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林田力 東急不動産係長脅迫電話逮捕事件

林田力『東急不動産係長脅迫電話逮捕事件』は東急不動産係長がトラブルになった顧客女性に脅迫電話を繰り返して逮捕されたという衝撃的な事件のドキュメントである。東急不動産とのコンサルティング契約は無事には終わらなかった。東急不動産(金指潔社長)ソリューション営業本部係長・高田知弘容疑者(逮捕当時36歳)が顧客女性に嫌がらせ電話を繰り返したとして2010年8月18日に逮捕された。
高田容疑者は2009年12月から2010年6月に取引相手であったホテル運営会社社長の携帯電話に番号非通知設定で、嫌がらせ電話を繰り返した。嫌がらせ電話は、ほとんどが無言電話であったが、「壊れろ、壊れろ」という呻き声で女性を畏怖させたこともあった。東急不動産はビジネスで犯罪者を出したことになる。
『東急不動産係長脅迫電話逮捕事件』では事件の全貌を様々な角度から詳細に描き、東急不動産の本質を捉える。東急不動産だまし売り裁判など東急不動産の様々なトラブルと重ね合わせることで、狂気と陰謀が渦巻く恐ろしい事実へと導いていく。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者による戦慄のメッセージである。

【書名】東急不動産係長脅迫電話逮捕事件/トウキュウフドウサンカカリチョウキョウハクデンワタイホジケン/The crime of TOKYU Land Corporation
【著者】林田力/ハヤシダリキ/Hayashida Riki
【既刊】『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』『東急不動産だまし売り裁判購入編』『東急不動産だまし売り裁判2リバブル編』『東急大井町線高架下立ち退き』『裏事件レポート』『東急コミュニティー解約記』
『二子玉川ライズ反対運動1』『二子玉川ライズ反対運動2』『二子玉川ライズ反対運動3』『二子玉川ライズ反対運動4』『二子玉川ライズ反対運動5』『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』『二子玉川ライズ反対運動7』『二子玉川ライズ反対運動8』

東急不動産係長が顧客に脅迫電話で逮捕、犯罪者に
東急不動産係長逮捕事件とCREクレディールの落差
東急不動産係長逮捕事件とCREコンサルティング
係長逮捕と東急不動産だまし売り裁判とブランズ小竹向原
東急不動産係長逮捕事件の衝撃
東急不動産係長逮捕事件とネット右翼
東急不動産だまし売り裁判原告への誹謗中傷
東急不動産の東急リアル・エステート撤退に見るREITの矛盾
コンフォリア・レジデンシャル投資法人は期待薄
不動産投資の落とし穴
ブランズ小竹向原でクレーン死亡事故
ブランズタワー南堀江・ブランズタワー大坂備後町が酷評
ブランズタワー南堀江の治安面の不安
東急ハンズ過労死と東急不動産だまし売り裁判
東急ハンズ過労死裁判への反響
東急ハンズ過労死裁判と東急不動産係長逮捕
東急ハンズ過労死裁判とブラック企業自慢
東急ハンズ過労死裁判とレジ業務委託
東急ハンズ過労死とスーパービバホーム豊洲店
東急ハンズ裁判と過労死概念の変遷
恫喝訴訟SLAPP対策は攻撃が最大の防御

