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林田力『東急不動産だまし売り裁判2リバブル編』

林田力『東急不動産だまし売り裁判』は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実(隣地建て替えによる日照、通風・眺望の喪失など)を隠して問題物件をだまし売りされた原告・林田力が消費者契約法に基づき売買契約第4条第2項(不利益事実不告知)を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録である。
林田力『東急不動産だまし売り裁判2リバブル編』では提訴前の東急リバブルとのやり取りにフォーカスする。『東急不動産だまし売り裁判購入編』の最後で林田力は、だまし売りの真相を知った。だまし売りの事実を東急リバブルに確認するところから『東急不動産だまし売り裁判2リバブル編』は始まる。そこで林田力は東急リバブルの「売ったら売りっぱなし」の無責任体質に直面することになる。
『東急不動産だまし売り裁判2リバブル編』には東急リバブル・東急不動産への怒りの原点が存在する。これを読むことで裁判そのものを描いた『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』での怒りが身近なものとして理解できる。

【書名】東急不動産だまし売り裁判2リバブル編/トウキュウフドウサンダマシウリサイバンニリバブルヘン/The Suit TOKYU Land Corporation's Fraud 2 Livable Stage
【著者】林田力/ハヤシダリキ/Hayashida Riki

まえがき
たらい回し
文書での回答要求
建替え未定との回答
再調査要求
東急リバブルの責任逃れ
行政指導による態度急変
東急リバブル来訪
倉庫の虚偽説明
隣地所有者への確認要求
東急リバブルの回答回避
原告の調査
東急リバブル逃走
東急不動産だまし売り裁判年表
作品解説

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東急不動産だまし売り裁判2リバブル編 感想 林田力 - 読書メーター
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東急不動産だまし売り裁判2リバブル編 / 林田力 / 林田力 書評|本が好き!
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『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』林田力 - 東急不動産だまし売り裁判2リバブル編
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東急不動産だまし売り裁判2リバブル編 - はてなキーワード
http://d.hatena.ne.jp/asin/B00BKAZI88

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林田力:東急リバブル東急不動産問題記事一覧

林田力「不動産トラブルと消費者契約法」JANJAN 2007年1月23日
林田力「アトラス・渡辺代表 東急物件の構造設計」JANJAN 2007年3月20日
林田力「新築マンション値引き事例」JANJAN 2007年3月25日
林田力「マンション販売トラブルで「お詫び」 東急リバブル・東急不動産」JANJAN 2007年10月4日
林田力「ブランズシティ守谷の建築確認に審査請求」JANJAN 2008年2月18日
林田力「著者が語る『東急不動産だまし売り裁判』を書いて」JANJAN 2009年7月4日
林田力「東急不動産だまし売り裁判を報告・景観と住環境を考える全国ネットワークで」JANJAN 2009年11月26日
林田力「「もめタネ研」で東急不動産だまし売り裁判から住宅政策を検討」JANJAN 2010年2月9日
林田力「訴訟上の和解をめぐる誤解」JanJanBlog 2010年5月2日
林田力「東急不動産の小日向マンションで建築確認に不備=東京・文京」PJニュース2010年6月2日
林田力「広告表記を訂正していたブランズシティ守谷」JanJanBlog 2010年6月26日
林田力「東急不動産の文京区小日向マンションが高さ違反」JanJanBlog 2010年6月29日
林田力「マンション欠陥施工で東急不動産が呆れた説明」PJニュース2010年7月11日
林田力「林田力のコラム レクサスで東急トヨタが結び付き」JanJanBlog 2010年7月15日
林田力「「ブランズシティ守谷」の新築マンション表示誤り」PJニュース2010年7月15日
林田力「迷惑隣人説明義務違反事件での東急リバブルの言い訳」JanJanBlog 2010年7月17日
林田力「東急不動産物件で公正競争規約違反表示」JanJanBlog 2010年7月18日
林田力「居酒屋で東急不動産だまし売り裁判出版記念オフ」JanJanBlog 2010年7月27日
林田力「マンション仲介広告に注意(1)錦糸町営業所の虚偽広告」PJニュース2010年8月3日
林田力「マンション仲介広告に注意(2)東陽町営業所の虚偽広告前編」PJニュース2010年8月4日
林田力「マンション仲介広告に注意(3)東陽町営業所の虚偽広告後編」PJニュース2010年8月5日
林田力「マンション仲介広告に注意(4)お詫び掲載」PJニュース2010年8月6日
林田力「マンション仲介広告に注意(5)他社広告に伝播」PJニュース2010年8月7日
林田力「マンション仲介広告に注意(6)番外・電気料金」PJニュース2010年8月8日
林田力「マンション仲介広告に注意(7)同じ物件が異なる間取り」PJニュース2010年8月9日
林田力「マンションだまし売り被害者と建設反対運動の連携(上)」PJニュース2010年8月9日
林田力「マンションだまし売り被害者と建設反対運動の連携(下)」PJニュース2010年8月10日
林田力「東急不動産だまし売り裁判で市民記者から取材」PJニュース2010年8月11日
林田力「新築マンション購入失敗とトラブル共有の重要性」リアルライブ2010年8月11日
http://npn.co.jp/article/detail/16779626/
http://news.livedoor.com/article/detail/4940171/
林田力「眺望阻害マンション裁判の明暗(上)」JanJanBlog 2010年8月12日
林田力「眺望阻害マンション裁判の明暗(下)」JanJanBlog 2010年8月13日
林田力「東急不動産のブランズBRANZ統一は成功するか」PJニュース2010年8月18日
林田力「東急不動産係長がトラブル相手に嫌がらせ電話で逮捕(上)」PJニュース2010年9月6日
林田力「東急不動産係長がトラブル相手に嫌がらせ電話で逮捕(下)」PJニュース2010年9月7日
林田力「「無言電話逮捕」の東急不動産係長が「クライアントベストを」主張」リアルライブ2010年9月13日
林田力「東急不動産取得のバーリントンハウス馬事公苑(上)」PJニュース2010年11月19日
林田力「東急不動産取得のバーリントンハウス馬事公苑(中)」PJニュース2010年11月20日
林田力「東急不動産取得のバーリントンハウス馬事公苑(下)」PJニュース2010年11月21日
林田力「東急不動産の東急リアル・エステート撤退に見るリートの矛盾(上)」PJニュース2011年1月20日
林田力「東急不動産の東急リアル・エステート撤退に見るリートの矛盾(下)」PJニュース2011年1月21日
林田力「ブランズ文京小石川Park Frontで近隣住民が工事被害(1)」PJニュース2011年2月11日
林田力「ブランズ文京小石川Park Frontで近隣住民が工事被害(2)」PJニュース2011年2月12日
林田力「ブランズ文京小石川Park Frontで近隣住民が工事被害(3)」PJニュース2011年2月14日
林田力「ブランズ文京小石川Park Frontで近隣住民が工事被害(4)」PJニュース2011年2月17日
林田力「ブランズ文京小石川Park Frontで近隣住民が工事被害(5・終)」PJニュース2011年2月18日

