林田力 二子玉川ライズ反対運動



楽天の本社移転で二子玉川ライズの懸念増大


楽天の二子玉川ライズ二期事業オフィスビル移転は二子玉川ライズへの懸念を具体化するものである。楽天の移転から浮かび上がる問題点は大きく二つある。

第一に二子玉川ライズの公共性の欠如である。楽天のオフィス移転は規模的に二子玉川ライズ二期ビルのオフィス棟を一社で占めるものと予測される。二子玉川ライズ二期ビルは30階建ての予定であるが、楽天は27フロアを賃借する契約を締結したと報道される(「楽天、本社を東京・世田谷に移転 15年メド」日本経済新聞2012年9月25日)。

30階のビルにはホテルも入るため、オフィスはほぼ楽天一社で占められる。連結従業員数8000人規模の本社として、高層ビル一棟は不自然ではない。結論として二子玉川ライズ二期事業オフィスビルは特定企業の本社ビルとなる。これは二子玉川ライズに公共性が欠如するとの批判を正当化する。

二子玉川ライズは東急電鉄や東急不動産の営利事業であり、公共性はない。それは二子玉川ライズ一期事業の建築物が分譲マンション(二子玉川ライズ タワー&レジデンス)、賃貸オフィス(二子玉川ライズ オフィス)、商業施設(二子玉川ライズ ショッピングセンター)であることから明らかである(林田力『二子玉川ライズ反対運動』)。

二期事業もフィットネスクラブ区画(4階建てビル・東急スポーツシステム)、シネマコンプレックス区画(4階建てビル・東急レクリエーション)と、オフィス・ホテル区画(30階建て・東急ホテルズ)と東急グループの営利事業で占められている。しかもオフィス部分は特定一企業の本社ビルとなり、公共性の欠如が露骨である。

二子玉川ライズは日本国と東京都と世田谷区が総額700億円もの税金を投入するだけの公共性に値しない。世田谷区民は「一企業の本社ビルに補助金を出すようなもので、区民として絶対に許すことはできません」と憤る。

第二に二子玉川ライズの経済的基礎の欠如である。楽天の本社移転は二子玉川ライズ二期ビルのオフィス棟が埋まることを意味し、表面的には明るい話題に見える。しかし、それはあくまで表面的なものである。オフィスは供給過剰であり、借り手には大幅な好条件が提示されたと見るべきである。

日経不動産マーケット情報は以下のようなテナント企業の声を伝える。「オーナーから受けているサービスとして、入居しているビルでは契約面積のおよそ2倍の面積を実際には使用している。ただし、賃料は契約面積分しか支払っていない」(「大規模なテナント実態調査を7年ぶりに実施」ケンプラッツ2012年9月19日)。

賃貸オフィスは大不況である。都心部でも大規模オフィスビルの建設が相次いでおり、過剰供給となっている。大阪府大阪市の再開発「うめきた(梅田北ヤード)」でも入居率の低迷が指摘されている(「パナ、サントリー、ベンツ…誘致進むが「埋まるの?」の声も 開業まで半年のグランフロント大阪」産経新聞2012年10月3日)。

楽天が移転すれば二子玉川ライズ二期ビルが空室で竣工を迎えることはないが、束の間の繁栄に過ぎない。楽天は2003年に東京都港区の六本木ヒルズに本社を置き、07年には品川に移転した。二子玉川ライズからも短期で移転する可能性が高い。英語公用化を打ち出すほどの企業であり、海外に本社を移転する可能性もある。

以下の指摘がなされている。「東京から本社が姿を消している。その数は10年で8823社。事業の本社機能も含め、アジアなど海外や地方への移管が相次ぐ」(「東京から本社が消える ~アジアや地方へ、一極集中の終焉~」日経ビジネス2012年12月17日号)。楽天が退去すれば二子玉川ライズは巨大な空室を抱えることになる。

二子玉川ライズの賃貸オフィス事業は大きなリスクを抱えている。二子玉川ライズの事業破綻によって東京都や世田谷区が税金で尻拭いさせられる危険もある(林田力『二子玉川ライズ反対運動』160頁)。バブル経済期に計画された二子玉川ライズは甘い経済的見通しの上に進められている。分譲マンション「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」は竣工後も多数売れ残っている。


