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林田力『東急不動産だまし売り裁判』インターネット・2ch

 

インターネット... 1

ミクシィ、コミュニティランキングを公開... 1

Googleが急上昇ワードを撤去... 2

ブラウザ上でWebサイトを作成できるJimdo. 3

交通の男女差別に反対する会が公開質問... 4

漫画家・唐沢なをき氏がNHKの取材方法に不快感... 5

ビジネス... 6

サービスとしてのソフトウェアSaaSの将来像... 6

転職セミナーでプロフェッショナルの姿勢を考えた... 8

感情は変えられないが、思考や行動は変えられる... 9

ヤフー第13回定時株主総会開催... 11

IT基盤とデータセンターの最新動向を紹介... 12

成果主義は何故嫌われるのか... 14

 

 

インターネット

 

ミクシィ、コミュニティランキングを公開

SNSサイト「ミクシィ(mixi)」は20081120日、インディーズ機能「コミュニティランキング」をリリースした。ミクシィは人と人との繋がりをベースとした招待制のソーシャル・ネットワーキングサービス(SNS)で、国内最大規模を誇る。

インディーズ機能とは正式サービス前の実験的に公開された機能を指す。期間限定で公開しており、今回のコミュニティランキングは2009520日まで公開する予定である。

コミュニティランキングは、その名のとおり、ミクシィ上のコミュニティのランキングである。コミュニティは特定のテーマを持ったユーザーの集まりで、掲示板的なトピックを立てて交流できる。

今回リリースされたコミュニティランキングはトピックへのコメント数をメインの指標として、3種類のランキングを提供する。

1に総合ランキングで、全コミュニティの中から上位コミュニティを表示する。

2にカテゴリー別ランキングで、カテゴリー別のランキングである。カテゴリーは娯楽、知識、生活、グループ、芸能、その他の6種類に分かれている。

3にトピックランキングで、全コミュニティの中からトピック別の順位を表示する。

ミクシィでは基本機能としてコミュニティ検索機能が提供されている。これはウェブを検索するサーチエンジンと同じである。検索キーワードを入力してヒットしたコミュニティを表示する。検索結果はコミュニティ参加メンバー数順にソートできるため、関心のある分野で大勢の人の集まっているコミュニティを探すことができる。

しかし、人数だけは多いものの過疎化しているコミュニティもある。また、特定の時期に書き込みが多いコミュニティもある。本機能の開発者の日記では歌手の倖田來未さんの誕生日に、倖田來未さんのコミュニティの発言が活発になったことを明らかにしている。コミュニティランキング機能ではコミュニティの活発さや瞬間的な勢いをリアルタイムで把握できる。

2023時に総合ランキングを確認したところ、1位「街へいこうよ どうぶつの森」、2位「クロノトリガー」とゲーム関連のコミュニティがワンツーフィニッシュを飾った。プレイヤー同士の情報交換が活発であることを示している。

ミクシィは自分のページにマイミクの日記やコミュニティの最新書き込みが表示されるように、主体的に探しに行かなくても情報が入ってくる点が特徴である。日記で使われた上位キーワードを表示する「注目のキーワード」という機能もある。ミクシィは他の人が何に関心を持っているのかを共有できる場なのである。関心の高いコミュニティやトピックを表示する本機能も、この延長線上にある。

全世界に公開するオープンさを特徴とするインターネットにおいて、ミクシィはクローズドな招待制のサイトということで人と人とのつながりという点で注目された。しかし、ユーザー数が1000万人を突破し、顔見知りだけの内輪の空間とは言えなくなった。むしろ、ミクシィは自分の関心に閉じこもりがちなネチズンが世の中とつながる場として意義を有する。コミュニティランキングは、その手助けとなる機能である。

 

Googleが急上昇ワードを撤去

大手ポータルサイトのグーグル(Google)は2009327日にリニューアルした日本版トップページをリニューアル前の状態に戻すと発表した。グーグルでは25日にトップページをリニューアルし、急上昇ワードを表示させるようにしていた。急上昇ワードをトップページから撤去したグーグルの決定はインターネットメディアらしいものである。

急上昇ワードは検索数が急上昇している検索キーワードを紹介するもので、検索窓の下に5つのキーワードを表示する。キーワードをクリックすると、当該キーワードの検索結果が表示される。検索エンジンは自分が知りたい情報を探すために訪れるサイトである。これに対して急上昇ワードは自分が何を知りたいかにお構いなしに世の中で注目を集めているキーワードを表示する。この点で急上昇ワードは検索エンジンとは正反対のポジションに位置する。

