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林田力『こうして勝った』資格、受験

『3時間でわかる! LEC式 はじめての宅建教室』を読んで

本書は大手資格試験予備校による国家資格・宅地建物取引主任者(宅建)の受験検討者向けの入門書である。宅建主任者の仕事内容や待遇、試験内容を分かりやすく紹介する。メインターゲットは資格取得に向け一歩を踏み出そうとする受験予備軍であり、受験生向けの試験問題集とは異なる。しかし、本書では現実の裁判例をベースに具体的な問題を解説しており、受験生でも得るものがある深い内容になっている。
一般に資格試験予備校に対する社会的評価は高くない。受験に合格するためのテクニックだけを教える場所という印象があるためである。しかし、その種の予備校観を本書は覆すものである。
本書での宅建資格に対するスタンスは一貫している。不動産取引は一生かけて支払うほどの大きな金額が動き、数々のトラブルが生じやすい。そのために国家資格者である宅建主任者がトラブルから守る必要があるとする。たとえば本書には以下の表現がある。
「宅地建物取引主任者が法律問題に明るくない人を、こうしたトラブルから守ってあげなくてはならない」(35ページ)
「厳しい規定を守っているからこそ、一般消費者は宅建業者に金額の大きな商品の取引を信用して委ねることができる」(145ページ)
法律は消費者を守るためのものであって、法の抜け穴を突いて儲けるために存在するわけではないことを本書は理解している。相手の無知につけ込み、自社の有利になるように取引条件をまとめることが宅建主任者の仕事ではないことを本書は認識している。
それ故に本書が推奨する学習法も試験を突破するテクニックではなく、法の趣旨に沿ったものとなる。民法など権利関係については「不動産取引のトラブルを公平に解決するためにはどうすればいいのか、自分が登場人物の立場になって考えると意外と簡単に答えが出てくる」とする。また、宅建業法については「この分野の学習のコツは消費者の立場に立って考えること」と述べる(31ページ)。
私は宅建業者から不利益事実を隠して新築マンションをだまし売りされた経験がある(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。そこでの宅建業者や宅建主任者の姿勢は本書が期待するものとは正反対であった。法の趣旨には反するが、消費者に問題物件を押し付けて、自社の利益を上げるだけの宅建主任者は存在する。このような現実があるからこそ、本書のスタンスは輝いている。編著者のような教育機関が受験指導を行うことには社会的意義があると感じた。

『3時間でわかる! LEC式 はじめてのFP教室』を読んで

本書は大手資格試験予備校によるファイナンシャル・プランナー(FP)の入門書である。資金計画の必要性から始まり、FPの仕事内容、資格内容、資格取得のための試験科目、FPの仕事に必要な心構え、資格の活用法について平易に説明する。
資格試験予備校の書籍であるため、試験に合格するためのテクニックが書かれているとの先入観を抱きがちである。しかし、本書はFP資格取得の動機付けとするための書籍であり、FPの仕事内容の説明に力点が置かれている。これは同一シリーズの『3時間でわかる! LEC式 はじめての宅建教室』と共通する。
一方、『宅建教室』では試験問題にも登場しうる具体的な裁判事例を出して、法律的な考え方を説明していたが、そこまで『FP教室』では踏み込んでいない。これは宅地建物取引主任者(宅建)に比べ、FPの資格イメージや仕事内容が相対的に不明確であることに起因すると考える。
FPの資格自体が国家資格「ファイナンシャル・プランニング技能士」(3級・2級・1級)、民間資格「AFP(アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー)」「CFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)」と多彩である。
また、宅建は有資格者でなければできない業務(重要事項説明など)が法律で規定されているが、FPの仕事は有資格者でなくても可能である。反対にFPに関係しそうな仕事でも他の国家資格との関係で扱ってはいけないものもある。たとえば確定申告の書類作成を税理士ではないFPが業務で行うと違法になる(120ページ)。
このために本書がFP論に紙数を割くことは必然的な帰結である。中でもFPの倫理については厳しい。FPはクライアントの収入や家族構成など普通ならば他人に話さない情報を知る立場にある。当然のことながら、それらの情報は絶対に口外してはならない守秘義務が課せられている。この点について本書は厳しい表現が並んでいる(121ページ)。
「おしゃべりな人には向いていません」
「つい他人に話したくなるような秘密を知りえたとしても、それを口外した瞬間、FP生命は終わり」
「一度失ってしまった信頼を取り戻すことはできません」
「顧客の秘密を守るということは、資格の有無よりも重要なFPの義務だということを心得ておいてください」
私は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から新築マンションをだまし売りされ、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』)。裁判で東急不動産の代理人弁護士から年収や家族構成を暴露される陰湿な攻撃を受けた。守秘義務のある弁護士にあるまじき態度に激しい憤りを抱いた。この経験があるために有資格者の倫理に厳しい本書の姿勢は好感が持てる。
資格試験予備校は試験への合格が一義的な目的であるが、本書は資格保持者のあるべき姿を描いている。資格を取得して終わりとしない本書の姿勢を高く評価する。