林田力

『アリアドネの弾丸』法医学者を演じる小西真奈美の華と謎

フジテレビ系ドラマ『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』が7月12日から放送を開始した。海堂尊の小説を原作とする「チーム・バチスタ」シリーズのドラマ第3作である。ドラマ・オリジナルの法医学者・笹井スミレを演じる小西真奈美に華と謎があった。
ドラマの背景は死因不明社会である。日本は先進国の中で突出して死体の解剖率が低い。いい加減な死亡診断によって殺人事件や児童虐待、医療過誤が見逃されてしまう。この状況の改善のために白鳥圭輔(仲村トオル)は死体を撮影・解析するAi(死亡時画像診断Autopsy Imaging)導入を推進するが、それを快く思わない警察や法医学者との暗闘が繰り広げられる。
奇しくも今期は日本テレビ系で解剖によって死の真相を暴く法医学者を主人公とした『ブルドクター』が放送されている。共に闇に葬られようとしている真実を明らかにすることを目指しながら、ひたすら解剖を行う『ブルドクター』に対し、Ai推進の『アリアドネの弾丸』は法医学者を既得権益の擁護者と描く。
『アリアドネの弾丸』では法医学者が事件を解決するドラマ『法医学教室のアリアドネ』が人気という設定である。これは『法医学教室の事件ファイル』のパロディで、『法医学教室のアリアドネ』ファンの藤原真琴を演じる名取裕子は『法医学教室の事件ファイル』の主演女優であるという楽屋落ちになっている。しかし、楽屋落ちが分からない視聴者は『ブルドクター』を連想したくなる。
Ai導入をめぐる利害関係者のせめぎ合いとAiセンターで発生した殺人事件の謎解きがドラマの主題になるが、初回「心不全トリックの謎」では貧困ビジネスによる貧困者の搾取という社会的テーマも盛り込んだ。社会派ドラマとして名高い『相棒』は派遣切りや偽装請負、名義貸しなどを描いたSeason9の「ボーダーライン」が「反貧困ネットワーク」の「貧困ジャーナリズム大賞2011」を受賞している。フィクションであるドラマにも真実を伝えるジャーナリズムの力があり、それは『アリアドネの弾丸』にも期待できる。
原作も人気の「バチスタ」シリーズであるが、ドラマでは原作とは異なるストーリーも見所である。『アリアドネの弾丸』では法医学者・笹井スミレの存在が原作以上にミステリー要素を深めている。スミレは男性中心のドラマの中で華があるが、田口公平(伊藤淳史)に心を開いたようでいて、Aiには抵抗し、警察側とも関係が深いという謎めいた存在である。
バラエティ番組『ココリコミラクルタイプ』のコントの印象が強い小西であるが、女優としても存在感を示している。女優として認知度を高めた『ちゅらさん』や、連続ドラマ初主演作となった『きらきら研修医』で女医を演じており、『アリアドネの弾丸』の女医姿も様になっている。人気ドラマの劇場版『相棒 -劇場版II-』では悲しみを抱えた陰のある女性を演じた。ゲスト出演で『相棒』の世界観に溶け込んだように、『アリアドネの弾丸』でも「バチスタ」の世界に溶け込んだ小西の演技に注目したい。(林田力)

『アリアドネの弾丸』仲村トオルが原作よりカッコいい熱血漢に

フジテレビ系ドラマ『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』の第2話「Aiが見逃した殺意」が7月19日に放送された。仲村トオル演じる白鳥圭輔が原作とは趣の異なる熱血漢に仕上がった。
初回で死因究明に威力を発揮したAi(死亡時画像診断Autopsy Imaging)であったが、今回は事件を見落とし、「弱点だらけのAi」とバッシング報道されてしまう。そこにはAI導入に不満な警察の暗躍があるが、この事件は決してAiセンターの失点ではない。遺族に承諾解剖を勧めたのはAiセンター側の人間である白鳥であった。解剖で外傷が発覚した後も、警察は積極的に捜査しなかった。事件解決は白鳥の閃きのお蔭であり、Aiセンターの手柄である。
もともと白鳥の問題意識は死因不明社会にある。不審な死体であっても警察が事件性なしと判断すれば、調査されずに真相が闇に葬られてしまう。今回の事件も警察任せでは、病死か事故死で処理されていた。それを覆した点は白鳥の勝利である。
Aiは真相解明の手段である。初回ではAiと法医学(解剖)の対立という構図を描いたが、本来は対立するものではない。法医学者の笹井スミレ(小西真奈美)は「解剖でなければ死因は究明できない」と主張するが、コストや遺族感情などの問題で解剖の徹底が難しいという現実が出発点である。容易に解剖できないからAiが必要になる。むしろ初回のようにAiの結果に基づいて解剖が行われれば、Aiは解剖率の向上にも寄与できる。
Aiと解剖は相補的なものであり、Ai推進側を善玉としつつも、Aiの限界も描く点が『アリアドネの弾丸』の奥深さである。Aiの結果を絶対視して異論を受け付けないならば、真相が葬られてしまう点で警察の予断と変わらなくなる。警察サイドから「実はAiを信用していないのでは」と皮肉を言われる白鳥は真相究明を第一とする硬骨漢である。
小説原作のドラマでは成功した部類に入る『バチスタ』シリーズであるが、主役級の白鳥のキャスティングは原作のイメージを破壊する。原作では小太りで、ゴキブリに形容される白鳥を硬派な仲村トオルが演じている。中村の演じる白鳥にも原作のような軽さはあるが、スーツの似合うカッコよさは原作にはない。この外見的なギャップをドラマ『アリアドネの弾丸』では死因不明を許さない熱い男となることで説得力を持たせた。
原作シリーズでは田口公平が行き詰った時に事件解決者として登場するパターンが王道の白鳥であるが、ドラマではAi推進の熱情によって自らも渦中に入り、火傷しそうである。それ故にこそ冷静な門外漢である田口(伊藤淳史)がAiセンター長になる意味がある。原作とは一味違う田口・白鳥の凹凸コンビに期待したい。(林田力)