インターネットの特徴として情報の豊富さが挙げられるが、知りたい情報だけを効率よく入手できることも大きな特徴である。テレビや新聞・雑誌では見たくない情報も自然に入ってしまう。自分の知りたい情報だけに浸かることが良いことか否かは別に議論すべきであるが、興味ない情報に接しなくて済む点がネットユーザーに歓迎されている面はある。

この観点に立つならば急上昇ワードはネットユーザーにとって不愉快なものとなりうる。検索をするためにグーグルのトップページにアクセスする度に、興味ない分野の知りたくない情報が否応なく視界に入るためである。見たくない情報をシャットアウトしたいユーザーにとってはサービス悪化と受け止められるだろう。

しかも急上昇ワードとして紹介されたキーワードはニュースで大々的に報道されたものばかりである。例えば女優の藤原紀香さんの離婚が報道されると、「藤原紀香」が急上昇ワードとして表示されるという具合である。これではニュースをチェックすれば済む話である。マスメディアとは異なる情報をインターネットに期待する向きには面白味がない。

加えて急上昇ワードはクリックするとWeb検索結果が表示されるが、ニュース報道により急上昇ワードとして浮上したキーワードをWeb検索しても急上昇になった要因はつかめない。離婚報道がなされたばかりの段階で「藤原紀香」をWeb検索しても藤原紀香の一般的な情報ばかりで、ニュース記事以外では離婚についての情報は乏しい。やはりニュース記事をチェックした方が早い。

結論として急上昇ワードは情報を主体的に探し出したい検索エンジン利用者にとって、それほどメリットのある機能ではない。マスメディア化するのではなく、シンプルな検索エンジンとして踏みとどまるならば、グーグルが急上昇ワードをトップページから撤去したことは合理的である。

 

ブラウザ上でWebサイトを作成できるJimdo

Webサイト(ホームページ)作成&ホスティングのオンラインサービスJimdo(ジンドゥー)でホームページを作成した。JimdoはドイツのJimdo社が開発したサービスで、Jimdo社と業務提携したKDDIウェブコミュニケーションズが2009325日に日本語版をリリースした。

Jimdoの特徴はブラウザ上でWebサイトを作成して公開できることである。無料でWebサイトをホスティングするサービスは星の数ほどあるが、ブラウザ上でのクリックやタイプで操作する点が差別化要素である。KDDIウェブコミュニケーションはリリースから5日間で日本語版アカウントの登録件数が1万件を突破したと発表し、盛況ぶりを物語る。一方で無料Webホスティングサービスの草分けともいうべき米国Geocities2009年中の閉鎖が発表されており、ネットサービスの移り変わりを実感させられる。

Jimdoで作成するWebサイトの基本構成は画面上部が全ページ共通のタイトルで、その下にメニューがある。また、画面下部には印刷用ページとサイトマップのリンクが用意され、それなりのWebサイトを比較的簡単に作ることができる。初期状態ではサンプルのテキストや画像が埋め込まれており、それを修正する形で自分のWebサイトを作成する。

Webサイトの作成及び修正はログインして行う。ログインすると、自分のWebサイトが編集画面になり、編集したい箇所にマウスを移動してクリックすると、編集モードになる。文字サイズ、フォントもワープロソフト感覚で変更できる。また、特定のレイアウトをHTMLで直接入力することも可能である。画像は自分のPCに保存されているものを指定してアップロードする形である。

ホームページ作成ソフトによってHTMLタグを知らなくてもHTMLファイルを作成できるようになった。しかし、Webサイトとして公開するためには作成したHTMLファイルをWebサーバーに送信する必要があった。これに対してJimdoFTP転送設定からも解放される。ブログが普及した要因としてコメントやトラックバックなど外部とつながるWeb 2.0的技術要素の存在が大きいものの、HTMLファイルの作成やFTP転送に壁があるユーザー層でも使用できる点も大きい。これをJimdoWebサイト作成で実現した。その意味でJimdoはブログ時代に相応しいホスティングサービスである。

 

Jimdoで作成したホームページ

http://hayariki.jimdo.com/

 

交通の男女差別に反対する会が公開質問

札幌市交通局「女性と子どもの安心車両」に対して

交通の男女差別に反対する会(以下:反対する会)が札幌市交通局に送付した公開質問状の回答が2009129日付でなされた。札幌市交通局の回答は24日付で反対する会のWebサイトに掲載された。

反対する会は鉄道・バスなどの公共交通機関における男性及び女性差別の廃止を目的とする非営利団体である。主に女性専用車両について問題提起している。代表者の太田今(おおた こん)は反対する会結成当時は高校生で、高校生発の運動としても注目された。

