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住生活Gへの横浜ベイスターズ売却の不安

プロ野球球団・横浜ベイスターズの売却先として住生活グループが2010年10月1日に浮上した。住生活グループはトステムやINAXなどを傘下に持つ住宅設備最大手であるが、住生活グループがオーナーとなることにファンの一部から不安の声が出ている。
ファンが不安を抱く理由は、ブラック企業としての住生活グループの悪名高さである。インターネット掲示板「2ちゃんねる」では「世紀のクソ会社トステム」というスレッドがシリーズ化しているほどである。
トステムの関連会社であるトステム綾部では男性従業員が22才の若さで急性心停止により死亡し、過労死として裁判になった。また、トステムビバが運営するスーパービバホーム豊洲店のクルーは2007年6月に自殺している。これもサービス残業による過労やパワハラが原因ではないかと指摘された。
クルーの死亡について会社側は当初、「急性心不全」と発表した。その後、7月26日付で取締役上席執行役員ホームセンター事業部長名義の文書「スーパービバホーム豊洲店クルーの皆様へ」で「不幸な事故」に修正した。そこでは「不幸な事故」の原因を以下のように記載する。
「不幸な事故の原因の主たるものは、私生活におけるトラブルだと思われます。ご家族とは別に、親しい方と生活を共にするかどうかで悩んでおられた。」
「経済的にも多額の個人借財があった。」
一方で上記文書では以下の内容などをクルーへの依頼事項としている。
「サービス残業はいかなる理由があろうとも撲滅する。」
「過重な労働環境を生み出さない。」
結局のところ、会社側は職場の問題を十分に認識した上で、「不幸な事故」の問題を個人的な事情が原因と推察させることで終止符を打とうとした。仮に上記が事実であろうと、故人(既婚者)の名誉を毀損する私生活上の内容を公開することで、会社として責任逃れを図る姿勢は多くの反発を招いた。
加えて、ここ数年、トステムは豊橋工場、吉見工場、綾部工場など国内工場を相次いで閉鎖し、大勢の従業員が職を離れた。雇用という社会的責任を満足に果たせない企業が球団オーナーになることを疑問視する声がある。あるファンは「従業員を大切にしない会社が野球チームを育てられる筈がない」と断言する。
前近代的な経営体制も不安である。住生活グループの会長兼CEOの潮田洋一郎氏は創業者・潮田健次郎氏の長男であり、世襲人事と認識されている。ワンマン経営者の情熱がなければ球団のオーナーになるという儲けの厳しい仕事が難しいことも事実であるが、経営者の気紛れに翻弄される危険も大きい。
住生活グループは10月1日付の「一部報道について」と題するニュースリリースで以下の通り否定した。
「本日、当社に関する報道が、一部報道機関からなされておりますが、これは当社の発表にもとづくものではありません。また、現時点で当社が開示すべき事実はありません。」
しかし、正式決定までは表向き否定するものであるため、予断を許さない。当分の間、ファンの不安は解消しそうにない。

