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林田力

『ONE PIECE 85』

尾田栄一郎『ONE PIECE 85』(集英社、2017年)はホールケーキアイランド編の続きである。すれ違っていたルフィ達とサンジであるが、この巻では思いが一つになる。このような展開は熱くなる。

ホールケーキアイランド編ではサンジの出自が明らかになる。「実は貴種でした」という展開は最近の漫画に少なくないが、私は複雑な思いがある。親の格差が子にもつながる格差社会を反映しているように感じられるためである。それでも、この巻は家族を見捨てられない思いという普遍的なテーマで上手に再構成した。

麦わらの一味は、新たに連合を結成する可能性が出てきた。トラファルガー・ローの時と異なり、いけすかない相手である。マフィアではなく、ギャングの通り名であることが理解できるエピソードが語られる。マフィアには沈黙の掟(オメルタ)のように忠誠心が求められるイメージがある。これに対してギャングはゴロツキである。

文字通りの意味で共通の利害だけで結ばれた連合になる。ここでのルフィの態度が面白い。話してみることは頭ごなしに否定しない。一方で実際に会うと友達が受けた被害のことを蒸し返す。安易に過去を水に流す存在ではない。かつての少年漫画は「昨日の敵は今日の友」が定番の展開であったが、過酷なイジメなどの現実と直面する現代の子ども達にとってリアリティに欠ける(林田力「【コミック】過去の敵への態度に注目『ONE PIECE 第51巻』」ツカサネット新聞2008年9月17日)。

この巻ではジンベエが参謀役になっている。ジンベエは魚人島編で仲間にスカウトされている。麦わらの一味の比較的新しいメンバーのニコ・ロビンやフランキー、ブルックも年長者で、そのような役回りを期待しても不思議ではないが、ゾウで寝入ってしまうような抜けたところもある。ジンベエは今の麦わらの一味に足りない要素を補える存在である。

『ONE PIECE 50巻』回想シーンに感動

本書(尾田栄一郎『ONE PIECE第50巻』集英社、2008年6月発行)は週刊少年ジャンプで連載中の漫画である。1997年の連載開始であり、既に10年以上続いていることになる。連載漫画が単行本50巻になるまで続くというだけでも、ちょっとしたニュースになるが、この50巻はストーリーの節目という意味でも意義深いものがある。

「ONE PIECE」は架空の世界を舞台に、世界の最果ての地にあるとされる「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を求める海賊の冒険を描く漫画である。主人公モンキー・D・ルフィ率いる「麦わら海賊団」は、この50巻目で世界を半周するところまで辿り着いた。この巻の副題は「再び辿りつく」である。そこには、この意味が込められている。「ONE PIECE」の世界も地球と同様、球体になっており、世界を一周すると元の地点に戻る。物語は50巻かけて、ようやく折り返し地点に近づいたことになる。

「ONE PIECE」は仲間とともに冒険を続け、悪人と戦うという少年漫画の王道を行く作品である。しかし「ONE PIECE」が人気漫画の座を長期間保持し続けた理由は、王道を忠実に守っていたからだけではない。「ONE PIECE」の魅力はストーリーの深さにある。

敵を倒す、悪を倒す。これが少年漫画の王道である。しかし、こればかりでは次第に戦いの意味すら希薄化してしまう。これに対して「ONE PIECE」では虐げられた側の痛みや憤りが丁寧に、時には長い回想シーンで描写されている。だから敵を倒した時の感動も大きい。

「ONE PIECE」も連載が長期化するにつれ、戦闘シーンでグダグダ感が生じたことは否めない。仲間が増えるにつれ、それぞれの見せ場を出さなければならず、戦闘が長期してしまう。これはアラバスタ編以降で見られるが、特にエニエスロビーでは顕著であった。それでも「ONE PIECE」は感動的なエピソードが挿入される点が優れたところである。それは50巻にも当てはまる。

50巻では世界政府に従う海賊の王下七武海ゲッコー・モリアとの戦いが展開されたスリラーバーク編が完結する。正直なところ、私にとってスリラーバーク編に対する評価は高くなかった。お化け屋敷風の雰囲気が、これまでの「ONE PIECE」の舞台と比べて違和感がある上、ボスキャラに威厳がなく、あまり強そうに感じられなかった。

しかし、完結編の50巻は、それまでの停滞を打ち消して余りあるほど感動的な内容であった。特に読み応えのあるのが、麦わら海賊団の新しい仲間になるブルックの回想シーンである。宴会で作中歌「ビンクスの酒」の演奏中に回想シーンに入る。そこで描かれる過去の回想シーンは現在のシーンと上手く混ぜられている。

回想シーンも楽しかったルンバー海賊団時代と、仲間が死に絶えた跡に一人で魔の三角地帯(フロリアントライアングル)を彷徨っていた頃の2つの時間帯を並行に描いている。陽気な過去と絶望的な過去、そして新しい仲間と出会い、未来への希望が生まれた現在が作中歌「ビンクスの酒」を背景に対照されている。この回想シーンがあればこそ、ブルックの「生きててよかった」という言葉に実感が生まれる。

「ONE PIECE」の構成力の秀逸さを再認識することができた。物語上は50巻で半分である。ということは100巻以上続きそうである。これからも笑いあり、感動ありのストーリーを描き続けて欲しいと思う。