東急コミュニティーの杜撰な管理

林田力「東急コミュニティーがマンション管理人を営業活動に“流用”」JANJAN 2007年3月23日
林田力「金銭着服事件発表の東急コミュニティーでは文書流出も」JANJAN 2010年3月17日
林田力「東急コミュニティー解約記(1)修繕積立金不足発覚」PJニュース2010年7月12日
林田力「東急コミュニティー解約記(2)事務所使用を正当化」PJニュース2010年7月13日
林田力「東急コミュニティー解約記(3)管理組合文書漏洩」PJニュース2010年7月14日
林田力「東急コミュニティー解約記(4)債務不履行」PJニュース2010年7月15日
林田力「東急コミュニティー解約記(5)管理委託契約」PJニュース2010年7月16日
林田力「東急コミュニティー解約記(6)管理事務報告」PJニュース2010年7月20日
林田力「東急コミュニティー解約記(7)管理業務主任者証」PJニュース2010年7月21日
林田力「東急コミュニティー解約記(8)管理人の営業利用」PJニュース2010年7月22日
林田力「東急コミュニティー解約記(9)粗末な管理費督促」PJニュース2010年7月23日
林田力「東急コミュニティー解約記(10)防火管理者」PJニュース2010年7月26日
林田力「東急コミュニティー解約記(11)文書の誤記」PJニュース2010年7月28日
林田力「東急コミュニティー解約記(12)管理会社変更」PJニュース2010年7月29日
林田力「東急コミュニティー解約記(13)引継ぎの杜撰」PJニュース2010年7月30日
林田力「東急コミュニティー解約記(14・終)リプレースの効果」PJニュース2010年7月31日

東急不動産はグアムでも欠陥住宅で提訴される

東急不動産(Tokyu Land Corporation)が米国グアムでも住宅購入者から欠陥住宅訴訟を起こされていた。ボール対東急不動産事件(Ball v. Tokyu Land Corporation)である。東急不動産はグアムで戸建て住宅団地を分譲したが、住宅購入者達は施工上の欠陥を理由として東急不動産を提訴した。最終的に東急不動産は欠陥の修繕を余儀なくされたが、施工会社に責任を転嫁して訴訟を続ける後味の悪さを残した。
日本でも東急不動産の物件では東急不動産だまし売り裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟)や東急柏ビレジ(東急ニュータウン柏ビレジ)の欠陥住宅問題が起きている。超高層マンション「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」の引き渡し時には杜撰さが報道された。東急不動産の姿勢の後味の悪さも東急不動産だまし売り裁判と共通する。

