HOME 楽天 こうして勝った

サッカー

ドイツのゴールキーパー、カーン選手は素晴らしい。点を入れさせなければ負けることはないということを再認識させられました。日本人の観客にはとにかく攻めろ、前へ前へ、という時代遅れの精神論的発想が見られます。守りに徹する選手に対し、「やる気がない」などと不当にも憤る阿呆もいます。しかし守備がしっかりしていれば負けることありません。そして日本のサッカーも伝統的に攻撃よりも守備重視でした。自国の強みを生かそうとするならば、前に進むことしかできない精神論は放棄して、守備重視という原点を大切にすべきです。

ワールドカップ中、イングランドはキャンプ地での練習を非公開にしました。地元の業者が便乗してイングランドキャンペーンとかいうチームの品位を貶める金儲け企画を行おうとしたのですが、チーム側は正当にも選手のコンディションに悪影響を与えるとして中止させたそうです。利権目当てでキャンプ誘致を行った地元業者の金儲けに協力しなければならない義務はありません。日本もトルシェ監督のお陰で練習非公開は当然となりましたが、勝負に臨むにはこのくらいの厳しさがなければなりません。

ボクシング(2001.3.2) 現役復帰と3度目の世界王座返り咲きを目指す前WBC世界バンタム級チャンピオンの辰吉丈一郎(大阪帝拳)は、大阪市内の病院でプロライセンス再取得に必要な検査を受けた。担当医師によると、結果の判明に数日を要する脳検査以外は、視力検査も含めて異常はなかった。辰吉は2月からジムワークを再開しており、検査終了後には「相手さえいれば、あすにでもスパーリングをしたい。取られたベルトを取り返したい」と意欲を口にした。

格闘技(2001.3.26) PRIDEワンマッチ初黒星を喫した桜庭和志=高田道場=が都内の病院に緊急入院した。ヴァンダレイ・シウバ=ブラジル=の強烈な打撃で大きくはらした右目周辺、頭部などの精密検査を受けるが、関係者によれば試合前からの発熱がウイルス性インフルエンザである可能性が高く3週間の入院を予定しているという。リハビリ期間を含めて最低半年の長期休養は避けられない状況だ。

格闘技(2001.3.27) ZERO―ONE率いる橋本真也が、闘魂三銃士の同志・武藤敬司(新日本)との共闘に動き始めた。橋本は東京・港区の仮道場で武藤新軍団「BATT」(バット)の参謀・馳浩(全日本)から連絡があったことを告白。明言は避けたが、武藤軍との“提携”に前向きな姿勢を見せた。4・18旗揚げ第2戦(日本武道館)でノア勢の参戦が絶望的となれば武藤軍が緊急参戦する可能性が出てきた。

格闘技(2001.3.28) UFO総帥のアントニオ猪木が、12日に車で人身事故を起こして謹慎中の小川直也(UFO)の処分解除を宣言した。格闘家はリングに上がることが重要と判断したもので、新日本プロレス4・9大阪ドーム参戦も提案。「活気がない」と現状を憂う新日本の幹部を「片っ端からつるし上げる」とも言い放ち、猪木が古巣に“恐怖政治”を敷く。

格闘技(2001.3.29) “破壊王”橋本真也(ZERO―ONE)が、東京・港区の事務所で会見を行い、新日本4月シリーズ(19日開幕)の参戦をブチ上げた。4・9新日本大阪ドーム大会で佐々木健介とノールールマッチで対戦する橋本はあらためて古巣・新日本の現状を批判。師・アントニオ猪木からの要請もあり、“新日本救済”を旗印に参戦の意思を表明した。