ビバホーム豊洲店

住生活グループの横浜ベイスターズ買収に違和感

プロ野球チーム・横浜ベイスターズの買収に住生活グループが名乗りを挙げたが、その姿勢に疑問の声が出ている。横浜ベイスターズの地元・神奈川県の松沢成文知事は2010年10月14日の会見で、住生活グループの潮田洋一郎会長を以下のように批判した。
「自分の会社の宣伝さえできればいいという論理で球団を買おうとしていることに、大きな違和感を覚える。一時代前の感覚でしかプロ野球をみていないのではないか」
松沢知事は「新聞報道の印象からの判断で、誤解があったら大変失礼」と遠慮がちであったが、その批判は的を射ている。
住生活グループは住まいづくりの商品を総合的に提供する企業グループで、トステムやINAX、ビバホーム、アイフルホームらを傘下に抱える。近年の住生活グループは海外、特に中国へのシフトを進めていた。コスト競争力強化を名目に国内工場を次々と閉鎖し、海外に移転した。移転先の代表が中国遼寧省大連市のトステム大連工場である。通世泰(トステムの中国語表記)駅という鉄道駅があるほど現地で存在感を示している。
住生活グループは生産拠点としてだけでなく、消費市場としてもアジアを重視する。INAXは早くも2002年に伊奈投資有限公司を設立し、直営店も展開する。トステムは2010年度を海外進出元年と位置付け、中国の居住系建材市場に本格進出する。上海万国博覧会日本産業館への出展や、外灘三号での現代美術ギャラリーへの協賛など広報活動も積極的である。
これら住生活グループの中国シフトを踏まえるならばベイスターズ買収は不思議である。プロ野球チームのオーナーになることは日本国内での認知度向上にはつながる。しかし、少子高齢化の進む日本市場は遅かれ早かれ縮小する。だからこそ中国シフトという経営判断になった。経営資源を中国に集中すべき時期に日本で広告宣伝のための大きな投資を行うことは経営戦略の整合性に疑問がある。
トステムが球団買収に名乗り出た直前に日中関係に冷や水を浴びせる事件が起きた。尖閣諸島沖での海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件である。中国人船長を逮捕・勾留し、公務執行妨害罪で起訴しようとした日本に対し、中国は激しく反発した。希土類(レアアース)の事実上の輸出規制など中国側は手段を選ばなかった(林田力「中国のプレゼンス増大と日本(1)中国の経済発展」PJニュース2010年9月30日)。
なりふり構わぬ中国の強硬姿勢にビジネス対象としての中国に不安を抱いた日本の経済人も少なくない。この視点に立てば住生活グループの球団買収も説明できる。しかし、それは「中国がダメだから、やっぱり日本」という腹の座らない御都合主義的な選択である。
そこには松沢知事の考える「市民、県民と一緒になり地域活性化につながるチームを作りたい、だから経営したいという理念」が出てくる余裕はない。それを直感的に認識したために、住生活グループ批判となったと考える。

リクシル・ベイスターズ消滅を歓迎

プロ野球球団・横浜ベイスターズの売却交渉が打ち切られた。2010年10月27日に明らかになった。球団は来期もTBSがオーナーで、横浜を本拠地とする。住宅設備大手の住生活グループが買収した場合には球団名がリクシル・ベイスターズとなると予想されていたが、その可能性も消滅し、野球ファンにとっては朗報である。
TBSの財津敬三社長は会見で、ドラフト会議や球界日程、球団への影響などを総合的に判断し、TBS側から交渉を打ち切ったと説明した。横浜市の林文子市長が「大変うれしくほっとした」と表明するなど、地元ファンには好意的に受け止められている。
住生活グループには、そもそも名乗りを挙げること自体が売名目的であったのではないかとの批判も出ている。横浜ベイスターズは球団名に企業名がないことが示すとおり、地域志向の強い球団である。そのような球団を宣伝志向の強い住生活グループが経営することには無理があった。それは以下の傾向に逆行する。
「日本でもようやく、アメリカに近いような形の、地域に根ざしたプロ野球チームづくりが地についてきたのではないでしょうか。」(池井優「地域とプロ野球チーム」慶応義塾創立150周年ブックレット『学問のすゝめ21 Vol.02これからの地域社会とスポーツ』慶応義塾、2007年、74頁)
そもそも球団名の本命と報道されたリクシル・ベイスターズが噴飯物である。リクシル(LIXIL)は2010年1月から使用を開始したばかりの住生活グループのブランドである。住生活グループは買収により拡大しており、トステムやINAXのように知名度の高い企業もあるものの、グループとしては統一感が欠ける。それ故にグループブランドが重要であり、球団名になるならば効果絶大である。
しかし、歴史が浅く、消費者に浸透していないブランドを球団名に使わせることはプロ野球の恥である。過去にプロ野球はライブドアの参入を拒否した。そこにはIT企業への偏見があったとも批判される。その当否は別に議論される問題であるが、リクシルを球団名とすることに反発しなければ過去の論理と矛盾する。
加えて球団経営は住生活グループのマイナスにもなる。一時期ほどではないものの、日本社会におけるプロ野球の関心は高く、そのオーナーになることは注目を集めることになる。住生活グループも宣伝効果を期待していたが、注目を集めることにはマイナスの注目も含まれる。
実際に週刊文春2010年10月28日号では「"ベイスターズ買収"住生活グループが300人「大量解雇」!」と報道された。トステムなど住生活グループの傘下企業では以前からリストラに積極的である。国内工場を閉鎖し、海外への移転を進めている(林田力「住生活グループの横浜ベイスターズ買収に違和感」PJニュース2010年10月18日)。このような事実も球団買収に名乗りを挙げることで注目されてしまう。
タイミングが悪いことにホームセンター・ビバホームを経営するトステムビバでも問題が発覚した。公正取引委員会は2010年10月21日、トステムビバが下請け企業51社に支払う代金計約5183万円を不当に減額したとして、下請法違反(減額の禁止)で勧告した。
神奈川県の松沢成文知事は「球団を運営するような企業は高い倫理が必要」と主張した。これに対しては企業寄りの立場から事業性を無視した要求を企業に求めるべきではないとの反論が聞こえてきそうである。しかし、多くの関心を集める球団オーナー企業に倫理性が欠けていればバッシングも大きくなる。積極的に倫理的な行為をしないまでも、少なくとも倫理に反することはしないという倫理性は必要である。