記者(=林田)も反対する会の会員である。首都圏の鉄道路線で最初に終日女性専用車両を導入したのは東急電鉄の東横線で、2005725日のことであった。当時、記者は購入したマンションに不利益事実(隣地建て替え)不告知があったため、売買代金返還を求めて東急不動産と裁判中であった(参照「東急不動産の遅過ぎたお詫び」)。記者にとって反対する会は反東急つながりという意味合いが強かった。

札幌市交通局では2008818日から912日に南北線で女性専用車両に導入実験を行い、1215日から「女性と子どもの安心車両」を導入した。これに対し、反対する会は200915日付で札幌市交通局に公開質問状を送付した。質問状では主に以下の点について尋ねている。

(1)「女性と子どもの安心車両」という名称は成人男性を排除するものであり、男性に対する差別的名称ではないか

(2)男性の協力は任意であり、乗車を拒否するものではないことをポスターなどで周知すべきではないか

(3)女性専用車両が痴漢対策として本当に効果があると考えているのか

(4)混雑緩和が先決ではないか

(5)実質的に男性を排除することは差別ではないか

札幌市交通局の回答では「女性と子どもの安心車両」の性質を「あくまでも男性のお客様の協力のもとに成り立つものであり、本車両に男性が乗車しても、これを強制的に排除できるとは考えておりません」とする。しかし、(2)の要請については「必要ない」と拒否した。

質問状では「それぞれの質問について、理由を付して、具体的に文書にてご回答をお願い致します」と依頼したが、回答は個々の質問に対応した形にはなっていない。最後は「総合的に判断したものであることをご理解ください」と一方的に理解を押し付ける形で終わっている。

この形式は記者の不動産トラブルにおける東急不動産及び販売代理の東急リバブルの回答と似ている。東急リバブル・東急不動産も記者の質問は無視して、最後は「御理解下さい」で問題物件の販売を正当化した。当然のことながら、記者が理解する筈がなく、裁判によって売買代金を取り戻した。

札幌市交通局の回答は反対する会の質問に対する実質的な意味での回答がなされなかった点は残念である。特に札幌市交通局が男性差別であるか否かという本質的議論を避けた点は大きな問題である。これは裏返せば女性専用車両を肯定する立場にとって、男性差別との主張が避けたくなるほど痛いものであることを示唆している。反対する会にとっては理論的正当性を裏付ける形になった。

一方、回答によって男性の乗車を強制的に排除するものではないことを確認したことは成果である。ポスターなどによる周知は拒否されたが、鉄道会社が周知しないならば、代わりに周知することも反対する会のような団体の使命になる。質問に対する回答は得られなかったが、反対する会にとって意義のある公開質問であった。

 

漫画家・唐沢なをき氏がNHKの取材方法に不快感

『機動戦士ぶよガンダム』などの作品がある漫画家・唐沢なをき氏がNHKの番組『マンガノゲンバ』の取材方法に不快感を表明し、取材を拒否した。妻でエッセイストの唐沢よしこ氏のブログ記事によると、インタビューが誘導尋問的で、ディレクターのストーリーに合わない回答をすると露骨に嫌悪感を示されたという。

私自身は市民記者として取材をしたことがあり、新築マンションだまし売り被害者として取材を受けたこともある(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』参照)。そのため、取材をする側の気持ちも取材を受ける側の気持ちも理解しているつもりである。私の経験を踏まえると、取材者は白紙の状態で相手に話を聞くよりも、何らかの仮説を持っている場合が多い。そのため、取材を受ける側としては取材者の質問に受動的に答えるのではなく、「これは伝えたい」ということを強く打ち出すことが取材を活かすコツになる。

唐沢夫妻も取材者がストーリーを持って取材に臨むことは否定していない。聞く耳を持たないディレクターの姿勢に立腹している。唐沢よしこ氏は2009912日以降、取材拒否の経緯をブログに公表したところ、大きな反響を呼び、NHKが謝罪の申し出をするに至った。マスメディアも無視できないインターネットの影響力である。

特筆すべき点は唐沢氏側が謝罪を受け入れるための条件を付していることである。「ディレクターさんは連れてこないでください」と「オイラが書いたブログの文を手直ししてくれとか、削除してくれとか言うのは受けたくない」である(からまんブログ「『マンガノゲンバ』スタッフの人が謝罪に来ることになりました」2009915日)。前者は被害者感情から自然な要求であり、興味深いのは後者である。