東急不動産のブランズ統一の成否

大手不動産会社の東急不動産は2010年8月4日、分譲マンションと住宅のブランド名をブランズBRANZに統一すると発表した。大京のライオンズ、三菱地所のパークハウスのように大手デベロッパーは有名なマンション・ブランドを有している。
これに対し、東急不動産の特色はブランドの多さである。過去には「ドエルアルス」「アルス」があった。現時点で「プレステージ」「シーサイドコート」「クオリア」「ブランズ」を展開していた。東急不動産のマンションはブランドが分散している分、ブランド力に欠けていた。ブランド名を一本に絞ることで認知度を高める戦略である。
ブランドの統一は消費者の認知度を高めることにつながるが、それが企業に好ましい結果をもたらすとは限らない。ブランドはプラスイメージだけでなく、マイナスイメージを背負うこともある。この点でブランドの分散は悪評の多いデベロッパーにとって合理的である。
特に不動産は消費者保護が遅れており、未だに売ったら売りっぱなしが通用しがちな市場である。欠陥住宅などのトラブルがあっても、救済されずにデベロッパーが逃げ切った事例は星の数ほど存在する。
一方で不動産は一生に一度あるかないかの大きな買い物である。この買い物に失敗しても、簡単に再チャレンジすることはできない。また、悪徳業者の責任を追求せず、焼けの原から経済大国に進むような前に進むことしかできない発想で再チャレンジすることが好ましい訳でもない。
この結果、不動産トラブルでは救済されない消費者の怒りや恨みが長期に渡って継続することになる。そしてブランド統一することは、消費者の怒りの矛先も統一させるリスクを負うことになる。
実際、過去の東急不動産の主力ブランド「ドエルアルス」をGoogleで検索すると、2番目と3番目に告発サイトが登場する。2番目のサイトは「欠陥マンション(欠陥住宅):東急ドエル アルス」とタイトルにあるとおり、欠陥施工の告発サイトである。3番目のサイトは管理組合・管理会社と対立する住民によるものである。3番目はデベロッパーが直接関係するものではないが、ブランドイメージを損なうものであることは確かである。
その後、東急不動産の主力ブランドはドエルアルスからアルスに変わった。これは短縮した形であり、ブランドイメージに大きな影響を与えるものではなかった。しかし、東急不動産だまし売り裁判アルス東陽町事件がインターネットで広まった2006年頃から新ブランド「ブランズ」に移行した。そして2006年8月の東急不動産だまし売り裁判・東京地裁判決から4年を経て、東急不動産がブランド統一戦略を打ち出したことは興味深い。