『3時間でわかる! LEC式 はじめての診断士教室』の感想

本書は大手資格試験予備校による国家資格受験検討者向け入門書シリーズの一冊で、中小企業診断士を扱う。試験科目のような資格取得のための情報以上に、資格者の仕事内容や心構え、開業者の平均年収など資格取得後を見据えている点は他の資格の書籍と共通する本シリーズの特徴である。
中小企業診断士の仕事は「診る」「書く」「話す」である。「診る」は本業のコンサルティング、「書く」は書籍や問題集を執筆する文筆業、「話す」はセミナーや講演である(71ページ)。業務独占資格ではない中小企業診断士の場合、特定のことだけをすれば食べていけるという甘さはないが、様々な仕事の可能性が開かれている。
『3時間でわかる! LEC式 はじめての○○教室』シリーズの中で『宅建教室』や『FP教室』と比べた本書の特徴は冒頭で中小企業診断士の仕事内容を会話形式で紹介していることである。中小企業診断士が大学生との会話によって企業へのコンサルティング事例を説明する。宅建やFP以上に中小企業診断士は仕事内容がイメージしにくい。そのため、会話形式で分かりやすく説明する導入部は効果的である。
取り上げるコンサルティング事例は、従業員のモチベーション向上、マーケティング戦略の見直し、資金繰りの改善と多彩である。コンサルティングというと新規ビジネス立ち上げのような華々しいものに目が行きがちだが、これらの事例は全て既存の企業が抱える具体的な問題点を出発点としている。資金繰りのような地味な案件こそ、実は多くの企業にとって重要で深刻な問題である。
その資金繰り改善事例では診断士は以下のように述べる。「中途半端なプライドは捨てて、もう誰がどう見てもお手上げ―なんて状況になって初めてコンサルタントに相談をするなんてことはないようにしてほしい」(51ページ)。
経営が苦しくなった企業経営者は何とか企業を存続させようとするあまり、無理を重ねた結果、傷口を広げ、最終的には顧客や取引先に甚大な迷惑を及ぼすことが少なくない。金策に窮して、知人を保証人にして高金利で借り入れしようとする。このようにして延命を図ると、結局のところ悪い方へと進んでしまう。このようになる前に相談することが多くのステークホルダーの利害に直結する経営者の責任である。
本書では中小企業診断士が日本版MBA (Master of Business Administration)と呼ばれていると紹介する(65ページ)。試験範囲がMBAの科目と似通っており、中小企業診断士になるためにはビジネスパーソンとして一流と目されるだけの能力を身につける必要があるためである。本書自身も中小企業診断士を目指す方だけでなく、多くのビジネスパーソンにとって有益な一冊になっている。