『アリアドネの弾丸』第3話、伊藤淳史の善良さが他者の心を動かす

フジテレビ系ドラマ『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』の第3話「偽りの死亡時刻」が7月26日に放送された。主人公の田口公平が白鳥圭輔に食われがちなドラマで、今回は田口役の伊藤淳史が他者の心を動かす善人ぶりで主役としての存在感を示した。
病院を舞台とした事件を描く『チーム・バチスタ』シリーズであるが、ドラマ3作目の『アリアドネの弾丸』は、これまで以上に刑事物としての要素が強まった。しかも、警察庁の陰謀が見え隠れするスケールの大きな話になっている。刑事物とした場合に問題となる点は、主人公・田口の存在意義である。原作では田口が単独主人公であり、白鳥圭輔は基本的に田口が行き詰った時のお助けマン的な存在であった。
これに対してドラマでは田口と白鳥(仲村トオル)がダブル主役の位置付けである。人間関係も原作は田口が起点になっていたものが、ドラマでは白鳥起点に改変されている。放射線科医の島津吾郎は原作では田口の同期であったが、ドラマでは白鳥がスイス・レマン大学から招聘した。前作『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』でも田口の同期であった速水晃一が、白鳥の同期に設定変更されている。
このように田口の存在感が低下するドラマにおいて、真犯人を追いつめるという刑事物の要素を前面に出すならば、ますます白鳥の独壇場になってしまう。しかし、それでも今回のドラマは田口の存在感を出すことに成功した。
今回の主題はシステムエンジニア・友野優一(矢柴俊博)の死因究明である。警察は早々に事件性なしと判断し、Ai(死亡時画像診断Autopsy Imaging)でも不審点は発見されなかった。しかし、納得できない田口と白鳥は調査を続ける。友野の趣味のクラシック音楽の会話で田口は友野と心を通じ合っていた。このエピソードがあるために田口が友野の死因究明に執念を燃やすことが自然に映る。
さらに法医学教室助手・須賀秀介(市川知宏)からの貴重な情報引き出しも田口の善良さがなければ不可能であった。アクティブ・フェーズによって対立を生む出す白鳥では無理である。田口は相手を取り込むパッシブ・フェーズの名手として不可欠な役回りを見事に果たしている。
伊藤淳史と言えば『電車男』の主人公や『西遊記』の猪八戒など情けなさのある役どころのイメージが強い。『アリアドネの弾丸』でも白鳥に振り回される点が笑いどころになっているが、主役として他の登場人物にはない能力を発揮している。情けなさと凄さの同居した伊藤の演技に期待したい。
(林田力)

『アリアドネの弾丸』第4話、ダブル主演キャラの逆転現象

フジテレビ系ドラマ『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』の第4話「2人目の不審死」が8月2日に放送された。攻撃的な白鳥圭輔(仲村トオル)と白鳥に振り回される田口公平(伊藤淳史)の凹凸コンビが魅力の人気ドラマシリーズであるが、今回は凹んだ白鳥を田口が励ますという逆転現象が起きた。
『アリアドネの弾丸』は第1話で死因を調査するAi(死亡時画像診断Autopsy Imaging)の威力を見せ、第2話ではAiの限界を示した。今回はAiを悪用した病院ぐるみの犯罪を描く。ドラマは死因不明社会に対してAiを推進する立場から描かれるが、Aiの診断結果が錦の御旗となってしまうことの恐ろしさも忘れていない。
今回は対外的にはAiの手柄と報道され、第2話で「弱点だらけ」と酷評されたAiの汚名返上になった。しかし、初期調査ではAiでも解剖でも問題を見抜けておらず、痛み分けである。真の手柄は真実を追求し続けた白鳥・田口コンビにあり、本来はAiが持ち上げられる話ではない。
この論理のズレはAiが酷評された第2話も同じであった。第2話ではAiが死因を見抜けなったが、警察も事件性なしと判断しており、やはり痛み分けであった。ここでも真実の解明は熱心に調査した白鳥・田口コンビの賜物であり、Aiが一方的に非難されるものではなかった。このように本来的な論理とズレたところでAiの成功や失敗を結びつけることで、ドラマではAiと解剖の対立を盛り上げる。
このズレは白鳥にも生じている。Aiセンター潰しを目論む警察庁長官官房情報統括室室長・斑鳩芳正(高橋克典)は白鳥の過去を漁り、運営会議の席上で暴く。白鳥は恋人を医療ミスが疑われる手術で亡くしており、医療を恨んでいると攻撃する。ただならぬ関係の笹井スミレ(小西真奈美)からも批判された斑鳩の陰湿な攻撃であったが、驚くべきことに白鳥はダメージを受け、沈黙してしまう。
しかし、恋人の死因を究明できなかった無念が死因究明の原動力になっていることは、別に非難されることではない。白鳥のような立場の人物がAi推進を志すことは、自然な帰結である。それが自分の問題意識であると白鳥は胸を張って主張すればよい。反対に個人的な思いや背景なしで、あれだけAi推進に燃える方が不自然であり、底意を疑われてしまう。
斑鳩の陰湿な攻撃にダメージを受ける白鳥は「ロジカルモンスター」らしからぬ存在である。しかし、白鳥がダメージを受けたことで、白鳥に代わって斑鳩に抗議する男前の田口という珍しい姿が見られた。さらに白鳥が田口の前で愚痴を言い、田口に励まされるという逆転現象も展開された。既存のキャラ設定を少しずらすことで、登場人物の関係性に新鮮な息吹を吹き込むことに成功した。
(林田力)