スーパーFMW新木場プロレス興行の迫力

スーパーFMWのプロレス興行が2010年6月26日、新木場ファーストリング(東京都江東区)で開催された。
スーパーFMWの源流は、大仁田厚が設立したプロレス団体FMW(Frontier Martial-arts Wrestling)である。FMWは「ノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチ」などの過激な試合で一世を風靡した。ところが、FMWは2002年に倒産し、荒井昌一社長が自殺するという悲劇的な幕引きとなった。
その後、FMWに所属していたターザン後藤が2009年にFMW再旗揚げを宣言し、12月24日にターザン後藤30周年&FMW再旗揚げ興行が開催された。そして最旗揚げ後の団体名を新FMWからスーパーFMWに変更して現在に至る。
第一試合はダイナマイトバンプ・バルーンブレイクマッチである。ダイナマイトパンプはニューハーフのプロレス団体である。風船を割った方が勝者というルールであるが、試合開始後しばらく経過した後にルールを説明するというグダグダな進行であった。このルールによって最終的には敗北したものの、歌舞伎町のオカマバー『ひげガール』で働いているドテ子選手が奮闘し、会場の笑いを誘っていた。
第二試合は橋誠選手と円華選手の一本勝負である。両者の攻防が続いたものの、最後は橋選手の必殺技「天誅烏落とし」(相手の足も抱える垂直落下式リバースDDT)が炸裂して勝利した。橋選手のセコンドは第五試合に出場する女子プロレスラーの羽沙羅選手であった。この羽沙羅選手の「橋さん、行けー」の声援が会場に響いていた。
第三試合は真・下町プロレスと西口プロレスの全面抗争である。真・下町プロレスの選手は、バカボンのパパ、蟹K☆ING、下町ダァー、クレパスしんちゃん、バカボンのママである。西口プロレスの選手は、見た目が邦彦、ばってん多摩川、よしえつねお、ミスターぽっぽである。
試合当初は西口プロセスが優勢であった。星条旗をあしらったコスチュームの、ばってん多摩川選手は「アイダホ!ミネソタ!ミシシッピ」と観客席にアピールしてエルボーを放った。
ミスターぽっぽ選手は車掌の制服という独特なコスチュームで、車掌ネタで攻撃した。「山手線内回り」「外回り」と言いながらラリアットし、ラリアットが決まらないと「空回り」と言って笑いを誘った。エンタメ色の濃い西口プロレスの見せ場が続いたものの、最後は蟹K☆ING選手がフォールを決めて、真・下町プロレスが勝利した。
第四試合は若翔洋選手と猪熊ユカ選手の一本勝負である。ここまで、お笑い的な試合と真剣な試合が交互に繰り返されたが、ここからは真剣な試合が続く。若翔洋選手は元力士、猪熊選手は柔道6段という異種格闘技対決である。猪熊選手は決して小柄ではないが、若翔洋選手と並ぶと体格の差は歴然としている。そのために猪熊選手は若翔洋選手に捕まらないように素早い動きで攻撃を繰り出した。しかし、若翔洋選手にダメージを与えられず、最後は若翔洋選手が勝利した。
第五試合は羽沙羅選手と雫あき選手の女子プロレス対決である。羽沙羅選手はボディチェックするレフェリーにも悶着を起こすなど試合前からヒールぶりを発揮していた。両者の攻防が繰り広げられたが、最後は雫選手の攻撃を鮮やかに返してエビ固めを決めた羽沙羅選手が勝利した。
第六試合はスーパーレザー・キット、フレディ・キット対ジェイソン・キット、スーパーブキーマンのタッグマッチである。選手紹介も終わらないうちから試合が始まり、反則を止めようとするレフェリーも攻撃するという過激な展開になった。
ここでダイナマイトパンプの茜ちよみ代表による歌謡ショーが入った。茜代表はセーラー服姿で演歌を歌った。
第七試合はFMW認定インディー世界ジュニアヘビー級選手権試合で、王者・リッキー・フジと挑戦者・鮎川レイナの対決である。会場はリッキー選手と鮎川選手の双方への声援が飛び、一段と盛り上がった。緒戦は鮎川選手が攻めるが、すぐに攻守が逆転する。リッキー選手が「どうした、おら。挑戦者だろーが」と鮎川選手を挑発するほどであった。その後も激しい攻防が続いたが、最後はリッキー選手の得意技カミカゼが決まり、リッキー選手がベルトを防衛した。
第八試合はメーンイベントのハードコア・ストリートファイト8人タッグマッチである。ミスター・ポーゴ、ナカタ・ユウタ、ターザン後藤、佐瀬昌宏とシャドウWX、葛西純、ジ・ウィンガー、鶴巻伸洋の対決である。試合開始直後から場外乱闘が始まり、観客席の椅子などを使用した凶器攻撃が行われるなど迫力のある試合であった。
注目はFMW復活興行で激突した「鬼神」ターザン後藤選手と「極悪大王」ミスター・ポーゴ選手がタッグを組むことである。ターザン後藤選手とポーゴ選手の付き合いは長い。ターザン後藤選手は自らのブログにポーゴ選手との思い出を記している。
ターザン後藤選手はポーゴ選手の家に食事を招待されるなど、リングの外では仲が良かった。タッグを組むことも多かったが、試合では同士討ちばかりで、チームワークも何もあったものではなかったという。今回もターザン後藤選手がポーゴ選手にラリアットする同士討ちもあったが、息の合った連続攻撃も見せていた。
最後はターザン後藤選手がリングの上に椅子を並べ、そこにジ・ウィンガー選手を投げつけた。起き上がってきたジ・ウィンガー選手をラリアットで倒し、フォールした。
試合終了後にターザン後藤選手は蛍光灯を自分の頭で割るデモンストレーションを行った。そしてポーゴ選手に向かって「お前の老後は俺が見てやる」と共闘継続をアピールした。

スーパーFMWの魅力

場外乱闘の迫力

プロレスの魅力は様々なしがらみに抑えつけられた現代人ではできないようなことを実演するところにある。新木場ファーストリング(東京都江東区)で2010年8月20日に開催されたプロレス団体・スーパーFMWの電流爆破20周年記念興行第1弾は、まさに刺激的な試合であった。1990年8月4日に大仁田厚とターザン後藤が東京・汐留でノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチを行った。その20周年を記念しての興行である。
この興行では第一試合から場外乱闘が勃発し、全7試合中2試合が両者リングアウト裁定となった。第一試合からの激しい場外乱闘には多くの観客が度肝を抜かれた。
第一試合は田村欣子VSヘイリー・ヘイトレッドの女子シングルマッチであった。田村はNEO統一二冠王者であるが、2010年12月31日に引退すると発表した。合わせて所属団体のNEO女子プロレスも解散する。対するヘイリーは米国オハイオ州出身のレスラーである。
入場時から会場の声援は田村の方が大きく、田村選手はロープの上に乗り、アピールした。試合開始直後に二人は組み合う。ヘイリーが押し、田村をロープに押しやった。続いて力比べでもヘイリーが押していた。ヘイリーの攻撃が続くが、中盤は田村の優勢で進む。試合開始から10分経過後も両選手の闘志は衰えず、攻防が続く。そして場外乱闘が起き、最後はリングアウト裁定となった。
第三試合の長瀬館長VSグラン浜田もリングアウト裁定で終わった。長瀬の蹴りで始まったが、第一試合と同じく場外乱闘に突入した。場外で激しい攻防が続く。リングに戻ろうとする選手に攻撃を加える展開が繰り返され、両選手ともリングに戻れなかった。
リングアウト裁定では選手は不完全燃焼となる。そのため、試合終了後も睨み合いが続いた。特に第三試合では裁定後も激しいバトルが続き、グラン浜田は「ヤル気あるのか」と吠え続けていた。リングアウト裁定は観客にとっても不完全燃焼となるが、両試合とも激しい攻防が展開された試合であった。
場外乱闘が始まると運営側から「危険ですから選手に近付かないで下さい」とのアナウンスが流れる。しかし、実態は観客が近付くのではなく、選手が乱入してくる。だから、観客は避難しなければならない。ブラウン管を通した視覚と聴覚だけの感覚とは異なり、避難という行動によってプロレスを体感する。
これは第五試合におけるスーパーレザー2号の登場時のパフォーマンスも同じである。スーパーレザー2号は観客席に向かってチェーンソーを振り回しながら登場した。父親のスーパーレザーと同じパフォーマンスである。チェーンソーの燃料であるガソリンの臭いが会場に広がり、嗅覚によっても危険さを実感する。
そして場外乱闘で忘れられない存在がメインイベントのターザン後藤である。ターザン後藤は有刺鉄線ボードに選手を投げ、選手を観客席に座らせて金槌で頭を殴り、椅子を投げつけるなど大暴れであった。リングサイド席だけでなく、最上段の観客席にまで乱入し、広範囲の観客に場外乱闘を実感させることがターザン後藤の特徴である。特に初めての観客は衝撃を受けるが、凄まじい暴力を目の当たりにして大興奮する。