過労死概念の変遷

マツダの25歳男性従業員の自殺が過労自殺であるとして、両親が慰謝料など約1億1千万円の支払いを求めた訴訟の判決が2010年2月28日に神戸地裁姫路支部で言い渡された。両親は会社側が適切なサポートなしに男性に長時間労働させたことが自殺の原因と主張していた。中村隆次裁判長はマツダの過失を認め、約6400万円の支払いを命じた。
過労自殺を含む過労死という言葉は1990年代から話題になっていた。未だに過労死がなくならないことは日本社会の不幸であるが、現代では使われ方が変わってきている。このことは日本が特殊性から脱却したことを示している。
過労死の定義は以下の通りである。「過度な労働負担が誘因となって、高血圧や動脈硬化などの基礎疾患が悪化し、脳血管疾患や虚血性心疾患、急性心不全などを発症し、永久的労働不能または死に至った状態」。(厚生労働省「産業医のための過重労働による健康障害防止マニュアル」)。
しかし、前世紀に話題となった過労死は単に過重労働によって健康を害するという以上のニュアンスが込められていた。それは会社への忠誠心の高い会社人間が死ぬまで働いてしまうというものであった。これは外国人にとって理解不能なものである。普通の感覚ならば「働き過ぎて死ぬならば、働かなければいい」と考える。そのため、英語などの外国語では過労死を表現することができず、そのままKAROSHIと訳された。
このように過労死は外国人から見て特殊日本的な現象である。一方で常識的な日本人にとっても異常であることは変わらない。死ぬまで働いてしまう社蓄的な忠誠心というものは、特定世代や特定階層に限定される異常なメンタリティである。その点で国際的な比較から過労死を特殊日本的事情と位置付けることは正しいものの、日本国内において普遍化することは誤りである。
その後、日本社会は格差が拡大し、労働問題は深刻化した。生きることが大変なワーキングプアやネットカフェ難民にとって、会社に依存した会社人間は甘ったれにしか見えない。まさに働き過ぎて死ぬならば、働かなければいいだけである。
その代わりに新たなタイプの過労死が生まれた。ブラック企業の過重労働によって死ぬまで働かされるという形態である。たとえばトステム綾部過労死事件である。
これはトステム綾部の中田衛一氏が2001年に22才の若さで急性心停止により死亡した事件である。残業時間は月100時間にも上ったが、現場にはタイムカードもなく、リーダーが残業時間を記帳するという体制であった(宮本平一「福知山17年目の御報告」自由法曹団京都支部創立40周年誌『人権の旗をかかげて』2003年)。
ここでは過労死の被害者は決して会社人間ではない。企業の過酷な労務管理の犠牲者である。これは明治時代の女工哀史と同じ世界である。同じような状況は労働法に不備のある発展途上国にも存在する。ここにおいて過労死は特殊日本的現象ではなく、日本社会の後進性を示すものになった。