『アリアドネの弾丸』第5話、仲村トオルの人を食った魅力

フジテレビ系ドラマ『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』の第5話「20年目の復讐」が8月9日に放送された。仲村トオルが演じる白鳥圭輔の人を食った魅力が表現された内容であった。
東城大学医学部付属病院Aiセンターで北山錠一郎・警察庁刑事局審議官(尾美としのり)の他殺体が発見された。警察は状況から島津吾郎(安田顕)を犯人と位置付けたが、警察の動きに不審点を発見した白鳥は田口公平(伊藤淳史)と共に調査を開始する。
前回は警察庁長官官房情報統括室室長・斑鳩芳正(高橋克典)に凹まされた白鳥であったが、今回は完全復活する。まだ斑鳩は追いつめられていないが、白鳥が斑鳩をやり込める姿が期待できる展開である。斑鳩の警察正義論は警察に誤りがあっても絶対に認めないという市民社会の暴論である。それ故に斑鳩が潰される展開は視聴者にとってカタルシスになる。
白鳥は他人を挑発して本音を引き出すアクティブ・フェーズの名手である。白鳥が通った後はペンペン草も残らないことから「火喰い鳥」とも呼ばれている。しかし、誰彼かまわずアクティブ・フェーズでは、ただの不愉快な人間である。白鳥の魅力は人間心理を深く理解した上で人を喰ったところにある。
ドラマ化された『チーム・バチスタ』シリーズでは原作以上に白鳥がフィーチャーされ、その分だけ田口の存在感は薄くなった。それでも『アリアドネの弾丸』では田口の見せ場は多い。最初は白鳥が相手にアクティブ・フェーズで斬り込み、その後で田口の誠実な言動が相手の心を動かして事件解決の糸口をつかむパターンが繰り返される。
そこでは田口は主人公としての存在感を発揮しているが、同じパターンが繰り返されると田口・白鳥コンビで役割分担しているように映る。そこには警察の取り調べに登場する脅し役と慰め役の二人組の刑事のような陳腐さが漂う。白鳥に使い古された刑事の役回りを演じさせることは、心理学的な知識で武装した白鳥の型破りなキャラクターを損なう面がある。
これに対して今回の白鳥は人を食ったやり方で、人を動かすことに成功した。大学病院構内で殺人事件と疑われる事件が発生した危機的状況下で三船大介事務長(利重剛)をおだてて院長代理を引き受けさせた。これは白鳥の独断場であった。ここでは田口は白鳥に振り回される木偶の坊に過ぎない。相手を怒らせるだけではない白鳥の人あしらいの上手さが表れていた。
(林田力)

