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林田力amazonレビュー

警察裏物語 (新潮文庫)のレビュー
http://www.amazon.co.jp/review/R3GSZ3ZXOXPBJC/ref=cm_cr_rdp_perm
北芝健が犯罪の手口を講義
http://www.maniado.jp/community/neta.php?NETA_ID=4027

林田力「テロ組織と治安機関の共通点を暴く映画」JANJAN 2009年3月18日
林田力「【書評】警察の内幕を面白く『続・警察裏物語』」ツカサネット新聞2008年9月12日
林田力「【読書の秋】警察の暗部も正直に『スマン!刑事でごめんなさい。』」ツカサネット新聞2008年10月17日
林田力「【読書の秋】異色の健康論『北芝健のアンチエイジング道場』」ツカサネット新聞2008年10月19日
林田力「【書評】『歌舞伎町のシャブ女王』薬物依存の怖さ」ツカサネット新聞2009年1月8日
林田力「【書評】暴力団と対決『警察裏物語』」ツカサネット新聞2009年1月9日
林田力「北芝健ドメインでサイバースクワッティング(上)」PJニュース2010年5月31日
林田力「北芝健ドメインでサイバースクワッティング(中)」PJニュース2010年6月2日
林田力「北芝健ドメインでサイバースクワッティング(下)」PJニュース2010年6月3日
林田力「北芝健サイバースクワッティング問題の混迷」PJニュース2010年6月14日
林田力「リアルとサイバーのスクワッティングが同時進行」PJニュース2010年6月17日

北芝健の空手道場・修道館で護身術伝授=東京・豊島

東京・駒込「修道館」の稽古を見学した

元警視庁刑事で作家やマンガ原作者、犯罪学者として活躍する北芝健氏は空手道場・修道館(東京都豊島区駒込)の館長として空手や護身術を教えている。修道館は毎週土曜日の16時から19時半までを稽古時間とする。警察官や自衛官も稽古に参加しており、実践的な空手の伝授が修道館の特徴であるが、初心者にも懇切丁寧に教えてくれる。記者は練習の見学や体験をしたことがある。
記者は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から不利益事実(隣地建て替えなど)を説明されずに新築マンションを購入したため、消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。
裁判中にはマンション内の各住戸に怪文書をばらまかれ、地上げブローカーから圧力をかけられるなど不審な事件に遭ったために防犯には関心が高い。この記者の問題意識に応えて、北芝氏は護身術を披露してくれた。
北芝氏が紹介した護身術は、金的を蹴ってくる相手への対処法である。いきなり金的が攻撃されるという事態は極限的な状況であるが、防犯では最悪の状況への備えが求められる。それは個人が何でもありの大企業相手に裁判闘争を続けた記者の問題意識にも合致する。
北芝氏は攻撃してきそうな相手を迎え撃つ場合、片足を半歩下げておくべきという。「休め」の姿勢では金的攻撃を受けやすい。片足を下げておくことで、攻撃に対して対応しやすくなる。
実際に相手が金的に蹴りを入れてきた場合、両手を手首のところで交差させ、その交差させた部分で相手の足を受け止める。受け止めた後は、その勢いを利用して、両手を交差させたまま相手のアゴを攻撃する。
空手の流派によっては相手の蹴りを手首で交差させた両腕で止めるのではなく、拳で足の甲を砕くという。しかし、護身術としては相手が革靴や鉄板を入れている安全靴の場合もあるため、両腕で止める方が安全と北芝氏は説明した。
修道館での稽古の見学で気付いた点として、空手には打撃技が主体というイメージがあるが、柔道の大外刈りのような投げ技も使われていることであった。また、相手の攻撃を受け流した上で、それを利用して攻撃するという形も見られた。これらは柔道よりも古い柔術に由来するものという。
稽古は実演によって形を説明し、その後で二人一組で練習する。ゆっくりでも正しい形で行うことを重視しており、初心者でも付いていくことが可能である。この日の参加者が14人で、女性が4人であった。本格的に空手をしたい人にも、護身術を身につけたい人にも推奨できる道場である。
稽古を体験した記者が最初に習った内容は基本中の基本である立ち方である。最初に左右の爪先と踵を合わせた「閉足立ち」から入り、そこから爪先を外側に45度に開いた「結び立ち」になる。さらに踵を肩幅程度に開いた「外八字立ち」で自然体となる。そして片足を前に出す「三戦立ち」(さんちんだち)によって、防御の安定性を保つ。さらに前膝に体重を傾けた「前屈立ち」(ぜんくつだち)よって、より戦闘に即した体制になる。
三戦立ちと前屈立ちは前に出す足によって、それぞれ右三戦立ち・左三戦立ち、右前屈立ち・左前屈立ちと呼ばれる。これらの立ち方は一連の所作として流れるように行うことが目標である。道場には壁面に鏡があるため、自分の姿勢を確認しながら練習できる。簡単そうであるが、意外と難しい。全部を覚えられなくても、一つでも身につけるというのが指導者の方針であった。
立ち方の次は打撃の練習である。中段(相手の胸部)への正拳突きを行った。正拳突きは単に前面にパンチを繰り出すこととは似て非なるものである。引き手(突く側の腕)を脇の下まで引き、腰の回転を利用しながら前に突き出す。また、拳も脇の下まで引いているときは手の甲が下で、相手にヒットさせる直前に手の甲を上部に回転させる。腰と拳の回転力を加えた打撃である。引き手や腰使い、足の踏ん張り、後背筋の締め、手の握りが正しくできて威力を発揮する。
正拳突きは空手の基本的なテクニックであり、殴る時に使用する部位(筋肉、骨)を鍛える鍛錬法でもある。この稽古を積み重ねることが突きの強化につながる。記者は前に突き出す際に一緒に上体も突き出してしまい、前屈みになってしまう傾向があった。これは実戦ではカウンターを受けやすいという問題がある。鍛錬を繰り返して正しい姿勢を身体に覚えさせることが必要である。
稽古は上級者による組手で終わった。空手は瞬間的な闘いという印象が強いが、実際はかなりの持久力が求められる。基礎を繰り返す鍛錬の重要性を実感した体験であった。