悪いことをすれば謝罪するのは当然である。ところが日本では謝罪が関係改善の道具として使われる傾向がある。さらには自分の謝罪と引き換えに相手から何かを引き出そうとする駆け引きの道具として利用する輩もいる。そのような発想が「謝罪をしたのだから、削除すべき」との主張につながる。しかし、謝罪をしようとしまいと過去の事実は事実として厳然と存在し、事実を帳消しにすることはできない。故に唐沢氏の条件は至極当然の要求である。むしろ、そのような条件をワザワザ付さなければならないところに日本社会の問題が隠されている。

インターネットでは商業主義のマスメディアが取り上げないような貴重な告発情報を入手できる。しかし、残念なことに和解条件などで削除されてしまうものも少なくない。そのような状況が「和解すれば最後は削除される」と悪徳業者などを付け上がらせる結果となる。その意味でも唐沢夫妻の姿勢は高く評価できる。唐沢夫妻のような考え方が当然と受け入れられるような社会にしたい。

 

ビジネス

サービスとしてのソフトウェアSaaSの将来像

SaaS ソフトウェア サービス

Directions 2008 Tokyo開催

調査会社IDC Japan株式会社が主催するDirections 2008 Tokyo2008522日に渋谷で開催された。IDC JapanIT業界の市場調査およびコンサルティングを専門とする企業である。Directionsは毎年開催され、多くのIT業界のプロフェッショナルが参加するイベントである。専門のアナリストによる業界動向や市場予測を聞くことができる。

今年のDirectionsでは市場動向を反映して、NGNNext Generation NetworkIP技術を利用した次世代通信技術)、SaaS、仮想化、コンプライアンスが主要テーマとなった。

本記事ではSaaSをテーマとした赤城知子・IDC Japanソフトウェアグループマネージャーの「予想を超える大きな波、SaaSの潮流と普及のシナリオ」を紹介したい。SaaSSoftware as a Service)は「サービスとしてのソフトウェア」と訳される。ユーザーが必要とするものだけをサービスとしてネットワーク経由で利用できるようにしたソフトウェアの配布形態を指す。ソフトウェアのビジネスモデルを変革し得るものとして注目されている。

赤城氏はセッションでSaaSの認知度、利用形態、市場予測について分析した。先ず認知度である。赤城氏は現状分析としてSaaSの国内での認知度は低いとする。驚くことに国内企業でSaaSを「知らない」と答えた比率が6割という。IT業界内で騒がれているにとどまり、社会に浸透しているとは言い難い。市場拡大のためには認知度を上げる必要があると提言する。

現状の利用形態としては、財務・人事、販売・生産管理、SFASales Force Automation、営業支援システム)、コンタクトセンターなどが多いとする。幅広い分野で既に利用されているということである。

SaaSは大企業ほど導入が早いという。SaaS自体が浸透しているとは言い難い状況では大企業から導入されるのは当然の帰結である。業種別で見ると金融業がトップという。最も保守的な体質に感じられる金融業がトップというのは純粋に驚きである。

この点は赤木氏の次の説明を聞けば納得できる。即ち、金融業のユーザーはマルチテナントよりもシングルテナントを好むという。シングルテナントはユーザー毎にサーバやデータベースを個別に用意する形態である。一方、マルチテナントとはサーバやデータベースを複数のユーザーで共有する形態である。単純化すればシングルテナントはシステムの一社貸切りである。

SaaSに対しては情報漏えいなどのセキュリティ面の懸念があるが、シングルテナントで貸切り状態にすればセキュリティを堅牢にしやすい。SaaSとはいうものの、アウトソーシングに近い形態である。以前より金融業界ではシステムのアウトソースが盛んであり、その意味では抵抗が少ないのも理解できる。

企業がSaaSを導入する動機としては、費用の安さや導入の容易さという投資効果の面からの理由が中心である。中小企業の初期導入費用は500万以下、月額50万以下が大半という。

市場予測について、赤城氏は国内SaaS市場が2007年から2012年まで年平均18.2%で成長すると分析した。期待できる需要として既存システムとの連携を挙げる。成長のピークは20132014年頃で、それ以降は一般的なテクノロジーとして定着するという。

赤木氏の分析はSaaS市場を占う上で興味深い。導入の動機(費用の低額さ、導入の容易さ)やシングルテナントを好む傾向などはアウトソーシングやASPに近い。ASPApplication Service Provider)はアプリケーションをネットワーク経由で提供するサービスで、インターネット・ビジネスの黎明期に流行し、廃れていったものである。