『アリアドネの弾丸』第6話、悪役ポジションを固めた高橋克典

フジテレビ系ドラマ『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』の第6話「完全犯罪のメロディー」が8月16日に放送された。初回から怪しさを漂わせていた斑鳩芳正・警察庁長官官房情報統括室室長(高橋克典)の悪役ポジションが強固になった。
今回は田口公平(伊藤淳史)と白鳥圭輔(仲村トオル)のバチスタコンビの調査によって、北山錠一郎・警察庁刑事局審議官(尾美としのり)死亡事件の謎が次々と解明される。殺害方法についての警察説明の誤りも明らかになる。
よくあるドラマでは主人公達が何かに気付いたところでラストにし、謎解きを次回に持っていくが、今回は謎の説明まで行っている。トリックの謎解きで引っ張らない代わりに、社会的背景を持った人間模様の描写に力を入れている。
その『アリアドネの弾丸』の現時点での最大の悪役的存在が斑鳩である。警察を正義の立場に保つために警察による情報独占を維持したい斑鳩にとって、警察でなくても死因を究明できるAiセンターは都合が悪い。そのためにAiセンター潰しを画策する。但し、ドラマの序盤では、存在感の強さが空回りしてドラマとしっくりいってなかった面があった。
斑鳩は主人公サイドと相容れない存在であることは明白である。警察の情報独占を是とする姿勢は、死因を究明するという主人公サイドの価値観と対立する。警察の非を認めない姿勢は市民社会の価値観とも対立し、まさに悪役にふさわしい。
ところが、この斑鳩は悪役という位置付けでは収まらない存在感を放っていた。斑鳩を演じる高橋克典は『サラリーマン金太郎』で人間的魅力のあるヒーローを演じ、『特命係長・只野仁』ではダークヒーローを演じた。斑鳩にも悪役的な怪しさだけでなく、ヒーロー的な爽やかさもあり、視聴者の認識を混乱させる。
それでも今回は一段と悪役らしくなった。それは白鳥の過去を暴いて沈黙させるような切れ者の斑鳩にも稚拙さが出てきたことに負っている。斑鳩の北山審議官殺人事件の捜査方針に対し、宇佐見壮一(福士誠治)・警察庁刑事局特命広域捜査官は反感を隠そうとせず、独自に情報収集を開始する。
斑鳩に深謀遠慮があるとしても、上下関係が絶対的な警察組織において二回りも下の宇佐見を従わせられないことは斑鳩の器の小ささを示すものである。しかも斑鳩は宇佐見の言い争いを白鳥に立ち聞きされ、「仲間割れですか」とからかわれた。
さらに斑鳩は軟禁した島津吾郎(安田顕)に対し、「Aiによって何も発見できなかった」との嘘の情報を伝えて、自白を誘導しようとする。ドラマの中では斑鳩の試みは成功しているが、視聴者は斑鳩が嘘によって自白を誘導したことを知っている。それが容疑者を心理的に追いつめて自白を誘導する警察の手口であることも認識している。自白を誘導する陳腐で卑怯な手口を使ったことは、斑鳩の存在も陳腐にする。
宇佐見に離反され、白鳥に一本取られ、陳腐な自白誘導を行うダメさ加減が斑鳩の悪役としてのポジションを強固にした。ヒーローとは異なる高橋の演技に注目である。
(林田力)

『アリアドネの弾丸』第7話、葛藤と悲哀を演じた福士誠治

フジテレビ系ドラマ『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』の第7話「真犯人」が8月23日に放送された。ドラマも中盤ながら、今回で北山錠一郎(尾美としのり)警察庁刑事局審議官の死の真相が明かされる。その中で福士誠治が演じる宇佐美壮一・特命広域捜査官の葛藤と悲哀が際立った。
医療ミステリーに分類される『バチスタ』シリーズであるが、『アリアドネの弾丸』は既得権益に固執する警察の闇を描く点が特徴である。死因究明のためにAi(死亡時画像診断Autopsy Imaging)を推進する主人公サイドと阻止しようとする警察の対立が描かれる。警察が悪玉になるが、警察側の人物は三者三様である。
警察の絶対正義という立場を固守するために情報の独占を目論む斑鳩芳正(高橋克典)警察庁長官官房情報統括室室長。間違ったDNA鑑定結果に基づいた冤罪事件への悔恨からAiの暴走を危惧する北山。凶暴性を秘めながらも北山には忠実な宇佐美。
これまでは斑鳩が黒幕のように演出されてきたが、今回は真相を追及する立場になっている。その限りで主人公サイドと共闘関係に立つが、「立場は違っても共通の目的のために手を携えよう」的な陳腐な展開には陥らない。白鳥圭輔(仲村トオル)は斑鳩に「本当は知っていたんじゃないの」と問いかけ、不信感を緩めない。
犯罪という一線を越えたか否かの点で斑鳩と北山・宇佐美のどちらが悪玉かは明白である。しかし、警察の正義を演出するために間違っても非を認めず、都合の悪い事実を認めない斑鳩の姿勢は受け入れなれない価値観である。斑鳩はAiへの懐疑論で警察と共同歩調をとった法医学者の笹井スミレ(小西真奈美)からも否定されている。
これに対して、冤罪事件への悔恨からAiの暴走を危惧する北山の思想は正論である。ドラマでもAiによる死因の見落としを描いている。この点では斑鳩よりも北山に共感できる。冤罪であることを認識している点も、島津吾郎(安田顕)の逮捕報道をぶつけて情報操作を目論む斑鳩よりも人間的に救いがある。
ところが、その北山も死の間際に「常に正しく、強く堂々と輝きながら、市民を守る。それが警察」と語った。これは斑鳩と同じ思想である。冤罪事件への悔恨も、社会からバッシングされる警察の姿を見ることが耐えられないという身勝手な発想からである。冤罪被害者に申し訳ないという気持ちは皆無である。
歪んだ思想に取りつかれている斑鳩や北山に対し、宇佐美には葛藤や悲哀が描かれた。警察官僚トリオも中で最も歯車として行動した宇佐美に最も人間的な葛藤や悲哀が描かれることは皮肉である。冷静に考えれば宇佐美の行動は理不尽であり、支持できる要素はない。
それでも福士誠治の演技には視聴者を感情移入させる迫力があった。前々クールの月9ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』での自信と理解力のあるヒロインの見合い相手と同一人物とは思えない演技であった。
(林田力)