女性、世代

ドイツやイタリア、日本等、女性の社会的地位が低い国ほど少子化が進んでいる。遠回りだが、女性の社会参画が少子化を遅らせることにつながるだろう。そのためには、子育て世代が安心して住める環境を最低限のインフラとして整備すること、男女の賃金格差をなくすことが重要。妊娠したら「ごめんなさい」と言わなければならない社会はおかしい(「ベビーシッター派遣会社を起業した上田理恵子氏 ワーキングマザーの強い味方」日経ビジネス2001.12.17)。

大人は無責任にもフリーターを責めるが、何千人もの若者が職を欲しがっていることを知ろうとはしない。学校の先生は給料がいいとは決して言えないが、安定しているため、時代の変化に対応できようとできまいとに関わらず団塊の世代が定年まで勤め上げようとしている。だからやる気はあっても、若者はますます採用されにくくなる。これは能力や努力の問題ではない。

日本マクドナルド株主総会に出席

フランチャイズ化は成功するか

日本マクドナルドホールディングス株式会社の第35回定時株主総会が2008年3月27日に東京国際フォーラムで開催された。株主として出席したので、内容を報告したい。
会場のロビーではドリンクコーナーを設け、ホットコーヒーやウーロン茶のサービスをしていた。そのためか、13時からの開始だが、30分前にはかなりの人数が集まっており、コーヒーなどを飲んでいた。株主に小さな子どもを連れた母親の姿が目立った点は特色である。
総会では最初に、原田永幸・代表取締役社長が「定款の定めにより、議長を務める」と宣言し、定足数を確認した。出席株主数は約5万人と説明された。
報告事項については、VTR放映で事業報告及び計算書類報告の概要を説明し、次いで原田社長からスライドを使っての説明がなされた。
原田社長は、最初に日本マクドナルドの業績の向上について強調した。1997年から2003年までマイナス成長していたが、2004年以降、4年連続でプラス成長している。そしてプラス成長を続ける成功要因として4点を挙げた。グローバリゼーション、徹底した投資、徹底した客数向上、人材の意識向上による企業改革である。
第1にグローバリゼーションである。これは全世界の成功事例を日本で展開するという戦略である。具体的にはメガマックやマックグリドルなどの新メニューである。この新メニューによって新規顧客を獲得できたとする。キッチンシステムやトレーニングシステムについても世界で成功しているベストプラクティスを導入した。
第2に投資戦略である。新規店舗の出店や不採算店の閉鎖に加え、既存店舗の改装サイクルを今まで以上に速くすることで、市場動向に迅速に適応できるようにする。
第3に客数向上である。客単価を上げ続けることはできないとし、新しい顧客を招くこと、来店頻度を増やすことを目指すとした。具体策として100円マックと24時間営業を挙げる。今後も深夜営業のマーケットを開拓していくとする。また、綿密なリサーチの下で実施した地域別価格についても、消費者の理解を得て顧客数を失わなかったと総括した。
第4に人材の意識向上である。業績向上は従業員の意識向上にかかっていると断言する。そして店長の役割について言及する。店長は管理職であり、成長戦略の原動力とする。店長には高いレベルの知識・スキル・強いリーダーシップが求められる。人材の確保・労務管理は店長の責任である。
また、あるべき労務管理に近づけている。残業は激減しており、サービス残業は禁止している。ワークライフバランスという日本人の文化で理解できていない点も浸透させていきたいと述べた。
まとめとして原田社長はマクドナルドの価値をスーパーコンビニエンス(最高の利便性)と定義する。これはマクドナルドが創業以来、一貫して追求した価値とする。元々、ファーストフードは注文したら、すぐに食事を出すクイックサービスという利便性を提供している。車に乗ったまま注文できるドライスルーも深夜営業も利便性向上の延長線上にある。マックラップも片手で食べることができるという利便性を追及したメニューである。
食の安全の観点ではフランチャイズ企業による自主衛生基準の逸脱について言及した。マクドナルドは食の安全に対するプライドと自信を持っていたが、反省点は心の問題とする。技術的なトレーニングだけでなく、安全性を求めることの意義について伝えきれていなかった。食品管理伝道師(Food Evangelist)という専門チームを組織し、目的意識を醸成していくとする。
出店戦略としては300店舗増加を打ち出した。直営店からフランチャイズ店へシフトさせ、フランチャイズ比率を増加させる。フランチャイズ化推進の理由はフランチャイズ店の方が直営店よりも業績が上だからとする。フランチャイズ化により、純資産利益率が上がる。その結果、株主価値は向上する。
最後に、マクドナルドの単独スポンサー番組についてVTRを交えて紹介した。日本テレビ系列で4月から土曜18時30分から「全力!チューンズ」という番組名で放送する。音楽の才能ある子どもを紹介する。家族皆が楽しめ、家族間のコミュニケーションの機会を提供できるような番組を目指す。CMではマクドナルドのCSR・食育の取り組みとする。15秒や30秒のスポットCMでは伝えきれないため、単独スポンサーとなり、90秒のCMを流すことにしたとする。

