書評『中国は民主主義に向かう』

林田力

兪可平『中国は民主主義に向かう―共産党幹部学者の提言』(かもがわ出版、2009年)は中国共産党幹部が中国の民主主義の進展を論じた書籍である。中国の民主主義の進展を好意的に評価している。著者が中国共産党幹部のために割り引いて考えるべきかもしれないが、日本の民主主義についても考えさせられる。本書を読めば「中国には民主主義がない」と安易に決め付けられない。

本書は冒頭でエンゲルスがマルクス主義の最も基本的な思想を「各人の自由な発展が万人の自由な発展の条件となる」と答えたというエピソードを紹介する(16頁)。これには驚かされた。正直なところ、マルクス主義に個人解放の思想というイメージを抱いていなかった。

ソ連型社会主義は個人を抑圧する体制であった。ソ連型社会主義は歪められたマルクス主義であり、真のマルクス主義ではないと主張することはできる。それでも労働者階級など人々を集団として捉え、個人を軽視する傾向が見られる。そこが日本の左翼の弱点であり、若者の貧困などの新しい問題や個別的問題への理解が乏しい要因である。

もしマルクス主義の基本的な思想が上記のようなものならば、自由主義者らとの差異は、どのように解決するかという方法論であって、目指すゴールは同じことになる。そのようなものならば、真の意味でのイデオロギーを超えた共闘も可能だろう。

興味深い点は中央官僚の腐敗と逆に村組織は透明性が高いとの指摘である(148頁)。地方自治が正しく民主主義の学校になっている。日本の町内会や自治会の実態は古い家父長的体質が横行しており、とても民主的組織とは言えない。本書の記述が正しいならば、地域レベルの住民意識は日本よりも進んでいるかもしれない。

かつて農場が集団化されていた時代は官僚の視察時に集団農場で作られた果物を官僚に贈与する悪習があった。しかし、果樹園を個人の請負にした結果、官僚に差し出す果物もなくなり、悪習もなくなったという。左翼教条主義者ならば市場化を金権腐敗の原因と決め付けそうであるが、実態は反対である。

本書は、中国の民間組織がまだまだ官主導の色彩が強いと率直に批判している。その批判精神は素晴らしいが、市民社会は官の指導さえなくなれば成立するというものでもない。家父長的体質や地縁血縁のコネが横行する社会は健全な市民社会とは言えない。中国社会と言えば前近代的な地縁血縁が色濃いとされる。

これは日本社会においても大きな課題であるが、この点の問題意識が本書は乏しい。一方で中国人は日本人以上に個人主義的と指摘される。官の圧迫さえなくなれば中国社会は日本を飛び越えて成熟した市民社会に進むのかもしれない。


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