日の丸・君が代不確約区議を江東区議会議長代理から除外

林田力

東京都江東区では小中学校の卒業式で日の丸への敬礼と君が代斉唱を確約しない区議会議員の区議会議長祝辞代読排除が問題になっている。江東区立小中学校の卒業式では来賓祝辞として区議会議長の祝辞が述べられる。区議会議長が参加できない学校では区議会議員が議長を代理して祝辞を読み上げる慣行になっている(代読)。

ところが、江東区議会運営委員会は2013年11月25日に国歌斉唱と国旗敬礼を確約しない議員を議長代理として認めないと決定した。対象区議は日本共産党7名と江東・生活者ネットワーク1名、市民の声・江東1名である。

江東区議会には「江東区立小中学校卒業式等式典に臨む江東区議会議長代理による国旗敬礼及び国歌斉唱の徹底についての陳情」も提出された。そこでは議長代理は祝辞の際に、舞台檀上正面に掲揚されている国旗への敬礼や、国歌斉唱の際に起立して国旗に正対の上での国歌斉唱の徹底を求めている。これに対して反対の立場からの陳情も多数提出された。

この問題についてターゲットになった3会派は抗議・批判している。日本共産党区議団の菅谷俊一幹事長は以下のように指摘する。「国旗国歌を法制化する国会審議では、首相も文科相も憲法に保障された『内心の自由は守る』『強制はしない』と繰り返し答弁してきました。今回の措置は、『議長代理』を理由に『思想・信条、内心の自由』を踏みにじる暴挙です」(「小中学校卒業式「日の丸に敬礼しない議員は議長代理として出席させない」東京・江東区で強行 共産党は撤回要求」赤旗2013年11月29日)

図師和美区議(江東・生活者ネットワーク)は区議会議長宛要請文(2013年12月6日)の中で以下のように指摘する。「代読する議員に対し議長代理としてふさわしい対応をすると確約を求めることは、憲法(第19条)で保障されている思想・良心の自由を侵すことになると考えます。さらに、今回の「ふさわしくない」議員に代読を依頼しないなかで行われようとしている議長祝辞(代読)は、児童生徒が主人公であり未来への巣立ちを祝う卒業式という教育の場を、政治利用することになるのではないかと危惧します」

中村まさ子区議(市民の声・江東)も「憲法で保障されている思想・良心の自由を侵すもの、憲法を踏みにじる公務などない、見直しを」と抗議した。

ターゲットになった3会派は各々自己の問題として抗議・批判するものの、3会派が連携して闘っているようには見えない。ここで3会派の中の最大勢力である共産党に期待したいところである。現状では共産党VSオール与党という固定観念が強いように感じられる。管見は開発問題などの投票行動を踏まえるならば、共産党のオール与党批判は概ね支持できる。社民党などの凋落も地方政治におけるオール与党化が一因である。しかし、この問題を共産党VSオール与党の枠組みで捉えることが適切とは考えない。

管見は、この問題をイデオロギーの文脈でのみ論じることには消極的である。日の丸・君が代強制には噛み付くが、裁判所の開廷時の起立や礼の強制には問題意識を持たない人権派弁護士とは何なのかという疑問さえある。

日の丸・君が代不確約議員の排除を肯定する論理としては、議長代理としての出席であり、議長の意を受けた人物が選ばれるべきというものになる。しかし、江東区議会議長に来賓祝辞が求められる理由は江東区議会議長であるためである。議長個人の政治的信念で代理を選定する性格のものではない。

さらに祝辞を求められる区議会議長という立場も議長という独任制の職務に付随するものではなく、江東区議会の代表者という名目的な立場故である。この問題が江東区議会の運営委員会で議論されていること自体が区議会の問題であることを示している。区議の中に日の丸や君が代について様々な見解がある以上、卒業式における区議の振る舞いも、それを反映したものになることは自然である。このような形でしか維持できない国旗・国歌の権威というものは、その程度のものでしかない。


     
     
     
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