないようにと決意したという。

海老原「想田さんの映画が日本を変えている」

宇都宮「政策を実現するための運動を広げていく。勝てる候補探しをしているからダメである。青い鳥探しは止めよう。運動の層をどれだけ広げられるかが重要である。運動の中でスターを作り出す。投票率は下がったものの、得票は増えた。前進していけば、いつかは逆転できる」

海老原「三回目に向けて準備中か」

宇都宮「一回出たから知名度が上がっている。『一回出て落選したから駄目だ』では保守の牙城を崩せない」

想田「勝つことは大事だが、育てていくことも必要。民主主義の足腰を鍛えていく。それには時間がかかる。特効薬はない」

海老原「教育も問題。自分で考えさせようとしない」

想田「政治教育を小学校からやるべき」

海老原「意見を少しでも言うとクレーマーと言われてしまう」

宇都宮「主権者教育が必要。集会やデモをしている人を変わった目で見ることは問題である。安倍首相の一つよい点は議論を巻き起こしていることである。危機感を持つ人が増えている」

想田「確かに関心を持つ人が増えている」

海老原「院内集会は外に開かれていない。秘密保護法反対集会などでは抗議する側の言葉が美しくない。『ファシストくたばれ』は一緒に叫びたくない。負のエネルギーを発散するだけになっている」

宇都宮「デモクラシーはいい言葉である。運動がデモクラティックになっているかどうかを問い直す。公開討論会に候補者が欠席回答したことに対して批判する声が陣営内部から出なかったのか。元首相ということで特別扱いすることは誤り。運動の型が問われている」

想田「そこが気を付けなければならないところである。デモクラシーは多様性を尊重する。運動は、その逆を目指す面がある。運動体の中でも多様な意見を尊重しなければならない。芸術は純粋がいいことであるが、運動は不純でいい。多数派形成がゴールである」

想田「低投票率対策として投票義務化は避けたい。自覚の問題である。台湾は民主化して日が浅く、熱さが残っている。日本は民主主義に新しい命を吹き込まなければならない」

宇都宮「義務投票制の前に選挙運動規制の撤廃をすべきである。都知事選挙も候補者が激烈な討論をすれば投票率が上がっただろう。公職選挙法の運動は日本の市民が取り上げていかない。私も関与していきたい。情報公開の徹底が必要である。憲法の規定する人権が日本に定着しているとは言い難い。学校では生存権を教えても、生活保護申請の仕方を教えない。一市民として市民運動を作っていきたい」

最後に主催者から「デモクラシーを取り戻せ」は単発のイベントではなく、今後も継続していくとの説明がなされた。希望政策フォーラムも継続する。次回の第3回希望政策フォーラムは6月6日19時から中央区月島の月島社会教育会館ホールで開催する。国家戦略特区をテーマとする。

デモクラシーを取り戻せ評

「デモクラシーを取り戻せ」は規制だらけの不合理な選挙制度の問題を改め浮き彫りにした。選挙制度の問題は既に指摘されており、どうやって変えるかという段階に来ていると考える。この点でも「デモクラシーを取り戻せ」では興味深い指摘がなされた。

問題は宇都宮氏の指摘するように「選挙制度を変えようという市民運動がなかった」ことである。想田和弘氏が指摘するように現職議員は現在の選挙制度で当選した人達であり、現行制度の成功者である。選挙制度への改革意識が乏しい。市民運動が求められる。

これまで市民運動がなかったことには理由がある。反貧困運動は貧困をなくす、脱原発運動は原発をなくすなど市民運動には各々の目的がある。選挙に関わるとしたら、それは目的達成のための手段である。選挙運動を変える市民運動は既存の市民運動からすれば手段の目的化になる。それに一生懸命になるというモチベーションが働きにくい。

それ故に選挙制度を変える運動の機運が選挙運動に取り組んだ市民の中から高まることは、すこぶる自然である。宇都宮選挙では様々な表現や運動がなされたが、選挙という機会故にできたことも多い。選挙は通常ではできないような表現や運動の場になる。ところが、公職選挙法上の規制が強く、想田氏が斉藤環氏の自民党ヤンキー論に言及したように、典型的な選挙運動はヤンキー的で恥ずかしいものになっている。これを打破して自由な表現や運動を可能にすることは、一つの目的になる。

運動を広げる上では司会の海老原由佳氏が現行制度を「参入障壁が高い」など規制緩和論者の論理で話している点が意義深い。このような集会に集まる人々は新自由主義を目の敵にする傾向があるが、教条主義的な新自由主義の敵視は有害である。

小泉構造改革の弊害が民主党政権をもたらしたと言われるが、郵政民営化は民営化そのものよりも東急リバブルが評価額1000円で取得した郵政関連施設を4900万円で転売するなどの「かんぽの宿」問題のように国家権力による利権バラマキが批判された。特定の不動産業者への利益誘導は新自由主義の思想からは否定されるべきものである。

