林田力 ブログ



改選後の都議会を読む


ひがし広場・都政わいわい勉強会PJ「都政わいわい勉強会:改選後の都議会を読む」が2013年8月31日、東京都豊島区の千登世橋教育文化センター内、雑司ヶ谷地域文化創造館・第2会議室で開催された。都政新報記者の森地明氏を講師に迎え、都議会・都政の今後について考える勉強会である。

前半は「改選後の都議会を読む」と題し、現役記者の目から見た改選後の都議会・都政の動きについて注目すべきポイントを聞く。後半は質疑応答である。

東急不動産だまし売り裁判原告の立場から印象に残った説明は人口減少とハコモノの関係である。東京も将来的には人口が減少する。六本木ヒルズなどの大型のハコモノに入る人がいなくなり、廃墟になるしかないと指摘した。これは二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)に対する意見書でも述べたことである(林田力『二子玉川ライズ反対運動1』「社会状況に逆行」)。

質疑応答で特に印象に残った内容を2点ほど指摘する。第一に医療政策と都立病院についての質問である。森地氏は都立病院のベッド数は都内の病院の数パーセントに過ぎないと説明する。都立病院が都民の医療を支えているという実態はなく、都立病院をどうするかは医療政策とは分けて考えるべきとした。

これは住宅政策や保育政策などでも当てはまる議論である。構造改革への対抗から公営の重要性が主張されることが多いが、多数の市民が何を求めているかを考える必要がある。

第二に都職員がストレスを抱える職場環境ではないかとの質問である。森地氏は「それほど大変ではない」と答える。忙しい部署はあるし、心を病む職員もいる。その場合は暇な部署に異動したり、休職したりすることも可能である。自己の職場の大変さと比較して、忙しいと言っても、お役所の忙しさと説明し、笑いを誘った。

市民派の中で組織力のある公務員労働運動の声が大きくなりがちであるが、民間と比べて考えなければ独善的な既得権益擁護論になり、市民的支持は得られない。官製ワーキングプアのように民間並みに過酷な実態や、まともな民間企業では考えられない思想統制は批判されるべきである。このような視点ならば市民的支持も得られるだろう。



私が会場で質問し、議論を深めたいと思ったことは「数のパワーゲームの終焉」に対する評価である。与野党が伯仲している時は、一人の議員の裏切りや死亡で、可決されるはずの議案が否決されたり、否決されるはずの議案が可決されたりした。典型例は築地市場移転問題での花輪智史都議の裏切りである。築地市場移転関連予算案は反対会派が多数を占めていたが、花輪都議の造反によって成立してしまった。

このような状況を森地氏は「数のパワーゲーム」と呼ぶ。選挙後の都議会では自民党と公明党が安定的な多数となったため、数のパワーゲームが終焉したとする。この現状分析には納得できる。疑問点は「数のパワーゲームの終焉」への評価である。森地氏は「数のパワーゲームの終焉」を肯定的に評価する。数のパワーゲームに振り回される事態は好ましくないとする。都職員も記者も疲れ気味であったという。

管見は「数のパワーゲーム」を政治のダイナミズムをもたらすものとして肯定的に評価する。何が最善か真剣に考えた上で意見を変えること自体は批判されることではない。議員が事前の会派の決定に従うだけでは採決マシーンに過ぎなくなる。「数のパワーゲーム」によって予想外の採決になることは都職員にとっては疲れることである。一方で記者にとってはニュースであり、面白いと考えて欲しいところである。想定通りの議決結果を報道するだけでは、記者クラブでの発表を垂れ流す御用メディアと大差ない。

この疑問に対する森地氏の回答は、現実にパワーゲームが都民に良いことをもたらしていたか、花輪都議の裏切りは良いことか、というものであった。花輪都議の裏切りは強く批判できる。東急不動産だまし売り裁判原告にとって、東急グループ出身をアピールする花輪都議は、そのアピール要素にふさわしく住民無視の政治家であった。しかし、花輪都議への批判は党議拘束違反以上に、築地市場移転に賛成するという結論に向けられている。

党議拘束違反が決定的な問題でないことは、都議会民主党が築地市場移転賛成に転じた後も反対を貫いた造反議員への評価が花輪都議とは180度異なることが示している。そして花輪都議は裏切りによって落選という報いを受けており、ここでは民主主義が貫徹されている。

いかなる場合も党議に従うことが良いか悪いかと、具体的な判断そのものの良し悪しは別次元の問題である。党議に従った方が好ましい場合もあるし、党議に反した方が手続き的な問題は生じるとしても、結論は好ましい場合もある。会派構成の通りに議決されるべきとなったならば、議会の審議も採決も形式的なセレモニーで終わってしまう。実際、会場からは傍聴体験を踏まえて、都議会の委員会の審議が形骸化しているのではないかとの質問が出た。

森地氏も多数派が多数であることを武器に何でも通すことを是とするものではない。反対に自民党政権下で平和憲法も国民皆保険も守られたことを評価する。しかし、これは自民党と社会党の国対政治の賜物でもある。手続的にも内容的にも、あまり肯定的に評価したくはないものである。

手続き的な問題は各党の国対委員長や都議団幹事長の密室の談合で決まってしまうことである。それまで熱心に反対していた議案に対して、部分的な修正条項が入れられたことで突然、賛成の党議がかかることもある。これは市民感覚では納得し難いところがある。政治のプロならば交渉は密室・少人数で進める必要があると言うだろう。また、社会党を支えていた労働組合の交渉も最後は執行部一任であり、労働運動家にとっても違和感なく受け入れられるだろう。しかし、市民感覚とはギャップがある。

