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北芝健ドメインでサイバースクワッティング

 

東急工作員のサイバースクワッティング... 1

虚偽の公式サイト開設... 2

元刑事の恩を仇で返す工作員... 3

閉鎖要求... 5

サイバースクワッティング問題の混迷... 6

不法占拠... 7

不法占拠問題での主張の隔たり... 9

自転車問題... 12

不法占拠裁判... 13

不法占拠裁判第1回口頭弁論... 16

不法占拠裁判で登場した自筆文書の中身... 17

 

 

東急工作員のサイバースクワッティング

東急不動産工作員を自称し、東急不動産だまし売り裁判原告を誹謗中傷したネットストーカーは元刑事で作家の北芝健氏も誹謗中傷している。北芝健氏はサイバースクワッティング被害にも遭っている。これは現代的なサイバースクワッティング問題の複雑さを物語るものである。

サイバースクワッティングは不正な目的で著名な企業やブランド・個人の名前のドメイン名を登録・使用する行為である。典型的な動機は真の権利者への高値での売りつけである。それ以外にもドメイン名が表す企業やブランド・個人の公式なウェブサイトと誤認した訪問者を集客し、広告サイトへの誘導や個人情報収集などに悪用される。

インターネット黎明期に問題になったサイバースクワッティングはドメインの先願主義を悪用して、無関係な人間が著名なドメインを先に取得してしまう形態が典型的であった。それに対し、工作員のサイバースクワッティングは現実の人間関係が絡み合っており、それが解決を困難にしている側面がある。インターネットが現実から離れた特殊な空間ではなく、現実の延長線上にあるものであることを示している。

問題のウェブサイトは「北芝健公式ウェブサイト」と題し、北芝氏の様々な写真と共に、北芝氏の活動(トークイベントなど)の告知や著書の案内などが掲載されていた。文字通り本人の公式サイトのような虚偽の外観を呈していた。

北芝氏は『まるごし刑事』などの漫画原作や犯罪学者の立場での講演、バラエティ番組出演など多方面に活躍している。北芝氏は工作員よりも年上であったが、工作員が何年も見せていないような力強さと活力で多方面に活躍していた。空手で鍛えぬいた筋肉が首や肩、腕に盛り上がっていた。

北芝氏は空手道場も主催していた。北芝氏の広範囲にわたる知識は門下生を魅了した。北芝氏が意見を述べることはめったになかったが、ひとたび北芝氏が発言すると、誰もが熱心に耳を傾けた。

北芝氏は経歴も異色である。もともと会社員から転職して警察官になり、在職中からマンガ原作をしていた。典型的な警察官に見られる権威主義的なところはなかった。どのような世界にいても、上手くやっていけそうな人物であった。法を執行する立場にいたが、それはあくまでも巡り会わせであった。

北芝氏は工作員に温情をかけたが、工作員は恩を仇で返す行動に出た。工作員は自己をIT専門家と名乗って北芝氏に近づいた。東急不動産工作員としての活動など様々な悪評を聞いていたが、更正の最後のチャンスと考え、仲間として待遇した。温情から食事を奢り、食品や衣料を買い与えた。様々なアルバイトを紹介したが、工作員は時間にルーズで遅刻して、長続きしなかった。工作員は北芝氏を金ヅルにしようとして失敗した。

北芝氏は空手道場の門下生と共に要人警護の仕事も受けていた。正式の警護チームとは別に、私服でクライアントを警護する。正式な警護チームのメンバーは黒っぽいスーツに包み、耳には小さなイヤホンをはめていた。恐らくCIAの熱烈なファンである。

北芝氏は実質無職の工作員にも警護のバイトの仕事を与えたが、全くの役立たずであったと語る。注意力散漫な工作員の土産を一発、尻に入れたら少しはためになるかと考えたが、やるだけ無駄だと思い直した。工作員は物覚えが悪いことで有名だ。多分何も学びはしないだろう。実業家と暗殺者の間に工作員のような、役立たずの警備員しかいないならば残念だが、あの世行きの道しか実業家には残されていない。

これに対して、工作員は北芝氏のマネージャーだったと主張する。北芝氏と会ったきっかけは業界団体の会合で偶々同席したことで、それから少しずつ仲良くなった。工作員はネットの専門家、北芝氏は護身術の専門家として紹介された。それから北芝氏のためにマネージャーやイベント開催、中傷サイトの削除、ウェブサイト作成など多数の仕事をこなしたとする。この主張は北芝氏によって否定されている。

 

虚偽の公式サイト開設

工作員は2008年12月頃に「北芝健公式ウェブサイト」を開設した。このサイトは脱法ハーブ宣伝屋が運営するアングラサイトのサブドメインに開設した。脱法ハーブ宣伝屋はゼロゼロ物件業者の息子である。ゼロゼロ物件業者は賃借人を搾取する貧困ビジネスとして反貧困運動から批判されている。後に東京都から宅建業法違反で業務停止処分を受けた。

脱法ハーブ宣伝屋はアングラサイトを運営していた。そこにはデジタル放送を不正視聴する方法や脱法ハーブ店の広告リンクなど反社会的なコンテンツに溢れていた。しかし、この時点では北芝氏は脱法ハーブ宣伝屋の反社会性を認識せず、工作員と脱法ハーブ宣伝屋にホテルのディナーバイキングを奢っている。

工作員は2009年4月頃に公式サイトの独自ドメインを取得した。脱法ハーブ宣伝屋サーバ上の公式サイトはミラーサイトとして存続した。

「公式サイト」について北芝氏は依頼もしていないのに勝手に開設されたと説明する。その目的を、サイトで北芝氏への仕事のオファーを受け、工作員が北芝氏の仕事をコントロールすることを狙ったものと推測する。

これに対し、工作員は北芝氏に「ウェブサイトを開設すれば仕事が取れる」とアドバイスしたところ、仕事が欲しいとの回答だったために作成したと反論する。定額の報酬とウェブサイト経由で仕事が入った場合のコミッションをもらえるという話であった。しかし、北芝氏からは経費の一部と物品による報酬しかもらえなかったという。