『ONE PIECE 10』

尾田栄一郎『ONE PIECE 10』(集英社)は魚人海賊団アーロン一味との対決である。麦わらの一味がアーロン一味の幹部と戦う。ウソップも幹部の一人と戦う。ウソップのような超人ではないキャラクターの戦いはハラハラさせられる。物語として面白い。

この巻ではルフィの名台詞が登場する。「おれは助けてもらわねェと生きていけねェ自信がある」。ワンピースが仲間を重視する作品であることを示す台詞である。一人で何でもかんでもできてしまうオールマイティーなゼネラリストは漫画の世界でも流行らない。選択と集中という言葉が生まれ、分業化した社会を反映した作品である。

現実にルフィは一人では海から脱出することも出来ない。ノジコやゲンさんの活躍で死なずに済む。ルフィでなければアーロンを倒せないかもしれないが、ルフィ一人でも倒せない。非力な人々の協力があって実現する。

この巻ではナミの名言「ごめんみんな!!!私と一緒に死んで!!!」も登場する。これまで他人に頼らずに頑張ってきたナミが、ルフィがアーロンを倒すことを信じて言った言葉である。この言葉を言われた村人はナミと気持ちが一緒になったことを喜ぶ。人々の心を一つにする盛り上げ方が上手い作品である。

『ONE PIECE 9』

尾田栄一郎『ONE PIECE 9』(集英社、1999年)はアーロンパーク編の続きである。ナミの辛い過去と真意が明らかになる。それは壮絶なものであったが、そこにアーロン一味の裏切りが加わる。全てを御破算にするものであり、許し難い。

アーロンは嘘をついていないと開き直るだろうが、卑怯卑劣な行為であることは変わらない。そのような正当化は東急不動産だまし売り裁判原告として最も許せないものである。不利益事実を隠した新築マンションだまし売りも、嘘はついていないと正当化できるためである(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。怒りのボルテージが上がるシーンである。

アーロン一味の仕打ちは、村人達全員に死を決意させるものであった。アーロンは、人間達は我慢して奴隷を続けていればいいと考えるだろうが、人間は搾取者の都合よく動かない。非合理的な行動を取ることは十分にある。相手を騙しておきながら、騙された相手が合理的な範囲内で行動すると期待することは筋違いである。

この巻の最終話は巻全体のタイトルとなった「涙」である。ナミの涙と頼み、それに応えるルフィ。準備万端のゾロ、サンジ、ウソップのカッコよさで締めくくられる。名シーンの多いワンピースの中でも傑作シーンである。

『ONE PIECE 8』

尾田栄一郎『ONE PIECE 8』(集英社、1999年)は首領クリークとの戦いが決着する。副題は「死なねェよ」。無数の武器も腹にくくった「信念」という名の一本の槍には敵わない。ワンピースの戦いを象徴する言葉である。

ここにサンジが麦わらの一味に加わる。ここはワンピースでも屈指の感動的なシーンである。この巻では三大勢力や王下七武海という後に出てくる重要な設定が始めて語られる点も注目である。ジンベエも名前だけ登場する。

後半は魚人海賊団・アーロン一味の話になる。アーロンは自分達、魚人を人間より優れている万物の霊長と呼ぶ。これは現実の人間に対する強烈な風刺である。作者には人間中心主義を相対化する視点が感じられる。

アーロンは、その前の敵の首領クリークとは対照的である。クリークは腹心の部下さえ使い捨てにする最低野郎であるが、アーロンは仲間を同胞と呼ぶ。部下が傷つけられると怒る。クリークは逆らう部下を容赦しない。意見具申さえ許さない。完全な恐怖支配である。これに対してアーロン一味ではアーロンが怒りに任せて暴走しそうになると部下が押し留めたこともある。悪役も様々であり、面白い。

ナミがアーロン一味の幹部として登場するが、ナミと向き合った時のゾロの態度がカッコいい。憎まれ口を叩くが、相手を信頼している。方向音痴で方角は見失うが、人は見ている。さすが麦わらの一味の副船長格である。

『ONE PIECE 6』

尾田栄一郎『ONE PIECE 6』(集英社、1998年)は海上レストラン「バラティエ」の話の続きである。東の海最強の海賊艦隊の首領クリークが襲いかかる。ものすごい強敵になる筈であるが、そのような感じがない。海賊王を目指すルフィにとってはライバルにもならない存在である。

首領クリークが小物感を漂わせる理由は「ダマシ討ちのクリーク」の二つ名を持つように卑怯であるためである。白旗を上げる、海軍船を装うなどの騙し討ちを繰り返して成り上がった海賊である。東急不動産だまし売り裁判原告として最も嫌いなタイプである(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。

しかも、クリークには卑怯者の癖にプライドだけは英雄的という矛盾がある。偉大なる航路からの落ち武者にも関わらず、食料を得た途端に「これでまた再び、偉大なる航路を目指せる」と言ってしまう。鷹の目ミホークに壊滅状態にされて逃げてきたにも関らず、帰ろうとするミホークに喧嘩を売る。態度だけは、死ぬとしても立ち向かうゾロと同じである。

道化のバギーも非道なキャラクターであったが、自分の分を踏まえて必死に生きていた。だからバギーは悪役ながら愛される。表紙連載で再登場したほどである。それに比べるとクリークはマイナス評価しかない。


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