一方で今後の需要として既存システムとの連携を挙げた点からは、ASPとは異なるSaaSの将来像が浮かび上がる。ASPがアプリケーションを丸ごと提供する傾向があったのに対し、SaaSはソフトウェアの必要な部分をサービスとして提供し、社内システムや他のSaaSと組み合わせて利用するような形態を想定できる。

ユーザーの業務の一部を丸抱えするのではなく、必要な機能のみを提供する形である。ソフトウェア機能の部品化という点で企業システム構築におけるSOAService Oriented Architecture、サービス指向アーキテクチャ)とも相通じるものがある。

今年のDirectionsは副題を「Tech X.0時代の新たなビジネス機会を探る」とする。TechTechnology(技術)である。X.0はバージョン番号である。Web 2.0のような使われ方をする。革新的な技術が完成系として登場して社会を変えるのではなく、社会との相互作用の中で2.03.04.0と進化し続けるとの意味が込められていると感じられた。SaaSも、まだまだ発展途上である。これからSaaSが如何なる発展をするか、注目していきたい。

 

転職セミナーでプロフェッショナルの姿勢を考えた

転職 セミナー プロフェッショナル

47回エンジニアtype適職フェア開催

株式会社キャリアデザインセンターが主催する「第47回エンジニアtype適職フェア」が2008531日、東京ドームシティ・プリズムホールにて開催された。キャリアデザインセンターは転職に関する各種サービスを展開する企業である。エンジニアtype適職フェアは転職希望のエンジニアを対象としたイベントで、年間複数回開催される。

当日は雨天にもかかわらず、開場時間11時の10分前には既に入口に長蛇の列ができていた。年度末が過ぎて仕事が一段落し、6月まで在籍すればボーナスが出るという時期であるため、転職希望者が多いのではないかと推測する。

適職フェアでは求人企業の人事対象者から直接話を聞くことができる。求人企業としてトヨタ自動車、日立製作所、日本アイ・ビー・エムをはじめとする多数の有名企業が出展している。また、会場では転職アドバイスや市場価値診断テストも受けられる上、企業担当者によるセミナーも開催された。

その中でマイクロソフト株式会社・福山耕介氏による「スキルアップできる環境で日本一のエンジニアを目指す!」を紹介したい。

福山氏はマイクロソフトのミッションを「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を、最大限に引き出すための支援をすること」と説明する。単に製品を売って儲けて終わりとは考えていないということである。福山氏自身、このミッションを気に入っていると語る。

その上でエンジニアに求めるものとして、圧倒的な技術力、お客様に対する責任感、卓越したコミュニケーション能力、ロジカルな思考力の4点を挙げた。

福山氏のプレゼン内容はマイクロソフトのエンジニアに限らず、全ての職種のプロフェッショナルに必要なものと考える。私は東急不動産から購入したマンションについて、引渡し後に東急不動産の不利益事実(隣地建て替えによる日照・眺望阻害・騒音発生)不告知が判明したため、消費者契約法に基づき売買契約を取り消した(記事「東急不動産の遅過ぎたお詫び」参照)。

私が東急不動産の物件には住んではいられないと考え、契約取り消しにこだわった背景には、東急不動産及び販売代理の東急リバブルの従業員体質が、福山氏のプレゼン内容と正反対であったという面がある。

先ず売ったら売りっぱなしの姿勢が露骨であった。そして専門知識の欠如を恥じることなく「分かりません」で回答を済ませたことにするメンタリティ、問い合わせを放置する無責任な態度、コミュニケーションをとろうとせず一方的に理解(泣き寝入り)を求めるだけの姿勢、「建て替えにより新しい建物になった方が綺麗になって喜ぶ人もいる」という非論理的な言い訳の全てが、驚くほどプレゼン内容の真逆になっている。

プロフェッショナルはどうあるべきか、という深い問題を考えさせられるセミナーであった。

 

DSCF0200.JPG 会場で配布されたパンフレットの表紙 

林田力(2008531日撮影)

 

過去の事実を語ること

過去の事実を繰り返し述べることは何ら非難に値することではありません。たとえ、その過去が誰かにとって都合の悪いものであったとしても、それを理由に過去を語ることを否定することはできません。恨みがあろうとなかろうと、過去の事実を述べることは、それ自体に価値があります

心機一転、前向きに頑張って日本の景気回復に微力なりとも貢献するというような、つまらない方向にエネルギーを注ぐよりも、過去を振り返り、過去の事実を書きとめておく方が遥かに有意義な人生の過ごし方です。

 

問題意識

世の中の出来事を自己の問題意識に照らし合わせることで、自己の中で咀嚼し、深い考察が可能になると考えます。人間は全知全能ではありません。所詮、自分が理解できる範囲でしか理解できない生き物です。単に説明的に記述するだけでは、当たり障りのないものになり、批判はされないかもしれませんが、深みもありません。私にとって大きな問題意識が東急リバブル東急不動産の騙し売りであるということです。

