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バーチャルオフィスの実態が証人尋問で浮き彫りに

バーチャルオフィス業者の日本リージャスが利用料金の支払いを求めて契約者を提訴した訴訟(篠田賢治裁判官)の証人尋問と被告本人尋問が2011年9月21日に東京地方裁判所630号法廷で行われた。尋問によってバーチャルオフィスの実態が浮き彫りになった。尋問では証人の表情を裁判官が指摘するという珍しいやり取りがなされた。
IT企業を経営するA氏は日本リージャスと2008年8月1日から1年間のバーチャルオフィス契約を締結した。A氏は1年間で終了する契約であると主張するが、日本リージャス側は「契約が自動更新された」と主張し、翌年分の利用料金を請求した(林田力「電話代行サービスは電気通信事業にならないか(上)」PJニュース2010年12月1日)。
http://www.pjnews.net/news/794/20101130_5
日本リージャスが申請した証人尋問では、日本リージャスの債権管理部長だった人物が証言した。この元債権管理部長はA氏に翌年分の料金支払いを督促した人物である。元債権管理部長は契約締結過程には関与していない。契約時にA氏を担当した営業B氏と渋谷センターのマネージャーC氏は共に退職し、「会社から連絡を取ることは困難」と証言した。
従って契約締結当時の状況についての元債権管理部長の証言は伝聞になる。契約締結当時の状況は「引き継ぎを受けた時に聞き、提訴後の準備書面作成時に改めて聞いた」とした。日本リージャスが提出した陳述書も元債権管理部長がB氏らから聞いた話という形になっている。
伝聞になるが、元債権管理部長は「A氏は自動更新を定めた契約条項に納得していたとの認識」と述べ、「契約期間を一年限りとするような特約はない」と証言した。
契約締結時に営業B氏はA氏から「特殊な条項を説明して欲しい」との要望を受けた。また、A氏から「1年間限定の契約ができないか」との希望も受けた。ここまではA氏の主張とも合致する。しかし、「その希望を営業B氏は受け入れなかった」とする。この点についてA氏の本人尋問では「B氏は1年限りとすることに合意した」と真っ向から対立する。
契約締結時はB氏のみで応対したか、渋谷センターのマネージャーなど他の人物も応対したかの質問には「分かりません」と回答した。この点についてA氏の本人尋問では「B氏と別の人の2人が応対した。但し、もう一人の名前は分からない。渋谷センターの職員はコロコロ変わっていたので」と述べた。
元債権管理部長は「日本リージャスでは契約書を自社用と顧客用に2通作成し、例外はない」と証言した。この点はA氏の主張「自分には契約書は交付されていない」と矛盾する。
A氏は本人訴訟であるため、元債権管理部長の反対尋問ではA氏自らが質問した。A氏は「事前に準備したメモを忘れた」と述べ、記憶を頼りに質問したため、漫然とした質問から始まった。A氏は日本リージャスの年商やサービス概要について質問し、元債権管理部長は「年商は把握していない」「サービスは、ある程度は把握している」と回答した。
A氏と契約した当時の営業B氏のポジションについて「はっきりしていないが、ゼネラルマネージャーではないか」と述べた。ゼネラルマネージャーとはセンターの営業責任者である。これに対し、A氏は「B氏は『東京地区にあるセンター全てを担当している』と説明しており、エリアマネージャーではないか」と追及した。元債権管理部長は、「そうであるならば、エリアマネージャーかもしれない」と心許ない回答であった。
契約期間についての質問では「1年間の契約も可能であるが、自動更新しない契約はない」と繰り返した。転送電話については「日中はスタッフが受けて転送するが、営業時間外の夜間はボイスメールまたは自動転送する」と述べ、一部で機械転送を行っていることを認めた。
裁判所の補充尋問では営業B氏の退職時期が質問された。「営業B氏は2010年の終わり近くに退職した」とする。元債権管理部長は「B氏に3回程度ヒアリングしたが、全て口頭であった」と答えた。