北芝氏はサイト開設を依頼していないと主張しており、そもそも報酬支払い義務はないというスタンスである。「公式サイト」は作りがチープで、安いサーバを使用しているため、温情から工作員に渡した金銭や物品でお釣りが来るレベルであるとも主張する。これに対し、工作員はサーバが最安価であるというのは風評であると反論する。

 

元刑事の恩を仇で返す工作員

工作員の卑怯者の本性は2009年夏頃に表面化する。工作員の様々な悪事が露見したためである。大きく3点ある。

第一に工作員がインターネットの匿名掲示板で北芝氏を中傷していることが明らかになった。内容は北芝氏が女子大生と付き合っているという類の事実無根のものである。但し、具体的な大学名を挙げ、何月何日に一緒に歩いていたなどと細部にリアリティのある描写をしていた。当時、北芝氏は名前を挙げられた大学の女子大生と一緒に仕事をしており、それは仕事についてきた工作員しか知らない事実である。これが匿名の書き込みを工作員のものと判断した理由である。

この点について工作員は、書き込み内容から嫉妬心を抱いた女性の書き込みであると言い訳した。

この書き込みがなされた時間帯は北芝氏が顧問を務める学会のセミナーがあり、工作員も受講していた。ここから工作員は自分が書き込むことは物理的に不可能であると主張する。これに対して、北芝氏は、工作員はインターネットに接続できるノートパソコンを持ち歩いており、セミナーを受講しながら書き込んでいたと主張する。

北芝氏の説明では工作員は北芝氏が対立する前から陰で北芝氏を中傷する書き込みをしていたことになる。その動機を北芝氏は空手道場の和気藹々とした雰囲気への嫉妬と分析する。アメリカからの女子留学生の送別会で、工作員は記念品をもらえなかった。心の中で激怒し、憎悪したのではないかと述べる。

これに対して、工作員は女子留学生が記念品を渡したのは送別会出席者の一部であり、自分だけがもらえなかったわけではないと主張する。

また、誹謗中傷の書き込みは北芝氏から金を引き出すためのマッチポンプでもあったと指摘される。北芝氏は週刊誌から経歴詐称をしていると虚偽の報道をされ、事実無根であることが立証された後もインターネット上で無責任な書き込みが続いていた。その書き込みを削除すると工作員は売り込んできた。しかし、実際は自分で誹謗中傷を書いて削除するというマッチポンプで、しかも北芝氏には見抜かれていた。

第二に修道館の女性門下生や取材に来た女性記者からの苦情である。工作員がしつこく温泉旅行に誘い、セクハラメールを送っていたという。

これに対し、工作員は事業資金貸与を求めて女性陣に頭を下げに行ったことをセクハラと悪意に解釈されたと言い訳した。しかし、後に工作員が不法占拠した建物所有者の女性にセクハラメールを送っていることが明らかになっている。

第三に北芝氏が顧問を務める学会からの苦情である。北芝氏は工作員の頼みによって、北芝氏の費用負担で工作員を学会に入会させた。ところが工作員は学会の教授達に「月50万円でネット上の誹謗中傷などから守る」などと言って金を要求した。北芝氏は教授達から「あのような人物を何故、入会させたのか」と叱責を受けた。

これに対し、工作員は北芝氏の招聘で学会に参加したが、タダ働きだけさせられたと主張する。

第四に金銭トラブルである。工作員は2009年6月に道場に遊びに来ていた新宿警察署生活安全課の警察官に修道館の家賃の名目で11万円を借りた。これは北芝氏に無断でなされた。そのうちの7万円を工作員は大家に振り込む。

インターネット上には「修道館が潰れかけており、それを工作員が救う」という内容の工作員に都合のよい妄想的な内容の書き込みもなされていた。警察官から借りた11万円は2009年7月に北芝氏が返金した。これに対し、工作員は警察官からは事業資金として借りたと反論する。

こうして工作員と北芝氏の溝は広がっていった。工作員は北芝氏の忠告を無視し、トラブルを増やしていった。北芝氏はトラブルの後始末もさせられた。「これ以上、元刑事が余計な心配をさせなければいいのだが・・・・・・」と思っていた矢先に北芝氏は元刑事の誹謗中傷を重ねた。ウンザリした北芝氏は工作員からキッパリと縁を切るつもりであった。

北芝氏は2009年7月に工作員を修道館や学会への出入り禁止にした。これに対し、工作員は、公式サイトの報酬が未払いであると主張した。報酬未払いを理由とすることは傷害事件と同じロジックである。出入り禁止の言い渡し後は、工作員が色々な人に「北芝は頭がおかしい」と吹聴したとする。

工作員による誹謗中傷が続いたため、北芝氏は工作員に電話し、「何故、嫌がらせの書き込みなどをするのか」と尋ねた。すると「手前コノヤロー」と突然口調が変わったという。そこで言い争いになり、男同士の勝負をするという話になった。

工作員が北芝氏の空手道場のある駒込に来ることを拒否したため、文京区千石で会うと話がまとまりかけた。しかし、工作員は「出てくるが勝負はしない。黙って殴られるだけだ」と言い出した。北芝氏は「手を出させて暴行・障害とし、被害者に仕立て上げる罠である」と推測し、「気味の悪い奴だ」と評した。

北芝氏は2009年8月14日に「北芝健公式ブログ」を開設した。そこで工作員との対立を明らかにし、工作員を批判した。これに反応するようにインターネット上で北芝氏に対する誹謗中傷が激化した。北芝氏の親族の名前までが書き込まれた。

 

閉鎖要求

北芝氏は2009年7月以降、工作員に「公式サイト」の閉鎖を要求した。また、自ら開設したブログで2009年8月15日以降、「公式サイト」が勝手に作られたもので、非承認であることを明らかにした。

北芝氏の閉鎖要求にもかかわらず、「公式サイト」は存続し続けた。北芝氏は脱法ハーブ宣伝屋にコンタクトし、脱法ハーブ宣伝屋が管理するミラーサイトは停止した。

「公式サイト」については15万円でのドメインの買い取りが提示された。このドメイン買い取りについての北芝氏の証言は生々しい。

最初に脱法ハーブ宣伝屋から電話で「サイトを消すには見返りが必要。30万円が相場」と告げられた。北芝氏は「金を払う必要はない」と答えた。脱法ハーブ宣伝屋は再度の電話で「私が間に入るので、15万円でどうか。工作員が非礼を詫びる一文も書く」と提示した。北芝氏は「サイトの削除が先。要求があるならば黙ってサイトを消してから言うべき」と拒絶した。