『アリアドネの弾丸』第8話、科学信奉者から人間味を見せた安田顕

フジテレビ系ドラマ『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』の第8話「もう一人の真犯人」が8月30日に放送された。これまで無機的なAi至上主義者を演じていた島津吾郎役の安田顕が人間味を見せた。
島津は原作とドラマで設定変更された人物である。原作では田口公平の学生時代の同期である。ところが、ドラマでは白鳥圭輔(仲村トオル)がスイス・レマン大学から招聘したことになっており、田口との接点はない。この設定変更は前作『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』と共通する。『ジェネラル・ルージュの凱旋』でも田口の同期であった速水晃一が、白鳥の同期に設定変更された。
これらの設定変更は原作の一つの魅力を損なうものである。原作には大学時代という青春の一時期を共に過ごした者達にしか存在しない絆が描かれていた。確かに医療ミステリーが一番の魅力であるが、旧友らの同窓会的雰囲気も作品に良い味を与えていた。だからこそ速水の学生時代の剣道生活を描いた『ひかりの剣』のような小説も生まれる。
『ジェネラル・ルージュの凱旋』で速水の設定を変更した背景は、ドラマではダブル主役に格上げされた白鳥に絡ませるためである。これに対して、『アリアドネの弾丸』の島津の場合はミステリーのキーパーソンとして登場させるための設定変更であった。
島津は設定だけでなく、性格も変更されている。原作では田口の麻雀仲間で、入院中の子ども達から「がんがんトンネル魔人」と親しまれる存在であった。ところが、ドラマでは硬直的なAi信奉者にキャラ変更された。原作に比べて何とも面白味のない人物に変貌してしまった。
これは「平成の怪物」「ミラクル安田」の異名を持つ安田顕のキャラクターらしからぬ役である。ところが、次第に怪物の片鱗を見せていく。警察に拘禁されてからの態度が意外なほど落ち着いている。これは海外生活が長いために人権意識が普通の日本人よりも高いと説明できたが、より明確な理由が今回明らかにされた。
島津は警察に敵意を抱いても当然の重たい過去を背負っているが、何よりも重要な点は自分自身の行為に対する反省の念を抱き続けていることである。それが島津という存在を重厚にした。
その対極に位置する存在が、非を認めず謝罪しない斑鳩芳正(高橋克典)警察庁長官官房情報統括室室長である。北山錠一郎(尾美としのり)警察庁刑事局審議官の死は悼むが、人生をメチャクチャにされた冤罪被害者への謝罪の念は持たない。それどころか警察という立場上、謝罪できないと正当化する。
ドラマでは主人公の田口が島津を非難する一方で、斑鳩の涙を真実と評価する。また、白鳥は島津を殴る斑鳩を止めようとしないなど、善悪の価値判断が歪んでいる。しかし、主要キャラの紅一点、笹井スミレ(小西真奈美)は島津に謝罪する一方で、斑鳩と決別する。過去を背負っている笹井スミレの方が主人公よりも、善悪の価値を体現している。だからこそ笹井の言葉は島津を動かすことになった。
島津の人生も変えてしまった20年前の冤罪事件は今後のドラマに関係していく。人間味を増す安田の演技にも注目である。
(林田力)

