ブラック企業大賞2015

林田力

ブラック企業大賞2015の授賞式が2015年11月29日に開催された。ブラック企業大賞は株式会社セブンイレブンジャパンが受賞した。今回ノミネートされた企業のうち、典型的なブラック企業は株式会社引越社関東(アリさんマークの引越社)である。ネット投票でも引越社が圧倒的であった。

ブラック企業大賞は第一回もワタミを差し置いて東京電力を受賞させている。典型的なブラック企業よりも社会的構造的な問題を重視する傾向が顕著である。これは民意無視、本来的なブラック企業からの逸脱と批判する余地がある。悪く言えば、ブラック企業に便乗して自分達のイデオロギーを宣伝するだけのものと批判されかねないものである。

しかし、ブラック企業大賞2015総括(内田聖子)ではセブンイレブンと同等の紙数を割いて、引越社について述べている点は評価できる。引越社側がメディアでブラック企業大賞を批判し、土俵に乗ってきたという点ではアリさんマークの引越社を大賞にした方が盛り上がったと考える。

個人的には社会に警鐘を鳴らすという意味では『下町ロケット』の佃製作所をブラック企業大賞候補にノミネートしたら面白かったと思う。ピンチになると社員総出で解決するところが、渡辺美樹らが喜びそうなブラック企業ぶりである。

恐らく佃製作所は良い会社で、ワタミは駄目な会社という点が、少なからぬ人の価値観だろうが、昭和の会社主義の延長に平成のブラック企業が存在する。佃製作所的なものを批判できるようにならなければ、ブラック企業は批判しきれない。ブラック企業批判が従来の労働運動のスローガンと異なり、若年層らに響いた背景は、昭和の体育会系的なものも批判する含意があるからである。