マンションだまし売り被害者と建設反対運動の連携

私は二〇〇三年六月に東急不動産(販売代理:東急リバブル)から新築マンション(東京都江東区東陽)を購入したが、それは不利益事実(隣地建て替えによる日照・眺望・通風の喪失など)を隠してだまし売りされたものであった。
引渡し後に真相を知った私は消費者契約法第四条第二項に基づき、マンション売買契約を取り消し、東急不動産を相手に売買代金返還を求めて東京地裁に提訴した。東京地裁判決は東急不動産に売買代金の全額返還を命じた。
これは消費者契約法で不動産売買契約が取り消されたリーディングケースであり、マンション購入被害者にとって画期的な救済策となる判決である。この経緯を多くの方に知ってもらうために私は本裁判の内容を書籍にまとめて出版した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、二〇〇九年)。
勝訴した要因には様々なことが考えられる。その一つは自ら積極的に情報収集し、敵である東急不動産の手の内を把握し、東急不動産の主張や証拠の虚偽・矛盾に反論したことである。孫子の兵法「敵を知り己を知らば百戦危うからず」通りである。それを可能にした要因にマンション建設反対運動との連携がある。本記事ではマンションだまし売り被害者と建設反対運動が連携する意義について論じる。
マンションだまし売り被害者と建設反対運動の連携は双方にとってメリットがある。しかし、残念なことにマンションだまし売り被害者と建設反対運動の接点は乏しい。だまし売り被害者はマンションを購入したことで被害に遭った。マンション建設反対運動はマンションの建設自体で被害に遭う。マンションに対する意識が異なることが両者の距離を広げている。
大きな溝は、だまし売り被害者がマンション購入者である点にある。地域環境を破壊し、住民の反対を無視してまで、デベロッパーがマンション建設を強行する理由には買い手の存在がある。それ故にマンション建設反対運動にとってマンション購入者は憎むべき敵となる可能性がある。
この点で東急不動産だまし売り裁判には複雑な事情があった。東急不動産だまし売り裁判ではマンション建設時に東急不動産のために近隣対策を行った地上げブローカーが裁判でも暗躍した。一般にマンション建設反対運動は近隣対策屋に苦しめられている。これがマンションだまし売り被害者と建設反対運動を結びつけた背景である。
以下、マンションだまし売り被害者と建設反対運動の各々について連携のメリットを詳述する。
最初に、だまし売り被害者である。だまし売り被害者はマンションの売主の実態をマンション建設反対運動から知ることができる。意外かもしれないが、だまし売り被害者はマンションの売主をあまり知らない。そもそも消費者にとって不動産の購入は一生に一度あるかないかの買い物である。一見客ばかりであり、過去の経験に学ぶことは難しい。それを見越して不誠実な不動産業者は売ったら売りっぱなしの対応になる。この点は購入経験者を先達として調査するしかない。
より大きな問題は販売代理という分譲マンション市場のシステムによって、デベロッパーが隠されていることである。新築分譲マンションの売主(デベロッパー)は自ら消費者への接客活動を行わず、系列子会社を販売代理として、営業活動を委託する。
たとえば記者は東急不動産のマンションを購入したが、記者が接したのは東急リバブルの従業員であった。売買契約書も東急不動産に対してではなく、東急不動産の代理人である東急リバブルと交わした。最初の勧誘から契約、引き渡しに至っても東急不動産の従業員と接することはなかった。私が東急不動産の従業員を知るのは不利益事実不告知のトラブル対応が長引いた後であった。
売主の人間が一度も消費者に挨拶しないでマンションの販売が行われるという点は、だまし売り裁判につながる東急不動産の「売ったら売りっぱなし」体質を象徴する。他社物件の購入者から話を聞くと、デベロッパーの従業員は何処かのタイミングで一度くらいは挨拶しているという。この点が東急不動産の異常性となるが、営業活動を系列子会社に担当させる仕組みは多くのデベロッパーで採用されている。
買い物をする上で売り手の人柄や企業の雰囲気は非常に重要な要素である。ビジネスマナーがなっていない担当者やルーズな担当者からは購入したいとは思わない。特に不動産のような大きな買い物では売り手の信頼性は重要な要素である。そして雰囲気から受ける直感が正しいことは珍しくない。
ところが、この直感が新築マンションではあてにならない。売主と販売担当者の会社が別物だからである。販売会社は日頃から消費者に接しているために表面的にはソツなく対応できる。しかし、販売会社の表向きの姿勢と売主の体質は異なる。実際のところ、トラブル発覚後に私が接した東急不動産の従業員はビジネスマナーに従った手紙も書けず、電話対応もできないなど社会人としてのレベルも低かった。完全に消費者を見くびった対応である。
今となっては後の祭りであるが、もし契約締結前に東急不動産従業員と接していれば、東急不動産の物件を購入することはなかったと断言できる。まともな企業にとって消費者の怒り以上に耐え難いものは、消費者の失望である。そして東急不動産の従業員の対応は明らかに消費者を失望させるものであった。この意味で東急不動産従業員が新築マンション販売時に一度も消費者の前に現れないことは、東急不動産の営業戦略的には合理性がある。
このように新築マンション販売では消費者が売主の企業体質を知らないまま取引が終わってしまう。そのためにデベロッパーと直接交渉し、不誠実な対応を味わっている反対運動からの情報は貴重である。
次にマンション建設反対運動のメリットである。建設反対運動は、だまし売り被害者からマンション販売の実態を知ることができる。一般人にとって住宅購入は一生に一度あるかないかの大きな買い物である。そのため、反対運動の参加者もマンション購入経験が乏しい。それ故にマンション販売現場でいかに都合の良い美辞麗句しか並べられていないかを知ることは重要である。
デベロッパーが地域住民の反対を無視してまで地域環境を破壊するマンションの建設を強行するのは、それが儲かると考えているからである。それ故に反対運動側も何も知らずにマンションを購入してしまう不幸を避けるべく、購入検討者に適切な注意喚起を行う必要がある。購入検討者に購入を躊躇させるような情報を発信することがデベロッパーへの効果的な対抗策となる。
その意味で、だまし売り被害者によるマンションだまし売りの情報は貴重である。建設反対運動のウェブサイトに同じデベロッパーが建設した欠陥マンション被害者の告発ウェブサイトをリンクするだけでも、消費者へのアピール力は大きく変わる。残念ながらマンション購入検討者の多くは建設反対運動について「どこにでも起きており、マンションが建設されてしまえば自然消滅する」程度の意識しかない。そこで同じデベロッパーによるマンションだまし売り被害の情報を合わせて提供することが大きな意味を持つ。

