“我がまちの防災”にひと言

林田力

江東・生活者ネットワークは2014年11月30日、公開討論会「“我がまちの防災”にひと言〜私がすること・地域ですること・行政がすること〜」を江東区大島の江東区総合区民センターで開催した。

第1部は「報告、問題提起」である。江東・生活者ネットワークで実施した災害協力隊アンケートの結果を報告した。高齢化と若者参加が課題とする。これを受けて伊藤英司・公益財団法人市民防災研究所研究員が問題提起を行った。

共助があることで秩序が維持される。阪神淡路大震災で生き埋めからの救助は共助が3割、公助に相当する救助隊よる救助は2%弱しかない。災害協力隊は地域防災力を高めることができる。母体組織の構成員全員が災害協力隊員であることを認識していない。女性の参加を考えていない団体が約6割ある。

防災資機材を十分に備蓄することは不可能である。工務店など地域にある防災資源を探して防災マップをつくる。避難所の毛布は場所をとらずに大量に備蓄するため、薄い。自宅から毛布を持ち寄る。防災資機材は訓練だけでなく、平常時から積極的に活用を。自分のところで全てやろうではなく、連携を図って進めて欲しい。

住民一人ひとりの災害時の役割を明確にする。小グループで安否確認する体制を構築する。地域全体で安否確認することは大変である。災害時の担い手を確保することにもなる。一人ひとりの役割がないから、防災訓練の参加者が少なくなるのではないか。



第2部は公開討論である。蔵方伸枝・昭和大学豊洲病院医療ソーシャルワーカーがコーディネーターとなり、伊藤氏、岩井健・江東区総務部防災課長、小原忠直・SOS江東代表、山口浩・ファミール浜園災害協力隊隊長がパネリストとなった。

最初に伊藤氏が「私たち一人ひとりが取り組む防災対策」と題して報告した。災害は突如として大切な人の命を奪う。一度は高台に避難したが、自宅に忘れ物を取りに戻って津波に遭った。日頃から備えをする。点検する。自助の取り組みが被害を軽減させる。避難所生活は快適ではない。自宅が無事ならば自宅にとどまる。避難所で生活しないための備えをする。家庭にあるものでできることは沢山ある。

次は小原氏の「このまちを守る…形だけではだめ、やらなければ意味がない」である。避難所に最初に到着する人は健常者である。助けを求める人を見かけたら、手を差し伸べて欲しい。落ち葉が排水溝に詰まると水が溢れる危険があり、掃除している。そのようなことも日常の貢献になる。

続いて山口氏の「マンションはまち、まちづくりは人づくり」である。山口氏の住むマンションは築30年以上、466戸の分譲マンションである。当初は全てを管理組合が担当したが、町会を別に作った。町会加入率は7割くらいだった。管理組合の一般会計から支出し、全員加入とした。災害協力隊は町会と管理組合の役員とOBがなる。津波を想定した避難訓練をしている。一階二階の人は三階に避難する。災害時要支援者の面談を今後予定している。ゴミの分別も居住者の協力を得ている。

最後に岩井氏が「地域防災について」を報告した。東京湾は大きな津波被害はない。内湾部はエネルギーが小さくなる。予想される最大の津波は海抜2・55メートルである。自宅の環境に合わせて対策する。



質疑応答である。

参加者「自助が大切は分かる。誰が運ぶのかという問題がある。船の充実を江東区で検討していただけないか。耐震補助をして欲しい。避難所の充実を求める。マンションが潰れたならば持ち出せない」

岩井「江東区は屋形船の団体と協定を結んでいる。ただ、橋が低く、内陸部は難しい。耐震診断には補助がある」

参加者「年2回の防災訓練は大変ではないか」

山口「定例行事にしている。参加者は80人くらい。フロアを指定して強制的に割り当てないと参加人数は増えないと考えている」

参加者「お金の管理は町会か管理組合か」

山口「管理組合が町会費を出している。管理組合と町会の役員を兼務している」

林田力「自宅避難について、自宅が無事でもライフラインが使えなければ避難所に行かざるを得ないのではないか。東日本大震災ではエレベーターが停止したために避難所に行った超高層マンション住民がいる」

岩井「電気は5割くらいが被害を受ける想定で、復旧には約7日見込まれる」

伊藤「ライフラインが死んでいる状態ならば避難所も同じである。避難所は避難者の生活の場だけではなく、在宅避難者の支援拠点として考えていくべき」

小原「東日本大震災の支援物資で最も求められたものは、おむつなど水を使わなくてよい衛生物資である」

参加者「個人情報保護法が連携の障害になっている」

参加者「荒川の決壊による水害の危険性は実際のところどうなのか」

伊藤「可能性は低いが、ないとは言い切れない。低い地域が存在することは事実であり、水害への考慮が必要である」

ケアマネージャー「認知症については連携連携と言いながら、連携されていない。災害時だけでなく、普段から支えていくことが課題である。色々なところから安否確認がなされたことがあった。安否確認の一元化も課題」