お笑いプロレスの新境地

スーパーFMW電流爆破20周年記念興行第1弾では、お笑いプロレスも新しい展開を見せた。第二試合は真・下町プロレスVS西口プロレスVS女子VS怪奇派軍団全面抗争である。元々、怪奇派軍団は別の試合に出場する予定であったが、トレバー・マードックの欠場の影響でカードが組み替えられ、こちらに参戦となった。試合形式は時間差バトルロイヤルで、1分毎に追加選手がリングインする。
最初に登場した選手はブルース・レイである。名前のとおり、ブルース・リーのパロディである。ブルース・リーのようにヌンチャクを使って決めポーズをしたが、転んでしまい、観客席から「大丈夫?」と声をかけられていた。ブルース・レイの対戦相手は透明人間である。どこにいるのか分からない相手との対決という典型的お笑いプロレスであった。
続いてバカボンのパパ、見た目が邦彦の登場で混戦となる。この辺りで普段の全面抗争で見られる、お笑いプロレス要素は終わる。怪奇派軍団のフレディ・キット、ジェイソン・キットが登場し、お笑いプロレスの面々を攻撃する。それに対し、灯油缶を持ったマザー・コングが登場し、灯油缶で反撃した。
最後に雫あきがリングインする。見た目が邦彦(西口プロレス)とマザー・コング(西口ドア)が所属団体の西口つながりで意気投合しているところに、雫が「私も仲間に入れて」と話しかける。しかし、あっさり断られてバトルが勃発する。雫の頭に灯油缶が直撃し、雫は座り込むものの、最後は勝ち残った。
お笑いプロレスは持ちネタ(技)の披露という形になりやすい。それはそれで面白いが、内輪だけの笑いや、ネタとなる技をかけあうだけの「プロレスごっこ」に陥る危険がある。その点、雫が灯油缶で殴られながらも男性レスラーを相手に縦横無尽に暴れまわるという展開は分かりやすく楽しめる。お笑いプロレスであっても選手が本気で戦っているからこそ、その本気ぶりと行動の滑稽さとのギャップが笑いになる。

外国人選手の活躍

プロレスの華の一つは外国人選手である。反則的なアドバンテージとなっている巨漢から繰り出される圧倒的なパワーに痺れ、一方で反撃する日本人選手に溜飲を下げる。スーパーFMW電流爆破20周年記念興行第1弾では試合前から外国人選手が盛り上げた。
スーパーレザーとビッグバン・ベイダーはスーパーFMW事務所にファックスを送付した。スーパーレザーは死亡説の誤報も出た怪奇派レスラーで、ベイダーは三冠ヘビー級王座など数々のタイトルに輝いたレスラーである。二人は以下内容のファックス声明で、息子を送り込むと宣言した。
スーパーレザー「今はいろいろあって日本に行く気はない。代わりに息子の2代目スーパーレザーを送り込む。はっきり言って父親より何倍も強い。日本のファン、またターザン後藤をはじめ、FMWの選手、覚悟しておけ!」
ベイダー「今回、後藤がしつこく挑戦してくるから受けて立ってやる。しかし、オレ様は4月に始まった日本のレジェンドたちとの闘いに集中するため、米国でバカンスを兼ねて調整中だ。日本に行く時間はない。代わりに息子のジェシー・ホワイトを8月20日に送り込んでやる。プロレス界の皇帝、ジェシーが怪しげなFMWをメジャー団体に改革してやる。」
スーパーレザー2号は第四試合に出場し、金村キンタローと対戦した。当初はフレディ・キット&ジェイソン・キット&スーパーブキーマン・キットの3名と戦うハンディキャップマッチの予定であった。しかし、金村の対戦相手のトレバー・マードックが欠場したため、上記の対戦カードとなった。金村は決して小柄ではないが、スーパーレザー2号との体格差は歴然としている。ハンディキャップマッチを予定していたことも納得である。
会場の声は「金村」「金ちゃん」と金村への声援が大きかった。金村が攻撃を受けても「返してやれ」「返せ」と反撃を期待する声が出た。スーパーレザー2号が勝利したが、試合終了後もスーパーレザー2号は椅子をリングに入れ、金村を攻撃した。暴れるスーパーレザー2号を運営スタッフが何とか退場させた。その後で観客席に一礼して退場する金村には観客席から暖かい拍手が送られた。
ジェシー・ホワイトは第五試合に出場し、「アー」と叫びながら登場した。対戦相手は後藤達俊である。ジェシーが後藤をコーナーに押し込んで攻撃するなど激しい攻防が続いた。最後はジェシーがフォールを決めて勝利した。スーパーレザー2号の試合とは対照的に両選手は握手し、会場からは拍手が起きた。
スーパーレザーとベイダーが本人ではなく、息子を送り込んだことについて、ターザン後藤は試合前に「怖がって息子を出して逃げるな」と怒りを露わにしていた。そして「それぞれ刺客を当てて痛い目に遭わせてやる」と述べた。試合結果は息子達の勝利であり、ターザン後藤の思惑通りにはならなかった。この点は今後の展開に期待したい。