新築マンション購入トラブル共有の重要性

新築マンション購入失敗体験を報告する。私は2003年6月に東急不動産(販売代理:東急リバブル)から江東区東陽の新築分譲マンション・アルス301号室を2870万円で購入した。
東急リバブル販売担当者が勧めた301号室は二面採光・通風が確保されている上、永代通りから一歩奥まったところにあり、賃貸マンションと比べて環境面での好条件が期待できた。加えて販売担当者は東急不動産及び東急リバブルの大企業としての信頼性を強調した。結果的には大失敗であったが、これが東急物件を購入する決め手となった。
301号室の販売価格は3060万円であったが、販売担当者は四半期締めの6月中の契約締結という条件で2870万円への値引きを提案した。私が具体的な話をする前から値引きを持ちかけており、販売価格には二重価格的な意味合いが強かったものと推測する。
青田売りのアルスは2003年9月末に竣工し、無事に引渡しが終わった。しかし、引渡しから1年にも満たないうちに301号室の窓が接する隣地で建て替え工事が始まり、日中でも深夜のように一面が真っ暗になってしまった。至近距離に壁が接するため、通風も悪化し、冬場は窓枠に結露が生じるようになった。
後日知ったことであるが、隣地所有者は東急不動産側にアルス竣工後の隣地建て替えを伝え、東急不動産側は影響がある住戸の購入者に説明することを約束していた。それにもかかわらず、販売時は都合の悪い事実を隠し、だまし売りした。このため、私は消費者契約法(不利益事実不告知)に基づき、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。
良好な住環境を求めて夢のマイホームを購入したつもりが、闇のマイホームとなってしまった。不利益事実(隣地建て替え)を知らなかったことが原因である。根本的な問題は消費者の信用が第一の大手不動産業者が嘘をつくはずがないと東急不動産を信頼していたことである。東急不動産側からすれば、だましやすい理想的なカモに見えたであろう。
その後、東陽町の隣の南砂町でも過去に同じような紛争があったことを知り、企業の体質的な問題であると実感した。数年前に東急不動産が分譲した南砂の新築マンションで引渡し後、隣地に高層マンションが建設され、日照0時間になった。ここでも東急側は販売時には購入者に再開発計画を説明していなかった。
歴史にIFは禁物だが、南砂の紛争を購入時に認識していれば警戒できたかもしれない。悪意をもって、だまし売りする業者が営業していること自体が問題で、消費者が自衛しなければならない状態こそが本来誤りであるが、過去のトラブルを共有することは非常に大切なことである。
私の購入時と比べると、現在では東急リバブルや東急不動産のトラブル情報がインターネット上を中心として広く流布している。これは好ましい傾向である。私も自身のトラブルを多くの人に伝えるために微力を尽くすことが責務であると考えている。