『3時間でわかる! LEC式はじめての公務員教室』の感想

本書は大手資格試験予備校による「3時間でわかる! LEC式はじめての教室」シリーズの一冊である。同シリーズは資格などの受験検討者向け入門書シリーズで、本書は公務員を対象とする。宅建主任者のような資格ではなく、公務員という職を扱う点が同シリーズの他の書籍とは異なる。
この相違点が本書をシリーズ内で一風変わったものとしている。中小企業診断士やファイナンシャル・プランナーの場合は独立開業できることを魅力としてアピールしていた。これに対して、本書は公務員の安定性や労働条件の良さ(手厚い手当てや退職金など)を強調する。
一口に公務員と言っても様々である。国家公務員と各地方自治体を雇用主とする地方公務員に大別される。職種も行政職から技術職、外交官、警察官、裁判所事務官など幅広い。それらの個々の職種の仕事内容について説明しており、本書全体に占める割合が大きくなっている。
その結果、個別の職種の概要説明の集合体のようになり、「公務員のあるべき姿」論が弱い。資格を対象とした同シリーズの書籍が資格保持者の倫理について紙数を割いていたことと比べると対照的である。公務員の総論的な部分では公務員の待遇の良さばかりが目立つ。民間労働者と比べた公務員の厚遇への風当たりが強い現在、労働条件の良さをアピールポイントとする本書のスタンスは如何なものかという考えも成り立つ。
私は官尊民卑や官民格差を是としない。しかし、「派遣切り」や「ワーキングプア」が象徴するように日本の民間企業の労働条件は健康で文化的な最低限度の生活を営む上で不十分という現実が存在する。そのレベルに公務員の労働条件を合わせることが公正ではない。民間労働者にとって公務員バッシングは共鳴しやすいが、民間の労働者搾取の現状を正当化してしまうという罠がある。官民格差が労働条件の低い方に「是正」されてしまうならば労働運動の敗北になる。
この点を踏まえるならば労働条件の良さを求めて公務員を志望する人が存在することは必ずしも悪いことではない。日本ではノブレス・オブリージュの精神が乏しいと批判されるが、他者に多くを与えられる貴族は存在しない方が平等社会である。公務員は国民の奉仕者でなければならないが、公務員の仕事は特権階級の義務として上から目線で奉仕することではない。公務員に求められていることは一般の民間労働者と同じ目線である。そのためには自らも労働者として自身の労働条件を守れるような存在である必要がある。
また、公務員の義務を総論として説明するならば、政治活動や政党加入・労働基本権の制限を説明することになる。しかし、これらは日本の現行制度に基づくものに過ぎず、民主主義社会における当然の前提ではない。たとえばドイツでは兵士は「制服を来た市民」であり、待遇改善を訴えてデモも実施している。
本書は公務員検討者向けの入門書であって、日本の公務員制度の批判や提言は対象外である。しかし、入門書で現行制度を無批判に記述することは現状肯定につながる危険がある。その意味では公務員論が弱い点が本書の限界であるものの、反対に詳述しない本書に志が感じられる。

『東大理3 合格の秘訣24』を読んで

本書は大学受験最難関と称される東京大学理科3類の2009年入試合格者44人の体験記を集めた書籍である。予備校講師や合格者の母親のコラムも掲載する。
勉強方法だけでなく、生い立ちや高校生活、志望動機などの記述が充実しており、合格者の人間像に迫ることができる。理科三類は大学受験の最難関であるが、医者を送り出す教育機関でもある。本書の合格者のほとんどが医者になること、病気や怪我を治すことという明確な動機を抱いていることは好ましい。
驚かされた点は合格者達が受験勉強一筋ではなかったことである。受験中の睡眠時間は大体7時間程度である。意外にも文化祭や部活動など充実した高校生活を送っていた。一般に詰め込み教育や偏差値人間の弊害が説かれており、歓迎できる内容である。一方で死ぬほど勉強しなくても合格したという事実は、凡人でも必死に勉強すれば報われるという希望を喪失させてしまう。次に述べる格差社会化と合わせると複雑な気分になる。
近年の格差社会化においては親の収入と子どもの学力・学歴との相関が指摘される。合格者達は超がつくほどの金持ちではないが、幼い頃から習い事や小中学校を受験しており、生活の苦労を感じさせない。一方で格差の拡大によって一昔前の中流の生活が困難になっている家庭が急増している。この意味では東大理3の合格者も格差社会を反映している。
本書のユニークさは合格者に「派遣切りの原因はいったい何だと思いますか?」という社会派的な質問をしている点にある。この回答は経済情勢(不況)や企業姿勢(企業倫理の欠如)、制度上の問題(派遣労働者の立場の弱さ)に大別された。
派遣切りは格差社会の悲劇として大々的に報道されたが、一方で派遣労働者という立場に甘んじていたとする自業自得論も主張された。これに対して、本書の合格者の中では派遣切りの原因を派遣労働者側に負わせる回答は僅か1件(「技能が低い」)であった。ここに救いが感じられる。
自業自得論は持つ者が持たざる者を蔑視することから生じる無責任な感情論であると考える。仮に自業自得論が正当化できるとしたならば、本人の努力によって派遣労働者の境遇から抜け出すことができなければならない。これができないからワーキングプアが社会問題になっており、自業自得論は現実を無視した空論である。この点において、かなりの努力をした筈の東大合格者の多くが自業自得論に与していないことは重要である。
実際のところ、自分よりも下の層を貶めて自尊心を満足させる人々は別として、真の成功者は自らの成功に対して謙虚である。自分一人の努力だけで成し遂げたとは考えておらず、失敗者を本人の努力が足りないからと見下して悦に入ることもない。本書の合格者達には世の中の成功者達と共通する他者への共感力が存在する。医療を取り巻く環境は厳しいが、合格者達が今の気持ちを忘れずに活躍することを期待する。


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