 

感情は変えられないが、思考や行動は変えられる

日経 転職 フォーラム

日経転職応援フォーラムに参加した

日本経済新聞社及び日経HRが主催する日経転職応援フォーラムが2008621日、東京ドームシティ・プリズムホールにて開催された。オーマイニュースの画面上部のバナー広告でも紹介されたイベントである。記者は別企業が主催する「第47回エンジニアtype適職フェア」にも参加しており、両者を比較しながら紹介したい(参照「プロフェッショナルとは何か、転職フェアで考えた」)。

両者とも同じ会場で開催され、求人企業のブースが並び、転職相談コーナーがあり、セミナーが開催される点は共通する。typeが製造(ものづくり)系エンジニアとIT系エンジニア限定であったのに対し、日経は「総合」「ITエンジニア」「金融」「女性」の4コーナーを設け、多くの職種を対象とする。女性向け求人があるため、女性参加者が多かった。

また、typeはエンジニア対象のためか、カジュアルの参加者も多かったが、日経はスーツが大半であった。会場にはドリンクコーナーがあり、飲料を配布している点は同じである。参加者にQUOカードがプレゼントされる点も同じだが、typeが携帯電話のメールアドレスによる事前登録者対象であるのに対し、日経はアンケート回答者に渡された。

typeでは最初に自分の職歴や希望条件をまとめた企業訪問カードを書かなければならない。これは日経も同じだが、事前登録者は事前登録時の情報を印字した企業訪問カードを渡される。会場で書くのは時間がかかる上、立ったまま急いで書くため、字も汚くなる。この点で日経のサービスは優れている。

セミナーは小笹芳央(おざさ・よしひさ)氏の「自立的なキャリアデザインに向けて 〜アイカンパニーの設立とキャリアの因子分解〜」を紹介したい。小笹氏は企業変革コンサルティング会社である株式会社リンクアンドモチベーションの代表取締役である。セミナー開催の20分前には座席は大半が埋まり、立ち見が出るほど盛況であった。

セミナーでは自分自身を株式会社(アイカンパニー)と位置付け、アイカンパニーを成長させるヒントを提言した。一方的に説明するのではなく、聴衆に隣の人とジャンケンをさせるなど奇抜な手法を使って聴衆を惹き付けており、プレゼンの仕方としても勉強になった。

小笹氏の主張の一つは「変えられるものにエネルギーを集中する」である。感情や生理反応は変えられないが、思考や行動は変えられる。腹の立つことがあれば怒りの感情が生じるのは避けられない。だから腹の立つことに直面しても、「ちょうど良かった。これで○○できる」と考えるようにしているとする。マイナス感情に引きずられるのではなく、主体的に意識して思考や行動を決めようと提言する。

これは記者にも思い当たることがある。記者は東急不動産(販売代理:東急リバブル)からマンションを購入したが、引渡し後に不利益事実(隣地建て替えなど)を隠して騙し売りされた真相を知った。その後の東急リバブル・東急不動産の対応は「売ったら売りっぱなし」という不誠実極まりないものであった。当然、記者は烈火のごとく腹を立てた。

しかし一生に一度あるかないかの大きな買い物で問題物件をつかまされて鬱屈としたわけではなかった。「東急リバブル・東急不動産の企業体質を知れて、ちょうど良かった。東急不動産とは縁を切ろう」と決意し、消費者契約法に基づき、売買契約を取り消した(参照「東急不動産の遅過ぎたお詫び」)。それによって今の記者がある。

仕事面だけでなく、人生を豊かにするためのヒントが満載のセミナーであった。

 

DSCF0209.JPG プリズムホール入口の看板

林田力(2008621日撮影)

 

コメントありがとうございます

縁を切るというのは契約を白紙にするということです。東急リバブル・東急不動産の騙し売りや不誠実な対応を忘れてしまうことではありません。それは記憶にとどめておくべき問題です。

また、私の記事でも東急の問題について言及していない記事もあります。強引に結び付けているのではなく、東急の問題に触れる必要がない話題ならば言及しません。私の中の問題意識に占める割合が大きいため、言及せざるを得ないことは多いです。

御忠告はありがたく受け止めます。私の問題意識を変えるつもりはありませんが、一方では読者に喜ばれるような記事を書きたいと思います。

 

コメントありがとうございます

消費者だけでなく、真面目で良心的な業者にとっても悪徳不動産業者は業界のイメージを悪くする故に否定すべきものです。その意味で、悪質な業者を批判することは真面目な業者からも歓迎されることであると考えます。

 

ヤフー第13回定時株主総会開催

ヤフー 株主総会 Yahoo!