眺望阻害マンション裁判の明暗

マンション購入者が眺望阻害を理由に売主を提訴した二件の訴訟を分析する。
第一に東急事件である。これは私が東京都江東区の新築マンション・アルス東陽町の売主・東急不動産を訴えた裁判である。東急不動産(販売代理:東急リバブル)は隣接地の建築計画を説明せずに販売し、引渡し後に日照や眺望が損なわれた。この裁判において東京地裁平成18年8月30日判決は、東急不動産に売買代金の全額返還を命じた(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。
第二に近鉄事件である。これは超高層マンション「ローレルコート難波」(大阪市浪速区)購入者が売主の近鉄不動産を訴えた裁判である。近鉄不動産はローレルコート難波の分譲後、当該物件の近接地に高層マンション「ローレルタワー難波」を建設した。これによりローレルコート難波からの眺望が損なわれたとして、ローレルコート難波購入者が慰謝料などを請求した。しかし、大阪地方裁判所平成20年6月25日判決は原告の請求を棄却した。
本件は道義的には近鉄不動産が非難されるべきことは明白である。近鉄不動産は生駒山を間近に望む眺望をローレルコート難波のセールスポイントとしていた。ところが分譲から数年後、近接地に高層マンションを建設し、自らセールスポイントとした眺望を破壊する。一生に一度あるかないかの高い買い物をした購入者が怒るのは当然である。しかし、原告敗訴というマンション購入者には厳しい判決になった。
二つの事件は状況が類似するにもかかわらず、結果は逆になった。この二つの事件を比較することで、不動産取引における消費者保護の特徴が見えてくる。本記事では2点ほど指摘する。
第一に不動産会社の悪意である。東急事件では、東急不動産はアルス東陽町の販売前の段階で隣地所有者から、隣地建物がアルス東陽町竣工後に建て替えられることを聞いていた。つまり分譲時に隣地の建て替え予定を知っていた。にもかかわらず購入者に説明せずに販売した。故に消費者契約法の不利益事実告知に該当する。
これに対し、近鉄事件において近鉄不動産が近接地を購入した時期は、原告がローレルコート難波を購入した後である。そのため、ローレルコート難波販売時に近鉄不動産が近接地に高層マンションを建設する計画を有していたとは断言できない。この点を立証しない限り、だまし売りとの結論にはならない。契約締結時に知っていたのに説明しなかった東急不動産が悪質となる。つまり東急不動産の方が悪意の度合いが高い。
第二に重要事項説明に対する対応である。両事件共に重要事項説明で、周辺環境に変化が生じうることを指摘している。東急事件では重要事項説明の場で、購入者が「重要事項説明の周辺環境の記述は隣地建物を念頭に置いているのか」と質問した経緯がある。
この質問に対し、東急リバブルの宅建主任者は「特に隣地建物を指しているのではない。一般的な記述です」と回答した。隣地建て替えを知っていた東急側が、重要事項説明の環境変化を「一般的な記述」と説明したことは虚偽の説明をしたことになる。これは裁判において有力な攻撃材料となった。
一方、近鉄事件では購入者は「近鉄不動産は重要事項説明を形式的に読み上げただけで、購入者は内容を理解していない」と主張した。しかし判決は、購入者が重要事項説明について質問せず、異議を唱えなかったと認定して、重要事項説明を了解の上、売買契約を締結したと結論付けた。
重要事項説明は形骸化しており、悪質な不動産業者による責任逃れの口実として悪用されがちな実態は存在する。その意味で近鉄事件の購入者の主張は正当である。しかし、裁判では外形を重んじる傾向があり、「説明されたが、理解していなかった」という主張は通りにくい。この点において、近鉄事件判決は消費者保護の限界を示している。
両事件の判決が明暗を分けた理由をまとめるならば不動産会社の悪質性にある。一方で頭の体操をするならば、近鉄の方が悪質という見方も存在しうる。東急事件では隣接地の建て替え主体は東急とは別の第三者であった。これに対し、近鉄事件では同じ近鉄不動産が近接地に高層マンションを建設した。眺望を「売り」にしておきながら、自ら眺望を阻害した近鉄は、より悪質ではないか、とも考えられる。
この場合に問題が生じる。価値判断では東急事件よりも近鉄事件の方が悪質であるのに、裁判では東急事件では購入者が勝訴し、近鉄事件では敗訴した。より救済の必要性の度合いが高いローレルコート難波購入者が救済されないという倒錯した結果になる。これは真剣に検討すべき問題である。
先ず法的観点からは売買契約締結時の事情が問題になる。マンションをめぐる購入者とデベロッパーの関係は売買契約で規定される。購入者とデベロッパーの法的紛争では一次的には売買契約が問題になる。この点で契約締結時に不利益事実を知っていた東急不動産(販売代理:東急リバブル)と、近接地の建設計画を有していたとは認定されなかった近鉄不動産を比べるならば、東急が悪質という結論は動かない。
それでは契約締結後に自らセールスポイントとした眺望を破壊するような背信的な行動を取ることは許されるのか、という問題が生じる。これについては先例がある。
分譲マンション「大通シティハウス」の購入者が、同じ売主が別のマンションを建設したことで眺望が阻害されたとして、住友不動産と住友不動産販売に計約2000万円の損害賠償を求めた例である。札幌地裁平成12年3月31日判決は、住友不動産に眺望を阻害しないように配慮する義務があったとして計225万円の賠償を命じた。
この先例に従うならば近鉄事件でも幾らかの損害賠償が認められて良さそうなものである。それが否定された背景には近鉄の狡猾さがある。ここでは重要事項説明の表現が問題になった。
近鉄事件も東急事件も重要事項説明で、周辺環境に変化が生じうることを指摘する点は同じだが、表現が異なる。近鉄事件では「この環境について売主および関係者に対し何ら異議を申し立てないこと」との文言が付されていた。これは近々、周辺に建設予定があるのではないかと警戒を抱かせる文言である。
この文言があるにもかかわらず、購入者が重要事項説明に同意したという点に裁判所が購入者敗訴の結論を導いた一因がある。これに対し、重要事項説明で周辺環境に変化が生じうるという記述は、ほとんどの物件で書かれる一般的なものである。一般的な記述で購入者を安心させ、だましたところに東急の悪質さがある。
しかし、これも見方を変えれば逆の価値判断を下すことができる。形骸化した重要事項説明で予め異議を封じさせてしまう近鉄こそ消費者の不注意に乗じた悪質な手法と位置づけることもできる。近鉄の用意周到さこそが、予め隣接地の建設計画を有していたことを推認させるのではないかとの疑いも生じる。
道義的に近鉄の狡猾さが支持できないことは当然である。近鉄不動産の狡猾さとは『ナニワ金融道』的な法の網の目をくぐる狡猾さに過ぎない。法律の枠内で消費者を出し抜くズル賢さである。これは消費者を尊重する誠実な業者の在り方とは乖離している。裁判では勝訴したとしても、このような裁判を起こされること自体が長期的には会社のイメージを低下させ、勝訴で得られるものよりも大きなものを失うことになる。
東急事件での東急には近鉄のような狡猾さはなかった。しかし、それは東急が近鉄よりも善良であることを意味しない。狡猾な企業は歪んだ形であっても遵法精神は有している。だからこそ、法の網の目をくぐろうとする。この点で不利益事実不告知という消費者契約法の明文に違反した東急リバブル・東急不動産にはコンプライアンス上明らかに問題がある。
私が東急リバブル・東急不動産と協議した際も、東急不動産の課長は無反省にも「文句があるならば裁判でもどこでも好きなところに行って下さい」と言い放った。ここには法を無視しても、消費者は泣き寝入りをするからという発想しかない。法の網の目をくぐろうという程度の遵法精神すら持ち合わせていない。
遵法精神がなく、法律を守ろうとも思わなければ、法律の枠内で立ち回ろうとする発想が生じることもない。近鉄が法律を利用して利潤を追求するのに対し、東急は法律を無視して利潤を追求する。故に東急リバブル・東急不動産こそ悪質である。
また、東急事件の東急には近鉄とは別の意味での狡猾さを有していた。東急不動産の担当者は狡猾とは程遠い人物であった。愚鈍と形容すべき人物であった。無権限の愚鈍な人間と接しなければならない被害者は悲惨である。社会人としての最低限のマナーを有しておらず、非人間性を感じた。被害者の人間としての尊厳を損なうものであった。
そのような無能な人物を担当者にアサインしたところに、東急不動産の明確な悪意がある。原告の調査により、この担当者はアルス東陽町の建設時には一切、関与していないことが判明した。アルス東陽町とは無関係で苦情封じ込めのための人物に過ぎないと裁判では主張した。
愚鈍な人物に苦情処理を押し付け、真の責任者は逃げている。これが東急不動産の実態であった。被害者が「このような無能な人間と話しても無駄」と絶望して泣き寝入りをすることを狙っていた。現実に裁判まで行う消費者が少ないならば、東急不動産の戦術には合理性がある。
従って法律を守るための狡猾さを有していなくても、明らかな法律違反があったとしても、だまし売り被害者を泣き寝入りさせるための狡猾さはある。その狡猾さが却って原告の怒りを増大させた。東急不動産は非道で冷酷な企業であった。
マンションだまし売りの真相を知った現時点から振り返れば、東急リバブル・東急不動産からマンションを購入すべきではなかったと考えている。この点については一点の疑いも揺れも存在しない。故に私は消費者契約法に基づき、売買契約を取り消した。(林田力)