ところが後日、脱法ハーブ宣伝屋から15万円を払っていないことを難詰する電話がなされた。北芝氏は脱法ハーブ宣伝屋の認識違いに反論した。それ以降、工作員から「約束したのに払わないのは汚い」「がっかりだ」というメールが繰り返し送られた。工作員本人からもメールが送られたことから、北芝氏は工作員と脱法ハーブ宣伝屋が共謀していると判断する。

これに対し、工作員は自分から脱法ハーブ宣伝屋に依頼しておらず、この件で北芝氏に連絡もしていないと主張する。脱法ハーブ宣伝屋が仲裁のために「サーバ代、ドメイン代を含めて15万円で全てを買い取り、ドメインの権利も全部もらって、もうケンカやめたらどうです」と自発的に提案した。工作員としては、北芝氏のブログでの攻撃などが止まるならと考え、譲渡することに同意した。

その後、北芝氏は「公式サイト」をホスティングするプロバイダに内容証明郵便を送付した。ここで北芝氏の知人の編集者・三枝憲弘氏が登場する。三枝氏は過去に編集者をしていた雑誌で、北芝氏が連載していたという関係であった。三枝氏が入院した際には北芝氏が見舞いに来てくれたこともあった。その中で北芝氏から相談を受けることもあり、その一つが「公式サイト」の問題であった。三枝氏は北芝氏に弁護士を紹介した。この弁護士が北芝氏の依頼を受け、プロバイダに内容証明郵便を送付した。

北芝氏及び三枝氏は内容証明郵便を2度送付したと主張する。最初の内容証明郵便は20101月に送付した。工作員が「公式サイト」を詐称し、北芝氏の著書のアフィリエイトで利益を上げることは違法であると主張した。

北芝氏によると、工作員はプロバイダに「本人の承認を受けているから消す必要はない」と回答した。プロバイダは「承認を受けていると言っている以上、どうしようもない」というスタンスであったという。

この点について、工作員は手紙の内容には法的な誤りや嘘が多く、それらをプロバイダに指摘し、「北芝さんは間違った方向に進んでいる」と返信したという。

北芝氏や三枝氏は弁護士名義で内容証明郵便を送付したと主張する。但し、プロバイダが工作員に転送する際に弁護士の記名部分を除外した可能性はあるとする。

これに対し、工作員は無記名であったとする。差出人が個人ならば兎も角、弁護士が代理人として内容証明郵便を送付した場合に、プロバイダが弁護士名を除外することは非現実的と一蹴する。工作員は三枝氏が内容証明郵便の実際の作成者であると主張する。

三枝氏によると2度目の内容証明郵便に対しては返事がなく、催促しても回答がなかった。プロバイダ側も「どうしようもない」というスタンスであった。

これに対して、工作員は2度目の内容証明郵便は届いていないと主張する。北芝氏側が2度目の内容証明郵便を送付したことが事実ならば、請求に根拠がないとプロバイダが判断したことになるとする。

 

サイバースクワッティング問題の混迷

北芝氏は「公式サイト」により、大きな仕事上の実害があったと説明する。工作員が「公式サイト」のドメインのメールアドレス宛に送付された仕事のオファーを好き嫌いでブロックしていたという。

これに対し、工作員はブロックしていた事実を否定する。また、北芝氏から疑いを持たれた後はドメイン宛のメールを北芝氏らのアドレスに自動転送するようにしたと主張する。

北芝氏は「公式サイト」への対抗策として、別のドメインで「北芝健公認公式ウェブサイト」を立ち上げた。最近では「公認公式サイト」から仕事の依頼もなされるようになったという。

「公式サイト」は2010年5月24日付でサイト閉鎖の案内を掲示した。この閉鎖案内には「脱法ハーブ宣伝屋の説明と説得で閉鎖」と書かれている。これに対して、北芝氏は「公認公式サイト」の存在によって、工作員が「公式サイト」を維持することの無意味さを認識したことが閉鎖の理由ではないかと推測する。

この閉鎖案内ではメールアドレスの転送を証明するために、設定画面も掲載している。記者もメールを送信し、転送されていることは確認した。

しかし、工作員から実名を掲載された修道館役員は「メールは転送されるが、工作員が勝手に返事を書いて送ってしまう」と指摘し、実害が解消されていないと主張する。閉鎖案内が出されても解決とは言えない状態である。むしろ問題は混迷を深めている。工作員は閉鎖案内を出した「公式サイト」上で自らの主張を公開している。

そこでは北芝氏よりも「代理人を称する三枝憲弘を名乗る男」への批判が中心になっている。三枝氏は「工作員の主張は嘘が多い。自分の嘘を隠すために他人を誹謗中傷している」と憤る。三枝氏は代理人を称したことも、代理人として動いたこともないとする。

工作員は三枝氏を「住所不定」と記す。その判断理由を工作員に確認したところ、工作員と同じように三枝氏の被害に遭った人からの情報とする。親族の家を点々としており定住地がないと聞いたという。

これに対しても三枝氏は虚偽と主張する。工作員が三枝氏の引越し前の旧住所に行き、居住していないことを確認したために住所不定と判断したのではないかと推測する。これはストーキング行為として関係行政機関に相談中という。

三枝氏は工作員が他の人にもストーキング行為をした事例も説明した。但し、工作員は三枝氏に刑事告訴の意思を示している。また、別の事例でも工作員は相手方と民事トラブルになっていると主張している。共に相手方の住所を確認する必要性があると主張可能な余地があるケースではある。

現時点では北芝氏側からのサイト閉鎖の試みは成功していない。閉鎖の案内文は出ているが、「北芝健公式ウェブサイト」のページ・タイトルの下に工作員の主張が掲載されており、北芝氏にとっては決して好ましい状態ではない。むしろ閉鎖案内掲示前の北芝氏の著書などの宣伝が掲載されていたページの方が北芝氏のタレント・イメージにとってはプラスとの考えも成り立つ。