さらに裁判所から日本リージャスの客層について質問がなされ、元債権管理部長は「外資系企業が4割、残りの半数が日系大手企業、残りがベンチャー」と答えた。顧客の信用力についての質問には「ベンチャーが低い」と答えた。それに対して裁判官は「答える時にニターと笑いましたね」と指摘し、その理由を尋ねた。元債権管理部長は「未払いになる顧客の大半がベンチャーであり、信用力のハードルを高くしなければならない」と回答した。
証人尋問では証人は裁判官の方を向いているため、傍聴席から証人の表情を見ることはできない。また、証言の内容は記録されるが、表情は記録されない。裁判官が「証人がニターと笑った」ことを指摘したことは、通常の記録では抜け落ちてしまう事実を記録することになる。
続いてA氏の本人尋問である。A氏は本人尋問のため、主尋問ではA氏作成の尋問事項書に基づいて裁判官が質問した。これは本人訴訟の本人尋問の通常の方法であるが、本人作成の尋問事項書を読み上げるだけで、酷い場合は一部の質問をカットしてしまう例もある。これに対して、この尋問では裁判官が尋問事項書にない質問も追加するなど、本人からの陳述の引き出しに積極的な姿勢を見せた。
A氏は「契約条件についての説明は全くなかった」と述べた。「B氏が説明しなかったために、『特別な条項を説明して下さい』と助け舟を出したところ、『特別なことはありません』」との回答であった。その後の雑談の中で自動更新について突然言われたため、契約期間を1年間限定とすることを求め、B氏も同意した。契約書は「後から送付する」と言われた。しかし、送付されなかったために渋谷センターの職員に確認したところ、「契約書は渡さないことが普通」と言われた。
また、A氏は転送電話を利用していたが、「利用料金は実費のみと言われていたが、実際は電話会社から請求される額よりも高かった」と述べた。そのために「転送を止めるように依頼したが、しばらくすると日本リージャスは転送してきた」という。
反対尋問では契約書に自動更新の定めがあることなどが追及された。代理人の質問「転送電話を止めるように依頼した後も勝手に転送してきたと述べているが、請求通りに料金を支払っているのは何故か」には、「通信料金は使った以上は払うべきものだから」と回答した。A氏が経営する事業に対する質問もなされ、A氏が「訴外の質問である」と反発する場面もあった。
裁判所の補充尋問では「契約期間を1年限りとするとの合意がなされたのに、契約書が修正されなかったことは何故か」などと追及した。これに対してA氏は「1年限りとするという合意はなされており、契約条項への反映はB氏の責任で行うべき」と応えた。
日本では、だまされた方が注意深ければ被害を回避できたとして、被害者の落ち度を強調する言論が幅を利かせている。しかし、だます側と、だまされる側では圧倒的に、だます側が悪い。だまされる側に不注意があったとしても、その不注意に詐欺師は乗じたことになり、一層悪質である。だまされた側の正論を唱えたA氏の主張が司法に通用するか注目である。
尋問終了後に日本リージャスの代理人弁護士から和解の提案がなされた。「日本リージャスに相談する必要がある」と留保しつつも、「請求額を10万円以下にしても和解は可能」と述べた。しかし、A氏は「可能と思っているのですか」と拒否した。
代理人は「支払い額がゼロでも和解はないか」と尋ねたが、A氏は「日本リージャスさんが支払うべき」と主張した。A氏は日本リージャスからの詐欺、意味不明な請求、不当訴訟によって非常な精神的損害を受けているとして、90万円の損害賠償の支払いを求める反訴を提起しているが、代理人の主張は反訴を無視しているためである。
傍聴席にはA氏と同じように契約は解約できないとして日本リージャスから内容証明郵便で利用料金を請求されている人物も傍聴し、問題の広がりを示していた。次回期日は11月16日13時15分から630号法廷で行われる。結審する予定である。

本人訴訟被告がブログで転送電話の証言者募集

バーチャルオフィス業者の日本リージャスから提訴された本人訴訟被告のA氏が2011年6月16日に告発ブログ「悪徳リージャスの不正を暴く」を開設した。ブログではリージャスの転送電話サービスの実態を証言してくれる人を募っている。訴訟の当事者がインターネットで情報発信することは珍しくなくなったが、証言者の募集は注目に値する。
http://againstregus.blog97.fc2.com/