新旧FMW女子プロ対決

スーパーFMW電流爆破20周年記念興行第1弾のメインイベントは最終試合のハードコア・ストリートファイト有刺鉄線ボード画鋲デスマッチである。最終試合に入る前に茜ちよみ・ダイナマイト・バンプ代表の歌謡ショーとスーパーFMWの嶋田俊昭会長の挨拶が行われた。茜代表はセーラー服姿で演歌を熱唱した。嶋田会長は「20年前に電流爆破デスマッチでFMWを世に知らしめた。本日も感動と思い出に残る試合を期待する」と述べた。
この最終試合はレフェリーが危険と見なしたもの以外は何でもありの試合で、画鋲や有刺鉄線ボードが会場に運び込まれた。対戦カードはターザン後藤、シャーク土屋、鶴巻伸洋、鮎川レイナ組とミスター・ポーゴ、松本トモノブ、羽沙羅、ナカタ・ユウタ組である。松本は「二代目レザーフェイスより俺を使ってください」と志願し、上記のカードとなったという。ターザン後藤の登場時は「ゴ・ト・ウ」コールが会場から起こった。
このカードは様々な選手で構成されている点が特徴である。総合格闘技(鶴巻伸洋)、女子(シャーク土屋、羽沙羅)、ニューハーフ(鮎川レイナ)である。初期のFMWにあった何が飛び出すかわからない玩具箱をひっくり返したような世界を意識して、皆をデスマッチに入れたという。
特にシャーク土屋と羽沙羅の新旧FMW女子プロ対決は見物であった。シャーク土屋はFMWで活躍し、工藤めぐみの引退試合・電流爆破マッチの対戦相手になるなどの経験がある。このシャーク土屋はスーパーFMWで活躍する羽沙羅に対し、ファックスで以下の声明を届けていた。
「以前、羽沙羅がFMW女子やオレについていろいろ言っていると聞いた。羽沙羅!FMWの女子を甘く見るな!これからオマエがナンボのものか見てやる!」
その言葉に違わず、シャーク土屋は羽沙羅を猛攻し、キャリアの違いを見せ付けた。シャーク土屋は、羽沙羅を場外に押し出し、有刺鉄線スティックで喉を刺し、鎖ガマで首を絞めた。総じてシャーク土屋が圧倒したものの、羽沙羅も見せ場を作った。後半ではシャーク土屋にジャーマン・スープレックスを決めた。
また、シャーク土屋から逃れてリングに上がった羽沙羅はターザン後藤と一騎打ちとなった。羽沙羅はターザン後藤に果敢に攻撃するが、凶器で反撃される。それからターザン後藤は有刺鉄線ボードをリングに運び、リング内の羽沙羅に投げつけ、上から踏みつけた。羽沙羅は有刺鉄線が身体に刺さり、中々取れない状態になった。
ターザン後藤は他の選手にも猛攻した。相手を有刺鉄線ボードに投げつけようとして、逆に自分がぶつけられることもあったものの、最後は画鋲の上へのフェースバスターからフォールを決めて勝利した。
試合終了後はミスター・ポーゴが「今日の試合でターザン後藤をますます好きになった」と叫び、ターザン後藤が「ここから新しいFMW伝説が始まる」と締めくくった。電流爆破20周年記念興行第2弾は10月2日を予定している。

ターザン後藤選手と飲み会イベント開催

「プロレスファン集まれ!ターザン後藤選手と飲み会イベント」が2010年9月17日に東京都新宿区の居酒屋で開催された。プロレスラーはスーパーFMWのターザン後藤選手と松本トモノブ選手が出席し、ざっくばらんに語り合う和やかなイベントとなった。
参加者はプロレスファンだけでなく、空手指導者などもおり、武道・格闘技全般に渡った話題で盛り上がった。スーパーFMWのスタッフも参加し、興行運営の裏話も聞くことができた。ターザン後藤選手は普段の練習内容についてのファンの質問についても率直に回答した。
「練習は一日何時間くらいしていますか」
「一日何時間と固定してはいません。6時間くらいぶっ続けで行う時もある」
「ベンチプレスは何キロくらいを持ち上げていますか?」
「昔は最高200キロを持ち上げた。今はそこまでいかない」
また、ターザン後藤選手は弟子の松本選手をイジリ倒し、参加者を笑わせた。松本選手への当意即妙の突っ込みは、格闘家である上にエンターテイナーでもあるプロレスラーとしてのスキルの高さを実感した。松本選手も「コマネチ」などひょうきんなポーズで会場を沸かせた。
終盤では両選手と参加者の記念写真撮影やターザン後藤選手のサイン入り「スーパーFMW電流爆破記念興行第2弾」チラシのプレゼントなどファンサービスで盛り上がった。この種の交流会は今後も開催する予定である。
電流爆破記念興行第2弾は10月2日に東京都江東区の新木場ファーストリングで行われる。ターザン後藤選手はメインイベントの有刺鉄線ボード画鋲ラダーデスマッチに出場する。第1弾の有刺鉄線ボード・画鋲にラダー(梯子)が加わった。
一般のラダー・マッチは梯子からのダイブや梯子を登る攻防が醍醐味だが、今回はひたすら凶器として使用されるようである。凶器を加えることでデスマッチの凄惨さを強め、将来的には電流爆破デスマッチの復活を予定しているという。
松本選手はアメリカスヘビー級王座決定戦に出場し、ジ・ウインガー選手と対戦する。アメリカスヘビー級王座はターザン後藤一派のムサシ大山選手が保持していたタイトルである。「絶対に勝利してベルトを獲得する」と意気込みを語った。