これに対し、三枝氏は「公式サイト」問題の本質は、工作員が北芝氏への仕事のオファーを選り好みし、勝手に断ってしまう点にあると断言する。それを明白にすることが最重要課題とする。早期にサイトを潰すという観点では下手に見えても、北芝氏側が戦略的に動いていることを匂わせる話しぶりであった。内容の性質上、詳細は説明されなかったが、今後の動きに注目したい。

 

不法占拠

サイバースクワッティングと並行し、工作員は住まいでもトラブルを抱えていた。工作員は2009年に学生時代から居住していた池袋の学生マンションを家賃滞納で追い出された。中年にもなって親の仕送りで生活し、学生マンションに住み続けること自体がみっともない。

学生マンションを追い出された工作員は足立区の一戸建てに転居した。この転居先の建物は北芝氏の知人女性が共同所有するものであるが、工作員が不法占拠していると非難されている。リアルとサイバーでスクワッティングが同時進行している事案である。サイバースクワッティングと同様、現実空間のスクワッティングも混迷を深めている。

工作員と知人女性(建物所有者と古物商の親子)は北芝氏のイベントで知り合った。知人女性(建物所有者)は東京都足立区内の建物の共同所有者していた。知人女性(古物商)は親の所有する建物を古物商の事務所兼倉庫として使用していた。その事務所には古物商として仕入れた物品や着物など女性の私物が保管されていた。

その建物には2009年9月以降、工作員と友人・北村氏が居住した。北村氏は動画サイトにアップロードするために、北芝氏のイベントや北芝氏の主宰する空手道場・修道館の練習風景を録画していた。

北村氏は事務所に住み込み、女性の古物商の仕事を手伝っていた。また、同時期にネットショップのウェブサイトが開設された。そのサイトは女性の古物商免許番号を掲載し、事務所の住所を所在地として表示していた。しかし、12月末になると北村氏は工作員と仲違いして出ていき、以後は工作員が占有している。その後、女性は工作員に退去を繰り返し要求したが、工作員は応じていない。

工作員が占有した経緯について女性は以下のように説明する。工作員から「友人の北村君が腰を痛めてしまい、仕事ができない。倉庫の空き部屋で、ネットオークションをやらせてもらえないか」と持ちかけられた。女性は「困っている人がいるならば」と親切心から応じた。

事務所の一室を北村氏の居住スペースとしたが、他は事務所兼倉庫のままで、女性も頻繁に事務所で仕事をしていた。このように女性側は北村氏を住まわせ、仕事を手伝ってもらっていたが、工作員は無関係であり、せいぜい北村氏のサポート役という認識であった。

ところが、事務所では、いつも工作員が北村氏と一緒にいた。最初は友人として遊びに来ている、または北村君をサポートしていると思っていたが、遅くとも11月頃には工作員も住み着いていることを確信した。この経緯から女性も北芝健氏も三枝憲弘氏も、自分が住む場所を得るための口実として北村氏を使ったと推測する。

工作員は2009年9月19日の時点で以下のように説明している。

「池袋から足立区に引っ越した。足立区が気に入っている。腰を痛めて通常の仕事ができない北村氏の生計を立てられるように、女性と北村氏と三人でネットショップの共同事業を始めた。」

そして「チーフディレクター」の肩書きを付した名刺を提示した。ネットショップの運営は工作員が主体で、工作員が北村氏を養っているようなものだと述べた。その際、工作員のノートパソコンでオークションへの出品物を見せられた。その中の説明文に誤りがあることを指摘したが、工作員は「北村氏が、いい加減な内容を掲載している」と主張した。

事務所に居住してからの工作員と北村氏の関係は仲の良い友人というものではなかった。

女性側は二人が口論していることもあったという。12月に北村氏が松葉杖をついて病院から戻ってきた。そして「もう工作員とは、やれません」と告げて出て行った。

工作員も仲違いがあったことは認めるが、北村氏が仕事を真面目にしなかったためとする。工作員は北村氏の胸ぐらをつかんだことはあるが、暴力をふるったことはないとする。

北村氏が出て行ったことで当初の前提が崩れたために、女性は2010年1月から工作員に退去を求めた。これに対し、工作員は「居住権がある。北村氏の事業も承継した。出て行って欲しいならば退去費用と休業補償費用をよこせ」と主張した。所有者が入れないように鍵も変更されてしまった。

これに対し、工作員は、最初から女性側は工作員の居住を了承しており、賃貸借契約関係にあると主張する。現在の対立は、家賃額と共同事業の運営をめぐる民事トラブルであるとし、平行線となっている。トラブルのきっかけは女性側による家賃値上げ要求と主張する。

1月以降、工作員は倉庫の中にあった物品を勝手にネットオークションに出品し始めた。そこには遺品など女性にとって大事な品物もあった。これは窃盗として2010年3月、西新井警察署に被害届を出した。工作員は女性に卑猥なメールを送りつけるなどのストーカー行為を繰り返し、女性は身の危険を感じている。

 

不法占拠問題での主張の隔たり

元刑事で作家の北芝健氏がサイバースクワッティング被害に遭っている。北芝氏の名前を表すドメインを所有する工作員が北芝氏の知人女性の建物を占有するというサイバーとリアルのスクワッティングが同時進行している。

このスクワッティング問題では、双方の主張が極端に乖離していることが分かった。

第一に工作員の居住経緯である。工作員は最初から北村氏と一緒に工作員も居住しており、それを女性も認識していると主張する。その証拠として工作員は2010年3月に女性から送信された「カレーを作ったので、持って行きます」というメールを提示する。

これに対し、女性は北村氏を住まわせたところ、工作員が勝手に住み着いたと主張する。カレーのメールは工作員に脅迫されたものである。この点は後述する。

第二に賃貸借契約の有無である。工作員は口頭の賃貸借契約があると主張する。但し、工作員の主張に沿った場合も典型契約としての賃貸借契約よりも、組合契約との混合契約に近い。この点は後述する。これに対し、女性は工作員の居住自体が勝手になされたもので、当然のことながら賃貸借契約も否定する。

