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「これで良いのか二子玉川再開発」の集い開催

初出:林田力「「これで良いのか二子玉川再開発」の集い開催」JANJAN 2009年4月1日

住民団体「にこたまの環境を守る会」は2009年3月28日に「これで良いのか二子玉川再開発」の集いを玉川町会会館(東京都世田谷区玉川)で開催した。最後には外に出て再開発現場に対してシュプレヒコールを行うというアクティブな集会になった。

集いの冒頭で世話人の飯岡三和子氏は「現地では日夜、工事被害に苦しんでいる。夜間も工事の照明がピカピカしている」と工事被害の切実さを訴えた。実際、私は東急電鉄・二子玉川駅を降りて会場に向かったが、駅前の大部分が工事中で会場に着くまでに回り道をしなければならなかった。再開発工事が住民の日常生活に大きな悪影響を及ぼしていることは想像に難くない。

合わせて飯岡氏は4月14日14時30分から東京高裁822号法廷で再開発差し止め訴訟控訴審の証人尋問が坂巻幸雄・証人が洪水被害の危険性などを証言すると紹介し、傍聴を呼びかけた。

渕脇みどり弁護士からは裁判の説明がなされた。渕脇弁護士は再開発の差し止めを求める民事訴訟や公金支出の差し止めを求める住民訴訟の住民側の代理人である。

渕脇弁護士は「事実が一つ一つ明らかになり、原告の怒りが強まっている」と語る。二子玉川東地区再開発は昭和50年代に検討されたバブル経済の遺物である。巨大な建物が出来上がりつつある状況で、これまで関心がなかった層にもおかしいと立ち上がる人が増えているという。

裁判で訴えている問題は大きく2点である。

第一に再開発事業そのものが大気汚染や洪水など住民の生存権を侵害するものである。住民に複合被害をもたらす再開発は生存権に関わる侵害である。

第二に再開発事業の進め方が、民間企業である東急グループによる再開発制度を濫用した乱開発であり、公共性が存在しないことである。東急が再開発制度を濫用し、二子玉川を住みにくくしている。風致地区の規制を取り払い、住民の健康や生命に悪影響を及ぼしている。

裁判の中で調査を進め、大きな武器を手に入れた。元々の再開発の計画では広域生活拠点を目指すといっても、吉祥寺や立川、町田をモデルとしていた。新宿や六本木のような高層ビル街にする現在の再開発とは乖離している。しかも昔から二子橋の交通渋滞が問題にされていたが、現在の再開発計画では何ら解消されていない。また、控訴審では複合被害について専門家による主張の裏付けも得られた。

再開発見直しの方向に物事を動かすことは決して簡単ではない。しかし、バタフライ効果という言葉がある。蝶の羽ばたきのような小さな行動がトルネードのような大きな影響をもたらすこともある。勢いを作り出すことが重要であると渕脇弁護士は結んだ。

続いて保坂芳男氏から世田谷区役所との折衝について特別報告がなされた。保坂氏は何年も再開発の問題に取り組み、何百回と世田谷区役所に電話や訪問で折衝しているという。
保坂氏が世田谷区役所の課長に電話したところ、「二子玉川東地区市街地再開発組合から請求書が送付されたら、年度内に支払う」との回答を得た。請求書の中身を精査することなしに何十億円もの区民の税金を払う区の姿勢に強く抗議した。

また、別の課長には公園関係の予算額について電話で問い合わせた。課長は複数年にまたがる予算総額は回答したが、単年度の予算額の回答を拒否した。区議会にも提出しないという。保坂氏は再開発の実態を公開しようとしない区の閉鎖性や秘密主義を批判した。今後も大勢の住民と共に区役所に行き、主張を続けるとする。

二子玉川再開発で700億円もの税金が投入されているという事実はほとんど知られていない。東急が自社の敷地に自社の費用で建設していると考えている人が大半であることを問題とした。

加えて区民にとっては税金を使うならば再開発よりも保育所や老人ホームが切実であると主張した。社会保障関係の部署に電話したところ、50億円があればベッド数が100の老人ホームを作ることができるとの回答を得た。老人ホームに入りたいと希望する人は多い。火災で10人が死亡した群馬県渋川市の老人施設「静養ホームたまゆら」の入所者の多くが墨田区などから斡旋されたものであったという報道がなされたばかりである。都内の老人ホームが不足しているために遠隔地の施設に入居しなければならない。

この点について社会保障関係の職員に意見を求めたが、「部署が違うので言えません」と回答拒否された。区民全員が自分達の問題として税金の使い道を真剣に考えなければならないと主張した。

今回の集いでは多くの政治家が出席したことも特徴である。二子玉川再開発が政治的な争点として浮上しつつあることを示している。

竹村津絵・世田谷区議会議員(生活者ネットワーク)は「もっと良い再開発の仕方があったと感じている一人である」と挨拶した。差し止め訴訟で住民側の証人となる坂巻氏に二子玉川再開発の問題を紹介したのは竹村議員という。「未だ具体化していないII-a街区は住民の意見を踏まえた内容にしなければならない。再開発事業で現実に様々な問題が噴出していることを行政は受け止めなければならない」と主張した。