民主党の政権獲得の原動力は、「官僚主導からの脱却」「コンクリートから人へ」であり、国家(官僚機構)の介入を減らすという新自由主義と親和性を持つ。そして官僚主導から脱却できたようには見えなかったために民主党は支持を失った。多数派形成には思想としての新自由主義を支持する人々の賛同が必要である。選挙運動自由化のような問題の立て方が有効である。

「デモクラシーを取り戻せ!」欠席戦術批判

希望のまち東京をつくる会「想田和弘×宇都宮けんじ トークライブ デモクラシーを取り戻せ!」のメインテーマは公職選挙法の過剰な規制であり、それについての感想は既に書いた通りである。このメインテーマからは少し外れるが、印象に残った発言は宇都宮健児氏の「公開討論会に候補者が欠席回答したことに対して批判する声が陣営内部から出なかったのか」との発言であった。これは2014年東京都知事選挙において細川護煕候補が公開討論会を立て続けに欠席したことを批判するものである。

公職選挙法の過剰な規制を批判するに際して、宇都宮候補と細川候補の対立を持ち込む意義をあまり感じられない。それ故に「デモクラシーを取り戻せ!」を語る上で殊更、細川批判を取り上げることが好ましいことか否かは迷いがある。しかし、この発言には重要な意味があると考えるため、ここで論じる。

この発言が私の印象に残った理由は私の知る細川支持者の実態とのギャップを実感したためである。私も細川氏の討論会欠席に憤りを覚えた一人であり、選挙戦の最中に、ある細川支持者(推薦政党関係者)に「何故、細川候補は討論会に出席しないのか」と尋ねたことがある。その回答は「ボケているから出せる訳がない」というものであった。この支持者の立場としては、殿のすることに遠慮して意見を言わない訳ではない。むしろ討論会に参加すると不利になると分かっているために欠席戦術を肯定する。これは宇都宮氏の批判とは非常に遠いところにある。

この欠席戦術の肯定は細川陣営だけの問題ではない。世の中には回答すると誰かが不満に思う質問というものが存在する。たとえば「日の丸・君が代を国旗・国歌として認めるか」という質問はYesと答えてもNoと答えても誰かは不満に思い、その回答を根拠にバッシングされかねない。その種の質問には回答しない方が有益であるという考え方は細川陣営の専売特許ではない。細川陣営の欠席戦術は、あまりにも露骨であった。しかし、欠席しないまでも候補者が一方的に話して終わりにしたり、質疑応答時間を短縮したり、ネット中継を制限したりということは珍しくない。

市民側にも、このような論理を肯定する傾向は存在する。私の周囲にも、その論理で動いている人々がおり、それを私は理解する立場にいる。私の問題意識として、文脈を無視しても自分の言いたいことを言い、自分の考えを押し付けなければ気が済まない左翼教条主義がある。それを困ったものとする立場から、上記の論理を理解できる人こそが「話せる人」「信頼できる人」「共に活動できる人」という感覚さえあった。

故に宇都宮氏の批判は細川陣営への批判にとどまらず、胸に突き刺さるものであった。左翼教条主義への問題意識は残るものの、質問から逃げる、さらには曖昧にしておくことで双方の歓心を得ようとする姿勢は再考の余地がある。恐らく2014年選挙での宇都宮陣営にとっては東京オリンピックへの対応が「難しい質問」であっただろう。そこで曖昧にすることなく、コンパクトな平和の祭典を推進するとの明確な政策を打ち出した姿勢を是とする。

この点に限らず、細川批判は従来の市民運動への批判にもなる。たとえば有名人主義である。脱原発至上主義も、脱原発だけという点は批判できても、従来の市民運動にも護憲平和至上主義的なところがある。宇都宮支持者にとって細川批判は細川陣営をターゲットにしているならば深く考えることなく拍手を送れるものである。しかし、そこには従来型の市民運動に対する根源的な批判があり、耳に痛い内容がある。宇都宮健児『希望社会の実現』の後半でも従来型の市民運動への強い批判が語られている。

これを踏まえるとノーサイドの風潮にも一歩引いてみたくなる。選挙戦の最中からノーサイドが語られていた。選挙の分裂が運動の分裂でないことは当たり前である。脱原発で宇都宮氏を支持した人と、脱原発で細川氏を支持した人が一緒に脱原発運動に取り組むことは有意義なことである。感情的対立があっても、それを解きほぐそうとする試みは立派である。

一方で宇都宮陣営と細川陣営には運動手法の差異があった。この差異は宇都宮支持者からすれば大きな成果であるが、そこには従来型の市民運動への手厳しい批判も含まれている。この状況ではノーサイドを大義名分として、細川陣営が採った運動手法に合流することが楽な道との見方も成り立つ。私としては宇都宮選挙の成果を発展させたいと考える。


     
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