集団訴訟と個別訴訟の長短

消費者トラブルなどでは多数の被害者が生じるケースがある。被害者が裁判で権利回復を求める場合、集団で提訴するか、個別に提訴するかは大きな問題になる。本記事では集団訴訟と個別訴訟の長短を検討する。
集団訴訟のメリットは文字通り集団の力である。個人と大企業の圧倒的な力量差を集団の力によって少しでも埋めることができる。集団訴訟ならば弁護団も充実し、マスメディアも取り上げられやすい。
往々にして被害者が個別に加害企業と争う場合、「囚人のジレンマ」のように加害者に有利な結果となることが多く、一般論としては被害者が団結し、足並みを揃えることが得策になる。また、個別の取引によって、特定の被害者が他の被害者を犠牲にする形で有利な条件を結ぶことや逆のパターンの可能性もある。集団訴訟で足並みを揃えることで、被害者間の平等に実現つながる。
この点は同じ社会法の中で消費者法よりも歴史の深い労働法では十分に認識されていることである。労働協約の有利原則や就業規則の最低基準効、黄犬契約の禁止などの規定によって労働者の権利を保護している。
この集団訴訟のメリットを認識した上で、いち早く問題を認識した被害者や熱心に活動した被害者が、他の被害者と平等な結果しか得られないことは、むしろ不平等ではないかとの考えも成り立つ。特に出資詐欺事件などでは加害企業が倒産状態となり、全ての被害者を救済できない場合も多い。
この場合、被害者が経済的合理性を追求するならば、他の被害者よりも早く損害を回復しなければならない。消費者運動の立場としては「勝ち抜け」は道義的に批判できるが、実際の被害者の立場ならば綺麗事は言えない。但し、その場合でも「囚人のジレンマ」に陥る危険には十分に留意する必要がある。
私は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から新築マンションをだまし売りされ、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。同じマンション購入者に同種被害者もいたが、個別訴訟を選択した。
裁判の争点は東急不動産が隣地建て替えなどの不利益事実を説明しなかったことによる、日照、眺望、通風、静穏な住環境の喪失である。しかし、それ以外にも欠陥施工、アスベスト使用、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理、建築士資格を持たない無資格者が構造建築士であることなど様々な問題が発覚した。個別訴訟で東急不動産物件から抜け出したことは正しかったと考える。
但し、私は勝ち抜けだけでなく、マンションにも貢献している。管理組合の理事長を引き受け、東急コミュニティーの杜撰な管理を明らかにした。そして独立系管理会社にリプレースすることで管理を正常化した(林田力「東急コミュニティー解約記(1)修繕積立金不足発覚」PJニュース2010年7月12日)。
集団訴訟か個別訴訟かのポイントとして重要な点が訴訟経済である。まとめて審理することと個別に審理することの何れが効率的であるかという問題である。同じ企業の同じ商品の被害者で、被害に遭った状況も受けた被害も同じようなものならば、まとめて審理した方が効率的である。しかし、同じ企業の同じ商品の被害者でも、被害に遭った状況や受けた被害が異なる場合、まとめて審理するメリットは乏しい。
たとえば損害賠償請求訴訟では不法行為が成立するか否かが大きな争点となる。しかし、被害に遭った状況が異なれば、不法行為が成立するか否かが被害者によって異なることになる。また、受けた被害も軽微では受忍限度内とされて不法行為にならないこともある。
この点でも東急不動産だまし売り裁判は集団訴訟に馴染みにくい。東急不動産だまし売り裁判では消費者契約法の不利益事実不告知で売買契約を取り消した。この不利益事実不告知が全ての顧客に配布されているパンフレットなどに明記されているならば、全ての被害者に共通する問題である。しかし、個別のセールスで不利益事実不告知がなされた場合、個々に不利益事実不告知の成否を判断する必要がある。
実際、不利益事実不告知を認定した東京地裁平成18年8月30日判決(平成17年(ワ)3018号)は以下のように販促資料をベースとしながらも、具体的なセールス状況を踏まえている。
「原告は、周辺環境については東急リバブルから配付された現地案内図(甲12)を見ながら東急リバブル営業から説明を受けた。その現地案内図には、本件マンション北側隣地の建物は「ソーコ」と記載されていたので、原告は、北側隣地に建てられている建物について尋ねたところ、東急リバブル営業は、「あれは資材置場です。」と答えたが、作業所であるとの説明はなかったし、建て替えられる予定であるという説明もなかった。」
このような形で不利益事実不告知が認定されるならば、同じ新築マンションを購入した住民であっても、集団訴訟とする意義は乏しくなる。(林田力)