内容的な問題としては平和憲法も国民皆保険も守られていると言えるほど立派な状態ではないことである。平和憲法は辛辣に言えば条文の改正を阻止できているに過ぎない。改正阻止だけを目的化し、憲法の理念が活かされているかということへの関心が低かったことが護憲運動の停滞の一因である。

国民皆保険についても官民格差・地域格差の差別を制度的に抱えている。最近では無保険者の増加が問題になっているが、現代的問題というよりも、国民の所属で分類する元々の制度の欠陥があらわになったという側面がある。

議会の場で議論を尽くして議員一人ひとりが自分の頭で考えて自己の責任で投票する政治と、政党幹部が事前に集まって調整し、そこで決まった内容に従って議事が進む政治。管見は前者を好ましいと位置付ける。

一方で森地氏の経験からの「数のパワーゲームには、ろくな結果がない」との結論も理解できる。政治の世界に「寝技」という言葉があることが示すように、「数のパワーゲーム」が現実に起きるとすれば市民不在の政争である。市民の側に立ち、市民の利益を考えた結果ではない。

日本では欧米に比べて議会政治の歴史が浅く、政党の離合集散の激しさが示すように、そもそも会派というものを真面目に考えているかも疑わしいところである。近代政党の体をなしているものは、元来ブルジョア議会を否定する立場にあった日本共産党くらいしかないという皮肉な現実がある。市民の側も「党議拘束を禁止すべき」「地方議会には会派は不要(全議員は住民の利益を考える区民党、都民党たれ)」などの極論が支持される土壌がある。

議会制民主主義と共にある会派についての認識が浅い日本で「数のパワーゲーム」が展開されるならば「ろくな結果がない」ことは必然かもしれない。この点でも市民は政治的素養を深める必要があり、都政わいわい勉強会のような企画は有意義である。


東急不動産(金指潔社長)ソリューション営業本部係長・高田知弘容疑者(逮捕当時36歳)が顧客女性に嫌がらせ電話を繰り返したとして2010年8月18日に逮捕された。高田容疑者は2009年12月から2010年6月に取引相手であったホテル運営会社社長の携帯電話に番号非通知設定で、嫌がらせ電話を繰り返した。嫌がらせ電話は、ほとんどが無言電話であったが、「壊れろ、壊れろ」という呻き声で女性を畏怖させたこともあったとされる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告・林田力)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』

 林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』は東急不動産(販売代理・東急リバブル)のマンションだまし売りの実態を物語るノンフィクションである。

 この裁判の経過は林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)で明らかにした。『東急不動産だまし売り裁判』はタイトルの通り、裁判をテーマとした書籍であり、提訴後の出来事を対象とする。問題物件の購入に至った経緯や問題発覚後の東急リバブル・東急不動産の不誠実な対応(これが両社への悪印象を決定的にした)には触れていない。その点を知りたいとの声が読者から少なくなかった。

 そこで『東急不動産だまし売り裁判購入編』では購入からマンションだまし売り発覚までの経緯を明らかにした。被害実態を理解できるように東急不動産マンションの写真も掲載した。また、東急不動産だまし売り被害経験を踏まえた住宅購入ポイントをまとめた。

林田力『二子玉川ライズ反対運動1』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(The Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。
自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。『二子玉川ライズ反対運動1』では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。
また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』の著者である林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。
『二子玉川ライズ反対運動2』は最初に二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。続いて裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。パブリックコメントや新しいせたがやをめざす会など世田谷区政の動き、二子玉川ライズと同じく世田谷区の抱える開発問題である下北沢問題にも言及した。『二子玉川ライズ反対運動2』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』は二子玉川ライズ行政訴訟や二子玉川ライズ情報公開問題を明らかにする。続いて二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを掲載する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。
その次は二子玉川ライズのビル風問題である。住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録している。さらに世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」も記載する。『二子玉川ライズ反対運動3』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動3』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 5)は東京都世田谷区の二子玉川東地区市街地再開発(二子玉川ライズ)の問題を取り上げたノンフィクションの5作目である。『二子玉川ライズ反対運動5』では二子玉川ライズの弊害を再構成する。二子玉川ライズ2期事業控訴審や二子玉川ライズ2期事業に対する不服審査請求、住民と世田谷区の風害対策協議などを取り上げる。資料として二子玉川ライズ行政訴訟の裁判文書も収録した。

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』(Residents' Lawsuit Against FUTAKOTAMAGAWA Rise; Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 6)は二子玉川ライズ住民訴訟にフォーカスした書籍である。二子玉川ライズ住民訴訟は東京都世田谷区の住民らが二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)への公金支出差し止めを求めて世田谷区長を提訴した裁判である。

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』(Driving out Inhabitants under the Elevated Railway of Tokyu Oimachi Line)は東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げたノンフィクションである。東急電鉄は東急大井町線高架下(ガード下)住民に一方的な立ち退きを要求している。Tokyu Corp. is driving out inhabitants and tenants under the elevated railway of Tokyu Oimachi Line.

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』は2013年の二子玉川の環境を守る会総会や世田谷区予算で二子玉川ライズ補助金を支出することの問題点などを報告する。二子玉川ライズでのAV撮影という毛色の変わった住環境破壊の実態も取り上げた。各地のマンション建設反対運動についても紹介する。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。