問題の裁判は日本リージャスが1年分のバーチャルオフィスの利用料の支払いを求めた施設利用料請求事件で、東京地方裁判所で係属中である(平成22年(ワ)第33571号)。日本リージャスは期間満了の3ヶ月前までに解約通知がなかったために年間契約が自動更新されたと主張する。
これに対してA氏は契約期間満了前に解約を申し入れたために、契約は解約されたと反論する。また、日本リージャスからの詐欺、意味不明な請求、不当訴訟によって非常な精神的損害を受けているとして、損害賠償の支払いを求める反訴を提起した。
A氏は日本リージャスのバーチャルオフィスでは転送電話を提供しており、電気通信事業法上の電気通信事業に該当すると主張する。電気通信事業法第26条は契約条件の明示義務を規定しており、意図的に解約条件(3ヶ月以前に申し入れしなければ自動更新される)を明示しなかった日本リージャスは不当とする(林田力「電話代行サービスは電気通信事業にならないか(下)」PJニュース2010年12月2日)。
http://www.pjnews.net/news/794/20101130_6
ところが、日本リージャスは2011年3月23日に陳述した原告準備書面(5)で、電話の自動転送又は無条件転送といったサービスを提供していないと反論した。電話の転送とはリージャスの担当者が電話に出て応対した後で、指定の番号に転送することと説明する。これに従うならば電気通信事業法違反とのA氏の主張の前提が崩れる。
これに対し、A氏は6月8日に陳述した被告第4準備書面で、日本リージャスの主張が契約時の説明と異なると主張した。合わせて日本リージャスのウェブサイトを証拠(乙第11号証)として提出した。それは日本リージャスの「テレフォンオンリー」サービスを紹介したページである。
そこでは「テレフォンオンリー」を「お客様専用の電話番号にかかってきた電話にリージャスのスタッフが貴社名で応対するサービスです」と説明する。これは原告準備書面(5)の主張を裏付ける内容である。しかし、具体的なサービスの詳細には「転送電話」として、「掛ってきた電話は24時間対応で指定転送先へ転送されます。」と説明する。これを日本リージャスが自動転送を行っていた証拠とする。
ブログでは「日本リージャスが、公然と続けている電気通信事業法違反を免れる為に嘘の主張をした」と批判する。その上で実際に日本リージャスから転送電話のサービスを受けていた人の証言を募集している。

電話代行サービスは電気通信事業にならないか

日本リージャス株式会社の提供するサービス「テレフォンオンリー(電話代行)」に電気通信事業法違反との批判がなされている。
日本リージャスはレンタルオフィスやバーチャルオフィスを提供する企業である。テレフォンオンリーはバーチャルオフィスの一環として提供するもので、サービス内容には電話応対や電話の転送、ボイスメールなどが含まれる。電話の転送などは電気通信事業法上の電気通信事業に該当し、電気通信事業者としての届出なくサービスを提供することは電気通信事業法違反と指摘される。
電気通信事業法では電気通信役務を「電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供すること」と定義する。電話の転送は他人の通話を交換機などの電気通信設備を用いて可能にするもので、電気通信役務に該当すると判断できる。
また、電気通信事業法では電気通信事業を「電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供する事業」と定義する。電話の転送サービスは他人(顧客)の需要に応じる事業であり、電気通信事業に該当すると判断できる。その上で電気通信事業法は第16条で「電気通信事業を営もうとする者は、総務省令で定めるところにより、次の事項を記載した書類を添えて、その旨を総務大臣に届け出なければならない。」と定める。
記者が総務省総合通信基盤局電気通信事業部に問い合わせたところ、電話転送には電気通信事業者の届出が必要との見解であった。また、日本リージャスに電話で問い合わせたところ、「弊社はオフィスのプロバイダーであり、問題ないと考えている」との回答であった。
この問題について本人訴訟の裁判で争っている人物(A氏)がいる。以下はA氏の説明に基づく。