東急不動産だまし売り裁判で市民記者から取材

私は東急不動産だまし売り裁判で市民メディアの市民記者から取材を受けた経験がある。私は市民記者として取材し、記事を書いてきた。取材を受けるという異なる経験をすることで市民メディアについて認識を新たにすることができた。
私は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から新築マンションを購入したが、マンション竣工後に隣地が建て替えられ、日照・眺望等が妨げられるという不利益事実は説明されなかった。引渡し後に真相を知り、消費者契約法第4条第2項に基づき売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した。
この事件に関心を抱いた市民記者が私に取材を申し込んだ。彼は不動産会社の酷さ、不当さについて肉薄した記事を書きたいと言う。直接話をしたいということで、日本橋で会うことになった。彼は企業のネットクレーム対応顧問もしたことがあるという。そのため、取材は東急リバブル・東急不動産の対応・姿勢に重点が置かれた。
私は東急不動産だまし売り裁判について経緯を詳細な陳述書にまとめており、インターネット新聞上で記事も発表していた。そのため、この事件は自分の中で十分に考察し尽くしていると思っていた。しかし、彼の取材を受けることで新たな視点に気付かされた。
東急リバブル・東急不動産の問題は担当者の顔が見えないことである。頻繁な担当者交代、居留守、たらい回し、弁護士任せで、担当者が主体的に問題解決しようとしないことである。クレーム対応について経験のある彼は、東急リバブル・東急不動産のやり方ではトラブルがこじれ、より深刻化・長期化してしまうことは当然と主張した。
私から彼には参考のために判決などのコピーを渡した。彼は資料を読み込み、必要ならば改めて打ち合わせをした上で、記事を書くとのことである。また、取材では私の件以外の東急不動産が抱える裁判やマンション建設反対運動などについても話題になった。
今回、市民記者から取材を受けたことで、市民メディアの意義について再認識できた。市民メディアの意義は、職業的なジャーナリスト以外の市民にも記事を執筆し、発表する場を提供したことである。市民記者にとっては、市民記者になることで報道の機会を手に入れることができる。一方、市民記者にならなくても、市民記者から取材を受けるという形で市民メディアと接点が生まれる。
一般人にとって取材を受けるという機会は中々あるものではない。たとえ本人にとっては深刻でも、影響範囲が限定的な問題ではマスメディアの動きは鈍い。このようなマスメディアが無視するような話題でも、市民記者は市民の視線で取り上げることができる。市民記者の活発な取材により、数多くの埋もれた問題に光があたり、社会に良い影響を与えること、これも市民メディアの意義である。

林田力『東急ホテルズ食材偽装』