第三に家賃の支払いである。一般に賃借人から賃貸人に対して支払われるような形での家賃の支払いはなされていない。

この点について、工作員はネットショップの売上金を全て女性側の預金口座に入金しており、その中には家賃の名目も含まれていると主張する。ネットショップという共同事業の利益の処理の中で家賃の支払いがなされており、これが賃貸借契約と組合契約の混合契約に近いと考える所以である。

工作員は家賃が含まれていることを示す資料を証拠として提示する。それは2009年2月のネットショップの売り上げが記録されたもので、オークション会社に支払うシステム料、家賃、電気代、水道代、電話代が控除されている。また、工作員の人件費が0円と計上されている。

これに対し、女性は北村氏も工作員も家賃を一円も支払っていないと主張する。工作員が家賃支払いの証拠として提示する資料は、知人女性が自己の古物商営業について金銭の流れを分かりやすくするために作成した整理表である。

これまで「知人女性」としか書かなかったが、実は知人女性は親子である。工作員から名誉棄損や身の危険を感じている知人女性に配慮し、可能な限り曖昧にした結果であるが、女性の主張を紹介する上で必要なために記載する。親が建物所有者で、子が古物商である。

子が古物商の事務所兼倉庫として親の建物を使用している関係であり、子が親に家賃を支払っていた。そのために資料でも家賃を控除していた。工作員は建物を占拠したことで、事務所にあった当該資料を発見した。それを奇貨として、工作員は家賃支払いの証拠とした。そのようなものを証拠として他人に見せる感覚は常軌を逸していると批判する。そして工作員に家賃支払いの意思があるならば供託すべきと主張する。

第四に対立の契機である。女性は工作員に度々明け渡しを求めた。しかし工作員は自分の主張を言うばかりであったとする。

これに対し、工作員は女性からの家賃値上げ要求が発端と主張する。周辺地域の地価や老朽化した建物の状況から家賃を値上げする根拠はない。建物は雨漏りや漏電があり、自ら職人を雇って修繕したとする。

さらに工作員は、北芝氏や三枝氏が背後で女性を煽ったためにトラブルがこじれたと主張する。高齢者を含む知人女性に取り入り、問題を大きくしている。第三者が賃貸トラブルを解決したいと思うならば、話し合いの立ち合いをする、司法書士・弁護士を紹介するなどの方法がある。ところが三枝氏らのしていることは工作員への嫌がらせであり、追い出し屋と同じであるとする。

共同事業と見た場合に両者の対立を印象付ける出来事に古物商免許の返上がある。女性は3月16日に古物商免許を返上した。工作員が運営しているネットショップには女性の古物商免許番号が掲載されており、名義を悪用される危険があるためである。

工作員の方でも遅くとも4月下旬までには古物商免許番号の表示をサイトから削除した。この点について、工作員は古物市場から仕入れていないために、そもそも古物商免許は不要であったと説明する。

第五にネットショップの売上金管理口座の解約である。この口座解約はネットショップが女性と工作員のいずれが中心的に資本・労力を提供したかによって、評価が変わる。

女性は女性名義となっていた上記口座を解約した。工作員は女性の私物をネットオークションに勝手に出品し、上記口座を落札者の払い込み先として使用していた。これ以上、工作員に悪用されることを防ぐためとする。売上金については女性の私物を勝手に出品されたものであり、工作員に返金することは筋違いである。

これに対し、工作員は出品物の多くは工作員の私物であり、突然の解約によって落札者に多大な迷惑をかけたと批判する。また、上記口座には売上金が入金されており、売上金持ち逃げに等しい。オークションシステム利用料などの経費は工作員が全て負担している。口座解約後一度も清算や返金がない。これは横領であるが、民事事件と考えて告訴していないとする。

第六に嫌がらせの有無である。女性は工作員から嫌がらせや脅迫を受け、身の危険を感じていると主張する。2010年3月には工作員から本を投げつけられた。女性に怪我はなかったものの、ノイローゼとなり、不眠症になってしまった。

当時、女性は工作員に恐怖を感じていた。「食事を作れ」と言われれば脅されるままに従うしかない状況であった。そのような状況の中で工作員の機嫌を損ねないために「意思とは異なるメール」を出さざるを得なかった。工作員が友好関係を示す証拠として使っている「カレーを作った」メールも、その一つである。工作員が自己の主張に都合の良いように断片的に利用している。

また、女性が精神病であるとの内容や、攻撃的表現や性的表現を含むメールが度々送られてきた。4月27日には「女性の住所を訪ね歩いたが、それらしい物件はない」旨のメールが届いた。女性はリアルのストーキングと受け止めている。6月14日にも工作員から意味不明なメールが送られた。

女性は、むかつくようなメッセージによって正気を失いそうになると語る。反応すれば工作員を喜ばせるだけであると認識している。そばにいるわけでもないのに、自分の人生が左右されていることがたまらなく嫌であった。不愉快なメールやストーカー行為のために精神的に追い詰められていることが自分でも分かるという。

これに対し、工作員は、メール送付は話し合いのためと主張する。女性が断片的なメールを他の人に見せて、意味不明なメールということにしている。女性の住所を調べたことも、話し合いや文書の送付先確認のためであるとする。

女性との話し合いで口論や非難をするつもりはない。ただ道理を明らかにし、道理を弁えた人間として、関係者全てにとって利となるところを誠心誠意話し合い、気持ちよく別れるために話し合いを求めていると強調する。

工作員はインターネット上で名前を出してはいないものの、関係者ならば分かる形で女性の一人を統合失調症などと指摘していた。そして、女性の被害妄想に他の人も引きずられている状態であると主張する。これに対して女性側は、そのような工作員の主張自体が女性への中傷攻撃であり、分断工作であると反発する。

一方で工作員は自身が嫌がらせを受けていると主張する。女性側は4月26日付けで工作員の父親宛に内容証明郵便を送付した。そこでは工作員が建物を占拠し、女性の私物を勝手に販売し、女性に嫌がらせをしていると述べている。そこでは家の中を探偵に撮影してもらい、預金口座を撮影したとも書かれている。

まず、工作員は実家に送付することが常識外れであると批判する。探偵に撮影とあるのは、女性側が合鍵を使用して住居に侵入したのではないかと反発する。大家であっても勝手に入ることは不法侵入になる。