決議事項については原田社長から一括上程一括審議方式を採用するとの提案があり、了承された。決議事項は剰余金の処分、取締役選任、監査役選任の3点である。
いよいよ質疑応答である。挙手した株主の中から原田社長が指名した人物が質問する。質問希望者全員は質問できず、途中で打ち切られた。質問は株主の立場からのものと消費者(利用者)の立場からのものに大別された。

1.店頭公開当時からの株主である。当時100株単位で40万円以上したが、現在の株価は3分の1程度である。公募当時に役員が40万円以上の価値がある判断したから、公募価格を決定したのではないのか。現状の株価をどうのように考えているのか。市場原理の結果という回答はなしでお願いしたい。
質問者は出資した財産が3分の1に減少しているという思いがあり、恨み言に近い感じで長々と話していたため、「質問は簡潔に」と静止されたが、逆に会場から「株価を上げろ」と質問者に同意する意見が飛んだ。
回答:4年前から経営陣が変わっており、着実に成果は出ている。ここで会場から拍手が出る。今年は投資のピークであり、投資効果も今後は上がっていく。フランチャイズ化を進めることで、オーナーに複数の店舗を経営させるようにする。フランチャイジーの規模を拡大させることにより、フランチャイジーの投資余力を増大させ、既存ビジネスの投資をフランチャイジー主体にシフトさせる。
株価下落については真摯に受け止めている。株主へのお願いとして、一時の上下で見るのではなく、長期的に保持して欲しい。昨年、サブプライム問題の影響で株価は暴落したが、マクドナルドの株価の下落率は日経平均やJASDAC市場の平均株価の下落率よりも小さい。下落幅が小さいということは評価された結果と認識している。

2.マックカフェ事業の将来性はどうか。マックカフェは個人的に客数が激減し客単価も減少しているように見受けられる。
回答:マックカフェは実験段階であり、未だ実験の結論は出ていない。採算性の厳しい小規模店舗の活用策としての目的もあり、単純に売上高や利益だけで成功不成功を判断するつもりはない。

3.子供連れや中高生主体の店舗でも禁煙が徹底していない。フロア内分煙で伏流煙が流れてくる店舗、4階建てで禁煙席が3階以上で喫煙席の2階を通る必要がある店舗がある。形式的な分煙ではなく、きめ細かな対応して欲しい。
この質問に対して、会場からは拍手が寄せられた。
回答:会場の株主のような方達ばかりならば禁煙を推進できるが、現在の調査結果では禁煙の徹底は売り上げを下げることになる。また古い建物ではダクトの位置などの関係で、禁煙席を上階とせざるを得ない場合がある。会社の方向性は禁煙にあるが、バランスを取りながら進めたい。