株価低迷とGoogleの脅威が株主の関心

ポータルサイトYahoo! JAPANを運営するヤフー株式会社の第13回定時株主総会が2008624日午前10時から約2時間、東京国際フォーラムで開催された。今回は通常の事業報告や役員の選任に加え、定款の変更も決議された。定款の変更内容は吸収合併したアルプス社の事業である地図制作や測量などを事業目的に追加することなどである。

井上雅博社長はヤフーの成長戦略の一つとしてソーシャルメディア化を挙げる。Web 2.0に対応し、個人が発信する情報を取り込んでいく。その例としてYahoo!ニュースを取り上げた。ここでは各種メディアの記事を配信しており、オーマイニュースの記事もパブリックニュースとして掲載されている。

元々は記事を一方的に掲載するだけのWeb 1.0的なコーナーであったが、今ではソーシャルブックマークやブログへのリンク、「みんなの感想」(評価アンケート)やコメント欄を設けた。このような付加価値を付けることで、よりサイトを活用できるようにしているとする。

また、井上雅博社長は米国Yahoo!Googleの提携について、日本と米国の状況の相違を力説した。米国では検索エンジンのシェアの過半数をGoogleが占めているが、日本では逆にYahoo!が過半数である。Yahoo! JAPANとしてはGoogleのシステムを利用するメリットはないと断言した。

株主からの質疑応答では株価の低迷とGoogleの脅威に関心が集中した。ヤフーの株価は20084月に年初来高値の55400円を記録した後、現在は41000円台に低迷している。増収増益にもかかわらず株価に反映されていない点、株主数が前事業年度末と比べて56221名も減少している点などが追及された。これに対し、井上氏は残念な状況としつつ、株価上昇の基本は業績であり、加えてヤフーにはまだまだ成長の可能性があることを積極的に説明していきたいとした。

Googleの脅威についても株主から厳しい意見が出された。現在のシェアはYahoo!が上でも、Googleは検索結果の正確性への評価が高く、やがて抜かれるのでないか。また、Googleには先進的なサービスを積極的に公開するイメージがあるが、Yahoo!は後から似たようなサービスを提供している印象がある、などである。

これに対し、井上社長は確かに欧米ではGoogleへの評価が高いが、アジアの国々では異なると説明した。欧米の評価が日本にも当てはまるものではないとする。

また、ヤフーは新規サービスに積極的に取り組んでいると反論した。Googleは元々サービスが少ないため、新規サービスの開始自体が大きなニュースになりがちである。一方、ヤフーは多数の既存サービスがあり、新たなサービスが開始されても目立たないとする。

株主からの要望に応じて、孫正義会長も挨拶した。孫会長は「米国のYahoo!が検索ではGoogleに抜かれ、オークションではeBayに敗れて撤退する中でも、Yahoo! JAPANは国内No.1のポータルサイトとして成長を続けた」と振り返った。

経営陣が自らの成長戦略に自信を持っていること、決して現状のシェアに甘んじているわけではなく、更なる成長を目指していることが伝わった株主総会であった。是非とも株価上昇を望む個人株主の期待に応えてもらいたいと考える。

 

DSCF0214.JPG 総会で配布された「Yahoo! JAPANサステナビリティレポート2008

林田力(2008624日撮影)

 

IT基盤とデータセンターの最新動向を紹介

IT データセンター ガートナー

ITインフラストラクチャ&データセンター サミット 2008

調査会社ガートナージャパン株式会社が主催する「ITインフラストラクチャ&データセンター サミット 2008」が2008617日と18日の2日間、大手町サンケイプラザで開催された。ITインフラとデータセンターの最新動向を紹介するイベントである。仮想化やグリーンITなど興味深いテーマのセッションが目白押しであった。本記事では2日目の主要講演を紹介する。

ガートナー基調講演「インフラストラクチャとオペレーションのリーダー:主要課題への対処法」では、ガートナーリサーチ・バイスプレジデントのジェイ・パルツ氏がシステム基盤運用管理は自動化が進むと予想した。氏は2015年頃には運用管理者はビジネス志向に進化すると主張する。顧客のニーズの変化に応じてサービスを修正することが重要になるとする。

 

クラウド・コンピューティング

ジェネラル・セッション「クラウド・コンピューティングのリアリティとデータセンターへのインパクト」はガートナーリサーチ・バイスプレジデントのフィリップ・ドーソン氏による講演である。