 

自転車問題

この家屋スクワッティング問題は北芝健ドメインのサイバースクワッティング問題とは、一方の当事者が同一人ということ以外は別次元の問題である。しかし、北芝氏を通じて二つの事件が接点を有した。

女性側は2010年3月に家屋スクワッティング問題を北芝氏に相談した。女性が工作員に知り合ったきっかけは北芝氏を通してである。そのため、北芝氏に相談することが自然であるとの発想からである。

これに対し、工作員は賃貸トラブルに北芝氏や編集者が介入することが異常であると反発する。介入によって問題がこじれていると主張する。

北芝氏と三枝氏と修道館役員の三人は2010年4月8日に工作員の住居付近に行き、自転車で帰宅中の工作員に遭遇した。

北芝氏らは物件の下見に行ったところ、工作員に偶然出会ったと説明する。その日は六本木で出版関係の打ち合わせがあり、打ち合わせ終了後に三人で喫茶店に入った。そこで北芝氏は「この後はお暇ですか。工作員が占拠している物件を見に行かないか」と提案した。他の二人も予定はなかったため、一緒に行くことになった。

北芝氏らは工作員に会うことは想定していなかったとする。喫茶店では以下のやり取りがなされた。

三枝氏「でも、工作員に会うのは嫌ですよ」

北芝氏「当たり前でしょう」

物件を見たところ、工作員は留守であった。帰ろうと思い、家の周りに出たところ、小学校の正門前で工作員に鉢合わせした。このように北芝氏らは工作員との遭遇が偶然であることを強調する。現実問題として襲撃を計画していたならば、まだ小学生が歩いている時間帯に小学校の前で待っていることは非合理であると主張する。

これに対し、工作員は計画的な待ち伏せであったと主張する。修道館で4月3日に宴会があり、そこに知人女性も参加して、計画を練っていたとする。そもそも北芝氏らが下見に出かける必然性はない。現地は最寄り駅からバスで行くような場所であり、フラッと出かけることは不自然であるとする。

以下、北芝氏らの説明である。

北芝氏らも工作員も、お互いに会うことは想定外であり、しばらく動かずに見つめていた。最初に工作員が口を開いた。

「北芝さん、仲直りしましょうよ」

この発言に対し、三人は唖然とした。あれだけ嫌がらせを繰り返しておきながら、仲直りを主張する神経が信じられなかった。しばらく固まっていたが、自転車の防犯登録を見た三枝氏と工作員の間で以下の会話がなされた。

三枝氏「この自転車は工作員の所有物ではないだろう」

工作員「8000円で購入した」

三枝氏「自転車の所有者(知人女性)は、自転車を勝手に乗り回されて困っていると言っている」

三枝氏が110番通報すると、工作員が自転車で北芝氏に突進した。前輪が北芝氏のズボンにぶつかった。北芝氏は前輪の跡のあるズボンを証拠として保持している。北芝氏は身体をひねったために工作員は尻もちをついた。三人の方から工作員に触れたことはなかった。

警察到着後、工作員は「持ち主から借りた」と主張を変更した。女性が来て、「自転車を貸した覚えはない」と答えた。工作員は「借りた人から借りた」と主張した。買い物帰りの工作員は「冷蔵庫に肉をしまいたい」と述べ、警官が同行の上で買い物の荷物を家に置きに行った。

警察が自転車を調べたところ、盗難届けが出されたものであることが判明した。北芝氏や三枝氏は、工作員が女性の所有する自転車を勝手に乗り回していることを問題視していたが、三枝氏が警察に通報したことで問題の自転車が盗難品であるという別の問題が明らかになった。このために工作員と女性は西新井警察署で聴取を受けた。問題の自転車は女性が古物商として購入したものであった。

この後、工作員は北芝氏と関わりのある出版社やイベント会場に乗り込み、「もうすぐ逮捕される。取引を止めろ」と妨害行為を繰り返している。また、イベントの共演者にも会いに行っている。

これに対して、工作員は三枝氏から暴行され、負傷したと主張する。三枝氏は工作員の自転車のグリップを握り、どこにも行けない状態にした。三枝氏は「お前は家賃を何ヶ月も払っていない」と言いながら、自転車を倒し、工作員を負傷させた。工作員は「供託する」と反論したが、「供託など関係ない」と言われて蹴られた。工作員は翌日、病院に行き、全治2週間の診断を受けた。

自転車は工作員が中古品を購入したものであると主張する。防犯登録の登録名を変更していなかったことが警察の聴取を受けた原因である。工作員は西新井警察署に傷害などの告訴状を提出したとする。

 

不法占拠裁判

元刑事で作家の北芝健氏の知人女性と元マネージャーを自称する公式工作員との間の家屋不法占拠問題が法廷で争われることになった。工作員は知人女性所有の建物に居住していたが、知人女性が明け渡しを求めていた。

工作員は賃貸借契約の存在を根拠に明け渡しを拒み、居住を続けている。2010年7月以降は建物の2階部分の賃料として月1万円を供託した。供託事由は預金口座閉鎖による受領不能とする。さらに9月には「供託者が相当と考える賃料の増額分2万円を加算」するとして、3万円を供託した。

一方、知人女性の建物所有者は工作員に対し、2010年9月29日付で建物の明け渡しなどを求める訴訟を東京地方裁判所に提起した。知人女性の請求は土地・建物の明け渡しと損害賠償(遅延損害金)である。損害賠償の金額は2010年4月1日から明け渡し済みまで毎月8万5000円となっている。

訴状によると、問題の建物は古物商を営む建物所有者の娘が1994年頃から使用していた。工作員は2009年8月中旬頃に古物商に電話し、腰痛を患っている友人・北村氏の静養先探しを依頼された。古物商は親切心から口添えした結果、北村氏は腰痛が治るまでの間という条件で建物所有者から無償で借りることになった。これを使用貸借契約と表現する。

その後、工作員も居住し始めたが、12月には工作員と北村氏は仲違いし、北村氏は出て行ってしまった。北村氏退去後も古物商のネットオークションで工作員の協力を得ていたことなどから、退去を求めなかった。しかし、工作員が建物の雨漏りのクレームを付ける、古物商の営業を妨害するなど行為が目に余るようになった。