参加者「江東区は湾岸地域に冷たい気がする」

最後に、ずし和美・江東区議会議員が「様々な立場の考えが共有できたことは貴重」とまとめた。



自助・共助・公助

公開討論会「“我がまちの防災”にひと言」は副題が「私がすること・地域ですること・行政がすること」となっているように自助・共助・公助という発想を色濃く出していた。この自助・共助・公助は扱いが難しい問題である。

自分ができることは自分が実施し、コミュニティーでできることはコミュニティーが実施し、公ができることは公が実施することは至極当然のことである。私は個人の自由を重視する立場として強大な政府には本能的に嫌悪感を抱いている。それ故に自分にできることは自分で行うという傾向を歓迎する。

問題は自助・共助・公助の名の下に公的責任を切り捨て、個人やコミュニティーに責任を押し付ける動きが事実として存在することである。自助・共助・公助の名の下に福祉が切り捨てられ、痛めつけられた人々からすれば、自助・共助・公助という言葉自体に反感を抱くであろう。

現実に都政わいわい勉強会in東部地区「貧困問題その3 ブラック介護問題、都政でできることは」(江東区亀戸、2014年2月4日)では自助・共助・公助が以下のように批判された。「公助という言葉は辞書にもない。公的責任である。公的責任を明確にして行政に迫るスタンスが必要である」

このような公的責任派の矛先は公開討論会にも向けられうるものである。公開討論会は自助・共助が中心で、公助をどうするかという視点が乏しかった。今の日本の行政は市民の安心安全を確保する姿勢や能力が十分と言えず、自助・共助を高めることはサバイバルの観点ならば正論である。しかし、それは何が望ましい行政であるか、それをどのように構築していくかという政治の話にはならない。

公開討論会では阪神淡路大震災における生き埋めの救助は自助(本人や家族)や共助(隣人など)が大半で、公助(救助隊)は僅か2%弱であったと説明された。故に自助や共助を高めることが必要との論調になるが、阪神淡路大震災では自衛隊の出動や国際救助隊の受け入れが遅れたという批判もある。公助が2%弱という数値は、公助が正しく機能しているのか、もっと公助を強化すべきではないかとの主張の論拠にもなる。

そもそも文明の発展によって社会的分業は深化する傾向がある。防災や災害救助も専門の機関が担うようになる。自助よりも共助、共助よりも公助の割合が高まることは社会の進歩と評してもよい。東日本大震災後に個々人が備蓄に走ったことが商店の商品不足を引き起こした。自助しかなければ社会的に悲惨な結果をもたらす危険がある。

一般に貧困問題など社会問題では公的支援の乏しさが批判され、その充実が求められる。たとえば、こどもの貧困問題について日本が子育ての責任を家族に負わせていることが根本的な要因であるとし、子どもを社会全体で支える仕組みを求める主張がある(山野良一『子どもに貧困を押しつける国・日本』光文社新書、2014年)。防災でも公的責任を重視する論調があっても不自然ではない。諸外国には憲法で防災や被災者の救済を国家の義務として定めている例もある。

大韓民国憲法第34条第6項「国は、災害を予防し、その危険から国民を保護するために努力をしなければならない」

中華民国憲法第155条「高齢者、弱者、身体障害者、生活無能力者及び非常災害を受けた人民に対して、 国家は、適当な扶助と救済を与えなければならない」

言うまでもなく、自助・共助・公助を唱える主張の全てが公的責任切捨てを目的としたものではない。公がやるべきことをしっかりと公にやらせるという文脈で、自助・共助・公助という言葉を用いることもできる。この点では公的責任重視派も「自助・共助・公助」派も目指す方向は同じである。それを理解せず、自助・共助・公助という表現に頭ごなしに噛み付くならば不毛な神学論争になり、教条主義者と嫌悪されることになる。

それでも自助・共助・公助が公的責任切り捨て・自己責任押し付けの論理として使われる可能性は残る。それとは逆の文脈で自助・共助・公助を唱えるならば、公的責任切り捨ての論理に利用されないような注意深さが求められる。

何でもかんでも強大な政府に依存という主張よりも、自助・共助・公助には大きな魅力があり、市民の側の議論として自助・共助・公助を進めたいと考えている。但し、自己責任押し付け論に流されないためには、よほど強い自覚が必要と感じた。



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