クラウド・コンピューティングのクラウドcloudは雲を指し、サービスを提供するサーバーがネットワークの雲に隠れている状態の比喩である。サービス利用者はサービスがどのように実行されたかを気にかけずにサービスを利用する。ユーザーにとって重要なのは結果であり、方法には関心がない。資産を持ちたくない、必要な時に必要なだけ購入して利用する方式を望む企業に適したスタイルとする。

上記の説明からはSaaS(サービスとしてのソフトウェア)と類似するように思える。しかし、氏はSaaSを単体ではパッケージ・ソフトウェアの代替デリバリ・モデルとし、クラウドとは異なると位置付ける。そしてクラウド・コンピューティングのプロバイダはSaaSを含む総合的なサービスからハードウェア(ストレージなど)まで動的に提供することを目指すとした。

 

地底データセンター

ゲスト基調講演「地底プロジェクトがもたらすインパクトを探る」は地底データセンターがテーマである。オープンスタンダードコンソーシアム代表幹事の中村彰二朗氏がスピーカーで、ガートナーリサーチ・バイスプレジデントの亦賀忠明氏が聞き手となった。

「地底空間トラステッド・エコ・データセンター・プロジェクト」は日本国内の地底100メートルにデータセンターを設置するプロジェクトである。200711月に構想を発表し、現在着工フェーズに入っているという。

地底にデータセンターを構築することで省電力とセキュリティの向上を実現する。大量のサーバーが24時間365日稼動するデータセンターでは、マシンの熱を冷やさなければならず、電力消費量は膨大になる。これに対し、地底データセンターは地下水を使用した水冷方式を採用し、消費電力50%削減を目指すという。また、地底に構築することで人工衛星から発見されにくく、侵入や破壊も困難になる。

 

今回のイベントが対象としたITインフラは最もシステム利用者から遠い存在である。しかし、多くのセッションにおいて利用者側に目を向ける必要が唱えられたことは興味深い。地底データセンターでさえ社会一般から隠す意味もあって地底に構築するのだが、一方で鉱山掘削跡地の再活用による地域活性化も目指している。技術が技術として完結するのではなく、利用シーンや利用者のメリットを踏まえる必要があることを改めて実感した。

 

成果主義は何故嫌われるのか

多くの企業では成果主義の弊害が明らかになり、見直しの動きが出ている。成果主義に対する最も大きな批判は評価の不透明性・恣意性である。人間である上司の主観・好き嫌いで評価されてしまうという批判である。

但し、日本的経営である年功序列型の人事制度でも誰もが社長になるわけではなく、ポストが限られている以上、競争や評価は存在した。評価の不透明性・恣意性は成果主義であるか否かとは別次元の問題である。

サブプライム・ショックによりアングロサクソン型資本主義の破綻は明白になった。だからといって特殊日本的集団主義に戻るならば、個人は一層抑圧されてしまうことになる。成果主義見直しの動きを単なる一過性の揺り戻しとせず、教訓を引き出すためには成果主義の問題点を認識する必要がある。

成果主義の問題点として、売上げなど利益に直接結びつく仕事に走り、利益には直接結びつかないが、会社を支える仕事が疎かにされると批判される。しかし、これは成果主義の本質的な欠点にならない。

ある仕事が会社にとって必要であり、重要であるならば、その成果を評価するのが成果主義の考え方である。重要な仕事であるにもかかわらず、評価されないならば、成果を正しく評価できていないことになる。これは成果主義の欠陥ではない。

事務処理や会議に追われる日本のホワイトカラーの生産性が低いことは広く指摘されている。仕事を成果として評価すべきものと、そうでないものに選別し、従業員を前者に注力させることは企業の成長に必要なことである。その上で近視眼的な売上げに偏らない、バランスの取れた評価指標を定める必要がある。たとえばバランススコアカードでは財務面だけでなく、顧客や業務プロセス、学習と成長の視点も含めて評価する。

このように一般に指摘されている成果主義の欠点は本質的な問題ではない。それにもかかわらず、成果主義が嫌われる背景には仕事を個人の成果に還元して評価することの難しさがある。分野によって差はあるものの一人で可能な仕事量は能力差があったとしても、たかが知れている。

その結果、仕事ができる人とは人使いが上手い人となりやすい。実際、大手広告代理店・電通には鬼十則という行動規範があるが、その第7条では「周囲を引きずり回せ」と定めている。成果は人使いが上手い人に集まる一方で、引きずり回され、強引に使われた方が消耗してしまう。この点が成果主義の嫌われる要因と考える。