そのため、建物所有者と古物商の連名により、内容証明郵便で退去を求めた。その文書では「当物件は倉庫兼事務所としての使用用途であるため居住用ではありません」とした上で、早急な退去を求めている。この内容証明郵便は2010年3月18日に工作員に到達した。

しかし、工作員は退去に応じなかった。このため、内容証明郵便到達後の工作員の建物占有を不法占有と位置付ける。工作員の供託にも触れるが、そもそも賃貸借契約を締結したことは一切ないと主張する。これに対して、工作員は口頭での賃貸借契約が締結されているとして、争う意向を示した。

訴状の特徴として、2点ほど指摘することができる。

第一に主張の穏健化である。訴状では内容証明郵便到達後から不法占有開始とする。これは裏返せば2010年3月以前の居住は問題視しないということである。予備的主張として工作員との使用貸借契約終了に基づく明け渡しを求めており、工作員との使用貸借契約成立の余地を残している。また、工作員が古物商のネットオークションに協力していたことも認めている。これまで両者の主張は大きく隔たっていたが、裁判では主張を絞り込んだと思われる。

この点は工作員にとって重要である。インターネットの匿名掲示板では工作員が最初から不法占拠していると攻撃する書き込みがされている。ある面では工作員にとって相手方の主張を自己の名誉回復に利用できることになる。

第二に両者の対立の契機として、古物商に対する営業妨害が挙げられている。その具体的内容は記されていない。これは主位的に所有権、予備的に使用貸借契約の終了に基づき明け渡しを求めており、明け渡しを求める動機は重要ではないためである。但し、嫌がらせ的な理由で明け渡しを求めるならば相手方から権利濫用を主張される可能性があり、適切な理由を記載する意味はある。建物所有者にとっては深入りせずに、サラッと主張したい内容である。

これに対して、工作員にとって営業妨害の指摘は信用問題であり、簡単に済ませられない問題である。工作員は公式サイトの問題で北芝氏とも対立していたが、北芝氏が非難している点も業務妨害である。具体的には工作員が公式サイト経由で送付されたオファーの一部をブロックしているという疑いである。

北芝氏はオファーのブロックを人伝に聞いた話とする。誰が北芝氏に話したのかが問題になるが、名前が確認できた人物は工作員の知人で「北芝健公式ウェブサイト」のサーバを提供した脱法ハーブ宣伝屋である。脱法ハーブ宣伝屋は2009年12月に北芝氏に連絡し、北芝氏への仕事依頼を工作員が握り潰していると告げ、30万円での公式サイトの買い取りを提案したという。

北芝氏は脱法ハーブ宣伝屋の提案を恐喝として拒否したが、オファーのブロックについての発言は信憑性があるものと受け止めた。工作員と脱法ハーブ宣伝屋がグルであると認識していたためである。北芝氏と共に工作員を追及していた編集者の三枝憲弘氏は脱法ハーブ宣伝屋を「工作員の最大の理解者」「他人から金を巻き上げる利益を共にする人間」と表現する。

また、建物所有者も脱法ハーブ宣伝屋について同様に評する。脱法ハーブ宣伝屋は古物商とも面識があり、古物商作成によるオークション事業の文書にも代理出品者として名前が登場していた。古物商が家屋占有問題を脱法ハーブ宣伝屋に相談したところ、脱法ハーブ宣伝屋は「立ち退かせるためには、立ち退き料の支払いが必要」と述べたという。古物商は「家屋を占有された上に立ち退き料まで払わされることは筋が通らない」と反発した。この経緯から脱法ハーブ宣伝屋と工作員がグルになって立ち退き料の分配を狙っていたと分析する。

一方で三枝氏の説明にはグルとの見方と矛盾する点もある。三枝氏は脱法ハーブ宣伝屋と2010年4月に吉祥寺で会合し、その内容をメモに残している。その席で脱法ハーブ宣伝屋は以下の発言をしたという。

「15万円というのは(サイト買い取りの)相場だと言うことがわかるでしょう。ボクは昔からそういう商売をやってきましたからね」

「工作員を止めるには刑事事件で収束させるしかない。ボクが感情的に煽って殴られますよ。それであいつは傷害罪だ」

これらの発言が事実ならば脱法ハーブ宣伝屋は事件屋的な存在になる。事件屋の介入は両当事者に有害であり、工作員にも損害を与えかねないものである。この点は工作員のスタンスの変化も裏付けになる。北芝氏は恐喝と反発するサイト買い取り要求について、工作員は2010年5月時点では脱法ハーブ宣伝屋が自発的に仲裁したと好意的に評価していた。しかし、その後は対立を煽って金を引っ張る事件屋と見ている。

以上のとおり、脱法ハーブ宣伝屋は両当事者から批判的に見られており、オファーのブロック発言は鵜呑みにできない。それ故に、この裁判での営業妨害の存否が工作員を評価するポイントとなる可能性がある。

 

不法占拠裁判第1回口頭弁論

工作員の不法占拠裁判の第1回口頭弁論が2010年11月9日、東京地方裁判所民事第609号法廷で開催された。これは元刑事で作家の北芝健氏の知人女性らが所有建物の明け渡しなどを求めて、その建物に居住する「北芝健公式ウェブサイト」開設者を提訴した裁判である。

口頭弁論では原告側は代理人弁護士、被告側は本人が出廷した。被告は本人訴訟である。最初に植垣勝裕裁判官は原告に訴状の請求の趣旨について質問した。請求の趣旨では土地及び建物の明け渡しを求めているが、土地の明け渡しについて疑問視した。何故ならば問題の土地には原告所有の建物が建設されており、土地を明け渡すとなると建物を収去しなければならず、被告の権利範囲外のことであり、原告の利益も害することになるからである。

植垣裁判官は「このままならば請求を棄却するだけです」と述べ、原告側は土地の明け渡しを求める部分を削除した上で訴状を陳述することになった。この訂正について裁判官が被告に説明したところ、被告は「私は居住が正当であると主張したいだけなので」と応じた。被告が自己の主張を展開する勢いであったため、裁判官は「手続きの話をしています」と遮った。