たぞえ民夫・東京都議会議員(日本共産党)は再開発などに膨大な税金を支出する都の来年度予算が可決されたが、反対したのは共産党だけと紹介する。その上でオフィス需要やマンション需要も低迷する中で、二子玉川再開発事業は時代の流れに逆行すると主張した。住民の戦いは重みがあるとし、日本のあり方を変えるものとエールを送った。

岸たけし・世田谷区議会議員(日本共産党)は不況が深刻化し、区民の生活を守ることが区に求められる中で、700億円もの税金を再開発に費やすことが許されるのかと発言した。

世田谷区の予算案は議会で可決されてしまったが、区議会には今までにない話が出ている。共働きをしないと食べて生けない世帯が増えている。認可保育園に入れない人は1600人以上もいる。特別養護老人ホームに申し込みをしても入れない人は2300人。最初から諦めている人も含めれば3000人以上いると考える。

区内の事業者も減少しており、区は生活を守ることに本腰を入れなければならない。区が出している予算では足りない。このような主張に対して、自民党などは財源を持ち出してくるが、区が溜め込んだ700億円を再開発に使うのが良いか。公共性の名目に何でもできるとまかり通ってしまうことがおかしい。再開発への税金投入に反対する運動は生活や営業を守ることにもつながると力説した。

村田義則・世田谷区議会議員(日本共産党)は住民運動が政治を動かすとし、政権構想では差異があるとしても、世論が盛り上がれば党派を超えて共闘できると主張した。
衆議院議員の予定候補者の宮本さかえ氏(東京5区)と佐藤なおき氏(東京6区、共に日本共産党)も挨拶した。

集会後は多摩川の土手に移動し、建設中の高層マンション「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」を見ながら、圧迫感や景観が破壊されている状況を確認し、「再開発をやめろ」「税金を投入するな」とシュプレヒコールを上げた。道行く人にはビラを配り、再開発の問題点をアピールした。

玉川土手で早めのお花見【二子玉川】

住民団体「にこたまの環境を守る会」が東京都世田谷区玉川の多摩川の土手で2009年3月28日に少し早い花見を行った。「にこたまの環境を守る会」は二子玉川東地区第1種市街地再開発事業の環境破壊を批判し、国分寺崖線と多摩川に挟まれた自然豊かな風致地区として二子玉川の環境保全を訴える団体である。

「にこたまの環境を守る会」は、この日に玉川町会会館で集会「これで良いのか二子玉川再開発」を行い、再開発の建設現場に向けてシュプレヒコールを繰り返した。その後での花見であり、肌寒さが残る中でも参加者は熱気に包まれていた。花見会場には「住民不在、二子玉川再開発に700億円の税金投入はやめて」の幟も立てられた。

花見ではハンドマイクを手に参加者が思い思いに一分発言を行った。記者も自身の不利益事実(隣地建て替え)を隠して騙し売りされた新築マンション購入経験を踏まえて、「周辺住民を犠牲にして開発を進める建設する不動産業者のマンションが住民にとって良いものであるはずがない」と主張した。

参加者は周辺住民が中心であったが、他の団体からも幅広い参加者があり、各々の団体の活動を紹介した。多摩川の大規模堤防工事に抗議する「二子玉川の環境と安全を取り戻す会」(旧二子玉川の環境と安全を考える会)や下北沢の再開発計画の見直しを求める訴訟を提起中の「まもれシモキタ!行政訴訟の会」、川崎市内の住民団体が集まった「まちづくり・環境運動川崎市民連絡会」(川崎・まち連)などである。

また、再開発の差し止めを求める民事訴訟や再開発への公金支出差し止めを求める住民訴訟の住民側代理人を務める渕脇みどり弁護士は自らが作詞作曲した歌「にこたまに愛を」を披露した。これは自然豊かな二子玉川の情景を描いた歌である。渕脇弁護士のマンドリン演奏に合わせて、参加者全員で唱和した。事前に用意した風船は、遊びに来ていた子ども達に配布し、大好評であった。

この日の多摩川の土手の桜は、つぼみのものが大半であったが、この桜も再開発の一環として伐採される計画で、今年で見納めになる可能性があるとのことであった。再開発で失われる自然の貴重さを噛みしめられた花見であった。

二子玉川ライズ反対スピーチ

市民記者の林田力と申します。インターネットメディアで二子玉川東地区再開発の問題について記事を発表しております。今日は東急の開発が周辺住民だけでなく、東急のマンションに住む人も不幸にするものであることを主張したいと思います。

実は私は東急不動産の新築マンションを購入したことがあります。ところが、そのマンションは問題物件でした。隣の土地では建て替えが予定されており、マンションは日影になってしまいました。東急不動産と販売を代理した東急リバブルは隣が建替えられることを知っていながら、私には不利益事実を隠して騙し売りしました。

後から真相を知った私は消費者契約法に基づいて売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻しました。裁判を進める中で東急リバブルと東急不動産が売ったら売りっぱなしという不誠実な企業体質であることが分かりました。自社の金儲けだけで購入者のことは何一つ考えていませんでした。

この不誠実な姿勢は二子玉川再開発と完全に同じものです。周辺住民の生活を破壊して平然とするような会社がマンション住民の利益を考えられる筈がありません。二子玉川の再開発に反対することは地域の環境を守るだけでなく、消費者を守る運動でもあります。