『アリアドネの弾丸』第9話、冤罪事件に際どい演出

フジテレビ系ドラマ『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』の第9話「20年目の再犯」が9月6日に放送された。今回は実在の冤罪事件をモデルとしながら、冤罪被害者が実は真犯人であった可能性をも匂わせる際どい演出となった。
ドラマでは20年前に女子高生を殺害した罪で逮捕された松崎行雄(六平直政)の冤罪が明らかになり、親子の感動の対面も果たした。ところが、松崎が釈放された直後に20年前の事件と同じ手口で女子高生が殺害される事件が起こる。警察庁の斑鳩芳正(高橋克典)や逃亡中の宇佐美壮一(福士誠治)は松崎を真犯人と決めつけて動き出し、劇中では松崎が真犯人でないかと思わせる演出もなされた。
松崎事件は精度の低いDNA鑑定に基づいた思い込み捜査による冤罪事件であった。これは実在の足利事件を想起させる。冤罪被害者は人生を破壊されてしまう。無罪を勝ち取って釈放されても、失われた人生は戻らない。しかも日本社会には逮捕された人物を犯人視する発想が根強い。
そのような中で冤罪被害者を真犯人と思わせる演出は、冤罪被害者や支援者を傷つけかねない内容である。フィクションを銘打っているとしても、実在の冤罪事件を想起させる事件を題材とする以上、冤罪事件に対する制作者の見識が問われる。
その一方で今回は、冤罪を生み出す警察の悪しき体質に踏み込んだ。『アリアドネの弾丸』ではAi(死亡時画像診断Autopsy Imaging)を阻止しようとする警察庁の人間が悪玉であるが、これまでは斑鳩と北山錠一郎(尾美としのり)刑事局審議官、宇佐美の三人が三者三様に描かれて、卑小な悪役にとどまらない存在感を放っていた。
これは現実の警察不祥事とは相違する。警察不祥事で登場する人物は保身や責任逃ればかりの金太郎飴で、人間の顔が見えない。冤罪事件で謝罪はしても、人間としての顔が見えないために空虚である。それに対して斑鳩や北山、宇佐美は自分達の思惑で動いていた。一線を越えた宇佐美も警察組織の歯車ではなく、北山審議官への個人的忠誠で動いている。だからこそ宇佐美の心理描写も心を打つドラマになった。
しかし、今回の三人は警察の悪しき体質を体現する金太郎飴になった。宇佐美が北山に恩義を感じる理由が明らかになるが、警察不祥事で散々批判されている身内に甘い体質に過ぎない。宇佐美を擁護した北山も松崎の逮捕時には思い込みからの凶暴性を発揮しており、宇佐美と同類である。実際、宇佐美に脅迫まがいの一方的な事情聴取をされた松崎は、そこから北山を連想している。
そして北山・宇佐美の暴走と表向き無関係な斑鳩も、逃亡中の宇佐美を子飼いにする一方で、宇佐美の存在を脅しに松崎の自首を求める。どこまで斑鳩が北山・宇佐美の計画を知っていたかは明かされていないが、完全に共犯者になっている。警察庁トリオは個性が弱まり、組織悪の歯車に近づいた。
この状況で白鳥圭輔(仲村トオル)は「松崎さんが犯人だった場合、一番得をするのは警察。松崎さんの犯行に見せかけた別の誰かの仕業だったりして」と相変わらず鋭い指摘をする。冤罪被害者を傷つけるドラマに終わるのか、冤罪を生み出す警察の組織悪に斬り込むのか。『アリアドネの弾丸』の社会性に注目である。
(林田力)