A氏は日本リージャスからバーチャルオフィス契約に基づき、郵便物の代理受領と電話応対サービスの提供を受けていた。契約期間は2008年8月1日から1年間であった。2009年7月にA氏は解約を申し入れたが、日本リージャスは「契約が自動更新された」と主張した。その後、日本リージャスは2009年8月から1年分の利用料の支払いを求め、A氏を東京簡易裁判所に提訴した。
これに対し、A氏は2008年の契約時に「1年で契約を終了」と指示したと反論する。また、契約の自動更新を止めるためには3ヶ月前までに通知しなければならないという条項が契約書に含まれていることの説明はなされなかったと主張する。これをA氏は「詐欺」と表現する。
契約書には「当初契約期間満了時には、お客様と当社のいずれか一方より契約の解約の申し入れがされない限り、当初契約期間と同じ期間、自動更新されます」との文言がある。A氏は当初契約期間満了前に解約を申し入れたため、契約は有効に解約されたと主張する。
一方で契約書には「本契約書記載の契約期間および更新期間の満了時にはお客様および当社のいずれも、相手方に3ヶ月前に通知することにより本契約を解約することが出来ます」との文言もある。この規定に基づいて日本リージャスは契約が自動更新されたと主張する。
A氏は日本リージャスからの詐欺、意味不明な請求、不当訴訟によって非常な精神的損害を受けているとして、2010年6月に90万円の損害賠償の支払いを求める反訴を提起した。この直後に訴訟は東京地方裁判所に移送された(平成22年(ワ)第33571号、施設利用料請求事件)。
A氏は2010年11月19日付で調査嘱託及び文書送付嘱託を東京地方裁判所に申し立てた。調査嘱託は総務省に対し、日本リージャスのテレフォンオンリーが電気通信事業に該当するかの見解を問うものである。文書送付嘱託では2010年2月15日付でA氏が総務省に申し立てた「電気通信事業法に関する違反の申告」に対し、総務省が日本リージャスに対して行った調査の結果をまとめた報告書の送付を求めている。
A氏は訴訟の論点と電気通信事業法違反と訴訟との関係について以下のように主張する。
第一に電気通信事業法第26条は以下のように契約条件の明示義務を規定する。
「電気通信事業者及び電気通信事業者の電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理を業として行う者(以下「電気通信事業者等」という。)は、電気通信役務の提供を受けようとする者(電気通信事業者である者を除く。)と国民の日常生活に係るものとして総務省令で定める電気通信役務の提供に関する契約の締結又はその媒介、取次ぎ若しくは代理をしようとするときは、総務省令で定めるところにより、当該電気通信役務に関する料金その他の提供条件の概要について、その者に説明しなければならない。」
ところが、日本リージャスは意図的に解約条件(3ヶ月以前に申し入れしなければ自動更新される)を明示せずに契約させた。これは電気通信事業者であるならば許されないことであった。
第二に電気通信事業法第27条は、以下のように苦情等の処理を規定する。
「電気通信事業者は、前条の総務省令で定める電気通信役務に係る当該電気通信事業者の業務の方法又は当該電気通信事業者が提供する同条の総務省令で定める電気通信役務についての利用者(電気通信役務の提供を受けようとする者を含み、電気通信事業者である者を除く。第二十九条第二項において同じ。)からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速にこれを処理しなければならない。」
A氏は解約条件について説明を受けていないことを苦情として申し入れたが、日本リージャスは苦情を無視し、いきなり提訴してきた。これも電気通信事業者であれば許されないことである。
これらに基づいてA氏は日本リージャスが電気通信事業法の消費者保護規定を免れるために電気通信事業者の届出をしていないと結論付ける。
民事訴訟において調査嘱託などの積極的な実施は真実を明らかにし、公正な裁判を実現する一つの手続きになる(林田力「臓器移植名誉毀損訴訟で調査嘱託申し立て=千葉」PJニュース2010年9月23日)。裁判所の判断が注目される。