スーパーFMW電流爆破記念興行第2弾

スーパーFMW電流爆破記念興行第2弾が2010年10月2日、新木場1st Ring(東京都江東区)で開催された。場外乱闘あり反則ありデスマッチありの過激な試合が目白押しであった。
第1試合は「西口プロレスVS真・下町プロレス全面抗争」で、よしえつねお&マザーコングと小島イケル&ブルース・レイのタッグマッチである。最初に西口プロレスが入場。よしえはファンにアピールしながら、マザーコングはお馴染みの灯油缶を持って登場した。続いて真・下町プロレスの入場で、小島は競泳水着一丁で登場した。レイは格好良くジャンプしてリングインしようとしたが、着地で足を痛めて笑いをとる。レイの不真面目さと小島の変態的な格好に対して、西口プロレス側は「真面目にやれ」と抗議した。
アントニオ猪木をオマージュする下町ダァー!が特別レフェリーを務め、特別レフェリー紹介時には猪木のテーマ曲である「炎のファイター」が流れた。
試合は、よしえとレイの対決で始まった。レイが手技足技を繰り出して攻撃するが、あまり効いていない。逆に攻撃したレイが足を痛める始末である。よしえがラリアットで反撃し、レイをリングに沈める。「メガネを取りなさい」と宣言して、レイのサングラスをむしりとり、リングの外に投げる。レイは体勢を立て直し、ロックアップになる。そのまま両選手はドンドン接近し、密着して「Yes, Fall in Love.」というお笑いのオチで終わった。
両陣営とも選手を交代する。マザーコングが攻撃するが、小島はオマージュする芸人・小島よしおのネタ「大丈夫、大丈夫」や「そんなの関係ねぇ」で返す。再び選手交代した辺りから混戦模様で、二人がかりで攻撃するシーンも見られた。
西口プロレス優勢の展開であったが、連携ミスが命取りになった。マザーコングが十八番の灯油缶攻撃を始めるが、よしえにぶつけてしまう。灯油缶の打撃ダメージで弱っているところをレイがフォールし、真・下町プロレスが勝利した。
「西口プロレスVS真・下町プロレス全面抗争」はスーパーFWMで定番の前座試合であるが、今回はタッグマッチとして出場選手を絞った点が特徴である。出場選手が多いと、持ちネタを順番に披露するだけで終わる危険がある。その点、今回はレスリングと笑いの両方が楽しめる試合であった。
第2試合は雫あき&猪熊ユカとウルフ・スター☆&ブラックドッグの男女タッグマッチである。試合は雫とウルフのつかみ合いで始まった。最初は雫がロープに押し出されるも、体勢を立て直してタックルする。寝技に持ち込むが、ウルフに返され、さらに逆転するという攻防を繰り返す。最後は雫がロープをつかむ。レベルの高い攻防に観客から拍手が寄せられた。
ここで雫は猪熊に交代する。ウルフの蹴りで猪熊は倒れる。ウルフと交代したブラックドッグも攻撃を続けるが、猪熊の反撃に遭う。交代した雫が「この野郎」と叫び、豪快な投げ技でブラックドッグをリングに沈める。男性部員しかいない学生プロレス出身の雫は男性選手相手に豪快な攻撃を繰り出すところが魅力である。
ウルフは猪熊の妨害に遭いながらも、それを振り切って、ブラックドッグを救援するために乱入する。ここで雫は猪熊とタッチし、リング上では猪熊とブラックドッグの対決になる。一方で雫はウルフに椅子を投げつけるなど場外乱闘を始めた。最後に猪熊がブラックドッグにフォールを決めて、雫あき&猪熊ユカ組が勝利した。
第3試合は羽沙羅&ヘイリー・ヘイトレッドと米山香織&チェリーボムの日米混合女子プロレスラーのタッグマッチである。これまでのタッグマッチでは選手の入場曲はタッグ毎であったが、この試合では一人ずつ紹介され、入場曲がかかった。羽沙羅、チェリーボム、ヘイリー、米山の順で入場した。
羽沙羅の入場時は赤のテープが舞った。会場には「恐竜プリンセス」「小悪魔ヒロイン」と書かれた羽沙羅の垂れ幕が掲げられており、羽沙羅の人気を感じさせる。北米でアイドル的人気を誇るチェリーボム入場時には会場から「セクシー」の掛け声がかかった。
リングインした両チームの選手が向き合うが、中でもヘイリーと米山が睨み合う。何しろ両選手は10月10日に「JWP Revolution」で対決する予定である。この試合は両選手にとって前哨戦になった。
試合はヘイリーとチェリーボムの対戦で始まった。ヘイリー優勢のまま、羽沙羅の交代。羽沙羅もキャメルクラッチを決めるなど、攻撃を続ける。チェリーボムのパンチが炸裂するなど反撃もあったものの、羽沙羅優勢のまま米山に交代。ここで形勢が逆転し、米山が攻撃する。羽沙羅はヘイリーと交代し、ヘイリーと米山の間で激しい戦いになる。
その後は選手の乱入や場外乱闘で混戦模様となる。基本的にリング上は羽沙羅対チェリーボム、場外はヘイリー対米山の構図となった。リング上の戦いは羽沙羅が優勢だったものの、反則気味の攻撃にレフェリーからの静止もしばしばであった。遂に羽沙羅は鞭を持ち出し、チェリーボムの首を絞めて反則負けになった。収まらない羽沙羅はレフェリーにも攻撃した。