『新まるごし刑事 第1巻』素手で戦う痛快アクション

本書(北芝健原作、小林政王作画『新まるごし刑事 第1巻』実業之日本社、2009年3月21日発行)は警視庁の私服捜査官の活躍を描いた「週刊漫画サンデー」で連載していた劇画の単行本である。主人公の丸越和人は刑事であるが、スーツのシルエットが崩れるのを嫌い、拳銃を持たない主義を貫いている。そのため、丸越の戦いは原則として素手になる。

『まるごし刑事』は元々、渡辺みちお氏の作画で長期連載されていた作品である。『新まるごし刑事』では作画が小林政王氏となった。渡辺氏の丸越はパンチパーマにサングラスをかけ、髭を生やした渋めのキャラクターであった。これに対し、小林氏の描く新まるご丸越はスリムで若返った。原作者の北芝健氏は元警視庁刑事として様々な事件を扱ったとされるが、その若い頃を髣髴とさせるキャラクターになっている。

実際、本作品には北芝氏の遊びが随所に仕掛けられている。作中で丸越が通う空手道場は修道館であるが、これは北芝氏が現実に東京・駒込で主宰している道場名と同じである。作中の修道館では一等陸佐が師範代的な存在として登場するが(42頁)、現実の修道館でも幹部自衛官が門下となっている。また、北芝氏はバックパッカーとしてアフガニスタンに滞在した経験があるが、そのために丸越もアフガンに詳しい設定になっている(234頁)。

『まるごし刑事』の妙味は武装した敵を相手に「まるごし」の主人公が素手で戦うことである。バトルを主体とするマンガは主人公と敵が同じレベルの戦い方をしなければ成立しにくい。主人公が格闘家ならば敵も格闘家であり、共に格闘で戦うのが基本である。主人公がスタンド使いならば敵もスタンド使いであり、敵が念能力を使うならば主人公も念能力を修得する。

しかし、この種の敵味方の武装レベルの平等性は少年マンガ的なフィクションに過ぎない。現実の戦いはアルカイダと米軍、ハマスとイスラエルの戦争が象徴するように不平等なものである。警察の活動も、多数の応援を呼んだ警察官が集団で一人の容疑者を羽交い絞めにすることが多い。

実際、マンガ『機動警察パトレイバー 第10巻』では警視庁特車二課・課長の息子が警察の仕事はイジメと変わらないと揶揄している(「番外編その2/プールサイド」『機動警察パトレイバー 第10巻』小学館、1991年)。この点、武装した敵にも素手で立ち回る『まるごし刑事』は痛快である。