被告は請求棄却を求める答弁書が提出しており、それを口頭弁論で陳述した。被告が不誠実な応訴態度をとる場合、「請求の原因に対する認否」を「追って主張する」とする中身のない答弁書を提出して時間稼ぎをすることがある。これに対し、この裁判での被告の答弁書は「請求の原因に対する認否」や自己の主張が詳細に書かれたもので、証拠も提出した。

そこではトラブルの背景として、原告側に寄生した悪徳不動産業者などが脱法的な追い出し屋行為をしていると批判し、そのような背景があることへの配慮を裁判官に求めている。その上で被告は原告の娘の古物商とは共同事業関係にあり、建物について賃貸借契約があると主張する。

また、訴状では被告が建物全体を占有しているとするが、被告が居住に利用しているスペースは2階部分のみである。しかも、建物には建物所有者・古物商の私物が大量に残されたままであり、物理的に十分な利用をすることができないとする。

原告も訴状提出時に証拠を添付していたが、証拠説明書を提出していないため、証拠調べは次回期日となった。被告は証拠説明書を提出していたが、直前に送付されたために裁判官が読み切れておらず、同じく証拠調べは次回期日となった。

その上で裁判官は双方の文書・証拠を概観した上での印象を語った。被告提出証拠にある古物商からのメールで家賃に言及しており、不法占有とは言えないのではないかと述べた。そして原告代理人に「そのあたりを次回期日までに裁判所に説明して下さい」と求めた。

 

不法占拠裁判で登場した自筆文書の中身

不法占拠裁判で工作員が決定的な証拠と主張する古物商の自筆文書の内容が明らかになった。そこには工作員の主張を裏付ける内容が記されている一方で、工作員の主張する事業に将来性がないことが明らかにされた。

これは元刑事で作家の北芝健氏の知人女性らが所有建物の明け渡しなどを求め、その建物に居住する工作員を提訴した裁判である。建物所有者は工作員の居住が不法占有であるとし、主位的には所有権、予備的に使用貸借契約の終了を明け渡しの根拠とした。これに対し、工作員は賃貸借契約に基づく居住であると答弁した。

問題の文書は2010年3月上旬頃に建物所有者の娘の古物商が工作員に宛てたもので、2010年2月分のネットオークション事業の収支が書かれている。工作員は「直筆の手紙」と説明するが、郵便物ではない。三菱東京UFJ銀行の封筒の表面に手書きで書かれた文書である。そこには「現時点では家賃・電気光熱費さえ支払っていただければ文句はありません。」と書かれている。この点では賃貸借契約とする工作員の主張の裏付けとなる。

工作員によると、工作員は毎月、オークション事業に要した経費などを請求しており、2月分の請求に対する返答が問題の文書になる。文書では2月のオークション事業は36425円の赤字であると記載する。そして6ヶ月間の累計赤字が28万1425円であるとする。その上で建物所有者と話し合った結果として、事業を止めることを伝えている。文書では以下の胸の内を吐露している。

「これ以上やっても私のストレスになります。」

「売上げが上がらないのに、仕入れをそちらに流す意味が理解できない」

この点について、工作員は「赤字ではなく、計算ミスであった」と反論している。しかし、古物商は古物の仕入れを工作員に回しており、そのために自分で販売できなくなった分の機会損失にも言及している。この点で表面的に黒字になるか否かは問題ではない。工作員との関係解消を望む古物商には経済合理性がある。

この自筆文書から長くても半月後の3月17日付で建物所有者と古物商は連名で内容証明郵便を工作員に送付し、退去を求めている。この間に両者に何があったのだろうか。

そもそも建物所有者側は賃貸借契約や共同事業関係を否定している。建物所有者側の話によると、3月に建物所有者は工作員から物を投げつけ、ノイローゼ状態になった。また、3月中旬以降、工作員から建物所有者に精神病であるという中傷メール、古物商に性的な内容のメールが送付されたという。

一方で、工作員はオークション事業が赤字ではなかったと主張する。しかし、詳しく確認すると、古物商が不利な取引をしたために赤字になったと責任転嫁した。その取引相手とは工作員が答弁書で「悪徳不動産屋」と批判している人物である。「悪徳不動産屋」の利益にしかならない損な取引を古物商が引き受けたために赤字になったとする。

但し、工作員によると何でも「悪徳不動産屋」が悪いとなる。建物明け渡しは「悪徳不動産屋」の追い出し屋行為の一環であり、古物商と工作員の関係悪化は「悪徳不動産屋」が古物商に工作員の中傷を吹き込み続けたことが原因と主張する。「悪徳不動産屋」の問題点について他の関係者の説明と符合する点もあるものの、工作員の「悪徳不動産屋」への主張には吟味が必要である。

工作員は「悪徳不動産屋」の根拠として、賃貸借契約書に記載がないのに契約締結時に退室立会費を受け取ったことなどで、東京都から宅建業法違反(重要事項説明書の不記載、賃貸借契約書の不記載)で業務停止処分を受けた事例を立証する。但し、工作員が「悪徳不動産屋」と非難する人物は脱法ハーブ宣伝屋のことで、処分を受けた不動産業者の経営者の息子である。

また、工作員は対立の契機を建物所有者側の家賃値上げ要求としていた。しかし、訴訟では家賃値上げ要求があったことを主張立証していない。以下の主張に留まっている。

「雨漏りがひどく直してくれず、冬に何度も風邪をひいたりしたので、屋根の修繕は大家の責任であると申告したところ、逆ギレされた。」

建物所有者らの出した内容証明郵便では「倉庫兼事務所としての使用用途であるため居住用ではありません。」とした上で退去を求めている。これは住居の賃貸借であることを否定し、借地借家法上の借家人保護規定を免れようとする脱法的な主張とも読み取れる。この点で工作員に脱法的な追い出し屋批判の余地を与えている。

しかし、自筆文書からは事業の将来性がないために関係解消を望む古物商と、独自の論理で事業に固執する工作員のギャップが対立の発端として浮かび上がる。ネットショップは全く利益を上げられなかった。怠惰な工作員には実業は無理である。建物所有者側も工作員は寝てばかりであったと証言する。