4.江東区の店舗で、分別したゴミ箱が設置されていない。
回答:自治体で分別を義務付けている場所では分別したゴミ箱を設置するようにしている。但しスペースの関係で設置できない店舗もある。そのような店舗では回収業者に分別させている。調査の上、改善していきたい。

5.ハンバーガーでは新製品が販売されるのにドリンクは変わっていない。お茶についいてもコンビニのように種類を増やせないか。また、シニア世代にも支持されるメニュー作りが必要ではないか。
回答:ドリンクは利益率が最も高いため、検討している。ランチ以外の時間帯の来店率を高めるためにもドリンクの充実には意義がある。コーヒーを刷新したのも、このためである。アイデアは色々あるが、優先順位をつけて投入していきたい。一方でマクドナルドらしさは忘れないようにしたい。
シニア世代向けという点については、お子様、若者、ファミリーが客層の核であることは変わらないとする。もっと上の世代に広げていく努力はしなければならない。しかし、それよりも今の世代が一生付き合えるような関係にしていくことが重要である。若い頃は良く行ったが、最近は行かなくなったということは避けたい。

ここで会場から「質疑応答を打ち切って早く採決すべき」という無許可発言が出される。まるで与党総会屋のような発言である。

6.上場以来の株主だが、消費者や株主の意見が敬意柄に反映されていないのではないか。意見を吸い上げる仕組みをつくって欲しい。
また、株価が下がっていのは魅力がないからではないか。新しい株主優待を検討して欲しい。
回答:コミュニケーションを活発化させたい。例えば来店客数に比べて、ウェブサイトへのアクセス数が低いという問題がある。消費者の声は結構、聞けているのではないかと思ってはいるが、一方的な情報発信だけでなく、その逆についても積極的に進めたい。
優待については、どのような形が良いのか検討したい。但し企業が成長するために内部留保は不可欠である。

ここで先ほどの与党総会屋的無許可発言を受けたのか否かは不明だが、「大分時間が経過したので、質疑応答は残り3名で終了させたい」との説明がなされる。

7.株主総会出席者への記念品として大量のコーヒー無料券を配布しているが、他のメニューを購入した方のみを対象とした方がいいのではないか。また、無料券が金券ショップで販売されているという現実がある。問題ではないか。
コーヒー無料券の配布はビジネス的に意味がある。マクドナルドに来る機会がなかった方にも利用機会を提供する。実際のところ、コーヒー無料券でコーヒーだけしか注文しない方は少ない。合わせて別メニューも注文しており、売り上げに貢献している。
また、無料対象をコーヒーにしたのはマクドナルドのコーヒーが不味いという固定観念が染み付いているためである。飲まず嫌いの方に無料で飲んでもらって、イメージを変えて欲しいと考えている。
金券ショップで売られているのは遺憾であり、対策が取れるか検討したい。

8.外国人の役員の方に株主へのメッセージを話して欲しい。
回答:パット・O・ドナヒュー取締役、デビット・T・マーフィー代表取締役、クレイグ・M・レナード取締役より、それぞれ通訳を介して挨拶がなされた。内容は、親会社は日本マクドナルドに信頼を寄せている、素晴らしいブランドの株主であることに誇りを持って欲しい、将来はもっと良い方向に進むというものであった。
挨拶の後に原田社長が「外国人役員の使命は日本法人を管理することよりも、日本人のマネジメントを育成していくことにある」と補足コメントした。

9.最近、オペレーションの質が低下している。商品の入れ忘れやキャンペーンのクーポンを入れてくれないことがある。フランチャイズ化推進による質の低下が心配である。
回答:年間のべ14億人の顧客が来店し、クルーは15万人もいる。質が低下しないよう人材育成への投資を継続していく。教育だけではなく、モニターするシステムもある。顧客にマクドナルドとは分からない形でアンケートを採り、競合他社との比較もしている。まだまだパーフェクトではないが進歩している。