『アリアドネの弾丸』第10話、気弱そうな中村靖日の見せ場

フジテレビ系ドラマ『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』の第10話「点と線」が9月13日に放送された。今回は警察庁の斑鳩芳正(高橋克典)に立ち向かう玉村誠(中村靖日)警部補の見せ場であった。
ミステリー作家・松本清張の代表作の表題をサブタイトルに借用した今回は、ミステリー色が濃厚になった。松崎行雄(六平直政)が他殺であることや20年間に7人もの女子高生が不審死していることが判明する。
『アリアドネの弾丸』はAi(死亡時画像診断Autopsy Imaging)推進が一つのテーマであったが、Aiで調べても松崎の死因に不審点は発見できなかった。Ai至上主義者の島津吾郎(安田顕)が法医学者の笹井スミレ(小西真奈美)に頭を下げて解剖を依頼する。これはAiの限界を象徴する。
一方で、もう一つのテーマ・死因不明社会は健在である。過去20年間に同一河川で7人もの女子高生が死亡しているが、多くは「事件性なし」と判断されていた。警察の無能や怠慢を責める白鳥圭輔(仲村トオル)の舌鋒は鋭い。
しかも、松崎の殺害手口から殺人犯が警察関係者である可能性も浮上する。その中で玉村警部補は「私は、正義の味方です」と言って、怪しさ満点の斑鳩の命令を拒絶する。これは斑鳩にとっては痛烈な皮肉になる。これまで斑鳩は「自分達警察が正義である」という歪んだ思考によって、警察に非があっても謝罪しないなど独善的に振る舞ってきた。自分が拠り所としてきた正義によって拒絶された形である。
「玉ちゃん」と呼ばれる玉村は温厚で人のよさそうな刑事である。玉村を演じる中村靖日は気弱な役柄が多い。映画『運命じゃない人』では頼まれごとを断れない会社員・宮田武を主演し、映画『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』では虐められ役の「上原さん」を演じた。玉村にも気弱そうなイメージがあり、良くも悪くもアクの強い斑鳩や北山錠一郎(尾美としのり)、宇佐美壮一(福士誠治)に比べると迫力が欠ける。その玉村が斑鳩に思わぬ打撃を与えるところにドラマの魅力がある。
『バチスタ』シリーズはドラマ化で多くのキャラクター設定を変更している。その最たるものは主人公の田口公平である。原作では万年講師の中年男性であった田口であるが、伊藤淳史が演じるドラマでは30歳の設定である。
くたびれた中年男性が鋭い思考や正義感を発揮する意外性が原作の魅力の一つであるが、それはドラマには欠けている。しかも、『アリアドネの弾丸』の田口は白鳥を励ますなど急成長を遂げている。かっこいい主人公はテレビ的には歓迎だが、原作のユニークな立ち位置を損なってしまう。
この点で玉村の見せ場は原作的な意外性の魅力を発揮した好シーンである。次回はいよいよ最終回である。ドラマで唯一の良心的な警察官である玉村の活躍にも注目である。
(林田力)

『アリアドネの弾丸』最終話、掟破りの真犯人

フジテレビ系ドラマ『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』の最終話「さよならバチスタコンビ! 殺人迷宮からの救出」が9月20日に放送された。犯人当てクイズが行われるなどミステリーとして盛り上げた最終回であったが、推理物としては掟破りの真犯人となった。
前回のラストでは主要登場人物が、いかにも真犯人という形で演出され、それが最終回の序盤でも継続される。彼はドラマ序盤から首絞めなど攻撃的かつ異常な言動が描かれ、快楽殺人鬼として納得がいく存在である。正義を口にしながら、主人公の目指す死因究明の障害になっており、彼が真犯人ならばドラマ的にもまとまりがいい。
しかし、原作との関係では『アリアドネの弾丸』後に出版された海堂尊のクロスオーバー作品『ナニワ・モンスター』でも活躍しており、犯人にしてしまうと原作と乖離する。何よりも、いかにも犯人と演出された人物が犯人だったらドラマ的に面白くない。視聴者をミスリードし、裏切ってこそのミステリーである。その期待には見事に応えた。
真犯人は松崎行雄(六平直政)を調べる際に捜査線上に浮かぶべき人物であり、予断捜査に走った警察の無能を一層浮き彫りにした。一方でドラマ的には後半になって登場したぽっと出の人物が真犯人という展開は物語的には肩透かしである。これには一応の説明付けが可能である。『アリアドネの弾丸』は『相棒』など刑事ドラマのようなオムニバスと異なり、一つの連続したストーリーになっている。しかし、実は三種の殺人事件によって区切られている。
ドラマの話数も第2話、第3話ではなく、stage 1-2、stage 1-3となっている。新たな殺人事件が起こるとstage 2-1という形でカウントされる。それ故に複数の話を一まとめにしたオムニバスと理解し、stage 3だけで見れば違和感は減少する。
それでも真犯人と主人公らとの接点が乏しく、ミステリー的には掟破りである。真犯人は、いかにも怪しげな表情・言動であり、真犯人であることに驚きはない。しかし、真犯人の情報の多くは白鳥圭輔(仲村トオル)の説明台詞で提供され、推理の手がかりは乏しい。怪しいから犯人とするならば、冤罪を生む警察の予断捜査と変わらなくなってしまう。
物語的には取って付けたような真犯人になってしまったが、その代わりに主要登場人物は大団円を迎えた。死因不明社会や冤罪事件などの社会性とエンターテイメントを調査させた快作になった。(林田力)

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