東急不動産(金指潔社長)ソリューション営業本部係長・高田知弘容疑者(逮捕当時36歳)が顧客女性に嫌がらせ電話を繰り返したとして2010年8月18日に逮捕された。高田容疑者は2009年12月から2010年6月に取引相手であったホテル運営会社社長の携帯電話に番号非通知設定で、嫌がらせ電話を繰り返した。嫌がらせ電話は、ほとんどが無言電話であったが、「壊れろ、壊れろ」という呻き声で女性を畏怖させたこともあったとされる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告・林田力)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』

 林田力『東急不動産だまし売り裁判購入編』は東急不動産(販売代理・東急リバブル)のマンションだまし売りの実態を物語るノンフィクションである。

 この裁判の経過は林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)で明らかにした。『東急不動産だまし売り裁判』はタイトルの通り、裁判をテーマとした書籍であり、提訴後の出来事を対象とする。問題物件の購入に至った経緯や問題発覚後の東急リバブル・東急不動産の不誠実な対応(これが両社への悪印象を決定的にした)には触れていない。その点を知りたいとの声が読者から少なくなかった。

 そこで『東急不動産だまし売り裁判購入編』では購入からマンションだまし売り発覚までの経緯を明らかにした。被害実態を理解できるように東急不動産マンションの写真も掲載した。また、東急不動産だまし売り被害経験を踏まえた住宅購入ポイントをまとめた。

林田力『二子玉川ライズ反対運動1』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(The Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。
自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。『二子玉川ライズ反対運動1』では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。
また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』の著者である林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

林田力『二子玉川ライズ反対運動』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションのシリーズである。
『二子玉川ライズ反対運動2』は最初に二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。続いて裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。パブリックコメントや新しいせたがやをめざす会など世田谷区政の動き、二子玉川ライズと同じく世田谷区の抱える開発問題である下北沢問題にも言及した。『二子玉川ライズ反対運動2』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』

林田力『二子玉川ライズ反対運動3』は二子玉川ライズ行政訴訟や二子玉川ライズ情報公開問題を明らかにする。続いて二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを掲載する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。
その次は二子玉川ライズのビル風問題である。住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録している。さらに世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」も記載する。『二子玉川ライズ反対運動3』(Kindle)は『二子玉川ライズ反対運動3』(マイブックル)を全面的に再構成したものである。

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』

林田力『二子玉川ライズ反対運動5』(Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 5)は東京都世田谷区の二子玉川東地区市街地再開発(二子玉川ライズ)の問題を取り上げたノンフィクションの5作目である。『二子玉川ライズ反対運動5』では二子玉川ライズの弊害を再構成する。二子玉川ライズ2期事業控訴審や二子玉川ライズ2期事業に対する不服審査請求、住民と世田谷区の風害対策協議などを取り上げる。資料として二子玉川ライズ行政訴訟の裁判文書も収録した。

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』

林田力『二子玉川ライズ住民訴訟 二子玉川ライズ反対運動6』(Residents' Lawsuit Against FUTAKOTAMAGAWA Rise; Opposition Movement Against FUTAKOTAMAGAWA Rise 6)は二子玉川ライズ住民訴訟にフォーカスした書籍である。二子玉川ライズ住民訴訟は東京都世田谷区の住民らが二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)への公金支出差し止めを求めて世田谷区長を提訴した裁判である。

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』

林田力『東急大井町線高架下立ち退き』(Driving out Inhabitants under the Elevated Railway of Tokyu Oimachi Line)は東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げたノンフィクションである。東急電鉄は東急大井町線高架下(ガード下)住民に一方的な立ち退きを要求している。Tokyu Corp. is driving out inhabitants and tenants under the elevated railway of Tokyu Oimachi Line.

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』

林田力『二子玉川ライズ反対運動7』は2013年の二子玉川の環境を守る会総会や世田谷区予算で二子玉川ライズ補助金を支出することの問題点などを報告する。二子玉川ライズでのAV撮影という毛色の変わった住環境破壊の実態も取り上げた。各地のマンション建設反対運動についても紹介する。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。