羽沙羅とチェリーボムの退場後、リングに上がったヘイリーは米山を挑発する。米山もリングに上がって乱闘を行い、両選手ともスタッフに羽交い絞めされて強制退場となった。不完全燃焼に終わった闘志は「JWP Revolution」で爆発するだろう。
ダイナマイトバンプ代表・茜ちよみの歌謡ショーを挟み、第4試合はミスター・ポーゴと鮎川れいなの対決である。ゴングが鳴る前から鮎川が攻撃を始めた。鮎川は攻撃を繰り出すものの、あまり効いていない。唯一効いた攻撃は股間への攻撃で、しばらくポーゴは股間を押さえていた。
その後はポーゴの攻撃が続く。鮎川をロープまで追い込み、チェーンを持ち出して鮎川の首を絞める。ここでもレフェリーの静止を無視して凶器攻撃を続け、ポーゴの反則負けで終わった。首を絞められた鮎川はリングから落ち、場外でグッタリしていた。しばらくの間、皆は不安になったが、反応を取り戻し、スタッフに抱きかかえられて退場した。ポーゴはマイクを持ち、「世界一強いニューハーフだと認めてやる」と宣言した。
今回の興行では2試合連続で反則勝ちとなった。前回のスーパーFMW興行(8月20日)ではリングアウト裁定が連発された。興行によって勝負の決着に傾向が出るようで興味深い。反則勝ちという結末は観客にとって肩透かしであるが、原則として反則なしのデスマッチの危険性を改めて実感させることになる。メインイベントを盛り上げる材料になる。
第5試合はアメリカスヘビー級王座決定戦で、松本トモノブとジ・ウインガーが対戦した。試合開始に先立ち、スーパーFMWの嶋田俊昭会長によるタイトルマッチ宣言が行われた。会場からは松本コールが起きた。それにジ・ウィンガー選手が反応し、松本コールをした観客に向かって行こうとし、「怖い」との声が出た。
試合冒頭では松本選手がロープまで押す。その後のロックアップでも松本選手が優勢であった。しかし、両者の攻防が続くと、表面的には一進一退であったが、松本のダメージが大きいことは明らかになった。ジ・ウインガーは反則気味の攻撃でレフェリーに何度も止められる。会場からは「チェックを厳しく」との声が飛ぶ。最後はジ・ウインガーがコーナーからダイブし、そのままフォールを決めた。
ベルトを獲得したジ・ウインガーに対し、松本は悔しがりながらも握手を求めた。両選手の握手に会場から拍手が寄せられる。松本コールをしていた観客も「ジ・ウインガーありがとう」と発言し、ジ・ウインガーと握手していた。
第6試合はメインイベントの有刺鉄線ボード画鋲ラダーデスマッチで、ターザン後藤&鶴巻伸洋&ナカタ・ユウタと極悪海坊主&宮本裕向&佐瀬昌宏が対決した。試合開始直後から場外乱闘も勃発するカオス状態になった。大人数のデスマッチでは毎度のことであるが、今回はカオス状態に一層拍車がかかった。
逃げ回る観客も場外乱闘というショーを構成する要素であるが、今回は右側でも左側でも場外乱闘が勃発し、観客にとって逃げ場に困ることも少なくなかった。リング上の大部分を有刺鉄線ボードや画鋲や梯子が占めており、まともなバトルをするためには場外に行くしかない面があった。場外乱闘するために選手が観客に向かって「おら、どけよ」と叫ぶこともあった。選手にとっても、やり難さがあったかもしれない。
今回のデスマッチの特徴は前回のデスマッチに使われた有刺鉄線ボードと画鋲に加え、新たな凶器としてラダー(梯子)が登場した。リング中央に設置されたラダーは脚立であったが、立てるのではなく、畳んで寝かせていた。それが梯子をめぐる攻防ではなく、凶器としての使用する意図であることを雄弁に示していた。但し、今回初めて登場したもので、使い慣れていないためか、ラダーは試合後半になってから使われ始めた。
試合中盤になると、リング上ではターザン後藤が佐瀬を攻撃する構図が中心となった。ターザン後藤がフォークで佐瀬の顔面を突き刺し、ラダーを振り回した。反対にターザン後藤が投げられて、有刺鉄線ボードにぶつけられるシーンもあった。これは前回のデスマッチでも見られたが、今回は有刺鉄線に髪の毛が絡まり、それをとるのに四苦八苦していた。凄惨なデスマッチの中で、髪の毛に絡まった有刺鉄線を取っている姿は微笑ましくもあった。
その間、戦線離脱を余儀なくされたターザン後藤であったが、レフェリーの協力もあって有刺鉄線を取り終わり、戦いに復帰する。宮本への攻撃後は、改めて佐瀬を攻撃し、画鋲の海に沈めた。再び宮本を攻撃するが、今度はターザン後藤が画鋲の海に沈められた。その後、ターザン後藤の呼びかけでリングの中に椅子が投げ入れられる。ここでも佐瀬が攻撃対象で、椅子の上に投げつけられた。最後はターザン後藤がフォールを決めて勝利した。
試合終了後、ターザン後藤は「俺達がデスマッチを見せ付けてやる」とマイクで叫び、切腹のパフォーマンスを行った。観客からは「もう止めて」の悲鳴が上がった。そして観客がリングサイドを取り囲み、バンバンとリングを叩くFMWのフィナーレで興行は幕を閉じた。