以上で質疑を打ち切り、議案の採決に入った。拍手承認で全ての議案が承認された。最後に本総会で承認された新任の役員を原田社長が紹介し、総会は終了した。
質疑応答は途中で打ち切られた上、質問者が経営側の回答に対して再質問もできず、株主とのコミュニケーションという意味では充実したものは言えなかった。ガス抜きという効果さえ期待できず、不満を有している人には却って不満が高じる結果となってしまったのではないかと思われる。
一方で質問者の質問は自分が保持している株主利益の受益者の視点や利用者の視点であった。これに対して経営側は経営の視線で語るため、そもそも有益な議論とは言い難かった。実際のところ、質疑応答の途中から退席者が続出しており、総会出席株主でも質疑や議案について関心の低い株主が少なくないことを示している。記念品のマックカードやコーヒー無料券目当てで総会に出席する株主も相当数いるのではないかと推測される。

株主総会の内容から日本マクドナルドの今後を考える上で注目すべき点を上げるならば、フランチャイズ化である。クーポンの大量発行や100円マック(低価格商品)、24時間営業などは客層拡大を実現するものだが、利益率の低下やコスト増大という形で現場の負担が重くなる。ところが、フランチャイズ店ならば、それらの負担をフランチャイジーが負担することになる。
また、残業代不払いで裁判になった店長管理職問題は、フランチャイズ店ならば店長を非管理職とする司法判断が確定したとしても、日本マクドナルド本体の労務問題ではなくなる。このように考えるならば日本マクドナルドにとってフランチャイズ化は現在の戦略を進める上でのデメリットをフランチャイジーに転嫁し、メリットだけを享受できる点で非常に好都合である。
一方でフランチャイズ化が躓きの石になる可能性もある。2007年11月に売れ残ったサラダの調理日時のシールを張り替えて翌日に販売した問題が判明したが、この背景にはサラダを廃棄せず、販売することでコストを節約したいという動機が存在した。フランチャイズ店では日本マクドナルドとは別個の存在であるフランチャイジーが経営主体となり、フランチャイジーは日本マクドナルドと利益が背反する場合もあることを認識しなければならない。
また、フランチャイズ化が日本マクドナルドに好都合な理由はフランチャイジーに負担させることができるからである。しかし価値を生み出さず、フランチャイジーを搾取するだけならばフランチャイズ商法になってしまう。経営側が客数を拡大して、フランチャイジーとの共存共栄を目指していることは疑っていないが、理想通りに展開するか注視しておく必要があるだろう。

最後に2008年度にマクドナルドが負の面で社会的に取り上げられた問題として、サラダの調理日時偽装問題と店長への残業代不払い裁判がある。両方とも株主総会において原田社長が言及したことは企業の姿勢として評価していいと考える。当然のこととの見方もできるが、当然のことをできる企業が少数なのが現実である。
しかも世間的に大きな話題になったから仕方なく言及するという形ではなく、食の安全や従業員の意識向上という経営戦略とリンクさせる形で言及したことは、これらの問題と正面から向き合っていることを示すものとして積極的に評価したい。
もっとも説明不足の点も感じられた。特に店長の問題については、店長が責任ある立場であることは理解できたが、労働基準法上の管理監督者である必要性について積極的な説明はなされなかった。一方でフランチャイズ化の推進は店長が日本マクドナルド本体の経営上不可欠の役職であるという主張の説得力を弱めることになる。この場合、店長が管理監督者の要件である「経営者と一体的立場」でないと認定する方向に働くだろう。この意味でもフランチャイズと直営店の関係がどのようになっていくかについて注目される。

アクサダイレクトのインターネット割引

契約更新時もネット申し込みで割引

アクサ損害保険株式会社の自動車保険アクサダイレクトではインターネット上で申し込みをすると保険料が最大4500円割引される(2008年11月9日現在)。実は新規申し込み時だけではなく、契約更新時も割引される。
アクサはフランスを本拠とする国際的な保険会社である。アクサダイレクトは「ダイレクト」の名のとおり、インターネットやコールセンターなどを通したダイレクト販売を特色とする。代理店などの中間コストがかからないため、保険料を安くできる。このため、当家でもアクサダイレクトの自動車保険に契約している。
現行の契約は2008年12月2日に満期を迎えるため、アクサダイレクトから更新の案内が送付されてきた。そこでは現行と同じ条件での契約内容と、保障を充実させたプランが紹介されていた。現行契約と同じ条件での更新を希望するならば保険料を払うだけで、契約が更新されるという。
現在の契約内容には不満がなかったが、現行契約の保険料はインターネット申し込みにより割引を受けていた。ところが更新の案内文ではインターネット申し込みによる割引について言及していない。提示された保険料も割引されていない額であった。
アクサダイレクトのWebサイトでは「マイ?アクサファイル」という契約者用ページが提供されている。契約更新時のインターネット申し込み割引について確認するため、「マイ?アクサファイル」にログインしてみた。
するとトップ画面で現行契約が近々満期を迎えることが案内され、「インターネット上でお申込みいただきますと、1000円のインターネット継続割引が適用されます。是非インターネットからお申込みください」と告げられていた。実際、画面に表示された継続契約の保険料は、案内文の保険料より1000円安かった。インターネット上から申し込みをしたことは言うまでもない。
アクサダイレクトがインターネット申し込みに割引するのは、Webサイトで申し込みを受けた方が、その他のチャネル(郵送など)よりも低コストで済むからである。一方、既契約者が契約を自動継続する場合、割引しなくても、そのまま保険料を払ってくれるならば、その方が企業にとっては都合が良い。
しかし、既契約者が皆、契約を更新するわけではなく、他社への乗り換えを検討する人も存在する筈である。この点でインターネット継続割引は顧客囲い込みのために意味を有する。アクサダイレクトがインターネット継続割引という制度を設けながら、契約更新の案内文ではアピールしないのは上記のような複雑な思惑があるのではないかと考える。

キャリアデザイン

理想的なキャリア=市場価値が高いキャリア。このように考える社蓄は多いだろう。最近、インターネット上で「あなたの値段査定します」という企画が一時期流行したが、自分の市場価値を気にする人は少なくない。学生時代は偏差値という評価基準が非常に身近な価値判断基準だった。大学も、自分が何を学びたいかという本来の目的より、自分の偏差値の射程圏内で合格できそうなところや学校の知名度、就職状況といった基準で選んでいたケースが多かった。また就職する際は有名な大学か否かで判断され、上位校の学生達が上から順に有名な企業に入社していく。

常に人間を計る基準は、外から誰かが与えてくれた規準だった。働き方には偏差値がなく、本人の個性や主体性が発揮できる絶好の機会であるのに、偏差値のような一律の基準を求めて自分の位置付けを求めてしまう。学校を卒業した時点で偏差値という指標はなくなったわけだが、それでもまだ自分自身の位置付けを表す指標を求めてしまう。そこで社会人用の偏差値として出てきたのが「市場価値」かもしれない。「どうやったら自分の市場価値が上がるのか」だけを考え、自分が何をやりたいかよりも、市場価値が高い資格、市場価値の高い企業はどこかを考えてしまう社蓄が増えている。これでは受験戦争時に犯した過ちと何ら変わらない結果になる。

確かに資格やスキルがあれば、ある程度のアドバンテージ、もしくはシード権は得られるかもしれない。しかしそこに自己の適性が一致していなければ結局高いパフォーマンスは出せない。仕事にどれだけ情熱を注げるかが重要である。本来、本人が希望する「やりたいこと」に情熱を傾ければ一番パフォーマンスが出やすく、その人の能力も磨かれる。しかし自己の適性と一致してパフォーマンスが高くても、自分の本来の動機とあまりにもマッチしないものは、いくら結果が出せても本人は幸せを感じる事はできない。仕事内容が自分の適性にマッチしていて、かつそれが自分のやりたいことだったらこれが一番幸せな理想的な働き方である。勿論、理想的な働き方を実現することは困難だが、これに優先順位を付け、追求していくのにキャリアデザインという概念が必要になってくる。