キム・ヨナのコーチ決別騒動と浅田真央

キム・ヨナ(金妍兒)選手のコーチ決別騒動で、浅田真央選手の名前が度々登場している。キム・ヨナ選手は韓国では「フィギュア・クイーン」と呼ばれ、2010年バンクーバー五輪で金メダルに輝いた。浅田選手はバンクーバー五輪で銀メダルに輝き、両者は自他共に認める好敵手である。
コーチ決別騒動は、カナダ人コーチ・ブライアン・オーサー氏側が2010年8月24日にキム・ヨナ選手側から契約非更新の通知を受けたと発表したことが発端である。オーサー氏側は契約非更新の理由を説明されておらず、一方的なものとしている。
これに対し、キム・ヨナ選手のマネジメント会社オールザットスポーツ(パク・ミヒ代表)は以下のように説明する。オーサー氏とは他の選手からのオファー説があって5月からギクシャクした関係になり、キム・ヨナ選手は6月以降事実上一人で練習してきた。オーサー氏は8月23日に「これ以上キム・ヨナ選手のコーチはしないと連絡し、キム・ヨナ選手側が受け入れたとする。
この説明に登場するオーサー氏にオファーした他の選手が浅田選手でないかと指摘されている。既に4月末の時点で浅田選手側がオーサー氏にコーチ就任をオファーしたと報道されていた。この報道時点で浅田選手側は「日本と韓国の仲が悪くなるようなことはしない」と明確に否定した。
これに対し、オーサー氏側の態度は不明確である。カナダのテレビ番組のインタビューでは浅田選手からのオファーの事実を否定した。一方で韓国のメディアには「コーチのオファーを受けたことはあるが、断った」と答えている。
オファーの有無は当事者(浅田選手側とオーサー氏側)しか分からない事実である。オファーが事実であろうと憶測であろうと、報道が明確に否定されなければ、キム・ヨナ選手側がオーサー氏に不信感を抱く理由にはなる。
キム・ヨナ選手もオーサー氏もマネジメント会社を介している。マネジメント会社はビジネスとして契約を処理するが、それが両者の溝を広げているのではないか。契約更新に際し、ライバル選手からもコーチ就任のオファーがあったという話は、好条件で契約締結を進める際の武器になり得る。
一方でキム・ヨナ選手は練習妨害発言に見られるようにデリケートで繊細な感性の持ち主である。ビジネス交渉として当然な心理的揺さぶりも、信頼への裏切りと受け止めた可能性もある。この辺りが騒動の深層ではないか。

キムヨナ「日本選手が練習妨害」発言の背景

フィギュアスケートのキムヨナ(金妍兒)選手が日本選手から練習を妨害されたと発言したと、韓国のテレビ局SBSが2009年3月14日に報道した。キム選手はフィギュアクィーンクイーンと呼ばれ、韓国の国民的スターである。そのキム選手が「どうしてもそこまでしなければならなかったのだろうか、との考えがたくさん浮かびました」と語っている。
「進路にほかの選手が割り込んだ。いつも日本選手だった」と報道された韓国では日本選手へのバッシングが白熱している。試合前の練習では多くの選手が滑るため、他の選手の邪魔にならないように配慮することが当然のルールである。韓国のフィギアスケート・ファンの立場に立てば、彼らが激怒する気持ちは理解できる。
これに対して、日本側は「意図的に進路妨害することは、あり得ない」と反論している。記者も日本選手が意図的に卑劣な嫌がらせをしているとは思いたくない。しかし、日本選手に悪意がない場合、かえって寂しい現実を突きつけられる。
相手選手と同時に滑る試合前の練習では、選手には自己の技術の優位性を相手にアピールしたいという気持ちが出てくる。そこからキム選手が視界に入った時に日本選手があえて得意のジャンプを演じるということは十分考えられることである。それが積み重なった結果、キム選手が日本選手の妨害と認識した可能性がある。
この場合、日本選手には妨害の悪意はないが、自覚的か無自覚的かは別としてキム選手を非常に意識していることを意味する。繰り返し妨害を受けたとのキム選手の発言を踏まえるならば、日本選手の行動はキム選手の登場をトリガーとして無自覚的に誘発されたものである可能性が高い。
結論としてキム選手の衝撃発言の背景を探究すると、日本選手が試合前から無意識下でキム選手に敗北しているという寂しい現実が浮かび上がる。韓国嫌いで凝り固まったネット右翼はキム選手の発言を「言いがかり」「被害妄想」と決め付け、韓国叩きのネタに加えるだろう。しかし、想像力を働かせれば余裕がないのは日本選手の方である。日本選手には奮起を期待したい。

キムヨナ記事への反響とネットメディアの意義

拙記事「キムヨナ「日本選手が練習妨害」発言の背景」への反響が大きい。これはフィギュアスケートのキムヨナ(金妍児)選手が日本の選手に練習を妨害されたと報道されている問題について論じた記事である。当該記事はYahoo! ニュースにも配信されたが、掲載された2009年3月19日から2日後の21日15時時点で1500件以上もの膨大なコメントに達している。
記者は格差社会化する日本で負け組とされてルサンチマンが鬱積した人々が隣国を貶めることで民族的自尊心を満たす傾向に憂慮する一人である。誤解や行き違いから日本と韓国の感情的な反感を増幅させたくないという思いから、日本選手を一方的に悪玉視するのではなく、キム選手が妨害されたと感じた背景を明らかにすることが当該記事の趣旨であった。
もちろん、十五年戦争時の日本軍の戦争犯罪についての言説で世界から激しく批判されているように事実を歪曲して一方的に日本を美化・正当化するつもりはない。それ故、あくまで日本を美化しなければ気がすまないネット右翼層から激しい批判が生じることは予想していた。その予想が見事的中したことになる。
記者として殺到したコメントを受け止めた上での所感を2点指摘したい。
第一に批判コメントの中で記者を在日コリアンであると決め付ける主張が多いことである。ここには少しでもキム選手を擁護し、日本選手に批判的な主張をする人は日本人である筈がないという発想がある。異論を許容しない批判者の偏狭さを強く示している。
第二に批判コメントに埋もれて気付きにくくなっているが、「そう思わない順」でソートすると冷静なコメントに出会えることである。Yahoo! ニュースのコメント欄では個々のコメントに対して「私もそう思う」「私はそう思わない」という投票が可能である。興味深いことに「私はそう思わない」の得票が多いコメントから表示させると理性的なコメントを見つけやすい。本記事に対するコメントでも「相変わらずこういうジャンルのニュースだと「そう思わない」順に並べ替えたほうが正論に出会えるな」と指摘されたほどである。
代表的なコメントとして以下がある。
「話題性重視のゴシップメディア達には見習って欲しい記事だと思った」
「こういう記事のかける人間こそが、スポーツの世界に関わって欲しいものだ」
「今回の騒動ではキムヨナさんもかなりナーバスになっているだろうから、こうやって日本の側から彼女を理解しようとする記事が少しでも出るのはよいことだ」
「大衆のご機嫌取りに終始するメディアが多い中で、勇気ある記事だと思いますね」
「あえて国民感情を捨てて、ニュートラルな立場で物事を考察しようと思えば、こういった意見も出てきて当然だと思うね」
Yahoo! ニュースがコメント投票に「そう思わない」を追加し、「そう思わない順」でソートできるようにしたのは2009年2月5日のリニューアルによってである。ここには多くの人に評価されるコメントだけでなく、反対者が多いコメントにも読むべき価値があるという理念が感じられる。これは「個性溢れる独自のジャーナリズム」を追求する市民メディア・ツカサネット新聞にも通じる思想である。少数意見が圧殺されがちな日本社会においてネットメディアの意義を再確認することができた。

『定年後もタイガー・ウッズのように飛ばす!』を読んで

本書はアマチュアのゴルファーによるゴルフのレッスン書である。著者は40年以上もの長きにわたってゴルフを続けてきた人物である。長年の取り組みから抽出したゴルフのエッセンスを明らかにしたのが本書である。
本書の大部分は効果的なボールの打ち方の説明に費やされている。とても具体的で実践的な内容になっている。飛距離を伸ばし、スコアを縮めるための方法をシンプルにまとめている。
プロでもシングルプレーヤーでもない著者だからこそ、失敗を繰り返し、試行錯誤を重ねることで効果的な理論を会得できた。体力に恵まれ、優れたコーチに正しいフォームを叩き込まれるプロは往々にしてスキルを無意識的に身につけてしまう。そのようなスキルを人に伝えることは難しい。優れた選手が優れた指導者であるとは限らないと言われる所以である。その意味でアマチュアならではの着眼点で書かれた本書の意義は大きい。
日本ではゴルフは中高年も取り組むスポーツとして普及している。しかしゴルフ人口の中に本当に好きでゴルフをしている人が、どれくらい存在するのか疑問である。付き合いや接待でしている人も多いのではないか。組織の中で他人がしているのからするという特殊日本的集団主義に汚染されているだけではないかとも思われる。
しかし、本書を読むとゴルフが立派なスポーツであることを改めて実感させられる。第2章第7節では「効果的な練習法」と題して練習時の注意事項をまとめている。ここでは練習前に体を温めることやゴルフシューズを履いて練習することという基本的な指摘も記述している。本書は読めば効果を出せることを意図しているが、決して安易な方法を提供するものではない。スポーツとしての基本を押さえる必要がある。
さらに練習後には整理体操を推奨した上で、著者が帰宅後に行っている真向法を紹介する。真向法はゴルフとは関係なく、血液の循環を良くするための健康体操である。ゴルフの上達は健康づくり、体づくりとも密接に関係する。
ゴルフ以外にも通用する著者の思想は最終節の「心を鍛えると確実にスコアが伸びる」において深まっている。ここで著者は名選手の体験を引用して、想像力の重要性を説く。ボールの軌跡や着地の仕方をイメージした上でスイングする。これはゴルフ以外の活動にも応用できるものである。
著者の発想は弓道の世界にまで広がる。オイゲン・ヘリゲルの『弓と禅』から、無心の境地を描いた「暗中の的」のエピソードを引用する。その上で「静止しているボールに息を吹き込み、自分のイメージを託するという芸術に似た一面を持ったこのスポーツの極致に、このような世界があることを信じて明日も精進をしていただきたい」と結ぶ(204頁)。
弓道のみならず、柔道、華道、茶道など、日本の伝統的な技能には「道」が付くものが多い。それらが単にテクニックを習得するものではないためである。修錬によって精神を鍛え、人格を磨き、人間形成の「道」を修めるものだからである。その意味で著者にとってゴルフは「道」である。本書はゴルファーのみならず、ゴルフを知らない人でも学べるところがある一冊である。
ナビスコ選手権(2001.3.25) 米女子ゴルフの今季メジャー第1戦。ランチョミラージュ(米カリフォルニア州)のミッションヒルズCC(パー72)で最終ラウンドが行われた。前日2位の福嶋晃子は72で回り、通算4アンダー、284で2位となった。福嶋と同じ2位からスタートのアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)が69と伸ばし、通算7アンダー、281で初優勝した。

米女子プロゴルフツアーは最新の賞金ランキングを発表。今季のメジャー第1戦、ナビスコ選手権で2位に入った福嶋晃子は5試合出場で14万4223ドル(約1800万円)となり、10位に浮上した。1位はアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)で63万6448ドル(約7900万円)、2位はカリー・ウェブ(オーストラリア)、3位には朴セリ(韓国)が続いている。


プレーヤーズ選手権(2001.3.25) 米男子プロゴルフツアー。フロリダ州ポンテベドラビーチのTPCソーグラス(パー72)で日没順延になった最終ラウンドの残りが行われた。中断時点でスコアを3つ伸ばして通算12アンダーの首位に立っていたタイガー・ウッズ=米国=は10番から再開。通算14アンダーに伸ばし、2位に1打差をつけて2週連続優勝。賞金ランクもトップに躍り出た。尾崎直道は通算イーブンパーの26位で大会を終えた。